Side:雪奈
「雪女だと?
上等だよ、穴だらけにしてやんぜ!このジャーク様の連続ダーツでよぉ!!」
「誰を穴だらけにするって?……効くかよ、そんなヘタレ技!!」
――カキィィィィン!!
「ば、馬鹿な……俺のダーツを、金属バットの一振りで叩き落しただと!?」
何を驚いてやがる……言っただろ、アタシは天下無敵に不良である雪女だって――テメェ等みたいなハナクソなんぞ、アタシの足元にも及ばね
ぇんだよやられ専門の雑魚共が。
まぁ、個人的な事を言わせて貰うなら、テメェ等みたいな馬鹿も嫌いじゃねぇんだが、善良な一般市民に危害を加えるってんなら話は別だぜ。
特にテメェ等は、ウチの学校の女子にも手を出す心算で居たんだ……正直、如何考えても許せねぇんだわ。
ツー訳で、今日のアタシをあんまりキレさせんなよ?
正直言って、テメェ等の出現に、相当にドタマに来てんだアタシは――あんましアタシをキレさせっとなぁ、死ぃ見んぞ、あぁ?……其れでも構わ
ねぇって根性の有る奴はかかってこいや。
雪女の力、骨の髄まで叩き込んでやるぜ!!
ヤンキー少女とポンコツ少女とロリッ娘とEpisode9
『馬鹿と不良とヤクザの幹部と』
「ちょ、調子に乗ってんじゃねぇぞメスガキが!
テメェなんぞ、この俺様の二刀流バタフライで細切れに――」
「るせぇ馬鹿。」
――ガスゥ!!
「ピギャ!?」
予想以上の回復力で驚いたが、テメェなんぞはアタシの敵じゃねぇんだよ入れ墨ドレッド――そもそもにして、テメェみたいな租チン野郎がアタ
シに挑む事自体が大間違いだけどよ!!
んで、二刀流のバタフライでアタシを細切れにするんだっけ?――其れはもう無理だよな?自慢のバタフライは、アタシの金属バットで叩き折ら
れてるんだからな。
加えて、アタシの蹴り上げを顎に喰らったんだ……真面に立つ事だって出来ないだろマジで?
「クソ……バケモンかテメェ!
幾ら凶器持ってるとは言え、此れだけの数を相手にたった一人で立ち回るとか普通に有り得ねぇだろ!!ベルトスクロールアクションの主人
公でもあるまいし!!」
「そうだな、アタシは不良だしな。
だがよ、忠告したはずだぜ?アタシとお前等じゃ戦闘力に圧倒的な差が有るってよぉ?――其れなのに、こうして戦う事を選んだんだ、痛い
思いをする事位は覚悟してんだろ?」
「舐めんじゃねぇ、メスガキがぁ!!」
――ガッ!!
ってぇ……後ろから殴りやがったなこの野郎?
しかも今のは、チェーンか?……ゲッ、血が出てるし……ヤッベーな、血の染みって落ちねぇんだよなぁ?……こりゃクリーニング代も弁償して
貰わねぇとだぜ。
「ち、チェーンで殴られて如何して平気なんだよ!?」
「平気じゃねぇ、頭は割れたし、スッゴク痛いぜ?
だけどなぁ、喧嘩するなら痛い思いするのは当然の事だ――だからなぁ、痛みなんてのは気合で如何とでもなんだよ、此の三流以下の生ご
み野郎!
コンポストの中にでも入って肥料になってろ!!」
んで、チェーン野郎の腹に金属バットでの突きを喰らわした後に、飛び回し蹴り叩き込んでKO!……此れで大体半分って所だな?
よぉ、如何するお前等?
見ての通りアタシは手負いだが、其れでもテメェ等に負ける事だけは絶対にねぇ……寧ろ血と一緒にアドレナリンが出まくってるからな?
多分、流血した今のアタシの方がさっきよりもずっと強いぞ?
だが、其れだけに此れまで以上に手加減は出来ねぇ……此れから戦う奴は、骨の一本や二本は覚悟して貰うぜ?――骨じゃなくとも、最低で
も前歯を全て失う覚悟位しとけや。
「こ、コイツ……女のくせになんて恐ろしいガンを飛ばしやがる――!!」
「血で赤く染め上げられた銀髪と、血濡れで笑う顔はまるで悪魔だぜ……」
ハッ、この程度でビビってんのかよ……ったく、トンだファッション不良共だぜ。
アウトローやるってんなら、この程度の事でビビってんじゃねぇぞ?――むしろ、おっかねぇ相手だからこそ向かってく位の事はしてみやがれっ
てんだ半端モン共が!!
「そうだな、アウトローをやるならば其れ位の覚悟を決めろ。
そして、己以上のアウトローに喧嘩を売った場合、負けた時には『死』が待ってると知れ。」
「あん?誰だよ……って、ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
……うん、お前の気持ちは分からなくもないぞ?
行き成り声を掛けられたと思って振り向いたら、顔面傷跡だらけのグラサン+スキンヘッドの黒スーツがいたら悲鳴を上げたくなるってモンだか
らな。
ってか、アンタ確かメユの所の幹部だよな?鮫口つったっけか?
いや、其れは其れとして何でアンタが此処に居るんだよ?……こう言っちゃなんだが、この学校はヤクザお断りだぜ?ヤクザOKな学校がある
かは知らねぇけどな。
「磯野崎組若頭の、鮫口銀次郎、覚えていてくれて光栄です雪女の姐さん。
お嬢が、姐さん方と放課後を楽しみたいってんで車を回したんですが、着いてみりゃ姐さんが悪になり切れねぇ半端モンを相手に、金属バット
片手に大立ち回りを演じてるじゃねぇですか?
其れだけなら良かったんですが、チェーンで頭を割られたのにお嬢が怒ってですね?俺に、連中を懲らしめて来るように言った訳です。」
「成程、そう来たか……だが、そう言う事ならコイツ等に確りと教えてやらなきゃならねぇよな?
本物のアウトローの怖さってやつをよぉ?」
「お嬢に命令されたのもそうだが、雪女の姐さんに上等働いてくれた事にはキッチリと落とし前を付けさせて貰うぜ坊主共……まぁ、精々中途
半端な覚悟でアウトローの世界に足を突っ込んじまった事を後悔すんだな……」
如何やらメユが言ったかららしいが、其処からはアタシと鮫口のオッサンによる蹂躙をも越えた圧倒的な殲滅戦だったな。
アタシは当然として、鮫口のオッサンも顔の傷跡が示す程の修羅場を潜って来たヤクザだから、中途半端な不良如きが敵う相手じゃないから
な――ぶっちゃけアタシの金属バットが振るわれ、鮫口のオッサンの拳が繰り出される度に、馬鹿共は次々と地面とキスしてたからな。
3分が経った頃には、残りは後一人にまでなってたぜ。
「さて、テメェで最後だ……大人しく往生しろや!!」
「ワルはワルらしく、散る時は覚悟を決めろ!!」
「ひいぃぃぃぃぃ!!?」
――バキィ!!
――ガスゥ!!
そしてその一人も、アタシのホームラン打法と、鮫口のオッサンの拳で完全KO!!――ったく、あくびが出る位の喧嘩だったぜ……まぁ、アン
タの参戦は有り難かったけどな。
「姐さんが傷つけられた上に、お嬢の命令にまで反してはイカンでしょう?……ま、ヤクザの義理の通し方だと思ってくだせぇ。」
「アンタ『漢』だな。」
取り敢えずお礼参りに来た馬鹿共は鎮圧したけど、それで『はい、終わり』って訳には行かねぇし、流石のアタシも頭の傷は治療しねぇとだ……
縫うなんて事態じゃないだろうが、流石に止血しないとだからな。
取り敢えず先ずは保健室に――
「くおらぁ!貴様等一体何をしている!!!」
って、漸くやって来やがったか生活指導の田辺以下、屈強体育教師共が……ったく、おっせーんだよ!!
テメェ等がさっさと出て来てさえすれば、アタシが此処までの大立ち回りをする必要は無かったんだぜ?対応が遅れたなんてのは、言い訳にも
ならねぇよ。
如何やら、クソッタレ共をKOして『はい、お終い』って事にはならなさそうだな……ったく、面倒事ってのは続くもんだぜ。
To Be Continued… 
キャラクター設定
鮫口銀次郎
・『磯野崎組』の大幹部にして若頭――万が一組長に何かあって、新たな組長が必要な場合な場合には彼が組長代行を行う事になっている。
顔は傷だらけだが、此れは戦いに於いて、相手に決して背を向ける事が無かった事の証である。
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