Side:美由希 其れじゃあ準備は良いかなヴィヴィオ?忘れ物は無いかな~~~? 「大丈夫だよママ、昨日の内にちゃんとチェックしたし、今日だって起きた時にもう1度チェックしたもん♪」 「そう?其れなら安心かな。 まぁ着替えに関しては、万が一忘れたとしてもなのは達が子供の頃に使ってたやつを借りれば良いから問題はないけどね。」 「大丈夫です♪ そう言えば、此れから行くのってママの出身地なんだよねぇ?確か第97管理外世界――『地球』だったけ?何をしに行くの?」 ん?私の両親にヴィヴィオの事をちゃんと紹介しようと思ってね。 ヴィヴィオの事を話したら、凄く喜んでてお母さんなんて凄く会いたがってたからね――まぁ、お父さんも同じくらい会いたがってたけど。 ヴィヴィオも私のお父さんとお母さんには会ってみたいでしょ? 「ママの、ママとパパ?」 「そう、ヴィヴィオのお婆ちゃんとお爺ちゃん♪」 「……うん、会ってみたい!!……と言うか其れなら最初から教えてくれても良かったのに……」 その辺は所謂一つの『当日までは詳細不明のサプライズ』って言うやつだよヴィヴィオ?……時にはこんな演出も大事だから覚えておいた方が良いよ。 「うん♪」 本当に良い子だわヴィヴィオって……こんな子が私の娘だなんて恵まれてるわよねぇ。 まぁ、それはさて置き、お父さんとお母さんは問題ないとして、最大の問題は恭ちゃんだわ……私に娘が居ると知ったらどんな反応をするのやら…… 突貫してきたらその時は取り敢えずカウンターのアックスボンバーで沈める事にしておこう……そうしよう、其れが一番だわ!! 魔法少女リリカルなのは~白夜と月の祝福~ 外伝3 『高町ヴィヴィオは美由希の子?』 で、本局の転送ポートを使ってあっと言う間に海鳴に。 高校卒業以来だから、約10年ぶりか~~~……都会と自然が融合した独特の街並みは変わってないわね……何となく安心したわ。 さ、此処が私の故郷よヴィヴィオ。 「キレーな場所……ミッドチルダとは違った良さがある感じ。」 「ミッドほど都会じゃないけど、何処かレトロな雰囲気を残してるのが海鳴の良い所なの。 商店街は今でも健在みたいだし、商店街の人達は皆良い人だからね♪――翠屋に行く前に、商店街の人にヴィヴィオの事を紹介しようか?」 「ふえ?でも、お婆ちゃんとお爺ちゃんは……」 予定時刻より1時間も早いから大丈夫よ? 元々転送ポートが混むといけないと思って、早く出るようにしただけだから――其れに今の時間帯は翠屋は午前中のピークで私達どこじゃないわよ。 だったら翠屋が午前中の営業終わるまで、適当に街をぶらつくのが上策。 そもそも手伝おうにも、杖付きの私じゃ碌な動きは出来ないと思うからね~~~……この短期間に車椅子を卒業出来た事は自分でも驚きだけど。 「ママの回復力ってどうなってるの?」 「さぁ?……でも雷華は此れ位のダメージ受けても3日もあれば回復しちゃうのよ? 其れと比べれば、まだまだ私の回復速度は人間の範疇だと思うんだけどなぁ……と言うか思いたい。そうじゃなくても高町家は超人揃いなんだから…」 「確かに雷華お姉ちゃんなら即回復しそう。 あれ?でもそれ以上になのはさんは、3日どころかダメージ受けたその場で回復するんじゃ……」 言われてみりゃその通りだわ。 我が妹が一番普通じゃなかった……まぁ、なのはの場合『色んな意味』で人間やめてるからねぇ……恭ちゃんが知ったら発狂するわ絶対。 ま、其れでもなのはが私の妹である事は変わらないけどさ。 さ、行こうかヴィヴィオ?あんまりゆっくりしてると、翠屋が休憩入るまでに商店街の人達に紹介できなくなっちゃうからね。 「うん!行こうママ!」 「それじゃあ、出発進行~~~~!!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・ 1時間程度でも結構回れば回れるモノね? 商店街の顔馴染の人達には、ヴィヴィオを紹介する事が出来たし――予想通り、皆がヴィヴィオを受け入れてくれたのは分かってても嬉しい事だわ。 序に、私が所謂『シングルマザー状態』な事に何も言わなかったのは有り難かったわね。説明も複雑になっちゃうから。 そんなこんなで、本来の目的である翠屋に到着! 此処が私の両親が経営してるお店だよヴィヴィオ。 「此処が……なんかいい雰囲気を感じるよママ♪」 「あ、ヴィヴィオにも分かる? 自慢じゃないけど、翠屋は海鳴の一番人気店なんだよ~~♪店の雰囲気が噂に噂を呼んで連日満員状態なんだ。」 まぁ、其れだけに店は大忙しなんだけどね。 表の看板は『準備中』……タイミングはバッチリだね。 「ただいま~~!帰って来たよ、お父さん、お母さん~~♪」 「こんにちわ~~♪」 「美由希!えぇ、おかえりなさい♪」 「おかえり美由希……其方の子が?」 うん、娘のヴィヴィオ。 ほら、ヴィヴィオご挨拶。 「え~と……は、はじめまして高町ヴィヴィオです……」 「!!……か、可愛い~~~~!! 初めましてヴィヴィオちゃん!高町桃子です~~♪貴女のお婆ちゃんよ~~~♪」 ――むぎゅ~~♪ 「ふえぇぇ!?あの、桃子さん!?」 「あら、桃子さんだなんて……私の事は『お婆ちゃん』て呼んでいいのよ~~~~♪」 「…も、桃子さん!?」 「お母さん……」 うん、大体こうなるんじゃないかって予想はしてたんだけど、それ以上だよお母さん!? って言うか自分で自分を『お婆ちゃん』て言う?いや、普通ならありなんだけど、見た目が未だに30代のお母さんが言うと違和感バリバリなんだけど!? 「だって、念願の孫なんですもの~~♪ 恭也ってば、結婚して10年近くたつのに未だに孫の顔見せてくれないし……初孫は嬉しいのよ~~~♪本当に可愛いわこの子~~!!」 「あの、でも私とママは血の繋がった親子じゃなくて…」 「そんな事は些細な問題、無問題!寧ろ何の問題にもならない事なのよ~~~♪」 「にゃ~~~~~~~~~~~!?」 ――ただ今、お母さんが大暴走中に付き、落ち着くまでちょ~~~~っと待っててね。 え~~~と、散々ヴィヴィオをハグして頬ずりして満足したお母さん? 「と~~~っても満足したわ~~♪こんな可愛い子が孫だなんてお婆ちゃん冥利に尽きるわよ~~♪」 「さいですか……取り敢えずヴィヴィオが受け入れて貰えてよかったわ。」 「あう~~~、驚いたよ~~……」 だろうね……もっとスマートに行こうかと思ってたんだけど、お母さんを正直甘く見てたわ。 まさか、ヴィヴィオを見ただけであそこまで激走、爆走、大暴走するとは思ってなかったもん……お父さんですら入り込むタイミング逸するって凄すぎよ? まぁ、おかげで紹介する手間は省けたけどね。 さてと、落ち着いたところで本題。 「分かってると思うけど、ヴィヴィオは私と血が繋がった親子じゃない。 だけど、私はこの子を自分の娘として育てて行こうと思ってるの――大丈夫だと思うんだけど、この子を高町家の一員として認めて貰いたいんだ。」 お母さんの態度的に『No』は無いと思うけど、万が一ってのはあるからね。 尤も、ルナや雷華が認められたんだから拒否や否定だけは無いと思うんだけどさ――って言うか、お母さんが絶対認めるからね。 「聞くまでもないだろう美由希? 仮に血は繋がってなくとも、お前がその子を娘とするなら、その子はもう高町家の一員だ……紛れもない私達の家族だよ。」 「そうよ♪ 其れにヴィヴィオちゃんてば、聖王化したなのはにそっくりですもの……如何にも他人とは思えないのよね~~♪」 そりゃ、ヴィヴィオはオリヴィエのクローンだから聖王化したなのはと似てるのは当然だわ。 だけど、其れは其れとして――ヴィヴィオを認めてくれてありがとうお父さん、お母さん……認めて貰えるかどうか、其れだけがずっと不安だったんだ。 良かったねヴィヴィオ、此れで貴女も今日から正式に高町家の一員だよ♪ 「うん!ありがとうございます、お爺ちゃん、お婆ちゃん♪」 「当然の事よ♪可愛い娘が連れて来た可愛い孫を認めない人が居るモンですか♪」 「そうだよヴィヴィオ、君は出自はどうあれ僕達の孫である事に変わりはないんだ、何も遠慮はいらないよ。 ――そうなるとこっちの戸籍にヴィヴィオを養子縁組で組み込まないとだね。」 流石は我が両親、話が早いわ……この調子だと明日にはヴィヴィオの戸籍が出来てるでしょうね――本気で何者なのこの2人は!? 何をどうやったら喫茶店の店長とパティシエールが行政を思い通りに動かせるって言うの!?……一歩間違ったら絶対に管理局支配するわこの2人。 「ヴィヴィオの事は分かったが……それ以上に美由希……お前の足は……」 「お父さんには分かっちゃうか……ま、杖ついてるならバレバレだけどさ。 確かに私の足はボロボロだよ……一応リハビリで回復はするけど100%の完全回復は無理だって…如何頑張っても8割の回復が限界みたいだわ。」 8割まで回復すれば、剣を振るうに不便はないし、日常生活には全く支障がないから大した事じゃないんだけどね。 だけど、この足の事は気にしてないから大丈夫だよ?こうでもしないとあの時にヴィヴィオを助ける事は出来なかったし、戦いで傷を受けるは常識。 両足の機能低下を代償にヴィヴィオを助ける事が出来たなら、寧ろこの程度は安い対価だわ。 「子供は親の知らない間に成長するとは言うけれど、正にその通りだね。 美由希、お前は御神流にとって一番大切な事を実戦で学んだらしい……御神流の真髄は何があろうとも大切なモノを護ると言うその意思だ。 その意思があれば如何なる苦難をも超え、例え1人で千の敵と相対しようとも負ける事はない――護り、生きようとする意志は何よりも強いからね。」 「加えてヴィヴィオちゃんの母親になると言うのなら、母の覚悟も付いて来るわ。 母親は何があっても自分の子供を護らなきゃけないわ……自立するその時までね。 だけど、誰に何を言われた訳でもないのに、貴女には既に母としての覚悟が出来ているみたいね?……なら私が言う事は何もないわ。」 私を信頼してくれたのかな……ありがとう。 あ、そう言えば恭ちゃんには言うの忘れてたんだけど、お父さん達から何か言った? 「一応『美由希が娘を連れて帰省する』って事は伝えたんだが…まだ来ないねぇ?」 「すっごく嫌な予感がするのは私だけじゃないよね?」 ――ドドドドドドドドドドドドド……!! この地鳴りは、間違いなく来たっぽいわね?……てか、走るだけで地鳴り起こさないでよ恭ちゃん…!! ――バガァァァァァァァァン!! 「美由希ーーー!娘とは如何言う事だ!?相手は誰だ!?クロノか!?其れともユーノか!?まさかの大穴でルナだと言うのか!?」 よし、取り敢えず落ち着こうか恭ちゃん? クロノ君は既に既婚者だし、ユーノ君は弟ポジション以外の何者でもないし、そもそもルナは生物学的に絶対ありえないからね? 「だったら相手は一体誰だ~~~~!!」 「いや、普通に相手いないし。」 「なんだとぉ!?」 てか、ヴィヴィオみたいな大きな娘が居るんだったら生まれた時点で連絡するっての……其れに気付いてよ恭ちゃん!…言うだけ徒労なんだけどさ。 だけど、こうも揺すられると流石にアレだわ……話は聞かないだろうし――物理的に沈めるが一番ね! 「恭ちゃん。」 「何だ?」 スピード×…… 「少し話聞いて欲しいんだけどダメかな?」 「む……そうではないが…」 体重×… 「ヴィヴィオは私の娘だけど所謂養子で、恭ちゃんが想像したような事は一切ないからね?」 「なにぃ!?」 握力=…… 「だけどさあ、今の行き成りの突貫は如何かと思うのよ流石に? 恭ちゃんのアルティメットシスコンオーラに、ヴィヴィオが有り得ないくらい怯えてるからさぁ…って言うか、子供を怖がらせないでよ!!!」 破壊力!! 「一撃必殺……アックスボンバー!!!」 『アイアム、イチバーン!!』 ――バキィィィ!!! 「ぶれっばぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」 「私の事を気にしてくれるのは嬉しいけど、行き過ぎたシスコンは大問題!下手した忍さんから離婚話が出かねないよ?シスコンは程々にね。」 「忍ぅぅうぅぅぅ!!」 効果は抜群ね…一瞬見えた何かは気のせいよ。……家族かシスコンか、本当に大事なのは何かって言うのを知らないとそこから先には進めないもの。 決して天秤に掛けられない事なら、双方を得ようとするのは自然な事でしょ? 「私は大丈夫だから…!」 「だろうねぇ……うん、美由希とヴィヴィオの門出を祝って、午後の営業まで楽しんだ方が良いね。」 お父さんも大概だなあ……KO状態の恭ちゃんを放置するとは恐るべし。 でも、そのお祝いは素直に受け取るよ――紛れもない私とヴィヴィオの新しいスタートの証だから。 ともあれ、此れで正式に親子だねヴィヴィオ……此れからも宜しくね♪ 「うん!宜しくお願いします美由希ママ♪」 この子を娘にして本当によかった……私は絶対の自信を持ってそう言う事が出来るわ。 色々大変な事はあるだろうけど、私とヴィヴィオなら絶対にどんな事でも乗り越えられる――私は、そう信じてるからね♪ 外伝3END |