童美野町の一角にあるコンドミニアム。
遊哉、遊星、霧恵、アキ+3人娘が生活してる此の場に辰美レンによって1通の広告がもたらされた。
そして此の広告が、童美野町に起こる厄災の元凶だとは、このとき誰も気付いていなかった…
『TDで萌え尽きろ!』
「タッグ・デュエルの大会、ね。」
レンが持ってきた広告を見ながら面倒くさそうに声を出す遊哉。
どうにも乗り気でないらしい。
「おんや?興味なしかい?」
「いや、その日は既に予定が入ってる。確か霧恵も予定入ってたよな?」
「うん。その日はラジオの『週間デュエリスト』の収録。ゲストとしてね。」
各々予定を告げる。
2人が出場しにことにがっかりしながらもレンは遊星とアキに視線を移す。
「遊星とアキっちはどうだい?」
「タッグデュエルか、面白そうだな。出場してみようか。」
「私も出るわ。遊星と一緒に。」
何やら力の篭ったアキの一言。
思わずレンもその迫力に冷や汗を流す。
「俺とで良いのか、アキ?」
「遊星とが良いの♪」
「そうか…」
遊星にピッタリくっ付いてるアキに誰も何も言えない。
そして数日後、童美野町は恐ろしい事態に巻き込まれる事になる…
――――――
――大会当日
「お疲れ様でした〜。」
『週間デュエリスト』の収録を終えた霧恵はスタジオを後にする。
「お疲れさん。」
で、外ではD・ホイールと共に遊哉が待っている。
「仕事終わったの?」
「速攻で終わらせた。兎に角会場に行くぞ、途轍もなく嫌な予感がする。」
「遊哉もなんだ。あたしも凄く嫌な予感がする。」
果たして2人の『嫌な予感』は的中する事になる。
遊哉からヘルメットを受け取った霧恵はそのまま遊哉のD・ホイールの後ろに腰掛ける。
「行くぜ!!」
掛け声と共に漆黒のD・ホイールはタッグ・デュエル大会の会場へと疾走した。
――――――
「…まさか此処までとは。」
「どこまで遊星Loveなのよアキ…」
会場に着いた遊哉と霧恵は絶句した。
会場は全体がピンク色に染め上げられそこ等じゅうに『ピンク・オーラ』と『薔薇』と『ラメ』が見て取れる。
ほぼ間違いなく遊星とアキから発せられているこれらに観客は既に瀕死。
2人の対戦相手もまともにデュエルが出来ているかはかなり謎。
「ブラック・ローズ・ドラゴンが…」
「えらく『ファンシー』になってるな。」
本来ソリッド・ヴィジョンで現れるモンスターの映像は一定であるはずがえらく『ファンシー』なものになっている。
分かりやすく言えば子供の『お絵かき』みたいな状態か?
そんな状態なのに遊星の『スターダスト』は普通なままなので違和感バリバリである。
「私のターン♪ブラック・ローズ・ドラゴンでゲート・ガーディアンを攻撃♪」
「此の瞬間トラップ発動『スターダスト・オーバー・ドライブ』!スターダストが存在するとき場のモンスターの攻撃力を3倍にする!」
ブラック・ローズ・ドラゴン:ATK2400→7200
「遊星…」
「アキ…俺達に負けはない。」
「当たり前♪『ブラック・ローズ・フレア』♪」
――ゴォォォォ!
「「甘すぎ〜〜〜!!」」
LP2000→0
「…『ブラック・ローズ・フレア』?」
「ピンクだった。」
「次決勝みたいだけど…」
「対戦相手死んでる。」
控えていた決勝戦の相手は今のデュエルを観戦中にアキの『サイコ・ラブ・パワー』に当てられダウン。
デュエルは不可能だ。
「MCのおっさんも自慢のリーゼントが屁垂れてる…」
「被害甚大よね。」
こうしてる間も既にデュエルが終わったリング上ではアキが遊星に抱きついたりしてラブ・オーラを放出しまくっている。
「霧恵…止めよう!」
「そうね。童美野町の平和のために!」
そこからは早い。
あっという間に飛び入り参加を表明し決勝戦は遊星・アキ組vs遊哉・霧恵組となった。
「此の自覚無しのバカップルが…!」
遊哉の此の台詞を皮切りにデュエルは開始された。
――――――
「マスタ〜、もう終わりにしましょう〜(泣)」
「主よもう耐えられぬ…」
「もう少しだけ頑張ってくれ…あの馬鹿2人を倒すまで…!」
「霧恵〜もう帰りたいよ〜(大泣)」
「アタシも限界だぜ。少しは迷惑考えろよ、あの馬鹿野郎共!」
「御免、エリア、ヒータ…町の為にもうちょっと頑張って。」
遊哉&霧恵:LP1800
炎龍皇−アグニ:ATK2900
ガーディアン・エアトス:ATK2500
水霊魔導師−エリア:ATK2500
火霊魔導師−ヒータ:ATK2900
「2人が出てきたときは驚いたが…」
「今の私達に敵は無いわ♪」
遊星&アキ:LP3000
スターダスト・ドラゴン:ATK2500
ジャンク・デストロイヤー:ATK2600
ブラック・ローズ・ドラゴン:ATK2400
魔天使−ローズ・ヴァルキリー3200
結構開いているライフ・ポイント。
油断したわけではない。
想像以上にきつかったのだ『ラブ・オーラ』が!
其れに当てられながらも今までの対戦相手の様に一方的にやられてないのは流石である。
「お、俺のターン。き、霧恵此のターンで終わらせるけど良いよな?」
「寧ろ終わらせて。もう限界。」
結構一杯一杯だった。
「終わらせる?此のターンでか。」
「ふふ、面白いわね。」
そう言いながら遊星の腕に絡みつくアキ。
アル一部分が強烈に押し当てられてるのは気のせいではないと思う。
尤も遊星はいつものクールな姿勢を崩さないが…
「うふ、照れてちゃって♪」
「「分かるのかい!!」」
「当然よ。遊星への『愛』なら誰にも負けないわ!」
言い切った!!
「いちゃつくのは少し控えろ此の馬鹿野郎!!俺は手札より魔法カード『龍皇結束絶対力』と『解龍の儀』を発動!
『龍皇結束絶対力』で場のモンスターの力をアグニに集中し、『解龍の儀』で攻撃力を倍にする!」
「此れで終いだ、たわけ共!!」
炎龍皇−アグニ:ATK2900→21600
「更に速攻魔法『霊魔導師の洗礼』を発動!あたしの場に霊魔導師が2体以上存在するとき場のモンスターの攻撃力を3倍にする!」
「やっちゃってアグニさん!」
「ぶっ飛ばせ炎龍皇!」
「承知!任せておけい!」
炎龍皇−アグニ:ATK21600→64800
「バトルだ…!アグニでスターダストを攻撃!『インペリアル・アルティメット・バスター』!!」
「トラップ発動『くず鉄のかかし』!モンスター1体の攻撃を無効にする。」
「流石だわ遊星♪」
「一々いちゃつくなぁ!!カウンタートラップ『ドラゴン・ガスト』!俺の場にドラゴンが居るとき魔法・罠の発動を無効にする!」
「「!!」」
前のターンに伏せた罠はあえなく無効にされてしまった。
此れで遊星とアキを守るカードは0だが…
「負けるモンですか…ブラック・ローズ・ドラゴン!『ブラック・ローズ・ガイル』!!」
「な…!」
「ちょ、ちょっと!!」
「遊星と一緒の時に負けられないのよ〜〜!!」
ルール無視。
アキのサイコ・デュエリストとしての力が暴走し(恐ろしくファンシーな)ブラック・ローズ・ドラゴンが効果を発動する。
「ふ、ふざけんな〜〜!!」
「此の脳内ピンクカップル〜〜!!」
その日、童美野町から1つのスタジアムが消滅した…
――――――
「えっと、その御免ね?」
「すまない。少し調子に乗ったみたいだ。」
「「……」」
童美野中央病院。
その1室には遊哉と霧恵が入院中。
スタジアム崩壊の時、遊星とアキは、アキの力で無事だったがサイコ・デュエリストではない遊哉と霧恵は思いっきり巻き込まれた。
まぁ精霊が守ってくれたおかげで死にはしなかったが…重傷で入院である。
「アレで『少し』…ね。」
「しばらくデュエルは出来そうに無いわね。」
「「う…(汗)」」
棘がたっぷりの一言に何も言い返せない。
付け加えとくと当日観客としてきていたレンと3人娘もしっかり入院している。
こっちは精神ダメージ付きで。
「兎に角だ…」
「「お前(あんた)等今後一切タッグ組むの禁止!!」」
「そ、そんな…!」
「アキ、仕方が無い…悔しいが受け入れよう。」
「遊星…」
「アキ…」
――ブチッ
見詰め合う遊星とアキに遊哉と霧恵の何かが完全に切れた。
「「一々いちゃつくなつーの!!」」
此の絶叫は病院全体に響いたと言う。
童美野町は概ね平和のようである。
終わり
後書き座談会
吉良「先ずは色んな方に此の場を借りてお詫び申し上げます。主にリク主のkou氏に!」
アキ「まさかこんなものになるなんて。」
霧恵「でも、これ無茶は無茶だったんじゃない?」
遊星「そうなのか?作者の力不足と思うが…」
遊哉「はっきり言っちゃいかんて。まぁ遊星×アキで砂吐き甘ってのは難しいとは思う。」
吉良「てか此れが限界。アキは兎も角遊星のキャラ崩壊は無理。」
アキ「私は良いの?」
吉良「だってアンタ遊星の事になると周りが見えなくなるもん。」
遊哉「原作でもそんな事があったな。」
遊星「俺が誘拐された時だな。」
吉良「そうそれ。まぁ今回は流石に壊しすぎたとは思ってる。全国の十六夜アキファンマジでスマヌ。」
アキ「まぁ暑さで脳味噌もやられてるわね。勘弁してあげるわ。」
吉良「ありがとう。」
霧恵「取り合えず最後に何か言って終わりにしたら?」
吉良「だな…じゃあ…『チーム・ラグナロク』なんて噛ませ犬だ!!」
「「「「!!!!!!!!!」」」」
吉良「あ〜スッキリした。」
座談会終了