話は本編より2年ほど前に遡る。
当時、アメリカで武者修行中だった遊哉は、その修行中に遊星と出会いデュエルを通じてすっかり親友になっていた。
この日もテキサスで行われているタッグデュエル大会に2人で参加し決勝まで上り詰めていた。
「レベル7のツインブラスト・ドラゴンに、レベル1のドラコ・ヴェーラーをチューニング!
燃え盛る紅蓮の双眸、そして灼熱の牙よ、全てを焼き払い此処に降臨せよ!シンクロ召喚!烈火の化神『炎龍皇−アグニ』!」
『うむ…終わらせてくれよう!』
炎龍皇−アグニ:ATK2900
遊哉がエースを呼び出す。
遊星も既にエースである『スターダスト・ドラゴン』を召喚している。
「この瞬間にトラップ発動『スターダスト・オーバードライブ』!
俺の場にスターダストが存在する時、フィールド上のモンスター1体の攻撃力を3倍にする!この効果を『炎龍皇−アグニ』に適応!」
『見事だ不動遊星!』
炎龍皇−アグニ:ATK2900→8700
更にトラップで強化。
遊哉と遊星の連携は全米でもトップレベルになっていた。
「バトル!炎龍皇−アグニで、仮面魔獣マスクド・ヘルレイザーに攻撃!焼き尽くせ『インペリアル・ストライク・バスター』!」
『散れい!!』
強烈な一撃が炸裂し、相手タッグのライフは0。
此れで3つ目の州制覇だ。
「強いわねあの2人…」
「あぁ、あいつ等となら満足できそうだ!」
そのデュエルを観客席から見ている1組の男女がそんな話をしていた。
『チームサティスファクション』
「此れで3つ目の州制覇だ!俺達で全米制覇してやろうぜ遊星!」
「あぁ、其れも良いな。」
デュエルを終え、遊哉も遊星も上機嫌。
この大会は楽しめたし、何より優勝できたのだから尚更だ。
遊星と知り合って1年。
遊哉が渡米してからは2年が経ったが、その僅か2年の間にこの2人の名前は全米に轟いていた。
州大会の様な大きな大会こそ3つ目の制覇だが、それ以外の小さな地区大会でもこの2人は破竹の勢いで勝ち続けている。
タッグででれば無敗街道、シングル大会でも遊哉と遊星がトップ2(順位は毎度変わるが)。
その活躍はデュエル雑誌で取り上げられる程だ。
故にこの2人は現在アメリカでも最も有名かつ強力なデュエリストであるのだ。
遊哉の言う『全米制覇』もあながち夢物語では無いだろう。
「全米制覇か…満足できるなその夢は。」
「貴方達ならビッグマウスで終わりそうには無いわね?」
その2人に話しかけてきたのは、先程のデュエルを客席で見ていた2人組。
銀髪にバンダナの長身の男と、長い金髪の美女だ。
「…誰?知り合いか遊星?」
「いや、知らないが……俺達に何か用か?」
遊哉も遊星もこの2人の事は知らない様子。
何らかの目的があって声をかけてきたのだろうが…
「さっきのお前達のデュエル、心の底から満足できたぜ…だが、更なる満足を望まないか?」
「「は?」」
「俺は鬼柳京介。チームデュエルに参加するためのチームメンバーを捜してるんだが、中々満足行くデュエリストは居なくてな。」
「彼のお眼鏡に適ったのは今のところ私――シェリー・ルブランだけらしいのよ。
チームデュエルの参加条件は、最低でもチームメンバーが3人居る事――今のままでは足りないわ。」
如何やらこの2人――鬼柳とシェリーはチームデュエルに参加する為のチームメンバーを捜しているらしい。
中々満足行くデュエリストが居なかったようだが、遊哉と遊星は眼鏡に適ったようだ。
「成程…其れで俺達をスカウトって事か?チームデュエルってのも面白そうだが…如何するよ遊星?」
「良いんじゃないか?シングル、タッグと来たらチームで大会を制覇するのも面白そうだ。」
2人とも乗り気の様子。
普通なら、行き成り声をかけてきた事を怪しむだろう。
だが、遊哉と遊星は即座に鬼柳とシェリーが纏う『デュエリストのオーラ』を感じ取ったのだ。
本物のデュエリスト同士が対峙すれば、其れは隠しても隠しきれるものではない。
そしてデュエリストにとってそのオーラは言葉以上に信用できるものなのだ。
ならば即チームを組むかと問われれば其れは否。
如何にデュエリストとして本物であろうとも、実際に戦わねば実力は未知数だ。
「だが、だからと言って『はいOK』ってのもつまらねぇよな?つー事で…遊星!」
「あぁ。…オイ、デュエルしろよ。」
だから先ずはデュエル!
寧ろデュエリストなら常識だ!
「そう来なくちゃ満足できないぜ。」
「なら、タッグデュエルで行きましょうか?」
勿論、鬼柳とシェリーも断りはしない。
デュエリストたるものカードで語って何ぼである。
「それじゃあ行くぜ!」
「「「「デュエル!!」」」」
遊哉&遊星:LP4000
鬼柳&シェリー:LP4000
これが後に世界的に有名になる『チームサティスファクション』の面子の初邂逅であった。
――――――
結果を言うとチームは結成となった。
デュエルの結果は遊哉と遊星がギリギリで勝利。
だが、そのデュエルで互いの実力が分りチーム結成に至った。
それから『チームサティスファクション』の怒涛の快進撃が始まったのだ。
この4人は元々個々のデュエリストレベルが滅茶苦茶に高い。
それゆえに初期は3タテとかはザラ。
だが、その内に所謂『チームでの戦い方』をも学び、正に無双チームとなりあがっていた。
事実、アメリカ全土で『チームサティスファクション』を倒したチームは0と言う状況だったのだ。
が、強いチームは他のチームから妬まれるも道理。
この日も大会で大勝ちしたチームサティスファクションだが、会場を出たところで大会で戦った数チームに囲まれていた。
「調子ニ乗ルナヨ、ジャップト小娘ノ分際デ!」
「お前達はここで叩き潰してやる!!」
愚かとしか言いようが無い。
デュエルで負けた腹いせを、暴力的に行うなど言語道断だ。
此れでは負けて当然だろう。
だが、この4人はこんなことでは怯まない。
「オラァ!!」
「ふっ!」
「らぁ!!」
「はぁ!!」
目の前でナイフやら出してた4人を1人1倒!
一撃の下にKOだ。
「デュエルに負けた腹いせか?満足できないぜ。」
「つーか、負けて悔しいなら修行して来いアホンダラ。大体デュエリストの誇りが爪の先程でもあるならデュエルで挑んで来いよヘタレ共が!
其れも出来ねーで闇討ちなんぞ言語道断愚の骨頂!敢えて言おう『カス』であると!!」
「…絶好調ね遊哉?」
「緋渡だからな。」
遊哉の毒舌と悪者は健在である。
だが、この状況では襲ってきた相手を逆上させることにしかならない。
最も其れを狙っている訳でもあるのだが。
「ガキが!!打ち殺してやる!」
「やってみろボケナス!喧嘩でもデュエルでもテメェ等如きにはまるで負ける気がしねぇ!」
「クソガキがぁ!!良いだろう、俺達全員とのバトルロイヤルデュエルだ!」
「ボッコボコにしてやるぜ!!」
予想通り逆上して、デュエルを選んできた。
バトルロイヤルルールなら、全員で結託すれば勝てるとでも思ったのだろう。
だが、それは甘い考えだ。
不○家のケーキにはちみつとガムシロップをぶっ掛けたくらいに甘い考えだ。
「タコが、バトルロイヤルだろうと俺達に勝てると思ってんのか?」
「彼等には言うだけ無駄よ。…せめて格の違いを教えてあげましょう。」
「満足には程遠い相手だが…」
「このデュエル、受けて立つ!!」
チームサティスファクションには恐れなど無いのだから。
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「炎龍皇−アグニ/バスターで攻撃!『ブレイズ・エンペラー・キャノン』!」
「スターダスト・ドラゴン/バスターの攻撃!響け『アサルト・ソニック・バーン』!」
「貴様等では満足には程遠い…焼き尽くせオーガ・ドラグーン、『煉獄混沌劫火』!」
「此れで決まりね…聖龍騎士−ドラゴ・ヴァルキリーで攻撃。『スパークリング・ランサー』!」
「「「「「「「「「「「「「「「「うおわぁぁぁぁぁ!!!」」」」」」」」」」」」」」」」
襲撃者達:LP0
戦力差は1:4でのバトルロイヤルでもマッタクの余裕。
圧倒的な実力差での完勝。
因みに全員のライフを言うと…
遊哉:3400
遊星:3800
鬼柳:3550
シェリー:3500
である。
この戦力差を考えると、誰1人として1000ポイント以上削られていないは正直に驚愕に値する。
尤もこの程度の連中ではそもそものレベルの差が凄まじいのも有るのだが…
「ふぅ…お前達程度では満足できないぜ。」
「ガチで弱すぎんだろ?街でデュエル楽しんでるガキ共の方が万倍強いぜ多分。」
確かにそうだろう。
デュエルでの『勝ち』にのみ固執し、大会の賞金や名声に目がくらんだものなどは所詮この程度だ。
だが、この一軒は全米のデュエル界に大きな旋風を巻き起こした。
何を隠そう、チームサティスファクションを襲った連中は、大会主催者が用意したデュエルギャング。
大会を裏から操作するために出場させていた雇われ集団だったのだ。
だが、それらが軒並み叩き潰され、更には大会後の襲撃まで失敗。
挙句の果てには警察に突き出された連中から、大会主催者にまで捜査の手が伸びあえなく御用。
此れを知った悪徳プロモーターは大慌て。
表面上は『綺麗な大会』を演出していたが其処にチームサティスファクションが現れたら大変だ。
雇ったデュエルギャング、カードプロフェッサーをも打ち倒すその実力。
更に、大会後に襲撃かけても返り討ちにされる確率のが高い……正に悪夢のようなことだ。
だからと言って大会を開かなければスポンサーから苦情が来る。
結果、悪徳プロモーター達は興行の健全化をせざるを得なかった。
奇しくもチームサティスファクションの存在が全米のデュエル大会の健全化に一役買っていたのだ。
――閑話休題
そして、遊哉が渡米して3年が経ったある日…
「此れで終わりだ!救世炎龍神−イグニスで、イビリチュア・リヴァイアニマに攻撃!『救世のイグニッション・ストライク』!」
『此れにて終焉よ…滅せい!』
――ゴォォォォォ!!!
「うわぁぁぁぁ!!!」
LP2700→0
攻撃力が16000にまで上昇したイグニスの一撃で決着!
このニューヨークでの全米大会でもチームサティスファクションは優勝!
相手チームも強豪であったため一進一退の攻防だったが、最後は遊哉がキッチリと決めた。
この瞬間にチームサティスファクションの『全米制覇』が達成されたのだ。
因みに遊哉と遊星は既にシングルとタッグの方にも出場して優勝掻っ攫っている。
シングルでは遊星が優勝で、遊哉が準優勝だった。
『決まった〜〜〜!!!優勝はチームサティスファクション!
全米を又にかけた不敗のデュエルチームが遂に全米制覇を成し遂げた〜〜〜!!!!』
実況は毎度お馴染のMC。
この人は世界を又に駆けたMCであるようだ。
「遂にやったな…大満足だぜ!」
「えぇ、最高の気分だわ。」
「一つの目標を達成したな。」
「俺達なら出来ない道理はハナッからねぇけどな!」
全米制覇には勿論大満足。
だが、この面子はこれでも更に上を目指す。
活動拠点こそアメリカが主だが、世界各地への進出がここから始まったのだ。
勿論世界に出てもその強さは変わらず、南米、ヨーロッパ、中国、ロシア…各地を制覇しまくった。
この快進撃は、遊哉が日本に帰国するその時まで続く事となるのだった。
――――――
「と、まぁ大体こんなもんだぜ?」
「いや、チームサティスファクションの噂は聞いてたけど実際凄いわねアンタ等?」
そして現在、チームサティスファクションは新たに迦神霧恵と十六夜アキを加え『チーム遊戯王』として『WRG1』に参加している。
決勝トーナメントへの出場権は既に得ている。
そんなある日の会話で、チームサティスファクションの事が話題に上がり色々話していたのだ。
「けどそうなるとシェリー達が来たのって…」
「そうよ。あの時なしえなかった『世界制覇』をなすため。」
「『WRG1』はライディングデュエルの世界大会だ。此れでの優勝はイコール世界制覇だからな。」
其れから色々と話が広がる。
鬼柳とシェリーが童実野町を訪れたのも、チームサティスファクションで成し遂げられなかった世界制覇をなすため。
WRG1は格好の舞台だったのだ。
「世界制覇…良いと思うわよ?ファントムとか色々あるけど、どうせなら一番になりましょう!」
「ったりめーだ!チームサティスファクションを上回るこの面子だぜ?出来ねぇ道理はねぇ!!」
目標はただ1つ、優勝での世界制覇。
ファントムという厄介な存在があるが、この面子にはそんなもの障害にすらならないだろう。
数日の後、彼等の目的は達せられるのだった。
END
後書き座談会
吉良「つー事で隠しキリ番154649のキリリクだ!つーか久々に隠しキリリク来たなオイ!!」
遊哉「隠しは踏み逃げされまくりだったからな…」
遊星「今回のは過去の話か?」
吉良「まぁリクで『アメリカ時代のサティスファクション』てことだったら。
ただ、そうなるとデュエルがどうしてもダイジェストになっちまうのはご愛嬌…全部なんて書けねぇよ!!」
シェリー「ぶっちゃけたわね…まぁ気持ちは分るけれど。」
鬼柳「まぁ、デュエルは文章量が増えるからな…それにしても俺の容姿は…」
吉良「アニメでのサティスファクション時代のあれで。
ただ、補足しとくと遊哉が帰国する頃には今の『クラッシュタウン』の状態に成ってるということで一つ。」
鬼柳「成程な。」
遊哉「しっかし改めてこの面子トンでもねえな…俺を除いて原作の強豪組じゃねぇか、遊星は無双だしな。」
遊星「先ず負けることが想像でき無いんじゃ無いか?」
吉良「負けるはずが無かろう!!!本編のチーム遊戯王だって『負けるかゴルァ』なんだから!
序でに言うと、チームメンバーは全部俺の好みによる独断!鬼柳もシェリーも大好きなんだよ!!」
シェリー「…ある意味で私と京介は救済されたのかしら?」
鬼柳「そうかもな…まぁデュエルできるなら満足だ。」
吉良「そんな訳で本編のほうもガンガン飛ばすから付いて来いよお前等!!」
遊星「あぁ、勿論だ!」
遊哉「ガンガン行こうぜ上等だぜ!」
吉良「ライディングデュエル…」
「「「「アクセラレーション!!」」」」
座談会終了