夏休みも終わった二学期初日、一夏達はIS学園直通のモノレール駅にやって来ていた。
因みに今日も今日とて一夏とヴィシュヌは早朝のトレーニングを行い、その上で朝食を作っているのだから相当だろう……と言うか、此れが当たり前になっている時点で一夏とヴィシュヌがドレだけ凄いのかが分かるというモノだ。
尚、ヴィシュヌとラウラは夏休み期間中は織斑家で過ごしていた。


「IS学園よ、私は帰って来た!!」

「安定のガンダムネタですね一夏。」

「一カ月以上ぶりだからこれは言っとかねぇとな。」


一カ月超学園を訪れていなかった一夏はガンダムのセリフをオマージュしたセリフを発し、ヴィシュヌが其れに冷静は突っ込みを入れていた。


「おっはよー、織斑君にヴィシュヌさん。久しぶりだね、元気してた?」

「久しぶりだな鷹月さん。俺もヴィシュヌも元気いっぱい夢いっぱい、スタミナいっぱい胸いっぱいって所だ。……んでもって鷹月さん、夏休み遊びまくったんじゃないか?
 宿題は初日から三日までの間に終わらせて、後は夏休みを満喫したとみた!」

「その心は?」

「小麦色に焼けた其の肌が証明している!」

「やっぱり?」

「バッチリ良い色に焼けてるからな。茶色く焼けたトーストの上、黄色いバター、オレンジママレードって感じのトースト娘だぜ。」

「食べる?」

「食わんて。」


モノレールの駅から学園までの道中にクラスメイトと軽口をたたきながらの雑談をしながら一夏達は二学期の始業式に向かって行った。










夏と銀河と無限の成層圏 Episode44
『二学期開始!~Second season Start~』










二学期の始業式は学園長である轡木十蔵の挨拶が短かった事もあり、早めに終わったので生徒達はホームルームが終わればフリータイムだ。
そのフリータイムにて、一夏は学園島の埠頭で釣りを行っていた――その隣には同じく釣りをしているヴィシュヌの姿もあった。アクティブなイメージのある一夏とヴィシュヌだが。釣りのようなまったりとしたモノも好きなのだ。
大物が掛かった時の釣り上げるまでのバトルも勿論好きなのだが、釣り針に獲物が掛かるまでのまったりとした時間もまた好きなのだ。


「午後は釣りか。ある意味で優雅だな一夏、ヴィシュヌ。」

「千冬姉か。」

「お義姉さん。」


其処にやって来たのは千冬。一夏とヴィシュヌと呼んでいる辺り、今は教師と生徒ではなくプライベートタイムと言う事なのだろう。


「釣果はどうだ?」

「俺は小さめの鯵が十匹ほど。今夜はアジフライと鯵の刺身だな。」

「私の方はマイワシとカタクチイワシが釣れていますね。
 マイワシは今夜なめろうにして、カタクチイワシはフリッターにしましょう。」

「だとしても余るんじゃないか?」

「余った分の鯵は燻製にして、マイワシは干物でカタクチイワシはアンチョビだな。」

「安斎千代美が何だって?」

「千冬姉、最近ガルパンに沼ったからって無理にネタ振らなくて良いからな?」

「ガルパンは良いぞ!……と言うのは兎も角として、中々の釣果だな。ふむ、今夜の晩酌は期待できそうだ。」

「なめろうとカタクチイワシのフリッターは後で持って行ってやるよ千冬姉。」

「楽しみにしているぞ。」


千冬は一夏達の釣果を気にし、一夏達が其れを答えると満足そうに笑みを浮かべていた……酒好きな千冬にとってカタクチイワシのフリッターとマイワシのなめろうは見逃せなかったのだろう。

其の後、寮の寮監部屋には一夏とヴィシュヌ特製のカタクチイワシのフリッターとマイワシのなめろうが差し入れ、其れを堪能した千冬は缶ビールを1ダース飲み干した後に爆睡するのだった。








――――――






その翌日の午後はLHRとなっており、学園祭での出し物を決めるモノとなっていた。
クラス代表の一夏と副代表のヴィシュヌが出し物の候補を募っていたのだが、其処で出てきた案が、トンでもなかった――どんなものが出てきたかと言うと以下の通りだ。


・織斑一夏と学園デート
・織斑一夏とツイスターゲーム
・織斑一夏と○○〇で×××


「……私に蹴り殺されたいのは何方でしょう?今すぐにでもその願いは叶えて差し上げますよ。」


勿論それを見た副クラス代表のヴィシュヌは『人を殺せる笑顔』を浮かべてクラスメイトに問いかけ、悪乗りしたクラスメイト達は見事なまでの土下座をする事になったのは当然といえば当然だろう。
とは言え、出し物会議が難航しているのも事実で、一夏をメインにしたトンデモ案を抜きにすると、喫茶店やお化け屋敷と言った定番のモノばかりで、他クラスとは被らないようにしたいが故に難航しているのだ。


「ふむ……では、メイド喫茶はどうだろうか?」

「メイド喫茶か~~。悪くないけど、此れもありきたりじゃないかなラウラさん?」

「違う違う、私が言っているのは秋葉原などにあるメイド喫茶ではなく……こっちだ。」


此処でラウラがメイド喫茶を提案して来たのだが、これもまたありきたりとの指摘を受けてしまった……だがラウラは其れを違うと言うと光学ディスプレイの前に行きこう記した。『冥土喫茶』と。


「メイド喫茶ならぬ、冥土喫茶って、此れは何か?店員が幽霊やゾンビのコスプレするのか?」

「うむ、その通りだ兄上!
 日本のソーシャルゲームでは美少女のゾンビや妖怪の美女化も行われているからこれは充分に行けると思うのだ!いっそ冥土ジャンルを無節操にごちゃ混ぜにしてゾンビも幽霊も妖怪も何でもありにすればコスプレ衣装の幅も広がるし、其れこそ市販のナース服やメイド服を適当に引きちぎってボロボロにすれば衣装も簡単に出来上がりだ。
 ゾンビメイクもサッカーのサポーターが使ってるフェイスペイント用品を使えば難しくないし、妖怪の尻尾や耳はジャンク品で売られてる動物のぬいぐるみを使えば簡単に再現できるからな。」

「確かにこれはイケるかもな?
 お化け屋敷と喫茶店の合わせ技。ヴィシュヌはどう思う?」

「良いのではないでしょうか?
 他クラスとの差別化も図れるでしょうし、口コミによる増客効果も期待出来ます……皆さんはどうでしょうか?」

「「「「「「「「「賛成~~!!」」」」」」」」」」

「んじゃ、決まりだ。ナイス提案だったぜラウラ。」

「兄上の役に立てたようで恐悦至極!」

「相変わらずのブラコンだなお前は。」

「……姉上、敢えて言おう!どの口おま言うであると!!」


最後の方でラウラと円夏がブラコン同士の謎の遣り取りをしていたが、取り敢えず一年一組の学園祭での出し物は『冥土喫茶』に決まり、放課後一夏は千冬に出店案を提出し、其れを見た千冬も『面白そうだな。』と言って印を押し、『誰の提案だ?』と聞けば一夏は『ラウラだよ。』と答え、其れを聞いた千冬は『ラウラか……成程、納得だ。』と笑いをかみ殺していた。








――――――








同日放課後・生徒会室

其処には生徒会長の楯無と副会長の夏姫の姿があった。


「今年の学園祭は間違いなく去年よりも盛り上がるだろうな……織斑一夏、現状では世界に一人しか存在しない男性IS操縦者を目当てにやって来る来場者も多いだろう。
 其れこそ招待状を偽装してくる奴等も多い……正直学園のセキュリティだけでは対応しきれないんだが、其処はどうする?」

「……天羽組、京極組、獅子王組に支援を要請するわ。
 彼等に警備の一部を頼めば仮に不審者が学園内に入り込んでも充分に対処できるし、特に天羽組は一夏君と懇意にしてるから最強戦力を派遣してくれる可能性が高い。」

「……小林が来るか……確かにアイツがいれば大抵のことは何とかなるだろうな……だが、亡国機業は間違いなく一夏を狙って来る。正直警備の質を高上させるだけじゃ足りないし、可能な事なら生け捕りにしたいところだ。」

「勿論それに関しても考えているわよ夏姫。」


学園祭の懸念事項に関して話し合う楯無と夏姫だったが、天羽組と京極組と獅子王組が警備につくのならば大概の事は何とかしてくれるだろう……其れでも亡国機業が懸念事項であり、夏姫もそれを伝えたのだが、楯無は笑みを浮かべると一冊の台本をテーブルに放った。

その台本の表紙にはこう記されていた――『シンデレラ』と……









 To Be Continued