今回の舞台は、本編StS軸よりも少しばかり未来の世界。
JS事件が無事解決し、遊星とはやてがレーシャを自身の娘として引き取り――そして遊星とはやてが結婚し、3人が家族となった世界が舞台だ。


その世界も本日は2月14日…俗にいうバレンタインデーだ。

その日、不動家のキッチンでは…

「準備はええなレーシャ!遊星に最高のチョコレートをプレゼントすんで!!」

「おーーーーー!!」

遊星大好きな母子が、天下無敵にして最強のバレンタインチョコレートを作るために気合を入れていた。

うん、気合を入れるのは構わないんだけど、君達の気合の熱気で材料のチョコレートが溶けかけてるから少しばかり抑えようか?


「溶けかけてる?湯煎する手間が省けたわ!!レーシャ、ボール用意してや!」

「了解ですお母さん!!」

…うっそ〜〜ん…其れで良いの?…確かに手間は省けるかもだけどさ…

「うん、良い感じに柔くなってるから此れなら加工はよりしやすい筈やな。
 さて、レーシャ……レーシャが心を込めて一生懸命作ったチョコレートやったら、遊星は必ず貰うやろが、味は遊星の好みに合わせなあかん。」

「うん!お父さんが一番好きな味にしたいもん!」

「良い心がけやな――流石は私の娘や♪
 ほな遊星の好みやけどな…遊星はミルクの有無で言うたらミルクは入ってる方が好みやけど、甘さは控えめの方が好きなんや。
 言うなれば『ビターミルクチョコレート』…此れが遊星の好きなチョコレートの味や!」

「ビターミルク…うん、分かった頑張る!!」

微笑ましいねぇ…
て言うか幸せ者だな遊星よ……こんな美人の奥さんと、可愛い娘が居るんだからよぉ!!!!!!!!

まぁ、これも主人公補正と言うのだろうね…お互い好きあってんだから何も言わねぇ…

でだ、その遊星は、今日も今日とてお仕事なのだが……果たして大丈夫かね?…バレンタインだけれどもさ…











『バレンタインLove』










「随分と大荷物だなクロウ?」

「ぶっちゃけ予想外だコイツは……。
 スバルやノーヴェから『家族チョコ』が来るだろうとは思ってたんだが…まさか新人の女の子からこんだけ貰うたぁ思わなかったぜ。」

さて、管理局では意外や意外、クロウが物凄い量のチョコを手にしていた。
本人の言うように、スバルやノーヴェ…ナカジマ6姉妹からの家族チョコは覚悟していたし、貰う心算は当然あった。

補足しておくと、事件後クロウはゲンヤの申し出を受け『クロウ・H・ナカジマ』としてナカジマ家の一員となっている。
更に、事件後に、チンク、ディエチ、ウェンディの3人を引き取り、今ではナカジマ家も一家8人の大家族!
その中で長男的立場のクロウは面倒見がよく、すぐさま6人の妹達に懐かれる結果となった――あくまで兄としてだが。
そのクロウに妹達からの『家族チョコ』が来るのは当然のことだが…まさか教導している新人の女の子達からも来るとは思っていなかったようだ。

無論このチョコにも本命は1つもなく、クロウへの普段の感謝を込めた物ばかり。
同様のものは、同僚のなのはとヴィータも貰っているから間違いないだろう。

「けどよ遊星、俺からすればお前が1つもない方が意外だぜ?
 お前の事だから、モノスゲェ数のチョコレートが来ると思ったんだけどよ…」

「あぁ、其れは逆に俺だからじゃないか?
 俺とはやてが結婚した事は管理局員なら誰でも知って居るからな…妻子持ちに態々バレンタインのプレゼントをする奴なんて居ないだろう?
 今でも俺に渡してくるのは技術部のマリー位さ……チョコレートと一緒にデバイスの強化案も一緒に入っているがな。」

「なんつーかマリーらしいプレゼントだな…」

遊星へのチョコが無い事も、クロウは説明されて納得していた。
遊星とはやてのラブっぷりは管理局でも有名である。

特に結婚直後は、主にはやてが発する『Love』オーラに中てられて、救急搬送された管理局員が何人もいた事は記憶に新しい。
更に、遊星からする事は滅多にないとはいえ、はやてからせがまれると……してしまうのだ――キスを。

勿論公衆の面前では控えるが、2人きりの場所ならば話は別。
其処に出くわして砂を吐いてKOされた局員の数は推して知るべしだ。






閑話休題





ともあれ、そんなこんなで遊星はその人気とは裏腹にバレンタインのプレゼントの数は極端に少ないのだ。
そもそも、はやてと同期のなのはとテスタロッサ姉妹ですら遊星には『友チョコ』も渡さないのだから他の女性局員が自粛するのも頷ける。
但しマリーだけは例外だが。


「で、オメェは今日は如何すんだ?
 俺はなのはとヴィータと一緒に、仕事終わったら飲みに行く予定なんだけどよ。」

「まっすぐ帰るさ…途中ではやてに買い物を頼まれるかもしれないがな。」

「か〜〜〜…すっかり夫で父親だなオメェは!!ま、そっちのがオメェらしいかもな!
 寄り道しないでまっすぐ帰って、カミさんと娘とバレンタインデーの夕飯を楽しめよ?」

「その心算だ。」

本当に良いお父さんで夫だねぇ遊星君や。
仕事が終わって寄り道もしないで家に帰るなんて一家の大黒柱の鏡ですよホントに!!
世のおやじ連中は遊星を見習え!本気で見習え!!ガチで見習えオンドリャアアァァァァ!!!!



はぁはぁ、スッキリしたあぁ!!

まぁ、遊星に言わせれば此れくらいは普通の事なんだろうね。
さて、不動家では一体何が待っている?








――――――








と、言う訳で不動家――と思っただろう?………………甘いわぁ!!
此処はミッド市街地のとある居酒屋!
しかも地球の日本にあるような、正真正銘の居酒屋である!!……もうお分かりだろう?
不動家の前に、先ずはなのは、ヴィータ、クロウの教導官3人組の今宵の宴からである!!

「しっかしなのはよぉ……来ちまってから言うのもなんだけどヴィヴィオの事は良いのか?」

「大丈夫だよ〜〜…って言うかヴィヴィオに『偶にはクロウ教官達とゆっくりしてきて』って言われちゃった。」

「できた娘だなオイ…」

ホントにね。
まぁ、今日は多分T&Hでテスタロッサ家と一緒なのでしょうよ――あそこには『美由希伯母(ギンッ)…お姉さん』もいらっしゃいますので。(大汗)

…今の殺気は一体…

で、だ。
この教導官3人組は居酒屋に来ているが、元々ガンガン飲むタイプではなくチビチビ行くタイプななのでそれ程酔っていない。
まぁ、ほんのりと頬が染まっているなのはは無茶苦茶色気がありますけどね。

「ん〜〜、ヴィヴィオは本当によく出来た娘かも♪
 其れより、クロウ君の方こそ良いの?スバル達が今晩張り切ってると思うんだけどなぁ?」

「実際張り切ってるが――其れの相手は俺じゃなくてオヤッさんの方だ。
 俺は朝にあいつ等から貰ったが、オヤッさん最近忙しくて家にあんまし帰ってきてねぇからなぁ〜…久しぶりに全員揃うからな。
 ついでに、法的に酒が飲めるのは俺だけだから、晩酌の相手をしろって…少しばかり遅く帰って来いってよ。」

「皆色々考えてんだな〜〜……アタシん所は昨日の夜が大参事で、クロウへの友チョコ1個用意するのがやっとだったぜ…」

その理由は滅茶苦茶想像がつきますね!
大方『最終兵器』シャマルが何かやらかしたのでしょう!!そうに決まってる!!

「あぁ……アイツ、チョコレートを溶かすのに湯煎じゃなくて、鍋にチョコレートぶっこんで火に掛けやがって……そんでもってファイヤーだ…」

「チョコレートが焦げ付いて火を噴くって相当だと思うんだけど…」

「つまり、その大参事の中で作り上げた労作ってこったなコイツは…大事に喰わせていただきます!!」

そうしてやってくれ…
しかしあれだなぁ?なのはとヴィータ…美女と美少女に囲まれている構図なのに全く甘さが欠片もないのは何でだ!?
矢張りクロウだからか!?クロウに恋愛フラグやスイート展開は必要ないとそういう事なんだな!?
未来永劫『良い兄貴』ポジションで、生涯独身を貫くと言うのだなーーーーーーー!?

「生涯独身……」

「アタシ等ってそれが微妙に…」

「ひ、否定できねぇ……!」

あら…意外とクリティカルだったみたいね…(汗)

「生涯独身で悪いかーーーー!オヤジ、焼き鳥の盛り合わせ追加!それからもつ煮と刺身も!!」

「から揚げとポテトも追加お願いします!!」

「あと、ピザもな!それから生大ジョッキで3つ!!!」


あ〜〜〜〜…火が点いちゃった。
まぁ、如何言う訳かべろんべろんにならない連中だから大丈夫でしょうな♪

……時にヴィータは一応こういう店に入る時には変身魔法で大人になる訳ね…納得。
んじゃあ、本命行こうか本命!!








――――――








「ただいま。」

「「おかえり〜〜〜〜♪」」

時はちょいと巻き戻って、PM6:00。
不動遊星只今帰宅である――はやてとレーシャが揃ってお出迎えは基本なんだろうね〜〜。
てか、はやては今日は非番だったのか……まぁそうじゃなけりゃ、朝っぱらから娘とチョコレート作りなんぞせんか。

「ほら、早く上がってお父さん♪」

「レーシャ?如何したんだ一体?」

「良いからこっち♪」

あ〜〜〜、レーシャの気持ちは分かるな。
一生懸命作ったチョコレートを一刻も早く、大好きな遊星に渡したいんだよねぇ〜〜。

「はいお父さん、ハッピーバレンタイン♪」

「此れを渡したかったのか。
 ん?このラッピングは既製品じゃないな……若しかしてレーシャが自分で作ったのか?」

「うん!」

「そうか…開けてもいいか?」

「是非♪」

いやぁ、ほんわかした良い家庭だねぇ〜〜〜〜…てか遊星がものすごくいいパパになってるなぁ〜〜…
んで、開封!!


うん…まぁ何て言うかアレだね。
箱に詰まってたのは王道的なトリュフチョコレートなんだけど、大きさは不揃いで、形も歪な物があるけど『一生懸命作った』事は良く分かるね。
はやても敢えて直さなかったんだろうねぇ?…自分が手を加えてたらレーシャの作品じゃなくなっちゃうからね。

「レーシャ…ありがとう、俺の為に頑張ってくれたんだな。食事前だが1つ食べてみてもいいか?」

「え〜〜と…」

「えぇよ。寧ろ食べてみてや♪」

はやても良いお母さんですねぇ〜〜。
して、御味は如何ですか遊星君や?

「………美味いな、俺の好みの味だ。」

「良かった〜〜〜〜〜♪」

良かったねレーシャ。
君の頑張りは遊星に届いた!!

「ふっふっふ…其れで驚いたらアカンで遊星?
 今日の晩御飯はなぁ…レーシャに手伝ってもらって作ったハンバーグカレーや!」

「本当か?其れは嬉しいな。
 はやてのカレーとハンバーグは本当に美味しいからな。レーシャも手伝ったなら、更にグレードが上がっているかもしれないな。」

「ふふ〜〜ん、ハンバーグに私のアイデアが採用されてるんだ〜〜♪」

「其れは楽しみだな。」


……何この絵に描いたような幸福ファミリー。違和感が全くない!!
血の繋がり以上の絆が、不動家にはあるみたいだね。

ま、取り敢えずはやてとレーシャが心を込めて作ったバレンタインディナーを楽しむと良いさ。








――――――








時は進んでPM10:00。
食事はとっくに終わり、レーシャは既に夢の世界に旅立ったようだね。

因みにハンバーグに採用されたレーシャのアイディアってのは『詰め物』だったらしい。
其れもよく知られているチーズを仕込むのではなく、磨り潰した豆腐にクリームチーズとスモークサーモンを混ぜ込んだ特製の種を詰めたらしい。
流石、普段からはやての料理を身近で見ているだけあって、その辺のスキルは習わずとも見る事で向上しているらしい。

まぁ、そのレーシャは頑張りを存分に遊星に褒めてもらって、最高の気分で眠っている事だろう。

んで、リビングには遊星とはやてが2人きりなのだけれども…


「はやて、今年ははやてからは貰えないのか?」

如何やらまだ大本命からは貰っていなかったらしい!
いや、多分ここまで引っ張っただけだと思うんだけどね?

「勿論あるに決まってるやろ?ちょお待ってな〜〜……うん、良い感じに固まってるな♪」

え〜〜と、グラスに入った其れは『スティックチョコ』ですよねぇ?
此れはまた何とも味気ないと言うかシンプルなプレゼントで…

「スティックチョコレート?」

「そうや♪…で…ハッピーバレンタイン♪」

待てコラ何してんのアンタ!?スティックチョコ銜えて差し出すとか何考えてんのさ!?

「あぁ、ありがとう。」

ってお前もだ遊星〜〜!!!
普通に反対側から食べ始めるなよ!!拒否れよ!!アンタそんなキャラじゃねぇだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?

い、いや…だが待て、スティックチョコは強度が低いから折らずに食べるのは至難の業…行き成り巧く行くはずが…


「「ん……」」
――ちゅ


って一発目から成功した!?
こんな所で公式チート主人公補正発揮してんじゃねぇよ遊星よぉ!!

「味はどないや?」

「甘いな…だが、この甘さは嫌いじゃない。」

「良かった…まだ沢山あるからな♪」

ジーザス……こいつらガチだ…ガチで合計20本のスティックチョコを『ポッキーゲーム』で食べつくす心算だ…!!
だ、誰か〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



で、10分後!!
こ、コイツ等20本全部――只の1本も失敗する事なくポッキーゲームで食い切りやがった…!!
5本目あたりから、唇合わさってる時間の方が長くなってたのは多分気のせいじゃねえよな…この万年新婚夫婦が!!!

「美味しかったな。」

「はい、お粗末様や♪///

だが、やっと終わった…此れでバレンタインデーも…

「そんでな遊星…まだバレンタインのプレゼントはあるんよ?」

………なんだと?
ってはやてさん、なんでシャツのボタンを外す!?そしてその手のリボンはなんせうか!?(驚)

「バレンタインの2つ目のプレゼントは…私で如何やろ?」

うおぉぉぉぉい!!少しばかりオープンにした胸元をリボンで飾って『プレゼントは私』ってか!?
リアルでやる奴がいるとは思わなかったよ!!いや、此れは流石の遊星も…


――ひょい


「やん♪」

「ありがたくもらうとしようかな。」

貰うのか!?つーか普通にお姫様抱っこした!?
そして嬉しそうだなはやてさんはよぉ!?

「…遊星、残さず食べてな?」

「あぁ…いただきます。」

そのまま寝室に……ってやべぇ!!撮影機器その他を全て停止しろぉぉぉ!!
スタッフも総員退避ぃぃぃぃ!!

これから先は記録も何もしちゃいけねぇ……サイト存続できなくなるから!!!!!!

お、恐るべしだなリミッター解除した遊はやは…
まぁ、バレンタインデーは皆ハッピーだったと言う事にしよう…そうしよう!!異論は認めない!!有っても無視するからなぁ!!!


「遊星///

「はやて…」

だから機材止めろって言ってんろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!!!!








終われ!




後書き座談会


吉良「「( ゚д゚) …

     (つд⊂)ゴシゴシ

     (;゚д゚) …

     (つд⊂)ゴシゴシゴシ
     _, ._
     (;゚ Д゚)イッタイナニガアッタンダ…ドウシテコンナコトガ?スイマセンブラックコーヒーヲイタダケマスカ?」

遊星「良い感じに混乱しているみたいだな。」

はやて「自分で書いて、自分で砂吐いてりゃ世話無いでホンマに…」

吉良「つったって仕方ねぇだろうが!!此処までなるたぁ俺だって予想外だったんだよ!!
    この野郎、俺のプロット無視して勝手に動き回りやがって!!」

はやて「勝手にやと?……知るかアホンダラ!!遊星と夫婦設定やで?ラブオーラ全開にせんでどないするんや!!」

吉良「自重しろってんだよ!!危なく最後の方R18になりかけたじゃねぇか!!!」

遊星「…まぁ、そうかもしれないが……ならなかったんだから良いんじゃないか?」

吉良「本編で結ばれて以降常時リミッター解除かお前等は!!!まぁ、100話掛かって漸くだから気持ちは分かるんだけどよぉ…」

はやて「まぁ、此れもキリ番故の暴走やろ?ある意味ではキリ番はギリギリ限界まで何してもOKな世界やからなぁ?」

吉良「まぁ、ぶっちゃければそうなんだけどね。
    てか、本編完結してないのに、今回のキリ番は結構ネタバレ曝したよなぁ…まぁ、こうなる事は確定だから良いんだけどね?」

遊星「其れなら問題ないさ。」

はやて「それに久々のkou氏からのリクやろ?此れ位でも罰は当たらん筈や…反応は怖いけどな♪」

吉良「嬉しそうに言うなこら。
    まぁ、本編の方もいよいよ佳境に入って面白くなってきたところだからね…この未来につながるように頑張らないとだぜ?」

遊星「あぁ、勿論だ……俺達の未来は俺達でつかみ取るものだからな。」

はやて「そう言う事や!
     取り敢えずキリ番は此れで御終いやけど…本編はまだまだ続くから楽しみにしててや!」

吉良「そいじゃあ、はやて…リリカル的なお約束で〆てくれ!」

はやて「はいな…ほな、リクエストありがとな♪キリリクは此処で終わりやけど、本編ではこれからも『リリカルマジカル頑張ります』♪」

遊星「完璧だな。」

吉良「お見事!」




〈座談会終了!!〉