アカデミアの一室――情報処理室。
此処には生徒のデュエルデータがきっちり管理されている。
そして今は、『闘いの王国』の参加者の戦跡データが集積されている。
データを管理している職員のほか、アカデミアの校長である鮫島、そしてI2社の名誉会長ペガサスも其処にいた。
「予選終了の17時まであと2時間を切りました。彼らの戦跡はどうなっていますカ?」
「はい、緋渡遊哉、不動遊星、迦神霧恵、十六夜アキの4名はデュエル数にこそ差がありますが何れも20戦以上して無敗。
決勝トーナメントには間違いなく残るかと…」
「流石ですネ。私が見込んだだけの事はありま~ス。まぁ本当に大切なのは決勝トーナメントの方なのですがネ…」
「………」
2人の前のモニターは今の4人の勝利数が又伸びた事を表示した。
遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel12
『出揃った8人』
「あたしのターン!手札より魔法カード『魔力増幅』自分フィールド上の魔力カウンターを乗せる事のできるカードに
相手フィールド上のモンスターの数だけ魔力カウンターを乗せる。貴方の場のモンスターは5体。
よってあたしは魔導剣士ネオ・ブレイカーに魔力カウンターを5個乗せる。そしてネオ・ブレイカーは魔力カウンター1つにつき攻撃力が300ポイントアップする。」
「ウォォォォ!!」
魔導剣士ネオ・ブレイカー:魔力カウンター0→5 ATK1900→3400
「こ、攻撃力3400!で、でも俺のフィールドには『平和の使者』と『暗黒の扉』がある。
更にモンスターは全て守備表示いくら攻撃力が高くてm「ネオ・ブレイカーの効果発動!!」へ?」
「ネオ・ブレイカーは自身に乗ってる魔力カウンターを1つ取り除く事で相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊できる!喰らえ『マナ・クラッシュ』!!」
「トゥリャァァァ!!」
魔導剣士ネオ・ブレイカー:魔力カウンター5→4 ATK3400→3100
――パリィン
「更に伏せカードオープン『重力解除』フィールド上のモンスターの表示形式を全て入れ替える。」
「げ…」
魔導剣士ネオ・ブレイカー:攻撃→守備
憑依装着-ウィン:攻撃→守備
翻弄するエルフの剣士:守備→攻撃
魂を削る死霊:守備→攻撃
マシュマロン:守備→攻撃
サンライトガードナー(再召喚):守備→攻撃
「憑依装着-ウィンをゲームから除外して『風霊魔導師-ウィン』を特殊召喚!
そして魔法カード『拡散する波動』を発動!ライフを1000ポイント払いレベル7以上の魔法使いの攻撃を全体攻撃にする!」
霧恵:LP2200→1200
「此れで終わり!風霊魔導師-ウィンで攻撃!『超・魔・導・旋・風・波』!!」
「そぉれ!!」
――バリン、バリン、バリン、バリン!!
「どわぁぁぁぁぁぁ!!」
LP3200→0
Winner:霧恵(27戦27勝0敗/現在トップ)
「フィールドにはモンスターが居ないし伏せカードも無い。終わったな。」
「そ、終わりだ。お前がな。」
「何だと!」
「魔法カード『上竜の咆哮』発動!デッキからレベル5以上のドラゴンを選択し、選択したモンスターのレベルと同じになるように
手札のレベル4以下のドラゴンを墓地に送る事で選択したーカードを手札に加える。
俺はデッキの『フェルグラントドラゴン』を選択し手札の『ストライク・ドラゴン』と『ヴォルケイノ・ドラゴン』を墓地へ送り、
フェルグラントドラゴンを手札に加える。」
「そんな上級モンスター、リリースがいなけr「更に魔法カード『下竜の翼』発動!!」…最後まで喋らせろ!!」
「ヤダ!!手札のレベル5以上のドラゴンを墓地へ送りそのドラゴンと同レベルになるようにデッキか墓地からレベル4以下のドラゴンを特殊召喚する。
フェルグラントドラゴンを墓地へ送り、現れろ『ストライク・ドラゴン』『ヴォルケイノ・ドラゴン』!!」
「グォォォォォ!!」
ストライク・ドラゴン:ATK2000
「ギョアァァァァ」
ヴォルケイノ・ドラゴン:ATK1900
「そして魔法カード『龍の覚醒』発動!『上竜の咆哮』『下竜の翼』が墓地に存在する場合その2枚をゲームから除外する事で
自分の手札、デッキ、墓地、エクストラデッキからドラゴン1体を召喚条件を無視して特殊召喚できる!
焼き尽くせ『炎龍皇-アグニ』!!
「オォォォォォ!!」
炎龍皇-アグニ:ATK2900
「う…」
「まだまだ!チューナーモンスター『幼い竜使い』を召喚。」
「うにゅ。」
幼い竜使い:ATK100
「レベル4のストライク・ドラゴンとヴォルケイノ・ドラゴンにレベル1の幼い竜使いをチューニング!
数多の戦場を翔る騎士の魂が蘇る、研磨されし力よ此処に降り立て!シンクロ召喚、切り裂け『竜装騎士ドラグニル』!!」
「セイァ!!」
竜装騎士ドラグニル:ATK500
「ドラグニルはシンクロ素材にしたドラゴンの攻撃力の合計分自身の攻撃力がアップする。
ストライクとヴォルケイノの攻撃力の合計は3900…よってドラグニルの攻撃力は4400!!」
「ハァァァァァァ!!」
竜装騎士ドラグニル:ATK500→4400
「行くぞ!竜装騎士ドラグニルでメテオ・ブラック・ドラゴンに攻撃!『竜騎士無双剣』!!」
「ファァァァ!」
――ズバァ!!
「ぐぬ…」
LP:3300→2400
「止めだ!炎龍皇-アグニでサイバティック・ワイバーンを攻撃!『インペリアル・ストライク・バスター』!!」
「クァァァァァ!!」
――ゴォォォォォォ!!
「ごわぁぁぁ!!」
LP:2400→0
「俺の勝ちだな!」
Winner:遊哉(23戦23勝0敗/現在2位)
「チューナーモンスター『メテオ・シンクロン』を召喚!」
「ムン!」
メテオ・シンクロン:ATK1400
「レベル4、マックス・ウォリアーにレベル3、メテオ・シンクロンをチューニング!
集いし祈りが更なる絆を呼び覚ます。光差す道となれ、シンクロ召喚!降り注げ『メテオ・ウォリアー』!」
「ドァァァ!」
メテオ・ウォリアー:ATK2700
「メテオ・ウォリアーでマスター・オブOZを攻撃!」
「馬鹿な、自滅する気か!?」
「此の瞬間メテオ・ウォリアーの効果発動。相手モンスターを攻撃するとき墓地のモンスターカード1枚をゲームから除外する事で
攻撃対象に指定したモンスターを破壊しその攻撃力分のダメージを与える!
俺は墓地のスピード・ウォリアーをゲームから除外して効果発動!『ビッグバン・クラッシュ』!!」
「ドゥリャァァ!!」
――ドゴン、ドゴン、ドゴン!!
「つ、強い!」
LP:3300→0
「良いデュエルだったな。」
Winner:遊星(23戦23勝0敗/現在2位)
「墓地のガード・ヘッジをゲームから除外しブラック・ローズ・ドラゴンの効果発動。
相手の守備モンスターを攻撃表示にしその攻撃力を0にする。『ローズ・リストリクション』!」
「やば!」
ダブル・プロテクター:守備→攻撃 ATK1000→0
「手札から魔法カード『ローズ・リストリクション』を発動。墓地の植物族モンスターを全てゲームから除外し、
除外したモンスター×300ポイントブラック・ローズ・ドラゴンの攻撃力をアップさせる。
除外した植物族は合計6体。ブラック・ローズ・ドラゴンの攻撃力は1800ポイントアップする。」
「キョェェェェェ!」
ブラック・ローズ・ドラゴン:ATK2400→4200
「ひえぇぇぇぇ…」
「ブラック・ローズ・ドラゴンでダブル・プロテクターに攻撃!『ブラック・ローズ・フレア』!!」
「シャァァァァァ!」
――ゴォォォォォ!
「アキ様、強すぎですぅ…」
LP2900→0
「ふふ、まだまだね…」
Winner:アキ(22戦22勝0敗/現在3位)
着実に星を伸ばして行く4人。
そして…
――17:00
――ピンポ~ン!
『校長の鮫島です。たった今、時計の針が17時を指しました。現在時刻を持って予選終了。参加デュエリストは講堂に集まるように。
繰り返す…』
予選終了を告げるアナウンスがアカデミア島全体に響き、デュエリスト達は次々と講堂に集まり始めた。
――30分後
参加デュエリスト達は全て講堂に集合し、これから予選通過者と決勝トーナメントの組み合わせが発表される。
当然講堂は自然とざわついてくる。
『レディース&ジェントルメ~ン。参加諸君、予選デュエルお疲れ様で~ス。此れより、予選通過者を発表しま~ス。
電光掲示板に注目するので~ス。』
ペガサスのアナウンスと共に予選通過者が1位から戦績と共に(アカデミアの生徒はクラスも一緒に)掲示板に映し出されていく。
そして、決定した予選通過者8名は…
1位:迦神霧恵(34戦34勝0敗)
2位:十六夜アキ(オベリスク・ブルー、30戦30勝0敗)
3位:緋渡遊哉(28戦28勝0敗)
3位:不動遊星(28戦28勝0敗)
4位:辰美レン(25戦24勝1敗)
5位:アギト=アルツベイン(19戦19勝0敗)
6位:風間半蔵(ラー・イエロー、23戦21勝2敗)
7位:石動岩次郎(オベリスク・ブルー、23戦20勝2敗1分)
会場がざわめきに包まれる。
どのデュエリストも素晴らしい成績で予選を通過している。
決勝トーナメントにも期待が持てるというものだ。
「全員無事に予選通過だな。」
「そだね。当然だけどさ。」
「だが、これからが本当のデュエルだ。油断は出来ない。」
無事予選を通過した遊哉、霧恵、遊星の3人も談笑する。
とは言えレアハンターの首領が予選を通過してきた以上油断できないのは事実である。
「久しぶりね、遊星、遊哉。」
そして、ペガサスがチェックしていた4人の内のもう1人、十六夜アキも遊哉たちの会話に加わる。
「あぁ、久しぶりだな。」
「無敗で通過とは流石だな。」
「それは、貴方達もでしょう。それから一緒に居る…」
「霧恵よ。迦神霧恵。よろしくね、十六夜アキさん。」
「アキでいいわ。私も霧恵と呼ばせてもらうから。」
全く違和感なし。
アキも一瞬でなじんでしまったようだ。
「さてと…後は組み合わせか。」
言いながら、遊哉の視線はアギトを探す。
デュエルを行い、会話までしたものの考えてみれば相手の姿は分からないのだ。
一体誰がノーバディの首領なのか探すのは当然といえる。
そして遊哉がアギトを探している間に、決勝トーナメントの組み合わせが決定され、電光掲示板に映し出される。

「…いきなり遊哉とか…ちょっときついかな?」
「ん?さて、如何かな?簡単には負けてやらないぜ?」
早速火花を散らす遊哉と霧恵。
「…俺の相手はオベリスク・ブルーか。」
「私は一般参加者ね…」
遊星とアキもデュエルに思いをはせるが…
「「「「!!!!」」」」
4人とも突如として向けられた、殺気に気付きそちらを見る。
凄まじい殺気を向けているのは銀の長髪の男。
男は歪んだ冷笑を浮かべるとそのまま他の参加者の中へと消えた。
「緋渡…」
「間違いないだろうな…あいつがノーバディの首領、アギト=アルツベインだな。」
「あいつが首領…」
「……」
一気に緊張感が増す。
『決勝トーナメントは明日10時より此の講堂で行う。本日はゆっくりと身体を休めてくれたまえ。
では、解散!!』
鮫島のアナウンスで大会の予選は終了。
明日からの決勝トーナメントへと移行する。
そして、この予選通過者発表の裏で、陰謀が極秘裏に進んでいた事は誰も知らない…
To Be Continued… 