Side:リインフォース


 さて、如何したものか?
 なのはは私が止めている、テスタロッサはクロノ執務官が止めているが…


 「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。此処での戦闘は危険すぎる。武装を解除して大人しくしてくれ。」

 そう言う事だから、取り合えずレイジングハートを待機状態に戻してくれ。
 それ以前に、今お前達が戦ったらジュエルシードが暴発して海鳴が吹き飛びかねないからな…

 「え”?」

 「いや、だからジュエルシードが安定してないこんな状況で魔法戦を行ったら、
  その魔力に呼応してジュエルシードの力が暴発して、下手すれば海鳴が街ごと消滅するかもしれないぞ?」
 割と本気でな?


 「…レイジングハート。」
 「All right.Mode Release.」

 ん、それで良い。
 さて、そちらは如何かな?










  魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福15
 『意志と決意と思惑』










 Side:クロノ


 なんと言うか見事だな、この人は。
 幾らジュエルシードが不安定とは言っても、暴発で街一つが消えるなんて事は流石に………無いとは言い切れないな。
 まぁ、街一つとまでは行かなくても、半径1kmが消滅する位なら確実に起こるだろう。

 彼女も其れを見越して栗毛の子を止めた事は間違いない。
 街の消滅と聞いてデバイスを待機状態にしたみたいだから、この子は大丈夫だろう。

 問題はこっちの金色の子だ。
 この子に説得は……難しそうだな?

 さて如何したものk「フェイトォォォォォ!」…!?

 !!この子の使い魔か!
 く…やってくれる……此れじゃ視界が…!


 ?感覚が……成程、砂煙に乗じてか、だがそうはさせない!
 「スティンガー!」

 「きゃあ!…うっ…くぅぅ…」

 よし、命中だ。
 手荒で悪いが、此処で拘束させてもらう!

 「簡単に捕まるか!此処は退かせてもらうよ!」

 逃がすか!ブレイズ…


 「その辺にしておけ執務官。」

 !!君は…!
 「何故止めるんだ?彼女は重要参考人だぞ!?」

 「確かにそうだろうが、今はテスタロッサの確保よりもジュエルシードを確保する方が先じゃないか?
  幸い、先程の攻撃でテスタロッサはジュエルシードを手に入れ損ねた。今はジュエルシードを優先した方が良い。」


 …言われてみれば確かにそうだ。
 僕がやるべき最優先事項は『ジュエルシードの確保』だったな。

 仕方ない、あの金色の子達には逃げられたが、ジュエルシードは確保したし重要参考人も1組は此処に居る。
 今は此れで良しとしておこう。


 『クロノ執務官。状況は?』

 「母さ…艦長。重要参考人2組の内、1組には逃げられてしまいました。残る1組は敵対の意思はなさそうですが…」
 と言うか、敵対されたら先ず勝てないな。
 栗毛の子1人なら兎も角、銀髪の女性には敵いそうもない。


 「…どちら様なの?」

 「うわっ!」
 い、行き成り声を掛けないでくれ!流石に驚くから…


 『クロノの背後を取るとは中々……んっんん、初めまして、時空航行艦『アースラ』の艦長、リンディ・ハラオウンです。
  今回の事でお話を伺いたいのだけれど…宜しいかしら?』

 「出来れば協力して欲しい。一応君達は本件の重要参考人みたいだからな。」

 「其れは構わないが…」


 ?何か問題が有るのか?


 「いや、あと3人魔導師が居るんだが、一緒の方が良いだろう?」



 ……え?
 「ちょ、ちょっと待ってくれ、あと3人も魔導師が居るのか!?」

 「あぁ。この子くらいの大きさだがな。居ない方が良いと言うならそうするが…」

 「いや、居るなら呼んでもらった方が良い。情報は有って困るものじゃないから。艦長も構いませんね?」

 『えぇ。それで良いわ。』

 「では残る3人が到着し次第アースラに帰還します。」

 『待っていますね。』


 通信終了と…しかし管理外世界にこれだけの魔導師が居るとは…

 思った以上に事が大きそうだな、この件は。


 取り合えずこのジュエルシードは回収しておくか…








 ――――――








 Side:リインフォース


 冥沙達も到着し、アースラ内部を案内され応接室に到着。
 途中、ユーノが人間である事がバレタ以外は特に何も無い…と言うか気付いてなかったのかなのは。

 バリアジャケットの解除を求められたのでなのはは私服に戻っている。
 後から来た冥沙達は元々私服だったので問題は無いが、私だけは騎士服への変更で納得してもらった。
 と言うか、今日は上着無しの戦闘装備にエプロンで働いていたから武装解除と言われてもこうするより他に手が無かったからなのだが…

 其れは兎も角、何なんだこの応接室の『微妙な和装』は!
 畳は良い、障子や各種茶器も悪くないが、鹿威しは室内に置くものじゃないだろう!?
 大体にして何故に畳に絨毯を敷く!?

 ダメだ、桃子の完璧とも言えるセンスの光る翠屋の内装を知っている状態ではこの和室は違和感しか感じない。
 だが…だが、それ以上に問題なのは…

 「…アレは何してるの?」
 「抹茶にミルクと砂糖…本気ですか?あれを冷やし固めれば抹茶アイスですが…」
 「う〜〜…お茶はその香りと渋みを楽しむ物だってモモコが言ってたぞ〜?」
 「よし、あやつの行動は日本人に喧嘩を売っているのだな?」

 お前の味覚だリンディ・ハラオウン!
 何故に抹茶に砂糖とミルクを入れる!
 其れもホンの少量ならば兎も角、角砂糖5個は入れすぎだ、其れはもう砂糖水だろう!?

 「だってそのままだと苦いんですもの♪」

 「「だったら最初から抹茶や緑茶など飲むな!!」」

 思わず冥沙とユニゾンだ。
 正直に言って味覚が崩壊しているとしか思えないぞ…

 はぁ……この人は桃子に味覚の矯正をしてもらう必要があるな。

 まぁ、そんな事を言っていても埒が明かない…本題に移るか。
 取り合えず此れまでの経緯を説明する事でいいか?

 「そうだな。先ずはそうしてもらえると助かる。」

 「分かった…私から説明するが構わないか、なのは?」

 「うん。きっとルナの方が私よりも巧く説明できると思うから。」

 ならばその期待には応えよう。
 星奈、補足があれば頼むぞ?

 「お任せを。」

 頼もしいな。
 「事の起こりは…













 ――説明中












  と言うわけだ。
  それで私達はジュエルシードの収集を行っているんだ。
  無謀だ等とは言ってくれるなよ?なのはも私達もジュエルシードの危険性は重々承知している。
  特に私と雷華達はなのはの持つ古代ベルカの魔導書…『白夜の魔導書』の騎士だ。
  古代ベルカの遺産たるジュエルシードの危険性など百も承知、その上でユーノを手伝っているんだ。」

 白夜の魔導書の設定や雷華達の容姿については即興だが、此処まで言えば一方的にジュエルシードの収集を止める様には言ってこないだろう。
 我ながら随分と口八丁が出来るようになったものだ……ある意味で接客の賜物か?

 「貴女達が思った以上にジュエルシードの事を知っている事は分かったわ。
  でも一度ご家族と相談して、良く考えるべきではないかしら?下手をしたら世界を消滅させる事になりかねないのよ?」

 「ふん、ほざくなよ塵芥が。既にナノハの家族は魔法の事もジュエルシードの事も知っておるわ。」

 「お母さん達には私がこの『白夜の魔導書』の主になったときに魔法の事は全て話しました。
  初めてジュエルシードを封印したときに今回の事についてもちゃんと説明して、関わる事を言ってあるんです!
  其れにお母さんは『やるからには中途半端はダメ』って…此処でやめちゃったらきっと後悔すると思うんです!」

 「今更引き返すことなど出来ません。此処まで来たならば最後まで行かなくては気分が悪いので…」

 「たとえ誰が来ようとも僕達とナノハが負けることなんて無い!じゅえるし〜ども全部封印してやるんだ!」


 まぁ、そう言う事だ。
 なのは達の決意はダイヤモンドよりも固いぞ、勿論私の決意もな?

 大体にして、管理局の人間だけでは実際には対処しきれないんじゃないか…人手不足で。


 「「!!!」」

 「図星か。そうじゃないかとは思っていた。執務官と艦長以外にはそれほど優秀な魔導師はこの船に居ないようだからな。
  尤も、船艦の搭乗クルーとしてみるならば中々に優秀な人物が乗り込んでいるようだが…」
 だがそれだけではジュエルシードの収集は厳しいだろう?


 「…えぇ、その通り。ちょっとズルイ言い方だったわね。貴女達の方から協力を申し出てくれるように誘導していたわ…」

 「下手な姦計は逆効果か…ならば改めて言おう。本件の解決の為に君達の力を貸して欲しい。
  正直に言って、君達の様な優秀な魔導師は喉から手が出るほどに欲しい逸材なんだ…」


 やっと本音を言ったか。
 さて、聞くまでも無いと思うが如何する、なのは?

 「断る理由はありません。勿論協力します。皆も良いよね?」

 「無論だ。我等が盟主たるお前が決めたのならば文句は言わぬよ。」
 「勿論、私達もナノハと同じように思っていたからですが…」
 「ナノハがやるなら僕だってやるぞ〜〜!じゅえるし〜どなんて簡単にふーいんしてやるって!!」

 封印が出来るのは私となのはとテスタロッサだけだがな。
 「そう言うことで、私達はそちらに現地の民間協力者として力を貸す事は構わないが…そちらから何か条件は有るか?」


 「…そうだな。事件解決まではアースラに駐屯して欲しいというのが一番だな。
  それと、此方の指示には従うように…と言いたいが、此方は無理だろう?」

 「無理…とは行かないがそうだな。出来れば私達は通常の指揮系統には組み込まないでくれた方がありがたいな。
  基本的にはそちらの指示に従うが、完全に指揮系統下に入る事は出来ないと言うのが本音だ。」
 テスタロッサの事も有るからな。
 尤もこの条件でも、破格の条件だと思うが…


 「分かりました。それで良いです。寧ろその条件は私達には破格とも言える条件だわ。」

 「えっと、それじゃあ…」

 「えぇ、改めて時空管理局提督の名の下に、貴女達に現地スタッフとして協力を要請します。…お願いできるかしら?」


 答えるまでも無い。

 「勿論です!」
 「まぁ、精々我等の力にひれ伏すが良い。」
 「期待には応えましょう…」
 「僕達に任せておけって!」

 「断るという選択肢の方が無い。此方としても、貴女方とならジュエルシードの発見は今までよりも早くなりそうだ。」

 「…協力、感謝する。」

 別に構わないさ、海鳴が消えたら大事だからな。


 さて…一度家に戻ってこれからの事を桃子達に説明しないとな。








 ――――――








 Side:フェイト


 「フェイト、管理局が出てきたんじゃもうだめだよ!逃げよう!どっか遠くに!!」
 「確かに管理局が出てきたと有っては、今までのように動くとは行かなくなりますね…」


 アルフ、リニス…うん、確かにそうだね。
 でもダメ…そんな事出来ないよ…


 「どうしてさ!あんな理不尽な要求ばっかりするプレシアの命令なんて聞く必要ないじゃないか!
  アタシはフェイトには幸せになってほしいだけなのに…どうして分かってくれないのさ!!」


 アルフ……うん、アルフの気持ちは痛いほど良く分かるんだ。
 でも、此処で投げ出すなんて、途中で止めるなんて出来ないよ。
 母さんの為にも、何より私自身の為に…!


 「フェイト…」
 「何処までも優しいのですねフェイトは…」

 「其れに、あの白い魔導師の子との決着もちゃんと付いてないから…」
 今日は邪魔が入ったから…今度こそ…!


 「フェイトぉ…」


 ゴメンねアルフ、リニス。
 だから止める事はできないんだ。




 其れと、此れは言ってないけど、ジュエルシードを使えばお母さんの病気が治るかもしれないから…

 必ず…手に入れる、全てのジュエルシードを!








 ――――――








 ――時の庭園


 Side:???



 この間の次元震…恐らく管理局も感知した筈ね。

 ふふふ…そうなれば管理局がフェイトの居る地に来るのは間違い無いわ。
 今頃は使い魔達と今後について話しているでしょうね…


 でも、アレが収集を止める事など無いでしょうね。
 ふふふ…急ぎなさいフェイト。

 早くジュエルシードを集めるのよ。




 そう、『存在する筈の無い、病気の母親』を助けるためにね。


 ふふふふ…あはははははははははは!!!















  To Be Continued…