No Side
「大口を叩いておきながら、負けたと…言い訳はありまして?」
「俺の嫁が…ブツブツブツ」
「聞いておりますの?真文!!」
遊勝塾を賭けた三番勝負…初戦はアクションカードの支配率で終始劣勢に立たされつつも、元々は沢渡のものだった罠で竜騎士を機能停止させてからの1ショットキルによりブランが辛うじて勝利をもぎ取った。
一方逆転負けを喫した辰ヶ谷真文は、高飛車そうな金髪縦ロールのお嬢様に責められようとしていた。
「あ、はい!?な、なんでしょう…栗音さん?」
「耳の悪い犬ね。ペンデュラムの使い手とはいえ、あのような卑しい少女に敗北しただなんていけませんことよ。
それに栗音『様』でしょう?無様で礼儀を忘れたあなたにはおしおきが必要ね…土下座なさい。」
彼女――栗音に言われるがまま即座に土下座の体勢になる真文。
この男、よく調教されているようだ。
――ゲシ、グリグリ…!
「あぁぁぁぁ、いぐぅぅぅぅぅ!!栗音様ぁぁぁぁ…!」
「おーっほっほっほ!負け犬はもっと犬らしく鳴きなさい…!」
「わ、わおぉぉぉぉん…!」
そうして、彼女に足でぐりぐりと踏まれ犬のように鳴く真文。
そろそろ良い子には見せられない光景になってきたのは言うまでもない。
「その辺になさい、お二人とも。誇り高きLDSの生徒としての自覚を持ちなさい。」
「理事長の言う通りだ。仲がいいんだか悪いんだかよくわかんねぇけど、目のやり場に困るからそういうのは他所でやれ。」
流石に相手の土俵でこの行為は目に余るため、理事長たちが二人を注意するとピクリと止まった。
「…これは見苦しいところを見せてしまいましたわね。今日の所はこの辺で許してあげるわ。」
「くっ…!」
すると、理事長は土下座していた真文の前に立つと豚を見るような蔑んだ目で彼を見下ろした。
「まさか、あなたがこんな小さな塾の生徒に負けるとはね。それじゃLDS融合コースの名が泣くわ。」
「っ…!」
実際に負け犬に成り果てた真文には返す言葉もない。
彼はただうなだれるだけであった。
もっとも理事長の方は彼にはこれ以上見向きもせず、ブランの方を見やる。
「けれど、ペンデュラム召喚…これでますます欲しくなったわ。」
アクションカードの支配率が低かったものの、ペンデュラム召喚の性質を駆使できた事もブランを勝利へと導いた一因であるのは明白であった。
先ほどのデュエルを見ていた理事長がよりペンデュラム召喚を手中に収めたいと思うのも然りである。
「次は…。」
「このわたくしが参りますわ、理事長先生。」
「では、あなたに任せるとしましょう。」
そして、次はこの高飛車なお嬢様が出向くようだ。
大きい胸を揺らしつつ、優雅にデュエル場へ向かって歩みだす。
超次元ゲイム ARC-V 第9話
『
Side:ブラン
一回戦目は追い詰められながらも、何とか勝利をもぎ取る事が出来た。
だけど、LDSがほぼ独占していた三大召喚法の1つ――融合召喚による強力なモンスターの性能はやはり恐ろしいものがあった。
それらが質ならこちらは物量であり、ペンデュラム召喚は強力とはいえペンデュラムカードを2体出しておかなければならない都合上弱点も多い。
今回出された融合モンスターは、その弱点を突くことができる手段の1つであった。
今回はそれを大して機能させなかったことが勝因とも言えるが、もしそれができなかったとなるとボロ雑巾にようにやられていたはずだ。
アクションカードの支配率といいオレは今の自分の力不足を痛感しつつ、廊下の壁に寄り掛かる。
このままじゃエンタメスターは夢のまた夢、自分の身を守る事さえ難しいと言わざるを得ない。
初戦はなんとか勝利は収められたので残り2戦のうち1戦勝てばLDSを撃退できる事になる。
そしてこちらには強力な耐性を有する『幻奏』を操る柚子、そして実力が未知数な部分が多いエクシーズ使いの里久などがいる。
どちらも申し分ない実力だと思う。でも柚子は本調子には見えず、里久はオレに見せた以上の本気を出すとは思えず慢心しそうで怖い。
かといって、権現坂やねねのようなうちの塾ではない部外者や子供たちに頼るのはどうかと思うし…まいったな。
「勝ったのに、どうしてそんな浮かない顔をしてるの?ブラン。」
「…ごめん、ちょっと考え込んでた。」
まさか、今の柚子にそんなこと言われるなんてね。
だめよね、こんな後ろ向きな気持ちじゃ。
勝てたんだからもっとしゃきっとなさい、何やってんのよオレは…!
「次は…あたしにやらせて。」
「待って、そういう柚子こそ本当に大丈夫なの?」
そう、昨日起きた何かをひきずっているように見える柚子は大丈夫そうに見えず心配だ。
さっき、初戦を戦ったオレだからこそわかる…あいつらには生半可な気持ちでは絶対に勝てないぞ?
「…あたしたちの遊勝塾がかかってるんだもの、絶対勝ってみせるわ!」
「…わかったわ。それならオレも柚子の事信じて待つだけよ。がんばって…!」
そうだ…あの時、柚子はオレを信じてくれると言ったんだ。
オレが信じてあげないでどうすんだ。
「おーっほっほっほ!庶民の皆さん、ごきげんようですわ!」
「「「「「「!?」」」」」」
と、そこへあの高飛車そうな金髪縦ロールが高笑いをあげながらオレたちの前に姿を現した。
その無駄な胸の脂肪を強調して派手に出てきやがったな…!
「なんだよ…?」
「あら、あの負け犬の相手を間近で見てみれば発育の悪そうで可哀想な幼女ですこと。」
「んだとゴルァ!!」
オイコラ…今、胸をやけに強調しつつオレのこと幼女って言ったよな!!
しかも、さっきオレが戦った相手を仲間のはずなのに平気で負け犬呼ばわりだなんて…!
だったらオレが相手だ、叩きのめしてやる!
――がしっ…!
「気持ちはわかりますが、落ち着いてください…!」
「こいつはオレたちが憎むべき敵だ!離せ、ねね…!」
「続けて同じ方が出るわけにはいきませんし、今のように感情に囚われては返り討ちにされるのは明白です!次鋒に任せましょう。」
「そうだ、それに今のお前が出ると余計な事態を引き起こしかねん。
下手な事をするだけ相手の思う壺…ここは我慢の時だぞ、ブラン。」
「っ…悪い。」
ねねに後ろから強く掴まれた上、塾長にまでそう言われたら大人しくするしかない。
無実だからこそ、余計な事をして本当に暴力沙汰を起こすのは拙い。
「自己紹介が遅れましたわ。わたくしはLDSエクシーズコースの桜小路栗音ですわ。」
「へぇ…あのお姉ちゃん、エクシーズ使いか。」
エクシーズ使いという事から、里久が興味を持ったわね。
とすると、残り一人は恐らく…。
「わたくしの相手をしていただけるのはどなたかしら?」
「あたしよ。」
悔しいが、このデュエルにオレの出る幕はない。
ここは柚子の出番だ。
「柚子、やるからにはあんな胸に無駄にでかい脂肪をぶら下げた女なんかに負けんじゃねぇぞ。」
「その言い草はどうかと思うけど、そのつもり。ここは任せて。」
「あらあら、物騒ですこと。」
目の前の相手に睨みを効かせる柚子に対し、栗音という女はいかにも余裕綽々。
相当な自信のようだが、こちらにもチャンスは十分ある。
柚子の使う『幻奏』の強固な耐性…よし、大丈夫なはず。
――――――
そして、柚子と栗音が向かい合ってデュエル場に立つとアクションフィールドの展開を待っていた。
自分がデュエルするわけではないにしても、デュエル前の静寂が緊張感を際立たせる。
「うちの可愛い娘にふさわしいフィールドは…よし、これだ。
アクションフィールドオン!フィールド魔法『クリスタル・コリドー』発動!!」
塾長が発動したアクションフィールドは結晶でできた華やかな雰囲気の廊下なんだけど。
ちょっと待て、むしろこれ…相手を引き立たせてる気がするんだが大丈夫か?
「柚子!きらめく可愛さのお前にぴったりの…」
「あら…この麗しいわたくしにふさわしいフィールドですこと。
このフィールドを選んでくださった方は庶民にしてはよくわかってますわね!」
「うぇ…?何やってんのお父さん…!」
やっぱ、相手の方が喜んでるじゃねぇか!しかも当の柚子は困惑気味だよ!
「よかれと思ってこのフィールドにしたんだろうけどさ…。」
「逆効果だよね、これ。相手を目立たせちゃってどうすんの?」
「なんというか…みんな、すまん。」
なんというか、子供たちにさえ突っ込まれる始末。
とはいえ、出しちゃったものは仕方がない…オレたちは柚子の勝利を信じて見守るだけだ。
「娘を輝かせたいという親心は伝わりましたが、心がくすんだ卑しいあなたには相応しくないですわ。」
「…なんですって?」
あいつ…柚子が本調子でないことを察しているのか?
「さしずめ、想い人を信じ切れてなく心に迷いがあるというところかしらね。
わたくしは名家の令嬢…幼いころから様々な方々を見て回りましたわ。人の心の動きがある程度わかる程にね。」
「…っ!!?」
すごいんだかすごくないんだかよくわからないが、柚子が動じてる!?
想い人云々は多分オレだろう…とすると、柚子はオレの事を信じ切れていない?
昨日柚子が見たという何か、まだ引きずっているんじゃないか!!
なんてこった、本調子じゃない事はある程度分かっていたはずなのに…くっ!
「図星のようね。そのような心構えでわたくしに挑もうとは…片腹痛い。
強く、気高く、美しいこのわたくしがあなたの強がりを叩き折って見せますわ!お覚悟はよろしくて?」
「…いい加減な事言わないで!あたしの心に迷いがあるかどうか、このデュエルで証明してあげる!!」
実際の所、いい加減なようで実は結構的を射ぬいているからまったくもって性質が悪い。
それでも、奴には負けたくないって気概は伝わった。
自らの心の迷いをぶっとばすくらいのデュエルを見せてやれ!!
「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」
「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!」
「フィールド内を駆け巡る!」
「「「見よ、これぞデュエルの最強進化系!!」」」
「「「アクショォォォォォン!!」」」
「「デュエル!!」」
柚子:LP4000
栗音:LP4000
「先攻は頂きますわ。わたくしは手札を1枚墓地へ送り、魔法カード『オノマト連携』を発動。
このカードはデッキから『ズババ』『ガガガ』『ゴゴゴ』『ドドド』のうちそれぞれ1体ずつ、合計2体までを手札に加える事ができますのよ。
これにより『ガガガマジシャン』と『ゴゴゴジャイアント』を手札に加えさせていただきますわ。」
相手はまずは手札を整えてきたか。
一気に4種の内2種のカテゴリのカードを1枚ずつ手札に加えてきてどうでるか。
「そして、わたくしは手札から『ゴゴゴジャイアント』を召喚。」
ゴゴゴジャイアント:ATK2000
まずは攻撃力2000の下級モンスター。
それだけでも並みの下級では倒すのに一苦労だが…!
「このカードが召喚に成功した時、墓地の『ゴゴゴ』と名のつくモンスター1体を守備表示で特殊召喚できますの。
この効果で先ほどの『オノマト連携』で墓地へ送ったモンスター『ゴゴゴゴーレム』を特殊召喚しますわ。その後、ゴゴゴジャイアントは守備表示になりましてよ。」
ゴゴゴゴーレム:DEF1500
ゴゴゴジャイアント:ATK2000→DEF0
その攻撃力の高さを捨ててまで、自身の効果でオノマト連携で墓地へ送ったモンスターを蘇生してきた。
そして、彼女は自らエクシーズコースと言ったという事は…!
「高い攻撃力を捨ててまで、モンスターを増やしてきた…!?」
「そして同じレベルのモンスターが2体か…それにあのお姉ちゃんはエクシーズ使い。」
「…来るぞ、柚子!!」
早速来るはずだ…エクシーズ召喚!
「では、参りますわ。わたくしはレベル4のゴゴゴジャイアントとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!
麗しき純白の翼翻す希望の国の使者よ、我が下へ降臨なさい!エクシーズ召喚!ランク4『希望皇ホープ・ハート』!!」
『ホォォォォォォォプ!!』
希望皇ホープ・ハート:ATK2500 ORU2
「まさか先攻1ターン目から、エクシーズ召喚してくるなんて…!」
違う、問題はそこじゃない。
出しやすい部類のランク4でありながら、攻撃力2500でオレのエースモンスターと同じ打点というふざけたスペックだ。
しかもそれを事実上、たった1枚の消費で出してきておりエクシーズ召喚の負担が最小限に抑えられてやがる。
くっ、柚子はこれで初っ端からかなりのプレッシャーを強いられただろうな。
「あなたはこのお方を相手にどのように踊ってくださるのかしらね?
わたくしはカードを1枚伏せてターンを終了いたしますわ。」
効果がよくわからないエクシーズと伏せ1枚で柚子にターンを渡してきたか。
かといって臆しちゃだめだ、柚子!
「あたしのターン、ドロー!あたしは手札から魔法カード『独奏の第1楽章』を発動!
自分フィールドにモンスターがいない場合にデッキから『幻奏』モンスター1体を特殊召喚する!さぁ、出番よ『幻奏の音女セレナ』!!」
幻奏の音女セレナ:DEF1900
「セレナは天使族モンスターのアドバンス召喚に使用する場合、1体で2体分のリリースにできる!
あたしはセレナを2体分のリリースとしてアドバンス召喚!天壌に響く妙なる調べよ、眠れる天才を呼び覚ませ!いでよ、レベル8『幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト』!!」
『うっ、ふふふ♪』
幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト:ATK2600
「あらあら、わたくしのホープの攻撃力を上回ってきたのね。勢いはいいですこと。」
「来たっ、柚子お姉ちゃんのエースモンスター!」
「いいぞ、相手のホープの攻撃力を上回った!」
ダブルコストモンスターを利用して早速、柚子のエースのお出ましだ。
いいぞ、幸先のいいスタートだ!
「まだまだこれからよ!プロディジー・モーツァルトの効果発動!
1ターンに1度、手札から光属性の天使族モンスター1体を特殊召喚する!『幻奏の音女エレジー』もステージへ!!」
『ら〜ら〜♪』
幻奏の音女エレジー:ATK2000
「エレジーがいる時、あたしのフィールドの天使族の攻撃力は300アップ!
さらに、特殊召喚された『幻奏』モンスターは効果では破壊されなくなるわ!」
幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト:ATK2600→2900
幻奏の音女エレジー:ATK2000→2300
よし、これでまずは効果破壊に対する耐性を手に入れられた!
おまけに微量ながらも攻撃力もアップしている…いざという時、この差が勝敗を分けるという事もあるから馬鹿にできない。
「バトルよ!あたしはプロディジー・モーツァルトで希望皇ホープ・ハートを攻撃!『グレイスフル・ウェーブ』!!」
――ビュゥゥゥゥゥン…!!
「お生憎様、その攻撃をまともに受けるつもりはなくってよ。バトルステップに希望皇ホープ・ハートの効果発動!
オーバーレイ・ユニットを1つ使い、このターン自分のモンスターはそれぞれ1度だけ戦闘では破壊されず、自分が受ける戦闘ダメージも1度だけ0にしますわ。『ハート・イージス』!!」
希望皇ホープ・ハート:ORU2→1
すると、白い翼をバリアに変形して攻撃をいなしてきた。
攻撃力で上回っても、そう簡単に攻撃は通してはくれないってわけか。
それに、このフィールドには攻撃力増加のアクションカードはないはず…どうする?柚子…!
――――――
Side:柚子
っ…プロディジー・モーツァルトの攻撃が躱されたわ。
今のフィールドと手札じゃこれ以上の攻撃は無理…今は守りを固めるしかない!
「バトルフェイズは終了よ。あたしは手札から魔法カード『重奏の第2楽章』を発動!
手札からレベル4以下の『幻奏』モンスター1体を特殊召喚する。出番よ『幻奏の音女アリア』!」
『あ〜あ〜♪』
幻奏の音女アリア:ATK1600→1900
「特殊召喚されたアリアが存在する限り、あたしの特殊召喚された『幻奏』モンスターは戦闘では破壊されず、カード効果の対象にもならない!」
「出た、柚子お姉ちゃんのアリアエレジーの布陣!」
「あれを決められたら、オレもどうにもできないことがよくあったからな。いいぞ!」
アドバンス召喚したモーツァルトこそは守れないけど、アリアとエレジーの相乗効果で強固な布陣がしけたわ。
ブランの言う通りこれを突破する手段はそう多くはないはずよ。
後は相手の様子を伺うだけ。
「まぁ、これは中々骨が折れる布陣を敷いてきましたのね…それなりにはできるようですわ。」
「それはどうも!あたしはカードを1枚伏せてターンエンド!」
それに伏せカードを使えばどの子でもホープ・ハートを返り討ちにできるはず。
余程のことが無ければ、次のターンは耐えられるはずよ。
「ですが!この程度の布陣…まさか、突破されないとお思いではないですわよね?」
「なんですって…?でまかせを言わないで!!」
「本当にでまかせかどうか…その目で確かめてみるといいですわ!!わたくしのターン、ドロー!」
彼女の顔つきがあたしを嘲るかのような表情に変わった!?
いったい、何を仕掛けてくるというの?
――――――
Side:ブラン
柚子はアリアエレジーの布陣は敷けたけど、全て攻撃表示というのが不安要素ではある。
伏せカードはある…とすると恐らくは攻撃を誘っているはず。
とはいえ、相手の柚子を嘲るかのような表情…どうも冷や汗が拭えねぇ…!
「わたくしは手札から『ガガガシスター』を召喚。」
ガガガシスター:ATK200
ここで彼女が出してきたのは、可愛らしい少女の白魔術師だ。
攻撃力は低い分、何かあるはずだ。
「ガガガシスターが召喚した時、デッキから『ガガガ』と名のつく魔法・罠カード1枚を手札に加えますの。これにより『ガガガウィンド』を手札に加え、即座に発動!
これにより手札から『ガガガ』モンスター1体を特殊召喚しますわ。おいでなさい『ガガガマジシャン』!!」
『ガガガ…!』
ガガガマジシャン:ATK1500
魔法カードとのコンボで2体のモンスターを展開してきた。
だけど、レベルが違うからこのままじゃエクシーズ召喚できないはず…!
「ここでガガガマジシャンの効果を発動。ターン終了時まで1から8の好きなレベルになります。宣言するレベルは3!
さらに、ガガガシスターのもう1つの効果で他のガガガ1体とこのカードのレベルをそれぞれ合計したレベルに変更させていただきますわ!」
ガガガマジシャン:Lv4→3→5
ガガガシスター:Lv2→5
「あの2体のレベルが両方5に!」
「なんて効果だ、その気になればランク10の素材さえ簡単に揃えられるってわけかよ…!」
おいおい、この2体の組み合わせでランク2〜10のどのエクシーズも自在に呼び出せるじゃねぇか!
これで呼び出すのはランク5らしいが…どうも嫌な予感がする。
「わたくしはレベル5となったガガガシスターとガガガマジシャンでオーバーレイ!
迸る光纏う気高き獅子よ、我が望みの下へ駆けつけなさい!エクシーズ召喚!咆えよ、ランク5『
『ガオォォォォォ…!!』
ZW−獣王獅子武装:ATK3000 ORU2
「攻撃力3000!?」
「しかも素材にしたモンスターがたった2体でこれだぞ…!」
素材2体で攻撃力3000の大台のモンスターを出してきやがった!?
アリアとエレジーは耐えられるにしろ、このままだとモーツァルトはやられちまう…!
アリアで守れるのは特殊召喚されたモンスターだけだからな。
それだけならまだいい。本当にそれだけならだが…!
「これで驚くのはまだ早いですわ。ウェポンの名の通り…ライオ・アームズ自体は主役を引き立たせる脇役に過ぎなくってよ。
ライオ・アームズの第1の効果!このカードのオーバーレイ・ユニットを1つ使いデッキから『ZW』1体を手札に加えますわ。
そして、たった今手札に加えた『
ZW−獣王獅子武装:ORU2→1
希望皇ホープ・ハート:ATK2500→3700
「手札からモンスターを装備して攻撃力3700…!?」
「だが、柚子…まだ慌てる時ではないぞ!」
そうだ、こう言っている権現坂も手札より直接装備できるモンスターをよく使っているんだ。
それにこれならアリアを集中的に狙われてもまだ耐えられるはずだ。
待てよ…相手がライオ・アームズは主役を引き立たせる脇役だと言っていた。
そうか…さっき装備したモンスターは『ZW』で、ライオ・アームズもまた『ZW』だ!
「拙い!あいつ、このターンで柚子を潰しにかかってくる気だ!!」
相手の狙いは恐らく馬鹿みたいな攻撃力による圧殺…!
アリアエレジーを突破できなくとも、ライフを消飛ばしてしまえば問題ないってわけか。
これでアリアエレジーを攻撃表示で置いたのが災いしたってことになっちまう。
だが、ここのアクションカードは罠と攻撃を無効にする類の魔法の比率が高いはず…柚子が一か八か賭けに出るのかどうか。
「あ…あぁ…!」
ちょっと待て、どうして何かに怯えたような顔で明後日の方向を見てるんだ!?
今はデュエルに集中しないとやられちまうぞ!!
しっかりしろ、柚子!!
「察しがいいですこと…真文を倒したあなた、勘の良い子は嫌いじゃありませんわ。
ですが、何に怯えているのかはわたくしの知ったことではありませんが…心を惑わされてるそちらの方はもう無理そうね。」
てめぇにそう言われてもちっとも嬉しくねぇよ。
それより、柚子は奴にもう無理と言われているほど心が乱れているっていうのかよ!
「では、ライオ・アームズのもう1つの効果を発動しますわ!
このカードを攻撃力3000アップの装備カード扱いとしてホープに獣装合体!これがわたくしのエース『ライオ・ホープ・ハート』!!」
『ホォォォォォォプ!!!』
希望皇ホープ・ハート:ATK3700→6700
「こ、攻撃力…6700!?」
「あれをまとも喰らったら柚子お姉ちゃんが…!」
「痺れるくらいやべぇ、一撃でやられちまうよ!!」
「無駄の少ない流れるコンボからのこの高打点のエクシーズ…あのお姉ちゃん、結構やるじゃん。」
オレの予想は当たってたみたいだな、くそっ!
あれをまともに喰らったら一環の終わりだ…!
「バトル、ライオ・ホープ・ハートで最も攻撃力の低いアリアを攻撃しますわ!」
「っ…できれば温存しておきたかったけど、罠カード『合奏の第3楽章』を発動!
このターン、あたしの全ての『幻奏』モンスターはその数につき400――3体だから1200だけ攻撃力をアップするわ!」
『『『ラァァラァァァラァァァァァ…!!!』』』
幻奏の音女アリア:ATK1900→3100
幻奏の音女エレジーATK2300→3500
幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト:2900→4100
「駄目、それでもホープには歯が立たない!」
「だけど…これなら、ギリギリライフが残る。」
柚子の伏せカードはやっぱり攻撃力強化の罠だったか…!これならギリギリ踏ん張れる!
できれば何も装備していないホープを迎撃しておきたかったのだろうけど、背に腹は代えられないか!
「それでも手痛いダメージを受けるのには変わりありませんわ!受けなさい『ホープ剣・ライガー・スラッシュ』!!」
『フゥゥゥン!!』
――ザシャァァァァァッ!!
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ…!!」
柚子:LP4000→400
痛いダメージ量だけどなんとか耐え抜いた!
正直ここから巻き返すのは厳しいが、何とか耐えてもらうしかない!
「柚子ぅぅぅぅぅ!燃えろ、熱血だぁぁぁぁ!!」
「まだライフは残っている、柚子ならきっと…!」
「いや、これで終わりさ。」
「残念ですが、彼の言う通りです。」
なんとか踏ん張れたと思っていると、壁によりかかっている里久…それにねねまでも非情な宣告をオレ達に告げた。
嘘だろ、これで終わりだって…!?
「どういうことだ…!」
「ライオ・アームズの効果には続きがあります。」
「はぁ…君には言われたくなかったけど。ま、見てればわかるよ。」
マジかよ、ライオ・アームズの効果はあれだけじゃないってのか!
「装備カード扱いのライオ・アームズの更なる効果!
このカードを墓地へ送り、ホープを再びモンスターへと攻撃可能にしますわ!」
希望皇ホープ・ハート:ATK6700→3700
「装備を捨てての連続攻撃だと!?」
「ってことは柚子は…!」
「「「やられちゃう…!」」」
「…そういうことです。」
攻撃力は大幅にダウンしたとはいえ、アリアが攻撃されたらそこで終わりだ。
柚子にはもう伏せカードがなく、手札も尽きている…もはや万事休すだ。
そうなると、後はアクションカードにかけるしかないが…!
「これで終わりにしましょう…!」
「っ、アクションカード!…一か八か!」
ここで倒れこんでいた柚子が立ち上がると、柱の方へ飛び込んでいった…!
って、方向はそこじゃない!そんなところにアクションカードはないぞ!!
「わたくしはホープ・ハートでアリアを攻撃!『ホープ剣・ライトニング・スラッシュ』!!」
「とった!!」
――ゴッ!
「つぅ…あっ、あ…!!」
「まさか、クリスタルの虚像に騙される程だなんて…残念な末路ですこと。」
ちくしょう、どうやら柱に映った像に惑わされてしまったみてぇだ…!
本物のアクションカードは彼女の後ろ…もう間に合わない!
『ホォォォォプ!!』
――ズシャァァァァッ!!
「きゃぁぁぁぁぁ…!!」
柚子:LP400→0
「ごきげんよう。」
無情にも柚子のライフが0になり、敗北が告げられる。
信じたくはない…が、現実は変わらない…!
何かに思い悩む…その事がどれだけデュエルに影響するか思い知らされた。
何やってたんだろう、オレ。
頭に血が上っていたとはいえ、無理をする柚子を引き留められなかったことへの後悔が重くのしかかった。
そして無我夢中でオレはデュエル場で倒れこんでいる柚子の下へすぐさま駆けつけた。
「…やっぱり、やられちゃったね。」
――――――
Side:柚子
「柚子…柚子!」
うっ、あたしを呼びかけるこの声は…昨日の倉庫にいた融合使いのブラン…?
そう思い込んでいたけど、実際にはいつものブランだった…。
「っ…!」
「大丈夫?柚子、怪我はない?」
「大丈夫…でも、ごめん…負けちゃった。」
遊勝塾をかけてのデュエル…でしゃばったのに負けちゃった。
ブランがあたしを信じて送り出してくれたのに…本当になにやってるんだろう?
「悔しいけど、過ぎてしまったことは仕方ないわ。でも…あっ!?」
あれ、体が…重い。
――ドサッ…!
そして、意図せずブランの方へ倒れこんでしまった。
そこで彼女に抱きしめられちゃった。
「…どこが大丈夫よ、ばか。」
「本当になにやってたんだろう…?あたしって、ほんと馬鹿。」
この温もりはまちがいなくブランのもの。
彼女は間違いなくここにいる。
でも、目の前のブランの言葉が信じられなくて…勝手に一人で悩んじゃって…!
栗音…彼女の言うようにあたしの心はくすんでた。
「ごめん、柚子…心が乱れてるってわかってたはずなのに、止められなかった。」
「どうしてあなたが謝るのよ…勝手に悩んででしゃばっちゃったあたしがいけないのに…。」
「あらやだ、女同士で随分見せつけてくれるのね…いかがわしいですわ。」
え…?
そうだ、あたしブランに抱きしめられたまま…っ!?
「げっ…!」
「あっ…!?」
やだ、なにしてるのあたしたち…!
「ブラン、いつまでこうしてるの!?」
「っ、悪い!」
そう言うと、ブランは慌てて離れていっちゃった。
あたしも第三者にこういうのを見られちゃったのは恥ずかしかったけど…。
「てめぇ…栗音とか言ったよな…?オレも柚子も今度はこうはいかねぇ、次は覚悟しやがれ…!」
「あら、それは怖いですわね。ですが、その時も格の違いを思う存分見せてさしあげますわ!」
ブランも恥ずかしさと悔しさあってか、栗音に改めて宣戦布告しちゃったのね。
あたしも巻き込まれちゃったけど、次の機会までに何とかして強くならなくちゃ…!
「さてと、これで1勝1敗…次は絶対に落とさなきゃいいだけよ。」
「ブラン…!」
そうね、これでまだ終わったわけじゃない。
何より後に控えている子たちはあたしとブランにだって負けてないんだから。
「次を落とさなきゃいい、か。だったら、俺を止めてみな!」
今度は…誰!?
確か、LDSの3人目の…!
「てめぇは…?」
「俺か?俺はLDSシンクロコースの『早見烈悟』ってんだ、よろしくな!」
…なんというか、熱くてせっかちそうな男が出てきたわ。
――――――
Side:ブラン
1戦目はオレが辛うじて勝利し、2戦目は柚子が心を乱してたのもあり敗北。
現状1勝1敗のタイであり、次の試合は絶対に落とせなくなった。
「くぅ〜っ、この男、権現坂…できるなら柚子の仇を取りたいところだが…っ!
遊勝塾をかけたこの勝負において権現坂道場跡取りである俺は部外者…!」
ここは『不動のデュエル』の信念を持ち、ここぞという勝負所でこそ頼りがいのある権現坂に本音を言えば任せたいところだ。
とはいえ、彼本人の言う通りあくまで塾を賭けたこの戦いにおいては部外者でしかないから簡単に頼るのもなぁ。
「いいか、里久!ここが勝負どころだ、必ず勝ってこい!!」
本来ここは里久に託すしかないわけだが…彼はやる気なさそうにお菓子を食べていた。
立ち合いの時に見せたやる気はどこいった…?
実力はあってもやる気がないんじゃ話にならないぞ…!
最悪、タツヤら子供たちの誰かにやらせた方がマシかもしれない。
「はぁ…僕ね、そういう暑苦しいのってどうもダメなんだよね。
次の相手もそういう性質っぽいし…やりたいんなら次、ゴンちゃんが出れば?」
お前なぁ、この大事な時なんだからもう少し塾生としての自覚をだな…!
後、その呼び方は馴れ馴れしいから。
が、この局面だからこそ漢気に満ちた権現坂に頼りたいのもまた事実。
はぁ…また借りを作ることになってしまうけど、背に腹は代えられないか!
「ごっ、ゴンちゃん!?…って、俺が出てもいいのかっ!」
「うん。」
そして、やる気になったのに今更水を差す事なんてできやしない。
だったら、オレも親友の背中を押してやるだけよ。
「権現坂…本来なら部外者でしかない。
でも、親友のあなたにならこのバトンを安心して託せるわ。思う存分、不動のデュエルの神髄を見せてあげて!」
「応よ!この男、権現坂に任せておけ!!不動のデュエルの名に賭けて、いざ参る!!」
逆境の中でも燃え上がるその闘志、流石よ。
だからこそ、安心して勝負を託せる…任せたわ、権現坂!
…話し込んでいるうちに相手がしびれを切らしてこっちの方に近づいてきたわね。
「こっちは待ちくたびれてんだ、そろそろやらせろよ?
誰が相手だろうと、俺のデュエルで振り切ってやるぜ!」
そう焦らずにせっかちなお客さん?
そういう奴にはどっしりと構え、泰然自若な権現坂の不動のデュエルで迎え撃つまで。
そういうことで、後は頼んだわ。
「お前の相手は、この俺だ!」
「おおっ、俺の相手はお前か!面白れぇ、熱いデュエルを楽しめそうじゃねぇか!
言っとくが、俺はさっきまでの利口ぶった二人と違って色々と熱く激しく強いぜ!」
熱い所は似てるけど、相手の方は攻めを重点としていそうだ。
これが塾を賭けた勝負でなければ、純粋に楽しそうな対戦カードなのに。
「早見の野郎、栗音様と俺が弱いような言い方を…!」
「あらやだ…このわたくしは兎も角、負け犬のあなたは反論できなくってよ?」
「oh…」
一方でオレと対戦したあいつは弄られてる始末。
あの、いじけるのやめてよ…そんな奴に追い詰められたオレが馬鹿みたいじゃないか…!
「ふむ、今までの選択はどちらも裏目に出たわけだが…とりあえずこれにしよう。
アクションフィールドオン!フィールド魔法『剣の墓場』!!」
おっと、そろそろ始まるみたいだ。
今度のフィールドは剣の墓場…相手の印象とは違って戦場の静けさが漂うフィールドだ。
もっとも、権現坂はいかなるアクションフィールドが来ようと『不動のデュエル』の信念は揺るがない。
このフィールドは打点操作系のアクションカードが多いが、それがどう出るか。
「『剣の墓場』か…陰気な場所だが面白れぇ、どっちが最後まで立っていられるか…いくぜ!」
どちらかといえば嫌そうな顔をしたようにも見えたわね。
もっとも、何が来ても問題なさそうにも見えたが。
「柊さん、このデュエルで私たちが勝てばこの塾もユーヤくんもLDSのもの。それでよろしいですね?」
「ただし、こちらが勝てば…二度とうちの生徒にちょっかいを出さないでもらおう。」
うちの塾長とLDSの理事長が互いに睨みを利かせ牽制しあう。
後は権現坂の勝利を祈るだけよ…お願い、勝って!
もう後がないこのデュエル…みんなが見守る中、ついに始まる。
「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達がぁぁ!」
「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」
「フィールド内を駆け巡るぅぅぅ!」
「見よ、これぞデュエルの最強進化系!!」
「「アクショォォォォォォン!!」」
「「デュエル!!」」
権現坂:LP4000
烈悟:LP4000
「先攻は俺だ、俺は手札からモンスターを裏側守備表示で召喚し、これでターンエンド!」
「ははっ、モンスターをセットしただけか。悪いが俺の速さにはついてこれねぇぜ?」
「本当に強い者は無駄に動かんものだ!」
まずは相手の出方を伺うみたいね。
でも、相手はシンクロコース…気を抜いたら一瞬でやられてしまうから気を付けて…!
「そうか。だが、お前がどう来ようが俺の道を進むのみだ!いくぜ!俺のターン、ドロー!
まずは手札から魔法カード『調律』を発動!デッキから『シンクロン』のチューナーモンスター1体を手札に加え、デッキトップのカード1枚を墓地へ肥やす!
これで手札に加えるのは『クイック・シンクロン』!そして、墓地へ送られたのは…うげっ『死者蘇生』かよ!」
「言っておくがこの勝負、無駄に動いた方が負けとなる!よく覚えておけ!」
よりにもよって死者蘇生が落ちたのは後で響くだろうな。こっちとしてみれば朗報だが。
もっとも、この程度は想定内ではあるだろうけど。
なお、権現坂がこう言った理由についてはいずれわかるさ…いずれな。
「そうなったら逆に面白いな。だが、これで準備ができた!
俺は手札のモンスター1体を墓地へ送り、チューナーモンスター『クイック・シンクロン』を特殊召喚!」
クイック・シンクロン:DEF1400
いきなりシンクロ召喚に必要なチューナーが出てきた…しかもレベル5のモンスターだ。
しかも特殊召喚だから召喚権が残ってやがる!
「続いて、手札からチューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』を召喚!」
ジャンク・シンクロン:ATK1300
そしてジャンク・シンクロンが出てきたか。
「あれれ?確かシンクロ召喚ってチューナーとそれ以外のモンスターの両方が必要じゃなかった?」
「そうね。だけど、ジャンク・シンクロンには召喚した時に効果がある。」
「そうか!!」
気が付いたみたいね。
確か、ジャンク・シンクロンはチューナーの象徴とも言えるモンスターだったはず。
「ジャンク・シンクロンが召喚した時、墓地のレベル2以下のモンスター1体を復活させる!墓地から『ドッペル・ウォリアー』を特殊召喚!」
ドッペル・ウォリアー:DEF800
そう、墓地の低レベルのモンスターを蘇生して即座にシンクロ召喚の準備ができるの。
これでチューナーとそれ以外のモンスターが揃ってしまったわけだ。
さて、チューナーはどっちを使うのかしら…?
「本領はこれからだ!俺はレベル2のドッペル・ウォリアーにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!
集いし力を拳に宿し、鉄屑の山を駆け抜けろ!シンクロ召喚!出でよ、レベル5『ジャンク・ウォリアー』!!」
『フゥゥゥ…ハァッ!!』
ジャンク・ウォリアー:ATK2300
これが、チューナーとそれ以外のモンスターを使ってエクストラデッキからそのレベルの合計のシンクロを呼び出す召喚法…シンクロ召喚だ。
ちなみにエクシーズと違い、あくまでレベルを持っている。
その気になれば、呼び出したモンスターを再びシンクロ素材なんかに使う芸当もできる。
「ドッペル・ウォリアーがシンクロ素材に使用され墓地へ送られた場合、俺の場に『ドッペル・トークン』2体を攻撃表示で特殊召喚する!」
ドッペル・トークン:ATK400(×2)
「えぇ〜っ、シンクロ前よりモンスターが増えてる!」
「しかも、最初に出したチューナーがまだ残ってるじゃねぇかよ!」
子供たちの言う通り、シンクロ前よりモンスターが増えた形だ。
これでシンクロの準備がまた整ってしまったわけだ…!
それに、確かジャンク・ウォリアーの効果は…!
「さらにジャンク・ウォリアーがシンクロ召喚した時、俺の場のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分アップするんだ!
レベル1のドッペル・トークン2体の攻撃力分…つまり攻撃力を800アップするぜ!『パワー・オブ・フェローズ』!!」
『ヌゥゥゥゥン!!』
ジャンク・ウォリアー:ATK2300→3100
「いきなり攻撃力3100…厄介ですね。」
「それに、これで止まるとは思えないわ…!」
初っ端から攻撃力3000超のモンスターが出てきたことになるわけか。
もっとも、権現坂の場合はこれくらいなら大した脅威にはならないんだけど…これだけで止まるはずがないわね。
この後すぐに、レベル6かレベル7のシンクロのどっちかが来るはず…!
「当然だろ?まだまだいくぜ!俺はレベル1のドッペル・トークンにレベル5のクイック・シンクロンをチューニング!
燃え上がる魂を弾丸に宿し、勝利の号砲を撃ち上げろ!シンクロ召喚!レベル6『ニトロ・シューター』!!」
『ハァッ!!』
ニトロ・シューター:ATK2300
これで最初から2体のシンクロを展開してきたわけね…!
権現坂、あなたはこの強敵にどう立ち向かう?
続く
登場カード補足
希望皇ホープ・ハート
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻2500/守2000
レベル4モンスター×2
このカードはX召喚の素材にできない。
(1):1ターンに1度、自分または相手のバトルステップにこのカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
このターン、自分フィールドのモンスターはそれぞれ1度だけ戦闘では破壊されず、自分が受ける戦闘ダメージを1度だけ0にする。
重奏の第2楽章
速攻魔法
「重奏の第2楽章」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札からレベル4以下の「幻奏」モンスター1体を特殊召喚する。
(2):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。
デッキから「重奏の第2楽章」以外の「楽章」カード1枚を手札に加える。
この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには使用できない。
合奏の第3楽章
通常罠
(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。
●このターン、自分フィールドの「幻奏」モンスターの攻撃力は自分フィールドの「幻奏」モンスターの数×400アップする。
●このターン、自分フィールドの天使族のモンスターの守備力は自分フィールドの「幻奏」モンスターの数×800アップする。