Side:アインス


取り敢えず、場所は此処で良いか……よーく見えるし、会話もバッチリ聞こえるしな。――それにしても『連中』とは、もしかしてヨシュアが予想した軍
の内通者だろうか?
『得体のしれない連中』と言うのも気になる所ではあるな。……其れと『ドルン兄貴』か――空賊兄妹はもう一人いると言う訳だね。



「…………ねぇ、キール兄……ドルン兄、最近おかしくない?」

「…………………」

「だいたい変だよ。定期船を乗っ取ったのだって。
 確かに実入りは良かったけど、軍が本腰入れて介入して来たし……遊撃士なんて言う生意気な連中まで絡んで来るし……其れに、人質を取って
 身代金まで要求するなんて……流石に、やり過ぎだと思う。」



生意気なのはお前の方だアホの子。
だが、あの様子だとアホの子は定期船を乗っ取る事に反対はしなかったが納得してないと言うのか?……そうでなければやり過ぎなどとは言わな
いだろうし、ドルンなる人物が最近おかしいと来た。
ドルンとやらがおかしくなった事で空賊の強盗やらが凶悪化したのだとしたら、如何してドルンとやらはおかしくなってしまったのか気になるな。

其れからも会話を注意深く聞いていると、色々と情報を得る事が出来たが……キールとアホの子は真の悪党と言う訳ではなさそうだ。
……何やら、已むに已まれぬ事情があって空賊をしていると言った所か?――とは言え、犯罪に手を染めて良い理由にはならないだろうと思うが。



《キールって人も、ドルンって人がおかしいとは思ってるみたいね?》

《家族だからこそおかしくなったのが如実に分かると言うモノなのだろうな……お前だって、ヨシュアがおかしくなったら分かるだろう?例えば、ある
 日突然ヨシュアがハーモニカを吹かなくなったりしたら……》

《其れは間違いなくおかしくなってるわね。》

《だろう?》

ま、其れは其れとしても、アホの子が言っていた『アイツが来てから』と言うのが気になるな?その『アイツ』とは、『連中』を空賊に紹介した人物との
事だが一体何者なのだろうか?
……む?



「(あ、アレは……!)」

「(どうしたの?)」



ふむ、ヨシュアも気付いたみたいだな……如何やらお出ましの様だぞ、空賊兄妹と待ち合わせをしていた不届きな輩のな。――さて、一体どんな奴
が現れるのか。










夜天宿した太陽の娘 軌跡41
湖畔の張り込みからのアジト潜入』









エンジン付きのボートで現れたのは黒い装束に身を包んだ二人組……一人はボートの操縦の為の人員で、本命は赤い仮面の方と見て間違いなさ
そうだね?
赤仮面の男は、相当に抑えているのだろうが私には分かるぞ、秘められた力がどれ程なのかがな――あの男、本気を出したらカシウスにも匹敵す
る筈だ。
もしも今回の事件でアイツと事を構える事になったら、私が表に出なければ危ないかも知れないな。



《アイツ、そんなに強いの?》

《あぁ、強い。ハッキリ言って今のエステルとヨシュアでは勝負にすらならずに瞬殺されるだろう……お前とヨシュアの戦闘力が凡そ二万五千~三万
 位だとしたら、奴が本気を出した時の戦闘力は、凡そ一億二千万と言った所か?因みにカシウスは一億五千万な。》

《アインスの全盛期は?》

《二億だな。》

うん、此れだけでカシウスと赤仮面の男がドレだけトンデモないか良く分かるな。
さて、何やら話をしているが……如何やらあの男は空賊達に情報を流しているようだな?軍の関係者かどうかは兎も角、空賊に情報を流している
輩が居ると言うのは正しかった訳だ。
取り敢えず分かった事は――


・アリシア女王が遂に動き、自分の資産から身代金を拠出する事にした。
・軍は空賊のアジトには気付いてないが、其れも時間の問題。
・私達遊撃士が動いていると言う情報も赤仮面の男は持ってた。
・成功の暁には、空賊団は現在のアジトを捨てる事になる。


こんな所だな。
さて、如何したモノか……一気に突入してケリを付けると言う選択肢もあるが、あの赤仮面の男の事を考えると其れはリスクが高い――最悪、此方
が全滅させられてしまう危険性があるからね。
エステル、お前は如何思う?



《アタシも一気に突入とは思ったけど、あの赤仮面が父さん並ってんなら話は別だわ――あの極道親父、実力だけはぴか一だからね?其れと互角
 レベルの奴と真面に遣り合うのは特じゃないでしょ?》
「(シェラ姉、このまま突入するのはリスクが高いと思うんだけど、如何しよっか?)」

「(エステル、アンタの口からそんな言葉が出るとは思わなかったわ……でも安心なさい、私に考えがあるから。)」



シェラザード、サラッとエステルをディスるなよ……否、そう言いたくなる気持ちは分からんでもないがな。
でだ、シェラザードの考えと言うのは、空賊兄妹が此処に現れたと言う事は、『近くに空賊艇が停泊している筈だから、また逃げられたらかなわない
から先に其方を押さえよう』と言うモノ。
先に足を奪うと言う事か、私は賛成だな。



「(アタシは賛成よ。アインスも賛成だって。ヨシュアは?)」

「(…………)」

「(ヨシュア?)」

「(あ、ああ……空賊艇を先に抑える案か。うん、僕もその方が良いと思う。)」

「(どうしたの?何か、顔がこわばってない?)」

「(い、いや……きっと気のせいさ。)」

「(……?)」



何だ?一瞬だがヨシュアから、ただならぬ気配を感じたぞ?……そう、まるで此れから得物を狩る暗殺者のような気配を――加えて、其れはボート
の上の赤仮面の男に向けられているようにも感じた。
あの男、ヨシュアの過去と何か関係がるのだろうか?



「(あまり時間は無いわ……彼等の話が終わるまでに街道に出て、空賊艇を探すわよ。)」



だが今は、空賊艇を見つけるのが先か。――人格交代して、ヨシュアとシェラザードを風属性のアーツを利用して空を飛ばせながら探索するのが手
っ取り早いんだろうが、其れだとバレる可能性があるから歩いて探すのがベターだろうな。
とは言え、空賊艇の様な大きな物を停泊させられる場所は限られているから、探索範囲はそこまで広くないだろう――と言うか、このボース地方で
其れに該当する場所は一つだけだからね。



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と言う訳で琥珀の塔の前までやって来たら見事に大当たりだ――此処ならば街道から外れているから停泊場所としては打って付けだ。アルバみた
いな考古学者でもない限りは此処を訪れる人は滅多にないだろうからね。



「琥珀の塔って、ロレントの翡翠の塔と似たようなモノだったっけ?」

「『四輪の塔』と呼ばれている古代遺跡の一つだよ。……其れでシェラさん、直ぐに彼等を制圧しますか?」



制圧するのならば直ぐに準備をするぞ?
超巨大な全開気合弾でも、ビーム砲の真空波動拳でも、ヒットすれば相手を行動不能にする裏百八式・八酒杯でも、何時でも放てる準備は出来て
いるからな。
あと、やろうと思えばエステルの目から『メガ・オプティックブラスト』を放つ事も出来る――画面の四分の三を占める極太ビームはロマンだね。



《やめてアインス、アタシ人間辞めたくない。》

《其れは無理じゃないか?カシウスが割と人間辞めてるし、お前には『公式チート』、『存在が犯罪』、『エクセリオンゼロ距離砲を喰らって無傷だった
 のを見て、月サイズの元気玉を喰らっても生きてたフリーザ様の時と同じ絶望を感じた』と言われている私が宿っているのだからね。》

《何だかなぁ……もう開き直って、スーパーサイヤ人目指した方が良くない?》

《それも一つの選択肢ではあるのかも知れないな。》

前に遭遇した時と比べると手下の数は倍以上いるが、私達ならば制圧できない数ではないから、このまま一気に攻め込んでケリをつけるのは造作
もないさ。



「諸君、ちょっと待ちたまえ。」

「「「!!!」」」



此れは、この特徴的な声は!



「やぁ、待たせてしまったね♡」

「オリビ!」

「静かに……アイツ等に気付かれるよ。」



現れたな子安ボイス……シェラザードに酔い潰されて宿に放置してきたはずなのになぜ此処に居る?私の経験則から言わせて貰うのならば、シェ
ラザードに酔い潰された相手は、最悪の場合翌日の昼まで目を覚まさん。最速でも翌日の朝だ。
其れなのにどうしてお前は此処に来れた?



「アインスが、何で此処に来れたかだってさ……シェラ姉に潰されたのに、何で居るのアンタ?」

「ふ、任せてくれたまえ。
 胃の中のモノを全て戻して、冷たい水を頭からかぶって来た。」

「あ、有り得ない……」

「何と言うか、執念ですね。」

「こんな面白そうな事を見逃すわけにはいかないからね。
 丁度宿から出た所で、街道に出る君達を見かけて、ようやく追いついたと言う次第さ。」



呆れた力業で復活したと言う訳か……ヨシュアの言う様に、凄まじい執念だな此れは?――オリビエは、間違いなく自分が楽しめるのならば命すら
惜しまないマッド野郎なのだろうね。
シェラザードが言う様に『火酒』の一気飲みでもさせた方が良かったかもしれないな。――其れをやったら命の保証は出来んがな。
オリビエも『其れは確実に死ねるから勘弁してくれ』と言っていたが――だが、其れ以上にオリビエは面白い提案をしてくれたな?『此処で空賊達と
戦うのは面白くないと思わないか?』と言われた時には、何事かと思ったが、如何やらオリビエは思い付きで言った訳ではないみたいだな?
確かに此処で会の兄妹を捉えた所で、アジトの場所を素直に吐くとは限らない上に人質を盾に釈放を要求して来ると言うのは充分に有り得る事だ
からね。

そしてオリビエには秘策があるらしい……成程、此れは乗ってみる価値がありそうだな。巧く行けば、空賊共を一網打尽に出来るだけではなく、人
質になっている定期船の乗客と乗組員を解放できるかもしれないからね。



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オリビエの策、其れは空賊艇に忍び込んで、連中のアジトまで運んでもらうと言うモノだったが、此れは確かに有効な一手だな?此れならば連中の
アジトが分かる上に、連中を一網打尽に出来るからね。
取り敢えず、先ずは下っ端から片付ける!ブチかませエステル!



「おぉぉぉぉぉぉ……喰らいやがれ!」

「「あーーーー!!」」



うん、実に見事に決まったね裏百八式・大蛇薙。
此処まで見事に決める事が出来たのは、ヨシュアが絶影で下っ端空賊の動きを制限してくれたからだがな……シェラザードとオリビエも良い仕事を
してくれたんだが、ヨシュアの仕事っぷりと比べると、少しばかり落ちるのは否定出来んな。
しかし、此処まで巧く行くとは思わなかったよ――今回ばかりはお前に感謝だなオリビエ。



「今回は感謝しとくってさアインスが……だけど、滅茶苦茶緊張したわよ?隠れてる場所を発見されたらどうする心算だったの?」

「いや、発見されたとしても、その時は空賊艇を制圧すれば良い――飛行船の内部は狭いから、多数との戦いも有利に働くしね。
 ……オリビエさん、其処まで考えていたんですか?」

「いやマッタク。敵地潜入と言うシチュエーションが単に面白そうだと思っただけさ~。」



一瞬でもお前に感謝した私がアホだったな。――遠慮は要らん、やれエステル。



「愚かな……暗黒の空に集う魑魅魍魎よ、滅せよ!瞬・獄・殺!!」



――カキィィィィィィン!



「い、一瞬お花畑が見えたよエステル君……」

「我こそ、拳を極めし者……!」



うん、実に見事に決まったな瞬獄殺……まぁ、エステルは殺意の波動に目覚めてないからオリビエも滅殺されずに済んだけどね――だが、冗談は
此れまでにして、此処が空賊達のアジトか。
霧降り峡谷か此処は……ボースとロレントの境にある此の場所をアジトにするとは、考えたモノだな。
此処は一年中濃い霧に覆われている上に、大型船は侵入できない高低差の激しい入り組んだ地形だからな……シェラザードの予感的中だな。
さて、あまりグズグズしていられないな。



「あんまりグズグズしてられないわね……」

「オリビエさんをKOしかけた君が言うのエステル?……だけど、時間をかけられないって言うのは同感だね。
 空賊達を制圧しつつ、監禁されてる人質の人達の安全を確保しましょう。」

「良い判断よヨシュア。さぁ、行くわよ!オリビエもシャキッとしなさい!!鞭で引っぱたくわよ!」

「なんか来たー!!」



……KOされかけたくせに元気だなオリビエ。
さてと、アジトに突入しつつ、連中が此れまで盗んだ物も回収だな……この指輪、掲示板で受注した仕事の依頼主が言っていた指輪だな。
勿論空賊達との戦闘もあったんだが、ハッキリ言って敵ではない……オリビエが導力銃で、シェラザードがアーツで牽制してくれるから、近接型のエ
ステルとヨシュアの攻撃が見事に決まるからね。
序にエステルの棒術の両端には火と風、ヨシュアの双剣には時と水の属性を付加してみたら、何だかクラフトがとっても恐ろしい事になった……ヨシ
ュアの絶影が特にな。
凍結の状態異常付きの必中攻撃とか鬼すぎたね。

でだ、空かない扉が有ったので、エステルのパワーをフォルテで底上げした上で扉を蹴破らせて、中の空賊達を無力化し、更に奥にあった扉を金剛
撃で粉砕!扉は壊すモノだ。
部屋の中に居たのは人質となっていた定期船の乗客やクルー達……無事だったみたいだが、カシウスの姿が見当たらないな?
其れについて、エステルとヨシュアが、グラントと名乗った船長に話を聞いているが……其れによると、如何やらカシウスはボースを離陸する直前に
船を降りたらしい。
搭乗者名簿に名前があったのは行き成りの事だったので書類の手続きが間に合わず、ロレント到着後に手続する筈だったが空賊に襲撃されてそ
のままだったと言う訳か。
だが、此れで合点が行った……カシウスが空賊に捕まる筈がないからな。



「ちょ、ちょっと待ってよ!そ、それじゃ……父さんは何をしている訳?
 此れだけの騒ぎになってるのに、どうして連絡を寄越さないの!?」

「落ち着いてエステル。
 確かに其れは気になるけど、今此処で考えても仕方ない。――此処に居る人達の安全を確保するのが優先だよ。」

「あ……うん。分かった、今は忘れる。」



今やるべき事を最優先に、だな。
取り敢えず彼等には、此れから空賊のボスを逮捕しに行く旨を伝え、今しばらく此処に居るように頼んで更にアジトを進む……途中で空賊との戦闘
もあったが、貴様等は私達の敵ではない!



――シュン!



「どけぇ!!!」

『ガァァァァァァァァァァァ!!!』
オシリスの天空竜:ATK6000



「「「「「「ぎゃあああああああ!!」」」」」」


「アインス、今の何?」

「神だな。適当に強力なアーツを同時に発動してみたが、まさか無限の力を誇る天空の神を降臨させてしまうとは、流石の私も予想外だった。」

「???」



分からないなら分からなくて良いよヨシュア。実際私だって、何で神が降臨したのか良く分かっていないのだからな……だが、此れは更に強力なア
ーツを同時発動すればラーの降臨も可能か?
いや、私は闇属性だから神よりも邪神を降臨させるべきか……ドレッド・ルートとアバターが並ぶともうどうしようもないからね。

エステルと交代してアジトを攻略し、その途中で謎の黒いノートを入手……何だか良く分からんが、何だか重要そうだから取り敢えず保管しておくと
しよう。何処かで役に立つかもしれないからね。
そんなこんなでアジトの最深部に到着だ。
その最深部に唯一ある部屋……恐らくは此処が首領の部屋だろう。
つまり此の部屋に空賊兄妹が居ると言う訳か――部屋の外で聞き耳を立てていたら何やら言い争っていたみたいだが、容赦はしない。
と言う訳で、派手に行けエステル!



「OK!必殺、爆裂金剛撃!!」



――バッガーン!!



爆裂金剛撃……金剛撃に火属性と地属性のアーツを付加する事でインパクトの瞬間の破壊力を数十倍に高めた極悪クラフト――その気になれば
ダイヤモンドですら粉々になるだろうな。



「な、なに?」

「お取込みの所悪いんだけどさぁ……兄妹喧嘩は後にしてくんない?」

「あ、あんたたち!」

「遊撃士どもっ!?ど、どうしてこの場所に!!」

「ふ、薄情な事言わないでくれ。君達があの船で運んでくれたんじゃないか。」

「バカな、何をふざけた事言ってる……ま、まさか!」

「琥珀の塔の前に飛行艇を泊めてたでしょ?隙を見て忍び込んで、船倉に隠れてたって訳。いわゆる密航ってやつね♡」

「ず、ずっこいぞこの脳天気女!」

「だ、誰が脳天気ですって?この生意気僕ッ子!」

「な、なんだと~~?単純女!暴力女!」

「あ、あんですって~~!?」



子供の喧嘩かな?否、エステルもアホの子も未成年だから子供と定義して良いのかも知れないが、口喧嘩のレベルが低いだろう此れは……私が
表に出ていたのならば、アホの子に反撃の隙を与えない毒舌と罵詈雑言の雨霰で精神的にズタボロにしているだろうがな。



「はいはい、口喧嘩は其れ位にしてね。
 人質は解放したし、他のメンバーも倒しました。残るは、貴方達だけです。」

「遊撃士協会の規約に基づき、貴方達を逮捕・拘束するわ。逆らわない方が実の為よ?」

「うう……」

「くっそー……」


「キール、ジョゼット……テメェら何やってやがる!」

「す、すまねぇ兄貴……」

「ご、ごめんなさい……」

「ぐふふふふ……まぁいい、大目に見といてやるよ。――コイツ等をぶっ殺せば、其れで済む訳だからなぁ!」



其れは兎も角、髭の大男……コイツがドルンか。
私達を殺すとは、随分と大きく出たモノだな?……貴様如きが私達を如何にか出来ると思っているのか――其れとも、其れすら分からなくなってし
まう程に精神を操られているとでもいうのかな。



「がはははは!馬鹿な連中だぜ!その程度の人数で、このドルン・カプアを捕まえようとするとはな!
 キール、ジョゼット!さっさと得物を取りやがれ!コイツ等を血祭りにあげるぞ!」

「兄貴……」

「こうなった以上仕方ないか……恨むなよアンタ達!」



だが、此処はやるしかないな……行くぞエステル!



《OK!私達の力、見せてやりましょ!――特にあの生意気な僕ッ子にはね!!》

《言われずともその心算だ!》

棒術具の先端に風と地、エステルの拳に炎の力を宿してやる――此れでエステルは一人で三属性の物理攻撃を使う事が出来るようになった訳だ
が、其れだけでなくヨシュアの双剣に幻と空、シェラザードの鞭に時、オリビエの導力銃に水の属性を宿した事で地力の底上げがされた。
よって貴様等では相手にならんが、やると言うのならば相手になってやる。一発かましてやれ、エステル。



「魂まで焦がされる覚悟なあるなら、掛かって来なさい!」

「遊撃士は殺し御法度なので命は取りませんが、骨の一本位は覚悟して貰いますよ。」



エステルが決め、ヨシュアが追撃して見事な見栄になったな……だが、此れは只の見栄ではなくて、割とガチだからな――大怪我をする前に降参
する事をお勧めする。
と言っても、聞かないだろうけれどね。……仕方ない、相手になってやるが、その身で知るが良い――夜天宿した太陽の娘の力が如何程であるの
かと言う事をな。










 To Be Continued… 





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