Side:なのは


お母さん達と再会した翌日の翠屋で……


「なのはーーー!!アンタ8年間も何処で何してたのよ!?無事なら無事って連絡くらい入れなさいよね!?」

「凄く心配したんだよなのはちゃん!?」

「えっと……うん、ゴメンねアリサちゃん、すずかちゃん……」

絶賛親友2人に詰め寄られています……。
本当は今日会いに行く予定だったんだけど、お母さんが2人に私が帰って来たって言う事を伝えちゃったみたいだね……いや、別に良いんだけど。

其れよりもアリサちゃん、近い!顔が近いよ!?
気持ちは分かるけど少し離れて!こんなのを見たら、クアットロの『腐のレーダー』がバリバリ反応して薄い本のネタにされちゃうから〜〜〜!!
って、すずかちゃんも近い!?と言うか2人とも近いどころか抱き付いてる!?ちょっと2人とも落ち着いて〜〜〜〜!?


「だまらっしゃいこの馬鹿チンが!アタシ達の8年分の心配料として此れ位は我慢しなさい!!」

「そうだよ〜〜?8年ぶりのなのはちゃん分を補給しないと……」


すずかちゃん、何それ!?え?私から補給する栄養分?そんなのないからね!?
あの、其れよりもそろそろ開店時間だから放してほしいんだけど………


「其れには及びませんわお姉さま……私達で対応しますので、お姉様はどうぞ8年ぶりの御友人との再会を堪能なさって下さい。
 えぇ、寧ろそうするべきですわ!!……お姉さまと、友人の2人……この組み合わせも良いですわね…うふふふ…此れで御飯3倍は行けますわ〜〜。

「よし、取り敢えず仕事しろ腐女子。程々にしないと切り刻んでから生ごみとして集積所に捨て置くぞ?」


クアットロは油断も隙もないね……悪いけど、宜しくねサイファー?……ふぅ、でも何て言うか、随分久しぶりだなぁこんな雰囲気って…











魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 外伝1
『八年越しの門出の日』










「まぁ、なのはに抱き付くのは此れ位にしておくとして……アンタ、ドレくらいこっちに居る予定なの?」

「え?……取り敢えず1週間くらいは居る予定で居るよ?
 向こうでもやる事が未だ有るから、大体其れ位が限度だと思うんだ――はやてちゃんはもっと居ても良いって言ってくれたんだけど、流石にね。」

「そっか……はやてちゃんから聞いたけど、ミッドチルダの方は大変だったらしいからね…」


未曽有の大災害って言うんだろうねきっと……まぁ、最悪になる前に止められたのは良かったけどね。
其れよりも何で私の予定?何かあるのかなぁ?


「あると言えばあるわ……今日からだと大体明後日ね………なのは、アンタ明後日は予定開けときなさいよ?」

「え、何で?」

「なのはちゃんにとって大事な事が有るから……今言えるのは此れ位かなぁ?」


私にとっての大事な事?……何だろう?思い当たる節がないし気になるなぁ?
でも、今其れを聞いたところでアリサちゃんもすずかちゃんも、多分教えてはくれないよね?

ん〜〜〜〜……この2人が変な事をするとも思えないし……お母さんが許可してくれればいいかな?


「あら?許可も何も、明後日なのね?其れじゃあ私達もお店を休みにしなくちゃね?」

「そうだなぁ……」

「え!?何でそうなるの!?お父さんとお母さんにも関係ある事なの!?」

「大有りね♪……だけど其れが何かは当日までの秘密よ?」


ん〜〜〜……そう言われると余計に気になるんだけど?まぁ、明後日には分かる事だから、あんまり深く詮索しない方が良いね。


アレ?そうなるとルナも一緒の方が良いのかな?


「そうねぇ?一緒の方が良いかもしれないわ。序にアンタの新しいお仲間も連れて来ちゃいなさい。」

「そうだね、そっちの方が良いね♪」


サイファーやウーノさん達も?
其れは別に構わないけど……皆は如何?


「勿論ご一緒させてもらいますわ〜〜〜!!
 このクアットロ、お姉様と一緒でしたら、例え天国でも地獄でも異世界でも電脳世界でも何処へでも付いて行きますわ〜〜〜!!!」


――スパーン!!


「はぐあぁ!!ド、ドゥーエ姉様酷い……」

「酷くない、寧ろストッパーである私がとめないで誰が止めるのよこの腐女子。此れが妹かと思うと心底悲しくなるわ…
 でも、一緒に行くって言うのには賛成かな?何をするのか、何が待ってるのかは少し興味あるしね。」

「私も行くぞ?……と言うか、1人で定休日の店に残っていてもつまらんしな。」

「無論私も行こうじゃないか。
 なのは君の友人が何かをしようとしていると言うのも実に興味がある!矢張りその全容をこの目で見届けなければならないのだよォォォ!!!」

「ハイハイ、意味もなくマッドを発動しないでくださいねドクター?果たしてこれが父親で良いのでしょうか…?あ、勿論私も行かせていただきますよ。」


其れじゃあ皆参加で――あ、ルナは如何するの?


「…………」

「ルナ?」

……桃子、私が戻ってきたらお前は一体何をさせる心算だったんだ…?


あ、あれ?何かルナからゆらゆらと暗黒のオーラが……?


「あら?ダメかしら?」

「ダメもへったくれもあるか!!な・ん・だ、この限界ギリギリまで布地を減らしたとしか思えないボディスーツは!?
 下はミニスカートでまだ許すとして、上は……お前、此れ殆ど胸しか隠れてないじゃないか!!こんなのを着て接客したら摘発されるぞこの店!」

「え〜〜〜?ルナなら似合うと思うんだけど?」

「似合うとか似合わないの問題じゃないと言っているんだ私は!!
 ウェイトレス用の衣装に着替えるのは良いとして、もっと常識的なモノにしろと言っているんだ!私が使ってた矢絣袴は如何したぁ!?」

「え?ちゃんと取ってあるわよ?」

「なら最初からそれを持ってこいーーーー!!!」


あぁ、何とも懐かしい感じのこのやり取り……もう二度と目にする事は無いと思ってたから、感慨深いなぁ〜〜〜…
でもねお母さん……そんなきわどいのをルナが着ると、此処に約一名体内の血液の85%を鼻から噴出しちゃう人が居るから止めた方が良いよ?


……想像しただけで既に溢れかけてるからね。

まぁ、此れも何時もの事なんだけど――で、ルナは如何するの?


「この流れで普通に話を振ってくるお前に少々驚きなんだが……勿論行くさ。行くに決まってるだろう?」

「だよね♪
 と言う訳で全員行く事になったから、宜しくねアリサちゃん?」

「任せなさい!
 あ、其れとアンタ女性物のスーツ持ってるわよね?当日はスーツを着とくようにね?鮫島を迎えに寄越すから。」


へ?スーツに?
一応スーツは持ってるし、私達のアジトにはクアットロが用意してくれたドレスやらスーツやら有るから大丈夫だと思うよ?

でも何でスーツ?……結構改まった場なのかなぁ?……ん〜〜〜……此れはますます当日何が待っているのか気になるし、同時に楽しみだね♪



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そして2日後。

アリサちゃんが言うには8:30には鮫島さんが迎えに来てくれるって事だから、10分前には皆が準備を完了してる。
それにしてもドゥーエさんとサイファーはスーツ姿も似合うね?何て言うか2人ともカッコいいよ♪


「お褒めに預かり光栄だな。」

「なのはもよく似合ってるわよ?」

「ありがとうございます♪」

あ、来たみたいだよ?
うん、この人数を移動させるって事だから大体予想はしてたけど、やっぱりリムジンで迎えに来てくれたんだ。


「お久しぶりでございますねなのは様、ルナ様……こうしてもう1度会う事が出来た事を心よりお喜び申し上げます。」

「鮫島さん……うん、鮫島さんにも心配かけちゃいましたね……ゴメンなさい、そしてただいまですね。」

「もう一度会えて嬉しいよミスター鮫島……心配をかけたな。」

「いえ、こうして御2人の元気な姿を見る事が出来ただけで充分でございます。
 さて、目的地でお嬢様たちがお待ちです故、積もる話もありますが出発すると致しましょう。」


はい、お願いします。
あの……ところで、何処に行くんですか?私、アリサちゃんとすずかちゃんから何も聞いていないんですけど……?


「其れは到着すればお分かりいただけます。」

「とことん秘密って事ですね…」

お父さんとお母さんも何も教えてくれなかったし。






で、移動すること十数分……アレ?この景色は…若しかして……


「気付いたかいなのは?」

「うん……若しかして私達は『聖祥小学校』に向かってるの?」

「正解♪」


何でそんな所に?……だけど、懐かしいな。




程なく学校に到着すると、校門前に……冥沙達とはやてちゃんにフェイトちゃん!?
皆どうして此処に?ミッドの方は良いの!?


「オーリスに頼んで今日1日だけ全員が休暇を貰ったのだ……此れに参加しない訳には行かないのでな?」

「8年越しですから……さ、此方ですよナノハ。」


えぇ!?あの、ちょっと!?
そっちは講堂だよね?それにお母さん達は何で別行動!?わ、私だけで何をするの〜〜〜!?


「着けば分かるでなのはちゃん?」

「皆、なのはの為に集まって貰ったからね?」

「??????」

本気で何なんだろう?


講堂に辿り着いたけど……何か音楽が聞こえるなぁ?


「ふむ、良いタイミングであったな?」

「そらちゃんと携帯で連絡入れといたから抜かりはないで王様?」

「ふ…やるな小鴉、伊達に総司令は張っていなかったと言う事か。……さて、では始めるか!!星奈!!」

「御意に……では、お願いします。」


――〜〜〜〜♪


『其れでは只今より、第○○回、聖祥大学付属小学校卒業証書授与式を開催いたします。……卒業生、入場。』


へ?卒業式!?


「うぬの為の卒業式だナノハよ。
 主は8年前に行方不明になってしまった故に、卒業をしないままであったであろう?」

「ですが、こうして戻って来たのです……ならば、ちゃんと卒業の証を……貴女がいつ戻って来ても良い様に、在籍は残ったままなのですよ。」

「だからさ、皆卒業しても企画してたんだ〜〜〜……ナノハが戻ってきたら、ちゃんとナノハの為の卒業式をやろうって♪」


!!!……そんな、そんな事まで考えてくれてたの?……ゴメン……凄く嬉しい……


「さぁ、行きましょうナノハ?主役が登場しないんじゃ式が行えません♪」

「うん……!」



――パチパチパチパチパチ!!!



私が入った瞬間に物凄い拍手……当時のクラスメイトの子達が皆集まってくれたんだ……私1人の卒業式の為に……!!
だめ……未だ泣いちゃダメだよ私……卒業式が終わる直前まで泣くのは厳禁だよ……


『さて、主役も登場した事だし始めましょうか?
 とは言っても、当時の担任の先生と校長先生は北海道と九州に転勤になってるから今日は参加できないわ。』

『だから、この卒業式は私達だけ……なのはちゃんのクラスメイトだった私達だけで執り行いますね♪』



学校側には…勿論許可を貰ったんだよね?凄い行動力だなぁ……


『其れじゃあ、堅苦しいのは抜きにして……先ずは国歌斉唱ね!全員起立!!!』


そして、式特有の堅苦しさはないけど、式順に倣って進んでいく私1人の為の卒業式…そっか、やっと卒業何だね私も――


『卒業証書授与。卒業生、高町なのは!』

「はい!!」

『卒業証書、6年3組、高町なのは。
 右の者、本校に於いて小学校の過程を卒業した事を此処に証する。
 平成二十七年、三月二十四日、私立聖祥大学付属小学校校長代理、アリサ・バニングス。』
――やっと、アンタに此れ渡せたわね。」

「アリサちゃん…うん、ありがとう――凄く、嬉しいよ……凄く……」

「なわ!?ちょ、アンタ泣くなら式が終わってからにしなさいよ!?
 こんな所で泣かれたら、アタシがアンタに何かしたみたいじゃない!?って、そこコソコソ話で何を話してんのよ〜〜〜!!!」


ゴメン……だけどもう無理……嬉しくて、もう我慢できないよ。

ありがとう……皆、ずっと待ってくれてたんだね私が帰ってくるのを……ありがとう、ゴメンねこんなに待たせて………!


「良いよ……何があったかは冥沙ちゃん達から聞いてるしね。
 なのはちゃんとルナさんの方こそ、8年間もお疲れ様……卒業おめでとうなのはちゃん。」


ありがとう……こんな最高の卒業式をして貰って、私は凄く幸せ者だね……


《良かったな、なのは……》

《マッタク、此れだけの事をやるなんて、お前のお友達も中々に凄い連中だ…》

《卒業おめでとうございます、なのはお姉さま…》


ルナ、サイファー、クアットロ………うん、何が待ってるかドキドキしたけど、来てよかった――本当に、最高の卒業式だったよ♪









外伝1END