WRG1決勝トーナメントの準決勝、『チーム遊戯王vsチームYAMATO』。
この対決も、両チーム共にラストホイーラーが出てきていよいよ大詰め。
チーム遊戯王のラストホイーラーである遊哉のフィールドには進化した2体の龍皇。
チームYAMATNOのラストホイーラー、撫子のフィールドには超絶の神が3体。
フィールド状況は略互角だが、ライフポイントでは遊哉が有利。
更に、
「オメェよぉ…デュエル楽しいか?」
遊哉が放ったこの一言が、メンタル面での差も表しているようだった。
遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel59
『コレがデュエルだ!』
遊哉:LP4000 SC8
真炎龍皇−カグヅチ:ATK3700
真邪龍皇−ザベルズ:ATK3600
撫子:LP1500 SC3
大和聖神−天照:ATK4000
大和神−スサノオ:ATK3500
大和神−クシナダ:ATK3500
「デュエルが楽しいか…じゃと?」
その遊哉の問いに、撫子の顔は歪む。
まるで、心底『不愉快な事を聞いた』と言わんばかりの表情だ。
「馬鹿を言うな戯け。神を従えたワシが、楽しいデュエルなどできるか!
デュエルとはやる以上は勝たねばならぬもの!戦場に置いて『楽』の感情など必要ない!」
「そうかい。」
凄まじいまでの答えだが、遊哉はアッサリと其れを受け流し。
それどころか、
「だったらテメェは俺には絶対勝つ事が出来ねえ。」
「何じゃと!?」
「デュエル楽しんでない奴に俺が負けるかアホンダラ。デュエルってのは楽しんでナンボだろうが!
其れも出来ない奴なんぞデュエリストとしては三流!いや、それ以前にデュエリストですらねぇ!!」
一刀両断である。
デュエルを楽しまないのはデュエリストですらないと言い切る辺り、遊哉は常に楽しんでいるのだろう。
「そりゃあな、世の中には絶対デュエルしたくねぇ極度の変態とか、白黒二色変態仮面とか居るけどな?
けどな、それでも『楽しもうとする』事すらしねぇで、如何すんだテメェは!?
……まぁ、なんだかんだ言ったところで、デュエルは進めなきゃ意味がねぇ。
手札を1枚捨て、チューナーモンスター『フルメタル・ドラグーン』を特殊召喚。」
フルメタル・ドラグーン:DEF1400
確かに、舌戦を繰り広げても如何にもならない。
デュエルの真っ最中ならば、デュエルを進めるべきだろう。
「んで、『ウィンド・バルディッシュ』を通常召喚!」
ウィンド・バルディッシュ:ATK1200
だが、何がどうなろうとも遊哉は己のスタイルを崩さない。
又しても龍皇を呼ぶ布陣を整える。
「又してもか…!」
「当然だろ!デュエルを楽しむための心得其の1『どんな相手であっても常に全力を出すべし』だ!
心理戦もまた重要な戦術だから、舌戦での挑発行為は上等だがな、いざデュエルとなったら限界突破上等だ!
行くぜ、レベル3のウィンド・バルディッシュに、レベル5のフルメタル・ドラグーンをチューニング!
凍てつく氷の翼よ、絶対零度の力を纏いてこの地に降り立て!シンクロ召喚、氷河の化神『氷龍皇−ミヅチ』!」
『久しぶりの出番だ…行かせてもらおう!』
氷龍皇−ミヅチ:ATK2500
宣言通りに、今度は氷の龍皇を呼び出す。
3体の龍皇と、3体の神が対峙する光景は圧巻の一言に尽きる。
「此れで終わりじゃないぜ!ザベルズの効果発動、1ターンに1度手札のドラゴンを墓地に送る事で異なる3つの効果のうち1つを発動できる。
手札の『ドラクリボー』を墓地に送り、『自分の墓地のシンクロモンスター1体を特殊召喚する効果』を発動!
俺がこの効果で蘇生させるのは、『聖水霊魔導師−エリア』!」
『蘇れ、水の魔導師よ。』
『ありがと、ザベルズさん!』
聖水霊魔導師−エリア:ATK2500
「な!?龍皇ではなく霊魔導師じゃと?」
シンクロの蘇生効果と聞いて、即座に龍皇の蘇生を考えた撫子にとってこれは意外だ。
いや、撫子のみならず遊哉のデッキの特徴を知る者なら誰でも驚くだろう。
「龍皇は確かに俺の最高の相棒でダチ公だがな、それだけじゃねぇ!
スピードスペル『Sp−スピード・フュージョン』発動!スピードカウンターが4個以上あるとき、モンスターを融合召喚する!
俺は、ミヅチとエリアを融合!来い、『氷魔導龍騎士−クリア』!」
『凍てつく氷の力…受けてみる?』
氷魔導龍騎士−クリア:ATK3200
名前こそ『クリア』となったが、其の姿はミヅチに騎乗したエリア。
水と氷が一体となった龍と魔導の融合体。
会場の誰1人として予想だにしなかったモンスターだ。
『何と〜〜〜!龍皇と霊魔導師が融合した〜〜〜!!!全く以って予想外のモンスターの出現!!
アクセルシンクロで進化した2体の龍皇に加え、まさかまさかの融合モンスター!!
迦神霧恵は此れを見越して、水の霊魔導師を残していたのか〜〜〜!?』
「いや、流石にこれは予想外だったわ。」
霧恵ですら、この展開は予想外だった様だ。
だが、クリアの登場に会場は、アクセルシンクロや神の降臨と同等レベルで沸く。
デュエルファンならば、新しいモンスターが出てくると、それだけで一気に盛り上がるものだ。
「霧恵がエリア残しといてくれたの見て、エクストラに忍ばせておいて正解だったぜ。
さぁて、行くぜ撫子!カグヅチの効果発動!手札の『ヴォルケイノ・ドラゴン』を墓地に送り、攻撃力を1900アップ!」
『うむ、力が漲る!』
真炎龍皇−カグヅチ:ATK3700→5600
再びカグヅチが其の炎を燃え上がらせ、神の攻撃力を凌駕する。
しかも、今度は神に破壊耐性はない。
カグヅチの攻撃が通れば、其の時点でゲームエンドだ。
「バトル!真炎龍皇−カグヅチで大和聖神−天照に攻撃!『バーン・オブ・ディストラクション』!」
『燃え尽きよ!』
真紅の炎が天照に襲い掛かる。
1600ポイントもの攻撃力の差は簡単には埋められない。
誰もが神の敗北を想像したが、
「そうは行かぬわ小童が!トラップ発動『神代の兵法』!
ワシの場に『大和』が存在するとき、相手の攻撃を無効にしバトルフェイズを終了じゃ!」
発動した攻撃停止系の罠でかわす。
カグヅチの炎も渦に飲み込まれて消えてしまった。
「成程、結構考えてる訳だ。」
「当たり前じゃ。ワシ等は負けられぬのだ!なれば如何なる状況にも対応できるデッキ構築は当然じゃ!」
確かにそうだろう。
如何なる相手とも互角以上に戦えるデッキはある意味では必須だ。
――そう言うデッキは面白みに欠けるのだが…
「負けられない…ねぇ?カードを1枚伏せる…なぁ、撫子よぉ、お前何時からデュエルしてるんだ?
神を手に入れた後か?それとも神入手以前からデュエルはやっていたのか?」
「主は良く喋るのう?まぁ、それくらいならば隠す事もない事じゃから答えるが、神に選ばれる前からじゃ。
尤も、この大和シリーズは神に選ばれ、従える以前から使っておるものじゃがな。」
「そう、か…」
「?なんじゃ、何が言いたい?」
「いんや……オメェよぉ、神を手に入れる前から今みてーな、え〜と…そう『使命感』でデュエルしてたのか?」
「!!!」
撫子の顔がとんでもない衝撃を受けたかのように、驚愕に染まる。
まるで忘れていた何かを思い出したような…
「もしそうだってんなら、仕方ねぇ。これ以上は俺は何も言えねぇな。ターンエンドだ。」
真炎龍皇−カグヅチ:ATK5600→3700
加速し、遊哉と撫子の距離が開く。
「ワシは…」
――神に選ばれる前のワシは如何じゃった?果たして今のような使命感は有ったじゃろうか?
撫子は撫子で、遊哉が最後の放った一言が心に突き刺さっていた。
今の自分は神を扱う者の責務と『神不敗』の『使命感』をもってデュエルしている――其れは自覚しているのだ。
だが、それ以前の、『神』を其の手に持つ前の自分は如何だったかと言われると、其れは否。
神入手以前は、気負う事もなく、別分使命感に突き動かされる事も無くデュエルをしていた…
「!!!」
――…まさか…!
何かに気付き、己の神を見やる。
神は何も言わずにじっと前を見据えている。
――ワシは神を手に入れてから、ずっと要らぬ使命感を持ってデュエルをしていたと言うのか?
神は負けてはならぬと思い込み、じゃが実際には其の強大な力に囚われて居た…?
――グルルルルルルルル…
――!!、今の声は…
幻聴だろうか?
いや、思考の海に埋没しながらも、撫子の耳には確かに声が聞こえた。
神とは違う重厚な神獣の声が。
「そうか…すっかり忘れておった。お主を召喚するのがデュエルにおける、ワシの最高の楽しみじゃったのにな…」
撫子の顔から、悲壮な使命感を漂わせていた剣が無くなる。
同時にピリピリとした妙な感じも消え去ったようだ。
「礼を言わねばなるまいな…」
エンジンを吹かし、スピードを一気に上昇。
遊哉との差を、、今度は縮めていく。
「お?なんだよ随分いい顔になったじゃねぇの!」
「ふん、よく言うわ。そうなるように仕向けたのじゃろう?…マッタク、礼を言うぞ。」
「ハッ、いらねぇよ。楽しくねぇデュエルはしたくねぇ。只それだけだ。」
「フン、ならばワシの切り札でお主を倒す事で礼としよう!ワシのターン!」
遊哉:SC8→9
撫子:SC3→4
雰囲気ががらりと変わった撫子。
遊哉も其れを感じ取りテンションが上がる。
「お前の切り札?神以上の切り札がやっぱしアンだな?遠慮なく来いよ、ガチでやろうぜ!」
「無論じゃ!すっかり神の力に囚われ、忘れておったわ。ワシのデュエルの原点であるモンスターをな!
行くぞ、大和神−スサノオ、大和神−クシナダ、大和聖神−天照、3体のレベル10モンスターをオーバーレイじゃ!」
3体の神が光となって渦を巻き、エクシーズ召喚独特の演出が起こる。
「オーバーレイネットワークを構築!神話の時代より畏怖されし大和の蛇龍神よ、今此処にその姿を示現せよ!
エクシーズ召喚、万物を支配せしめよ!『大和神龍−オロチ』!」
「ギョアァァァァァァァァァ!!」
大和神龍−オロチ:ATK5000
現れたのは八本の首を持った巨大な龍。
其の大きさは龍皇を遥かに凌駕する。
『此れはまた凄いものが出た〜〜〜!!神を束ねて現れたのは巨大な龍!其の姿は『ヤマタノオロチ』そのものだ〜〜!』
「ランク10、攻撃力5000とは…コイツがお前の切り札かよ!」
「如何にも!神を手に入れる前より使っていた切り札じゃ。……長らく忘れておったがの。
行くぞ!オロチの効果、エクシーズ召喚に成功した時、相手フィールドのモンスターを全てゲームから除外する!」
オロチの8つの首が、遊哉のフィールドを睨みつけ、其の口から凄まじいブレスを放つ。
この効果が成立したら一気に逆転されるだろうが…
「なんつー効果だ!トラップ発動『龍神の甲殻鱗』!俺のフィールドのレベル8以上のドラゴンは、このターン相手のカード効果を受けない!」
其処はトラップで防ぐ。
だが、己のデュエルを取り戻した撫子もまた並みではない。
「此れを防ぐか!じゃが、今まではこいつの隠された効果を使うことは遂になかったが…神のおかげで発動するわ!
オロチは『大和』と名の付くシンクロモンスター3体を素材にエクシーズ召喚した場合、元々の攻撃力が10000になる!」
「グオォォォォォォォォ…!」
大和神龍−オロチ:ATK5000→10000
「攻撃力10000…!ハッ、仲間内で『攻撃力馬鹿』の異名を取る俺に高攻撃力勝負挑むたぁ良い度胸だ!
一撃で決まる攻撃力とは、魅せてくれるぜ!……オイ、もう1度聞くぜ?デュエル楽しいか?」
「楽しいに決まっておろうが!じゃが、楽しいだけでは終わらぬ!このデュエルはワシが勝つ!『負けたくない』からの!
オロチの効果発動!オーバーレイユニットを1つ取り除き、このターン、オロチは相手モンスター全てに攻撃できる!」
召喚条件が複雑なだけにユニット効果も強烈。
大和のシンクロを素材としなくとも、攻撃力5000での全体攻撃は脅威。
其れが今は更に攻撃力が10000ポイントの化け物モンスターともなれば余計にだ。
「更に、オロチはバトルフェイズ中に限り、カード効果ではフィールドを離れぬ!
バトルじゃ、オロチでカグヅチを攻撃!『八双無限爆光破』!」
8つの首から、今度は閃光弾が放たれカグヅチを襲う。
だが、其れは勿論通らない。
「カグヅチの効果!自身を除外し攻撃を無効にする!」
「分っておる!2度目の攻撃、今度はザベルズに攻撃じゃ!!」
全体攻撃2発目の標的はザベルズ。
だが、それも…
「ザベルズもカグヅチ同様の効果を持ってるぜ!相手ターンに自身を除外し、攻撃を無効にする!」
ザベルズも其の姿を消し、攻撃を防ぐ。
しかし、撫子も其れは分りきっていた。
「矢張りそ奴もその効果を持っていたか。じゃが、此れで3回目の攻撃は防げぬ筈じゃ!
オロチよ、氷魔導龍騎士−クリアを蹴散らせ!『八双無限爆光破』!!」
確かに2体の攻撃無効効果を使ってしまった以上、3回目のこの攻撃は防ぎようがない。
其れを見越して、先に2体の龍皇に攻撃してきたのだ。
――バガァァン!!
其の閃光弾はクリアを直撃し、噴煙が上がる。
差分ダメージは6800、喰らっていれば一撃で終わりだが…
「あ、アブね〜〜〜…ぎ、ギリギリで生き残ったぜ。」
遊哉:LP1
ギリギリ、正に首の皮1枚で繋がっていた。
「ライフポイント1…お主…!」
「おうよ、トラップカード『ライフセイバーZEROT』。コイツの効果でこのターンのライフを確実に1ポイントだけ残させてもらったぜ!
更にクリアは1ターンに1度だけ戦闘で破壊されねぇし、エンドフェイズには2体の龍皇が戻ってくる。
このターンでの決着は、まぁ、ライフ削りじゃ無理だろ?」
「やりおるわ。お主の『負けたくない』思いは相当じゃの?其れなのに負けても悔しくはないのか?」
「悔しいってか『負けた〜〜!』って感じだな。全力出して楽しめば、其処まで悔しくはねぇ。
むしろ、『次は勝つ』って気分になるんだよ俺の場合は!そうじゃなかったら100回も負けてるのに何度も遊星とデュエルしねぇだろ?」
「なるほどの……じゃが、差は有るがワシ等のライフは1撃でケリが付くレベルじゃぞ?」
「わーってら!次の俺のターンがラストだぜ!!」
「うむ!カードを2枚伏せてターンエンドじゃ!」
同時に2体の龍皇も異次元より帰還。
真炎龍皇−カグヅチ:ATK3700
真邪龍皇−ザベルズ:ATK3600
互いにライフは一撃レベル。(と言うか遊哉はたった1ポイントのみ)
確かにこのターンでラストになるだろう。
「俺のターン!」
遊哉:SC9→10
撫子:SC4→5
「スピードスペル『Sp−貪欲な壷』を発動。
スピードカウンターが4つ以上あるとき、墓地のモンスター5体をデッキに戻してシャッフルし2枚ドローする。
俺は墓地の『炎龍皇−アグニ』『邪龍皇−ヴァリアス』『氷龍皇−ミヅチ』『フォーミュラ・ドラゴン』『フルメタル・ドラグーン』
この5体をデッキに、シンクロはエクストラだけど、戻し2枚ドロー!…よっしゃ、来たぜ!
オイ撫子、テメェがそんだけのモンスター見せてくれたんだ…俺も見せてやるぜ!究極の龍皇をな!」
「究極の龍皇…じゃと?」
「そうだ。光、闇、炎、水、風、地、聖、7属性の龍皇全てを手に入れてないと召喚できねぇモンスターでな。
WRG1前に全部の龍皇手に入れることが出来て、やっとだ!実戦で出すのは此れが初めてだけどなぁ!
行くぜスピードスペル『Sp−エクストラ・フュージョン』発動!
スピードスペルが10個以上あるとき、エクストラデッキから融合素材モンスターを墓地に送ってモンスターを融合召喚する!」
此処で遊哉が切ったカードは『融合』戦術。
しかも、エクストラデッキのモンスターを融合するというとんでもないモノだ。
「俺はエクストラデッキから『炎龍皇−アグニ』『氷龍皇−ミヅチ』『鋼龍皇−グラン』『嵐龍皇−ルドラ』『雷龍皇−イズナ』
『邪龍皇−ヴァリアス』『幻龍皇−アシェル』の7体を墓地に送ってエクストラ融合!!」
「な、7体融合じゃと!?」
以前に闘いの王国で霧恵が見せた6体融合をも上回る超絶融合。
恐らく通常の融合召喚など殆ど不可能だろう。
「7体の龍皇が1つになる時、龍族の頂点に立つ存在が其の姿を現す!融合召喚、降臨せよ『神龍皇−アルディオン』!」
『我等が力、受けてみるか!』
神龍皇−アルディオン:ATK5000
遊哉が切り札として呼び出したのは、7体の龍皇の融合体である『神龍皇』。
此れは最早『エクストラフュージョン』以外では呼び出すことすら出来ないモンスターだ。
「神龍皇…!相手にとって不足はないわ!」
「其れは俺もだ!アルディオンは俺の墓地のドラゴン族シンクロモンスターの効果を全て得る。
此れにより、アルディオンは融合素材である7体の龍皇の力を全て其の身に宿している!」
此れもまたとんでもない効果だ。
単純に、アルディオンはバーン効果とライフゲイン、戦闘耐性と除外バウンス耐性、攻撃時の魔法罠1破壊を標準装備し、
手札のドラゴンを墓地に送れば、其れこそ無数の効果発動が可能になると言うのだ。
「だが、此れだけじゃあ攻撃力はオロチには及ばねぇ。そこで、スピードスペル『Sp−ソウル・ストライカー』!
スピードカウンターが8つ以上あるとき、俺の場のモンスター1体を選択して発動!
このターンは選択したモンスターのみ攻撃可能となるが、それ以外のモンスターの攻撃力を選択したモンスターに集中させる!
この効果で、カグヅチ、ザベルズ、クリアの攻撃力の合計10500ポイントをアルディオンに上乗せだ!」
『力を借りるぞ!!』
神龍皇−アルディオン:ATK5000→15500
そして『攻撃力馬鹿』の異名宜しく、アッサリとオーバー10000の攻撃力をたたき出す。
こうなると、残るは互いにリバースと手札誘発のみ。
間違い無くこのバトルフェイズが最後の攻防になるだろう。
「攻撃力15500で其の効果か…オロチの相手にとってこれ以上は居らぬ!来い緋渡遊哉!」
「行くぜ撫子!バトル、神龍皇−アルディオンで大和神龍−オロチに攻撃!『ドラグライト・ブレイカー』!」
アルディオンから放たれた金色のブレスがオロチに向かう。
攻防は此処からだ!
「させぬわ!トラップ発動『大和宝武−タケミカヅチ』!
大和と名の付くモンスターの攻撃力を相手フィールド上の最も攻撃力の高いモンスターの攻撃力に1000ポイントを加えた数値にする!」
大和神龍−オロチ:ATK10000→16500
オロチも負けじと、8つの首から閃光弾を放ち、アルディオンのブレスを押し返そうとする。
「なら俺はアルディオンが其の身に宿したミヅチの効果発動だ!
バトルフェイズ中に手札のドラゴンを墓地に送り、其のドラゴンの攻撃力分だけ相手モンスターの攻撃力をダウン!
俺は、手札の『イクシード・パワード・ドラゴン』を墓地に送り、オロチの攻撃力を2400ダウンさせるぜ!」
大和神龍−オロチ:ATK16500→14100
凄まじい攻防で、モンスターの攻撃力が変化する。
再びアルディオンのブレスが優勢となる。
「やりおる…ならばトラップカード『ヒノカグヅチの鉄槌』!大和と名の付くモンスターの攻撃力を2倍じゃ!」
大和神龍−オロチ:ATK12100→28200
「そうは行くかよ!手札から『龍皇近衛騎士』を捨てて効果発動!
龍皇の攻撃力に、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力を上乗せする!!」
神龍皇−アルディオン:ATK15500→43700
攻撃力の上昇が止まらない。
2体の神龍の撃ち合いも、着弾点でスパークが起きている。
「其の効果が主だけのものと思うなよ?伏せカードは全て使いきったが、ワシの手札にはこのカードがある!
此れがワシの切り札!『大和覇王−イザナギ』の効果発動!
このカードを手札から捨て、大和と名の付くモンスターに戦闘を行う相手モンスターの攻撃力を上乗せする!」
大和神龍−オロチ:ATK28200→71900
「…やるじゃねぇか撫子。此れがオメェの本当の実力って奴か、大したモンだぜ。」
この凄まじい攻防に、遊哉は心底そう思ったのだろう。
笑みを浮かべて賞賛する。
「主もな。じゃが、このデュエルはワシの勝ちじゃ!」
この展開に勝利を確信したのだろう、撫子も遊哉を認めつつ勝利宣言。
だが、忘れてはならない。
「其れはどうかなぁ!?」
遊哉のフィールドには未だ伏せカードが1枚だけ残っている事を。
「勝つのは俺だ!トラップカード『龍の覇道』!
エンドフェイズに俺のフィールドのカードを全て破壊する代わりに、俺のフィールドのドラゴン1体の攻撃力を3倍にする!
この効果の対象にするのは、当然『神龍皇−アルディオン』!」
『此れが我等の力だ、大和の神龍よ!!』
神龍皇−アルディオン:ATK39700→131100
「なにぃ!?こ、攻撃力13万オーバーじゃとぉ!?」
あまりにも非常識な攻撃力に、驚く他はない。
「『攻撃力馬鹿』の異名は伊達じゃねぇ!ぶっ放せアルディオン!!」
『この勝負…我等の勝ちだ!!』
――ゴォォォォォ!!
追加で放たれたブレスが、8発の閃光弾を飲み込み、そのままオロチを焼き滅ぼす。
――バガァァァァァァァン!!
そして、凄まじい爆音と共に、眩いばかりの閃光が会場全てを包み込んだのだった…
To Be Continued… 
*登場カード補足
大和神龍−オロチ
ランク10 神属性
ドラゴン族・エクシーズ/効果
「大和」と名の付くレベル10モンスター×3
このカードがエクシーズ召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスターを全てゲームから除外する。
「大和」と名の付くシンクロモンスター3体を素材にしてこのカードをエクシーズ召喚した場合、このカードの元々の攻撃力は10000になる。
このカードはバトルフェイズ中のみカード効果ではフィールドを離れない。
1ターンに1度、このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除き、以下の効果を選んで発動できる。
●バトルフェイズ中に、相手のモンスター全てに1回ずつ攻撃できる。
●相手の墓地のカードを3枚まで選択してゲームから除外する。
●バトルフェイズ中に2回攻撃できる。
ATK5000 DEF5000
大和覇王−イザナギ
レベル4 光属性
戦士族・効果
ダメージステップ時に、手札からこのカードを墓地に送って発動する。
自分フィールド上の『大和』と名の付くモンスターの攻撃力は、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。
ATK1300 DEF1500
Sp−貪欲な壷
スピードスペル
自分のスピードカウンターが4つ以上ある時に発動できる
自分の墓地のモンスター5体を選択して発動できる。選択したモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。
その後、デッキからカードを2枚ドローする。
Sp−スピードフュージョン
スピードスペル
自分のスピードカウンターが4つ以上ある時に発動できる。
手札・自分フィールド上から、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
その融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
Sp−ソウルストライカー
スピードスペル
自分のスピードカウンターが8つ以上ある時に、自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
このターンは選択したモンスターのみ攻撃することが出来る。
選択したモンスターの攻撃力は、エンドフェイズまで自分フィールド上の他のモンスターの攻撃力の合計分アップする。
Sp−エクストラフュージョン
スピードスペル
自分のスピードカウンターが10個以上ある時に発動出来る。
エクストラデッキから融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
その融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
龍神の甲殻鱗
通常罠
このターンのエンドフェイズまで、自分フィールド上に表側表示で存在するレベル8以上のドラゴン族モンスターは、
相手のカード効果を受けない。
龍の覇道
通常罠
自分フィールド上のドラゴン族モンスター1体を選択する。
選択したモンスターの攻撃力を3倍にする。
エンドフェイズ、自分フィールド上のカードを全て破壊する。
ライフセイバーZEROT
通常罠
自分のライフポイントが0になる場合に発動できる。
このターン自分のライフポイントは1ポイント残り、それ以上は減少しない。
神代の兵法
通常罠
自分フィールド上に「大和」と名の付くモンスターが表側で存在する時に発動できる。
相手モンスターの攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。
大和宝武−タケミカヅチ
通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在する「大和」と名の付くモンスター1体を選択する。
選択したモンスターの攻撃力は、相手フィールド上に表側表示で存在する、
最も攻撃力の高いモンスターの攻撃力に1000ポイントを加えた数値になる。
ヒノカグヅチの鉄槌
通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在する「大和」と名の付くモンスター1体を選択する。
選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズまで2倍になる。