Side:ブラン
デニスや兄弟と別れた後、歩いていたら火山地帯から古代遺跡地帯になったわ。
地帯の境目が急すぎて驚いたけど、慣れるしかないわよね。
実際の気温なんかは変わらないのだけど、心理的にはカラッとした感じにね。
「お前は…」
「ユーヤ・B・榊だな…?」
で、目の前にはナイト・オブ・デュエルズの二人が立ちはだかっていた。
途中のモニターで見たけど、ちょっと前に紫吹にやられてた奴らね。
そのせいか、目が逝っちゃってる気がするわね。
「あなたたち、オレに何の用かしら?」
「俺達と一緒に紫吹を潰しにいこうぜ?」
「ペンデュラム・エクシーズ・シンクロ・融合と沢山の召喚法を使えるお前がいれば百人力だ。」
うわぁ…最低の負け犬ね。
よってたかって彼一人を狙うなんて騎士のやる事じゃない。
確かにオレは紫吹とは会っておきたいけど…こいつらと組むなんてまっぴら御免よ。
「ナンパならよそでやりなさい。
悪いけど、オレにはよってたかって一人を襲うような下衆な趣味はないわ。
わかったら、そこをどいてくれないかしら?」
「んなっ!?ぐ、こうなったら…」
「俺達の剣の錆になれ!」
はぁ…やっぱりこうなっちゃうか。
女の子一人を相手に二人がかりって騎士として恥ずかしくないのかしら?
仕方ない…さっさと終わらせて、まだ近くにいるであろう紫吹を追いかけなくちゃね。
「「「デュエル!!」」」
ブラン:LP4000
アシュレイ:LP4000
カール:LP4000
超次元ゲイム ARC-V 第44話
『ペロリスト襲来!』
Side:柚子
現在、氷山地帯から火山地帯へ移ったのだけど…どうしてこう極端なのかしら?
あくまでも外観だけで気温とかは変わらないんだけど、これは辛い。
それと、現在ロムと行動を共にしていたり。
まさか、バトルロイヤル始まる前は彼女と一緒に行動するなんて微塵も思わなかったわ。
「ところで、どうしてあたしと一緒に行動しようと思ったの?」
「え〜と、なんとなく…でしょうか。」
「…?」
「とにかく、ブランお姉ちゃんを探しましょう。」
少しばかり歯切れ悪いのが気になるのだけど…余計な詮索はしない方がよさそうね。
確か、ブランは火山地帯でデュエルをしていたのをモニターで見ている。
ここで一度合流して状況を確認しておきたいところ。
それに、彼女もブランに会いたいみたいだし…。
「やぁ、ブランちゃんなら他のエリアに移ったよ。」
「あなたは確か…!」
「デニス・マックフィールドですね。」
「ご名答…LDSの留学生でブランちゃんの友達だよ。」
ここで姿を見せたのはブランと即席のタッグを組んだエンタメデュエリストのデニスだった。
彼が言うには、このエリアにはもうブランはいないみたい。
って…!
「あたしのブランの事をブランちゃん…って馴れ馴れしく呼ばないで!」
「おやおや、これは嫉妬してるのかな?
ついでに初めて会ったとは思えないほど、息の合ったコンビで…ルウィー教会の兄弟に勝ったんだ。」
「その二人、ボクの部下なのです…世話になったようですね。」
あの変態兄弟…本当にロムの部下だったんだ…。
もう少し、人選は考えた方がいいと思う。
「そうだね…それと…」
――ドンッ!
ふえっ……今、彼に…壁ドンされてる…?
「君ともデュエルして友達になりたいな…柊柚子さん。」
「あたしの事、知ってるの?」
「僕も榊遊勝みたいなエンタメデュエリストを目指してる。
だから、遊勝塾の塾長の御嬢さんの事は良く知っ…」
――ぐっ!
「ぐえっ!?ちょ、タンマ…」
「調子に乗らないでください、デニス・マックフィールド。
ボクも部外者ではありますが馴れ馴れしく、初対面の相手を口説くのはいけませんね。」
「オー、ジェラシー!?」
「あはは…なぁにこれぇ?」
と思いきや彼の後ろから襟を引っ張るロムという…何とも言えない構図ね。
「ぜぇ、ぜぇ…ひどいなぁ、まったく君は。」
「傍から見てる側としてはとても不愉快でしたから…ぷんぷん。
それは兎も角、あなたは本当にただのエンタメデュエリストでしょうか?」
「君は面白いことを言うね…どうしてそう思うんだい?」
「そうですね…柚子を見ていた目つきが、まるで獲物を見る獣のような嫌らしいもののように感じましたから…でしょうか。」
…あれ、いつの間にか険悪なムードになってない?
いくらなんでも初対面の相手にそうズバズバ言う…?
「やれやれ、これは相当嫌われちゃってるかな?そんなつもりじゃ…」
「なかったと?本当にそう言えるでしょうか?
誤解だというのならボクとデュエルしましょう…それであなたの事を確かめさせていただきます。」
「え?」
なんだか、いつの間にデュエルする流れになっちゃってるのだけど…?
「いいよ、お互いに楽しいエンタメデュエルにしようじゃないか!」
「ならば…それを上っ面な言葉ではなく、デュエルで示していただきます!」
少し冷や汗をたらしつつもおちゃらけた様子のあるデニスに対し、ロムは幼い女の子とは思えない程の凄味を彼に見せる。
とても嫌な雰囲気デュエルが始まってしまうのを止めたいと思っていたら…?
――シュルルッ!
「っ…!?」
「え…?」
――ガシッ!
ロムがいきなり何かから避けるように横っ飛びをしたと思った瞬間、気持ち悪い何かがあたしを縛って…!?
しかも、それで宙づりに…えぇぇぇぇぇ!?
「きゃぁぁぁぁっぁぁぁ!?」
「ホワッツ!?何が起きてるんだ!?」
「柚子!?」
うぅぅ…なんかべとべとしてて気持ち悪いし動けない……何が起こってるのよ、もう!
なんて思っていたら…?
「ククク…捕まえたのは幼女じゃなかったが、この女もペロペロし甲斐のある未熟な花の蕾。」
「何、これ?新手のアトラクション?」
「今はつまらない冗談を言っている場合ですか!ぷんぷん。
どうみても、ここにいてはならないはずのイレギュラーな化物ですね。
それで…痛い目を見たくなければ彼女を離していただけませんか?」
「やだね!」
化物…?
あたしを縛っている何かをたどると…その正体は牛のような気持ち悪い化物の…舌?
「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
「柚子!」
気持ち悪い化物の舌に捕まっているという、あまりにも怖気がたつ状況だと知る。
それを知ったあたしは絶叫せずにいられず、目の前が真っ暗になった。
――――――
No Side
火山地帯に謎の化物が出現した同刻、レオ・コーポレーションの司令室でも動きがあった。
「何だ、あれは!?」
「部外者が紛れ込んだのは間違いない…あれがアヴニールからの刺客の可能性もある。
このままでは観客がパニックになりかねない…火山地帯の一般中継回線を切れ。」
「はっ!」
このままでは観客席が混乱に陥る事を想定したのか、火山地帯の一般中継回線を切断する。
その直後に化物が伸ばした舌により、柚子が捕えられてしまった以上…迅速な判断だと言えよう。
一方で何も知らされないまま火山地帯の中継回線を切られてしまった観客席側では…!
――ざわ…ざわ…!
「何で急に見れなくなったの!?」
「よりによって柚子のいる火山地帯が見れないとはどういうことだぁぁぁぁ!!」
「今、見覚えのある気持ち悪いものが見えた気が…!」
突然の事にざわつきが起きるのも当然であった。
しかも、一瞬だけ見えていたのだ…殆どの観客にとっては未知の化物が!
その姿に見覚えがあるのは、ここではフィナンシェと実況のニコくらいなものだ。
実のところ、二人ともその化物の姿が一瞬見えた事に動揺を隠せていなかった。
その化物の着ぐるみの持ち主は、既に逮捕されて今も拘留されているはずなのだから。
「どうして突然中継が切れたんだ!」
「説明してみろよ、オラァ!」
当然、観客から運営側に説明を求める声も出てくる。
『え〜と、申し訳ありませんが、現在一部の回線の調子が悪いようです。』
「ふざけんな!変なのが移ったと同時に切れただろ!」
「いくらなんでも切れるタイミングが良すぎるわよ!」
「そうやって、都合の悪い事を隠し通す気か!アァ!」
実況のニコもなんとかフォローしようとするも、切れるタイミングが都合よすぎる事など追及が絶えない。
かといって、その化物を前に見た事があり、中継を事前通達ないままニコとしても困惑して当然である。
『も…申し訳ありません、原因は現在調査中です!
そ、それでは…現在、デュエルが繰り広げられている古代遺跡エリアをご覧ください…。』
ニコとしてもここは誤魔化してデュエルの中継をするしかなかった。
ブランとナイト・オブ・デュエルズの二人による1対2のデュエルを。
――――――
ブラン:LP4000
アシュレイ:LP4000
アサルトナイト−スラッシュ:ATK1500
カール:LP4000
竜戦士ダイ・グレファー:ATK2700
アサルトナイト−スラッシュ:ATK1500
Side:ブラン
実質1vs2のデュエル…しかもこのルールだと二人目の最初のターンから攻撃可能というトンデモ仕様。
つまり、オレのターンはまだ来ておらず、2人目となるカールの2体のモンスターの攻撃を受ければそれでお陀仏だ。
こいつら、騎士のくせに姑息な真似を…!
もっとも、オレはアクションカード『回避』を既に拾っている。
このターンは大丈夫…今のうちにモニターで他のエリアの様子を!?
「アクションカードがあれば防げると踏んだようだが、残念だったな!
永続魔法『騎士の行進』を発動だ!これで戦士族の攻撃時、ダメステ終了時までお前は魔法・罠カードを発動できん!」
「んなっ…!」
――ザァァァァァ!!
なんだよこれ…今、モニターにこのバトルロイヤルにいてはならないはずの奴が映し出されたぞ…!
冗談じゃない、あの化物の着ぐるみの持ち主は逮捕された筈だぞ…!なのに何で!
それが見えた途端、モニターが砂嵐から『NO SIGNAL』の表示になって見えなくなってしまったけど…!
「これでお前には打倒紫吹に付き合ってもらうぜ!
まずは竜戦士ダイ・グレファーで攻撃!」
――ズバッ!
「ぐっ…!」
ブラン:LP4000→1300
このタイミングで見れなくなったという事は運営側としても明らかに都合の悪いもの。
つまり、あれは見間違いじゃない…!
アレは明らかにやばい、ちょっと前に相手したオレとしては放置するわけにいかなくなった…!
だけど、目の前の奴らはどう見ても話を聞いてくれる気配はない。
だったら…さっさとこの二人を倒して先へ進まないと!
「そして、アサルトナイト−スラッシュで終わりだ!」
「手札からアクションマジック『回避』を捨て、手札から『フレーバー・シュリンプ』を捨てて効果を発動!
これでそのモンスターの攻撃対象は攻撃モンスターのコントローラーのモンスター以外からオレが選ぶ!」
「攻撃対象を選ぶだと!?本命はそっちか!」
「フレーバーの香りに釣られ、同じモンスター同士で戯れていやがれ!」
――ズバァッ!
「俺達のスラッシュが…同士討ちに!?何やってんだ、カール!」
「はあっ!?俺は悪くねぇ!」
これでスラッシュ2体を撃破!
これが対多人数戦の秘策だったけど、この非常事態に出し惜しみしてる暇はない!
「こっちは急いでんだ…さっさと進めやがれ!!」
「ひいっ…ターンエンド…」
エンタメデュエルにはあるまじきマナーの悪い態度なのは自分でもわかってるけど、そんな事言ってられない。
アシュレイ側に伏せカードは1枚あるけど、このターンで二人ともぶっとばしてやる!
「オレのターン、ドロー!オレはスケール4の『甲殻神騎オッドシェル
甲殻神騎オッドシェル・P・ロブスター:Pスケール4
タイムテール・ロブスター:ATK1600
「こいつの効果で手札から水属性1体を捨て、エクストラデッキに『甲殻槍士ロブスター・ランス』を表側で加える!
さらに、水属性の効果のコストで手札から墓地へ送られた事でチューナーモンスター『ライン・ペンシル』は自己再生される!」
ライン・ペンシル:DEF900
「チューナーって事は…!」
「オレはレベル3のタイムテール・ロブスターにレベル3のライン・ペンシルをチューニング!
シンクロ召喚!出でよ、レベル6!命を操る水の槍術師『ガリデス・ギルマン』!!」
『ハァァッ!!』
ガリデス・ギルマン:ATK1600
「出やがったな、シンクロモンスター!」
「だが、それではグレファーには…!」
「エクストラから水族が特殊召喚された事で、オッドシェルは自らのペンデュラム効果で自壊し、デッキから『ブライン・ロブスター』を手札に!
そして、ガリデス・ギルマンがシンクロ召喚した事で、デッキからレベル8のスピニー・ブレードを墓地へ落とし効果を発動し、攻撃力を800アップ!」
ガリデス・ギルマン:ATK1600→2400
「お、おい…得意なエンタメとやらはどうした!」
「黙ってろ、スピニー・ブレードが水属性のコストになった事で効果により1枚ドロー!
オレはスケール2の『ロブスター・シャーク』とスケール8の『ブライン・ロブスター』でペンデュラムスケールをセッティング!」
ロブスター・シャーク:Pスケール2
ブライン・ロブスター:Pスケール8
今はエンタメってる暇はない!ペンデュラムから一気に畳みかける!
「ペンデュラム召喚!手札から『甲殻掃兵ノズル・スィーパー』!
エクストラデッキから『タイムテール・ロブスター』!『甲殻槍士ロブスター・ランス』!『甲殻神騎オッドシェル
『グググ…!』
甲殻掃兵ノズル・スィーパー:ATK1900
タイムテール・ロブスター:ATK1600 forEX
『フッ…!』
甲殻槍士ロブスター・ランス:ATK2000 forEX
『ハァァァッ!!』
甲殻神騎オッドシェル・P・ロブスター:ATK2500 forEX
「一気に4体もモンスターを同時召喚!?」
「これでモンスターゾーンを全て埋めやがった!?」
そんなのは今更だよ、ペンデュラム召喚が世に出た時点で!
「だが、どいつも俺のダイ・グレファーには…」
「ノズル・スィーパーを手札から出した時、相手の魔法・罠1枚をデッキに戻す!対象はアシュレイのセットカード!
それにチェーンし、ロブスター・ランスが召喚・ペンデュラム召喚に成功した時、相手の特殊召喚されたモンスター1体の表示形式を変更できる!
この効果の対象は特殊召喚されている竜戦士ダイ・グレファーだ!」
「馬鹿な…!」
竜戦士ダイ・グレファー:ATK2700→2000
「そして、ノズル・スィーパーの効果でそのセットカードをデッキに戻してもらう!」
「げっ、ミラー・フォースが…!」
そこは言っちゃ駄目だろうが…デッキへ戻す以上、こっちは確認できないはずだからな。
いずれにしろ、ここで一気に決めにかかる!
「バトルだ!オッドシェルで守備になったダイ・グレファーを攻撃!『螺旋のシュトロム・シュラーク』!!」
――ドゴォォォォ!!
「ぐっ、だがダイ・グレファーは墓地へ送られても…」
「オッドシェルの効果を忘れるな!戦闘で破壊したモンスターをデッキに戻し、1000ダメージを喰らいやがれ!」
「何だとぉぉぉぉぉぉ!!」
カール:LP4000→3000
「デッキへ戻されたんじゃ、破壊され墓地へ送られた場合に発動するダイ・グレファーの効果は…!」
「そうだ、使用できないよな!」
墓地で発動する被破壊時の効果は厄介だが、墓地へ送らなければ発動は阻止できる。
これで一気に決着を付けてやる!
「ノズル・スィーパーとロブスター・ランスでカールに、タイムテールとガリデス・ギルマンでアシュレイにダイレクトアタック!
これで終わりだ、怒涛の連撃で散りやがれ!!」
――バシュゥゥ…ザシャァァァ!!
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
カール:LP3000→1100→0
――ズドッ…ズシャァァァ!!
「どわぁぁぁぁぁぁ!!」
アシュレイ:LP4000→2400→0
決着は付けられたけど、余韻に浸ってる暇はない。
1ターン2キルだけど、相手は明らかに雑魚丸出しだったから感慨もない。
とにかく急がないと!
――タッタッタ!!
「お、おい…!」
「待てよ、ペンデュラムカードは…?」
「今はそんなことしてる場合じゃないんだよ!」
だから、今はペンデュラムカードを受け取っている時間さえ惜しいんだ!
一刻も早く火山地帯へ戻って見覚えのあるあの化物をどうにかしなきゃ…!
「はぁ、はぁ…」
――どんっ!
「きゃっ…!」
「っ…!」
無我夢中で前に人が通行しているのに気付かずにぶつかって…いたた。
「いたた…ごめんなさい、でも今は……げっ!?」
「貴様か…ようやく見つけたぞ、ユーヤ・B・榊!!」
「お前は…紫吹!」
オレがぶつかったこの鋭い眼光の人物は…この大会中に一度は接触したかった…!
けど同時に、この緊急事態には一番会いたくなかった人物…紫吹雲雀だった!
ちくしょう…火山地帯へ急がなきゃならないってのに…!
――――――
No Side
ブランがナイト・オブ・デュエルズの2人を片付けた時、観客席ではこのような反応を見せていた。
――ざわ…ざわ…
『え〜、榊選手が今度は1対2の不利な状況をものともせず、ナイトオブデュエルズの二人に圧勝です。
ですが、いつもと違い…榊選手からはエンタメをする気配がまるでありませんでした。』
「ブランお姉ちゃん…」
「どうしてあんな相手を叩き潰すようなデュエルを…?」
「火山地帯の中継が切れてから、妙にデュエルに集中できていない感じになったような…」
観客がざわつく中、一人が火山地帯との中継が切れた事との因果関係を指摘する。
ブランが手早く目の前の敵を倒そうとしたのも火山地帯の中継の最後に化物の姿が見えたからなのだ。
「そこです、火山地帯の中継の最後に出てきた化物は…前にブランが倒したはずのものの姿をしてますから。
あれは主に幼い女の子を愛玩動物のように扱ってきた狼藉者…わたしやブランにとっては許し難い存在です。」
「「「!?」」」
「だから、エンタメより手早く倒す事を優先したのか…ブランは!」
「やっぱり火山地帯で出てきた化物…やばい奴かよ!」
それが会場内に何者かの手で解き放たれたとなると、駆けつけずにいられないのがブランだ。
「あいつは、紫吹雲雀!」
「里久がいなくなった原因…!」
「あー、よりによって何でこんな時に!
ブランお姉ちゃん、急がなきゃならないってのに!」
『おおーっと!ここで榊選手が紫吹選手と対面した様子です!!』
だが、ここでブランがここにいる観客にとって印象最悪な紫吹と対面してしまう事となったのだ。
――――――
Side:ロム
モアに酷似した柊柚子と共に火山地帯を周っていると、ブランお姉ちゃんの友達を自称するデニス・マックフィールドと遭遇しました。
ですが、柚子に対し獣のような目つきで近づいたのでいかにも怪しく感じますね…何者なのでしょう?
それを問い詰めるべく、デュエルを始めたかったところなのですが…気持ち悪い化物の出現でそれどころではなくなりました。
正直、あの手の輩は生理的に相手にしたくないのですが…柚子が捕まってしまったとなるとそうは言ってられません。
当の彼女は余りの気持ち悪さゆえに失神してしまったようですし…!
「なら、ボクとデュエルです…そこの化物!」
「おれ様は化物ではない、トリックだ!
幼女を傷つけるなんて紳士に反するが…おれの手に渡るならそれも一興!」
身なりはあまりにアレですが、デュエルディスクは付けているのでデュエルには応じてくれるようですね。
しかし、ボクをただの幼女だと甘く見ないでいただきたいものです。
「このトリックという化物はボクが相手をします。
誠に不本意ではありますが、デニス…あなたは隙を見て柚子の救出を頼みます。」
「オーケイ、任された!」
明らかな化物のトリックに渡るくらいならまだデニスに渡った方がましですね。
柚子を舌で捕えるなどの狼藉…絶対に許しません!
「「デュエル!!」」
ロム:LP4000
トリック:LP4000
「はぁはぁ…幼女ちゃん、たっぷり可愛がってあげるよ。」
「うぇぇ…」
幼女ちゃんじゃなくてロムです。
とはいえ、流石のボクも嫌悪感は隠せません。
大きな口からの興奮したような吐息が臭いですし、気持ち悪いです。
「アクク、良い表情だ…おれの先行!自分フィールドにモンスターが存在しない場合、『プール・スワンプ』は手札から守備表示で特殊召喚できる!」
『あうあうあ〜』
プール・スワンプ:DEF0
これは名前を直訳したら拙いアレですね。
さて、ここからどうするのでしょうか…?
「さらにプール・スワンプをリリースし『タン・ツイスター』をアドバンス召喚!」
タン・ツイスター:ATK400
「攻撃力が400…?」
「見た目から得体がしれないのが気味悪いね。」
攻撃力の低い上級モンスターは総じて厄介だと思うべきというのが常識ですが、一体何を狙っているのでしょう?
「そして!魔法カード『融合』を発動!」
「ワオ…その図体で融合!?」
「おれはフィールドのタン・ツイスターと手札の獣族モンスターのリアル先輩を融合!
ニッチな分野を追い求める者よ!舌を舐め交し、変態という名の紳士へと昇華する!融合召喚!いでよ、おれの分身『テイステロリスト−トリック』!!」
『アクククク!!』
テイステロリスト−トリック:DEF3000
「ふえぇぇぇぇ、きもちわるいよぉ…」
舌が特徴的なモンスターといわゆるキモオタを融合させての自身に酷似したモンスターを召喚とは…怖気がしてきました。
という以前に、口上も相まってきもいです…思わず悲鳴をあげてしまうのも仕方ないのです。
守備力が高いですが、同時に得体のしれないモンスター…油断なりません。
「ねぇ、本当に大丈夫…?今なら僕が代わりにやってもいいのだけど?」
「いえ、単なる個人的な感想なのでデュエルする分には問題ありません…ぞくぞく。」
そもそも一度デュエルが成立した時点で交代はダメでしょう…乱入はいいみたいですがここはボク一人で大丈夫です。
気持ち悪さに怖気を感じてはいますが、それで乱される程ボクは軟ではありません。
「いい感じに怖気づいてるね、アドバンス召喚されたタン・ツイスターが墓地送りされた事で自らを除外して2枚ドロー!
おれはカードを1枚セットしてターンエンド、かわいい幼女ちゃんのターンだね。」
「ボクのターン、ドロー…さて、スケール2の『零海精グレイス』を…?」
―EROOR−
おや、ここでエラー音ですか。
どうも、ペンデュラムカードをセッティングできないようです。
あの変態の効果でしょうか。
「おっと!ペンデュラムなんて、おれは許した覚えないよ。
アクククク!おれの分身がモンスターゾーンに存在する限り、お互いに通常魔法以外の魔法カードを発動できないのさ。」
「ホワッツ!?つまり、ペンデュラムだけじゃなくて儀式召喚も封じられた!」
「うぇぇ…」
彼の言う通り、このままではペンデュラムも儀式もできません。
やってくれますね、厳しいメタを貼られてしまったようです。
倒すと言ったのはいいのですが…このままでは権現坂へ言った事が自分に帰ってきてしまいますね。
これでは碌に動けません…もっとも、攻略の糸口は見えているのですがね。
後は次のターン次第です。
「…モンスターを裏守備でセット、カードを2枚伏せてターンエンドです。」
「ククク、おれの熱い要求を受け入れてくれる気になったのかな?」
そんなわけがありません…ここでアクションカードを頂きましょうか。
――ぱすっ!
悪くはない…ですが、今は使用できませんね。
一応、持っておきましょうか。
「ならば、おれの分身を攻撃表示に変更し…幼女ちゃんの裏守備モンスターに攻撃!」
テイステロリスト−トリック:DEF3000→ATK2800
舌で攻撃とは…生理的に受けるのは嫌ですね。
「この攻撃宣言時に、罠発動『零海氷壁』!
この効果でその化物の攻撃を無効にします!」
「幼女が罠だなんて野蛮な事しちゃいけないよ。
1000ライフ払い、カウンター罠『トラップ・パラライザー』発動!
その発動を無効にし、その後、このターンはお互いに罠カードを発動できなくなる。」
トリック:LP4000→3000
罠は罠反応型のカウンターでしたか…!
攻撃無効&エクストラ肥しが出来なかったことを呪うか、伏せカードを使わせた上でライフを払わせた事を美味しいと取るかですね。
「攻撃されたのは『零海精ウルサン』…!」
零海精ウルサン:DEF1900
「おれの分身は守備力を超えた数値の倍の数値の貫通攻撃を与える効果がある!『べーろべろべろ』!!」
――べろんっ!
「いやぁぁぁぁぁ!!」
ロム:LP4000→2200
うぇぇぇぇ…唾液のようなものがかかって気持ち悪いよぉ…デュエル後は消えるはずですが。
このまま守備に徹していたらじきにやられてしまいますね…!
いずれにしても、そろそろ反撃に転じて…さっさと片付けたいものです。
「はぁはぁ…いい表情になって来たね、もうすぐぺろぺろできると思うとぞくぞくするね。
「うぅ、かかりましたね…戦闘ダメージを受けられたのは幸いでした、目にモノを見せてあげましょう。」
「何…?」
「まずはウルサンのリバースした事で『零海古龍グングニール』を手札に。
そして、戦闘ダメージを受けた事により手札から『零海精ウミリリ』の効果を発動します。
このカードをエクストラデッキに加え、デッキから『零海』のペンデュラムモンスター1体をペンデュラムゾーンに置きます。」
ダメージは痛いのですが、利用するに越した事はありません。
ペンデュラムカードを『発動』できなくても、ちょっとした裏技を使えば問題ありません。
「アクククク!何を馬鹿な事をいってるんだね?
おれの分身がいる限り、通常魔法以外の魔法は…」
「何を勘違いしているのですか?
あなたの分身が封じられるのはあくまでも発動のみ。
これは発動ではなく、あくまでも置くだけ…つまり、どういう事かはわかりますね?」
「その手があったか!これならトリックの効果をすり抜けてペンデュラムカードをセッティングできる!」
「何っ!?」
ペンデュラムの発動を封じられる事は想定してましたから。
といってもこれだけだと1枚なのですけれどもね。
「この効果でボクがセッティングするのはスケール6の『零海精エトワル』です。」
零海精エトワル:Pスケール6
「ぐ…おれはモンスターをセットしてターンエンド…!」
相手はモンスターをセットしてターンを終えましたか。
では、そろそろ目の前の化物を始末させていただきましょうか。
「では、参ります…ボクのターン、ドロー。」
「だ、だが…それでもペンデュラムゾーンのカードは1枚。
おれの分身がいる事でペンデュラムゾーンのカードは揃う事は…!」
確かにこのままではそうですね。
ですが、本当に直にペンデュラムカードを置くことのできるカードがこれだけだと思っているなら、頭がお花畑もいいところです。
トラップ・パラライザーのもう1つの効果も終了した事ですし、いきましょう。
「などと思っているわけですか…それはどうかな?
ここで永続罠『ペンデュラム・クロック』を発動します。」
「トラップ・パラライザーの効果は前のターン終了時まで…本命はそっちか!」
「ご名答…ペンデュラム・クロックは1ターンに1度、手札またはエクストラデッキからペンデュラムカード1枚をペンデュラムゾーンに置くことができるカード。
この効果により、手札からスケール2の『零海精グレイス』をペンデュラムゾーンにセッティング!」
零海精グレイス:Pスケール2
「おれの分身の効果を潜り抜けて、ペンデュラムカードを揃えただと!?」
「これでレベル3から5のモンスターが同時に召喚可能。
夜空を切り裂く十字の星よ、光の雪となりて現世に降り注げ!ペンデュラム召喚!来て、ボクのモンスターたち!
エクストラデッキから『零海精ウルサン』!『零海精ウミリリ』!そして手札から『零海精シャンデル』!!」
零海精ウルサン:DEF1700
零海精ウミリリ:DEF1600
零海精シャンデル:ATK1800
「あの効果を潜り抜けてのペンデュラム召喚とは…中々魅せるね!」
ボクとしては決して魅せるつもりで使ったのではないのですけどもね。
「アクククク!ここで、いくら雑魚を並べた所でおれの分身には…」
「ですが、まだ召喚を行っていません…まずは不確定要素の排除からです。
ウミリリをリリースし、アドバンス召喚!夜空を切り裂く十字の光よ、白鳥となりて天地を凍てつかせよ!レベル5『零海聖鳥シグナス』!!」
『キュオォォォォォォ!!』
零海聖鳥シグナス:ATK2000
「『零海』をリリースして、シグナスがアドバンス召喚に成功したターン、あなたは一切のモンスター効果を発動できなくなります。」
「モンスター効果が封じられただと…ふざけるなぁぁぁ!!」
狼狽えてる所から見て、どうやら手札誘発の類があるようですね。
ならば、このターンで決めましょう。
「だ、だが……それでもおれの分身には…!」
「さらに、エクストラデッキからウミリリを墓地へ送る事で効果発動。
これにより通常の召喚とは別に追加で『零海』1体をアドバンス召喚できます。」
「まだアドバンス召喚するだと!?」
「この効果でボクはウルサンとシャンデルをリリースし、アドバンス召喚!
神槍の名のもとに、我に勝利を齎せ!レベル7『零海古龍グングニール』!!」
『ゴォォォォォォ!!』
零海古龍グングニール:ATK2500
「零海モンスターをリリースしてグングニールがアドバンス召喚に成功した時、フィールドのカードを2枚まで対象にして破壊できます!
この効果で破壊するのはあなたの分身とセットモンスターです…放て『ピック・ブリザード』!!」
「複数枚除去だと…シグナスの効果でモンスターが封じられてるから手札のモンスター効果も使えない…なら、こいつにもう用はない!」
――パァァッ!
っ…ここで人質の柚子を舌を使って投げた!?
ボクの位置から届かないとなると…ここは!
「今です、デニス!」
「オーケイ!エアリアル・マジシャン!」
――ガシッ!
デニスが呼び出したモンスターの手で投げ出された柚子をキャッチ!
ファインプレーです、デニス!
――ぱすっ!
「おっと、よそ見してる場合かな!
幼女を傷物にするのは忍びないが仕方ない…アクショントラップ『ボルケーノ・プラズマー』が強制発動!
既に破壊される身のおれの分身を破壊し、その攻撃力分のダメージをお互いに受ける!これでお前はおれのものだぁぁあぁぁ!!」
「拙い、これを受けたらロムのライフが…!」
ここで舌を使ってアクションカードを取り、こちらへの被害が大きいアクショントラップを引き当てるとは…!
確かに2600ものダメージをまともに受けてしまえば残りライフ2200のボクは終わり…!
ですが、そうはいきません。
まだアクションマジックの発動はできませんが、効果を使用するなら大丈夫です。
「…アクションマジック『フレイム・シールド』を捨てて『効果』を使用します。
お互いにダメージを受ける場合、代わりにこのカードを捨てる事でそのダメージを0にします!」
「あ……がが…おれの渾身の一撃が…!」
「それで、グングニールの効果で対象となったセットカードは破壊!」
――パリィィン!
「お、おれがモノホンの幼女に…」
「幾ら喚いてもこれが現実です…さて、これであなたを倒す準備は整いました。」
神聖なデュエルの場に気持ち悪いものを持ち込んだあなたの狼藉…絶対に許しません。
柚子もデニスが救出してくれたことですし、これで心置きなく倒せます。
「バトル、まずはグングニールで攻撃…凍てつけ『フロスティ・ジャッジメント』!!」
――パキィィィィ!!
「ぎょえええええ!!」
トリック:LP3000→500
「シグナスでトドメです!夜空に輝く北斗十字、その冷たき力にて敵を滅ぼさん…『ノーザンクロス』!!」
――シュオォォォォォォォォォォォォ!!
「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
トリック:LP500→0
――ビシュンッ!!
む、トドメを刺した途端に消えてしまいましたか…逃げられた可能性が高そうですが。
今はどうして消えたのか考えるより、柊柚子の事ですね。
まだ気絶していますし…粘液を帯びた舌で捕えられていましたから、拭いておかないといけません。
「ワオ…あっさり消えちゃったね…」
「それより、今は柚子が心配です…唾液や粘液まみれでしょう?」
「身体の部分は拭いておいたし、スカートは無事だったけど、シャツが酷い有様だね…」
そうなると脱がせないとなりませんね…粘液が染み付いてますから。
「なら、ボクが着替えさせますので少し隠れます…申し訳ありませんが、デニスはあっちへ向いてください。」
「あちゃ…仕方ない。」
脱がせる事を考えると男性であるデニスに女性である柚子の露わになった体を見せるわけにいきませんから。
適当な所で身を隠した後、上着のシャツを脱がせ、ボクのコートを着せました…これなら問題はないはずですね。
ちなみに、ボクはブラウスも身に着けてますのでまだ大丈夫です。
着替えさせたので、彼女を安静にさせてからデニスの前に戻ると…?
「お前が融合の残党だな!だったら、オレがやっつけてやる!」
「ホワッツ!?急に雰囲気変わったね、柚子さん…」
「待って!彼女は柚子じゃないです!!」
デニスの前に柊柚子に似た金髪少女…モアが姿を現しました。
そもそも柚子とは一人称からして違うでしょう、デニス。
はぁ、厄介事は続くものですね…ブランお姉ちゃんを探す暇はなさそうです。
――――――
Side:ブラン
モニターから火山地帯に見覚えのある化物の存在を確認した事もあって、急いで火山地帯へ引き返そうとしたらよりによってあの紫吹と遭遇だなんて…!
「ふん、貴様には問いたださなければならない事が山ほどある…!
貴様がいながら、あの夜から姿を消した俺の大切な仲間であるネプテューヌの事…そして貴様がカオス・リベリオンを何故持っているかをな!」
「……!」
案の定、ネプテューヌ関連で突っかかられる事は目に見えていたからな。
正直、何と答えればいいのか…そもそもベールというオレに似たシンクロ使いが襲ってきたのが原因ではある。
でも、ネプテューヌが姿を消した理由についてはオレ自身もよくわかっていないんだ。
だが、カオス・リベリオンをオレが持っている理由については言い訳しても無駄だとわかってる。
こいつにとってはネプテューヌのニセモノに過ぎないオレが使った時点で憤怒モノだろうからな。
柚子が拾い、オレの手に渡ったと言ったところで如何にかなる話じゃない。
ちっ…急いでるってのに、面倒な事になっちまった…!
「だんまりか、やはり貴様がネプテューヌに何かしたに違いない!ネプテューヌを何処へやった!」
「違う!ネプテューヌがどこへ行ったかなんてそれはオレの方が知りたいくらいだ!
里久が消えた後、突如現れたベールというシンクロ使いの通り魔に襲われて…」
「シンクロを使うのは貴様も同じだ!貴様が下手な言い訳を繰り返す気ならば…」
――ズドォォォォォォン!!
オレの言葉を切り捨てる紫吹に襲い掛かられると思っていた所で近くから轟音が…?
「なっ、今度は一体…!?」
轟音のあった方向へ振り返ってみると、アクションフィールドで生み出された景観が壊れ、煙が出ている光景に驚愕を隠せなかった。
何だよこれ…火山地帯の化物に続いて、今度は一体何が起きてるんだよ……!
「何だよこれ…まさか、街がアクションフィールドごと……?」
「よそ見している場合か、ユーヤ・B・榊!!俺と戦え!!」
「だから、今はお前の相手をしている暇はないんだ!周りがわからないのか!」
「貴様の事情など関係ない!」
「ざけんな……轟音と同時に街から嫌な色の煙がでてきているんだぞ!!
故郷を滅ぼされたっていうアンタは何も思わないのか!!今は争ってる場合じゃないだろオラァ!!」
仮にも故郷を滅ぼされた身だろ、アンタは!!
なのにこっちの街はどうなってもいいというのか!!
「っ…黙れ!まずは貴様から倒す!」
イライライライラ…そんな経験があるのにもかかわらず、周りの状況を無視する紫吹の態度にオレの堪忍袋の緒も限界だ…!
ああ、そうかよ……この状況で邪魔立てするというならこっちだって容赦は…!
「おっと、僕の相手を先にしてもらおうかな!紫吹雲雀!」
「「!?」」
覚悟を決めようとしたところで、乱入してきたのは…里久!?
「貴様は…!」
「あなた、エクシーズ次元に帰ったはずじゃ…?」
「ねぇ、ブラン…今、僕と話してる暇はないんじゃない?
今のうちにあっちへ行かないと、余計にやばい事になると思うよ?」
「里久…ッ!」
まるで、里久が向こうに何かけしかけたようにもとれる言い方に怒りを隠せない。
それに、里久自身にも言いたいことは山ほどある…!
だけど、あっちへ駆けつけないとやばい事になるのは確か…!仕方ない!
「後で話をしに行くからな!」
「逃げるな!」
「おっと、君の相手は僕だって。」
――タッタッタ…!
そして、今は素直に煙が出ている方へ駆け出す事にした。
エクシーズ次元へ帰ったはずの里久が何のために再びこの次元にやってきたのかはわからない。
正直嫌な予感がぬぐえないけど、まずは破壊活動が行われている向こうをどうにかするのが最優先だ!
火山地帯はどんな状況になってるかはわからないけど、こっちもこっちで被害が目に見えてるからな!
いずれにしろ、この街を荒らしまわってる奴らは…まとめてぶっ飛ばしてやる!!
続く
登場カード補足
フレーバー・シュリンプ
効果モンスター
星1/水属性/水族/攻 0/守 500
「フレーバー・シュリンプ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に手札からこのカードと魔法カード1枚を捨て、攻撃モンスターのコントローラーのモンスター以外のモンスター1体を対象として発動できる。
攻撃対象をそのモンスターに移し替えてダメージ計算を行う。
零海精ウミリリ
ペンデュラム・効果モンスター
星3/水属性/水族/攻 500/守1600
「零海精ウミリリ」のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):もう片方のPゾーンの「零海」カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、そのカードの同名カード1枚をデッキから手札に加える。
Pスケール「5:5」
このカードは融合・S・X召喚の素材にできない。
「零海精ウミリリ」の(1)(2)のモンスター効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分が戦闘ダメージを受けた時に発動できる。
手札からこのカードをエクストラデッキに表側表示で加え、デッキから「零海」Pモンスター1体を選んで自分のPゾーンに置く。
(2):エクストラデッキの表側表示のこのカードを墓地へ送って発動できる。
「零海」モンスター1体をアドバンス召喚する。
アサルトナイト−スラッシュ
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1500/守1000
(1):このカードは直接攻撃できる。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は戦闘ダメージを受けない。
テイステロリスト−トリック
融合・効果モンスター
星10/闇属性/獣族/攻2800/守3000
「タン・ツイスター」+獣族モンスター
このカードは上記カードを融合素材にした融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いに通常魔法カード以外の魔法カードを発動できない。
(2):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分の倍の数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。
プール・スワンプ
効果モンスター
星6/闇属性/悪魔族/攻2000/守 0
(1):「プール・スワンプ」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。
(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から守備表示で特殊召喚できる。
騎士の行進
永続魔法
(1):自分の戦士族モンスターが戦闘を行う場合、ダメージステップ終了時まで相手は魔法・罠カードを発動できない。
(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「アサルトナイト−スラッシュ」1体を特殊召喚する。
ペンデュラム・クロック
永続罠
(1):1ターンに1度、この効果を発動できる。
手札・エクストラデッキからPモンスター1体を選んで自分のPゾーンに置く。
トラップ・パラライザー
カウンター罠
(1):相手が罠カードを発動した時、1000LPを払って発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
このターン、お互いに罠カードを発動できない。
フレイム・シールド
アクション魔法
(1):効果ダメージが発生した時、このカードを手札から捨てる事でそのダメージを無効にする。
ボルケーノ・プラズマー
アクション罠
(1):自分フィールドのモンスター1体を選んで破壊する。
その後、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージをお互いに受ける。