其の日は朝から色々凄かった。
 公道で行われているライデュングデュエルは…

 「行けシューティング・スター・ドラゴン!『スターダスト・ミラージュ』!(5回攻撃)」

 「うわぁぁぁ!」
 LP2300→0


 「スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンの攻撃!『バーニング・ソウル』!(攻撃力6000)」

 「どわぁぁぁ!」
 LP3000→0


 最強2トップの圧倒的勝利で終わった…










 『開闢は引っ込め!』










 ライディング・デュエルと言っても実は此の2人――遊星とジャックは登校途中。
 この『リリカル5龍学園』の高等部3年に在籍する此の2人の登校風景は、まぁ大体こんな感じである。

 「はぁ、相変わらず圧倒的やな2人とも。」

 遊星のD・ホイールのタンデムに乗っているのは八神はやて。
 学園初等部4年にして遊星の同居人。(此れ重要)

 「ほう、俺と遊星の凄さが分るようになったか。ならばお前も一人前だ!」

 「おぉ?ジャック・アトラスから一人前のお墨付きを貰えたんなら私も自信もって良えかな?」

 「うむ、存分に持つが良い!」

 なにやら此の2人は妙な仲の良さがあるらしい。

 「だが忘れるなはやて、お前は此のジャック・アトラスが認めた数少ない『遊星の嫁』であると言う事を!」
 「勿論確り胸に刻んであるにきまっとるやないか!」

 何の事だかさっぱりだが、此の学園の女子生徒の数は初等部から大学部まであわせれば軽く3000人は居る。
 其の約70%が遊星に好意を抱いている。

 で、現状ジャックによって『遊星の嫁』認定されているのは9人と実に少ない。
 と言うか認定基準は何なのかが激しく気になるが、其処はきっと聞いてはいけないのだろう…

 「相変わらず朝からテンションが高いわねあの2人…」
 「不思議な仲の良さがあるからね。」

 高等部2年の十六夜アキとシェリー・ルブランの会話も有る意味納得である。(此の2人もジャック認定の遊星の嫁)

 「仲が良いのは喜ばしいが一体何の話なんだ?」

 そして当事者の遊星は何も分っては居なかった!
 分る筈が無い、一級フラグ建築士の癖に『鈍感・朴念仁』ですから!

 「?」

 もういいよ…


 「そろそろ予鈴が鳴る。門を閉めるぞ。」

 そんな所に来たのは此の学園の警備員アポリア。
 2mは有ろう巨体と異様な肩幅が特徴的な人物である。
 で、其の異様な肩幅には…


 「勝ったの?やっぱ遊星とジャックは凄いぜ!」
 「おはよ、遊星。」
 「おはよう、遊星さん♪」
 「おはよう。」

 なのはとフェイト、そして双子の兄妹である龍亞と龍可が乗っていたりする。
 因みになのは、フェイト、龍可もまたジャック認定の遊星の嫁である。

 「あぁ、おはよう。…アポリア、4人も乗せて大丈夫なのか?」

 「此れくらいは問題無い。其れに未来を担う子供達の願いならば苦痛など無い。」

 「そうか。」

 アポリアは意外と子供好きであったらしい。
 さて、一方で…


 「ジャック君、何で私は遊星君の嫁と認定してくれないの!?」
 「貴様の殺人級の料理の腕で遊星の嫁を認定するわけが無かろう!
  認定されたければ一口食べただけで不動博士と面会可能になる其の料理の腕を何とかしろ!」


 保険医シャマルとジャックが不毛な争いをしていた…

 そんな争いなど何処吹く風でアポリアが正門を施錠し、
 『機皇帝ワイゼル∞』『機皇帝スキエル∞』『機皇帝グランエル∞』『機皇神マシニクル∞3』を門番として配置して終了。

 確かにこれ以上無い警備兵だが、一体どんな学園だ此処は…








 ――――――








 「毎度の事やけどやっぱ謎やな。」
 「そうだね。」
 「どうなってるのか知りたいの…」
 「それ以前に本当に人間なのかな?」

 初等部4−Aの1時間目は理科。
 此の学園では初等部であっても科目毎に担当教師が分かれている。
 で、理科の教師は…

 「さて、此処までで分らない事はありますか?」

 ゾーン……此の学園で最も謎に包まれている教師である。
 なんせ其の顔はフル・フェイスタイプのマスクで覆われている上に身体も妙な機械に包まれ移動もホバリングしての空中移動。
 極め付けに授業で黒板を使う際もマジックハンド(?)を使ってである。

 ハッキリ言って怪しい事この上ないが、不思議と生徒からの受けは良かったりする。


 「無いようですね。では今日は此処まで。」

 丁度授業終了のチャイムが鳴り、ゾーンはそのまま退室。


 「謎だけど授業は分りやすいよね?」
 「そうだね…激しく怪しいけど。」
 「でもゾーン先生の素顔ってどんなのかな?」
 「噂によると遊星そっくりらしいで…」


 こうして、ゾーンの謎は生徒達の間で日々深まって行くのであった…








 ――――――








 「アトラス、遊星に不得手なものはあるのか?」

 「愚問だぞシグナム。奴に不得手なものなどこの世に存在するはずが無いだろう!」

 場所は変わって高等部3年。
 只今の科目は技術家庭……なのだが教師の出番が全く無い。
 なぜかって?それは…

 「そうじゃない。其れだとハンダが溶けすぎる。薄く、玉に成らない様に…そう、そんな感じだ。
  あぁ、其処のコンデンサーは左右逆だ。……おい、もう少し丁寧に扱わないと基盤が破損するぞ?」

 天下無敵、史上最強の技術者・不動遊星が居るからだ!
 明らかに教師以上の知識と技術を持つこいつは一体何者なのか?


 「…遊星に何かで勝つのは不可能なのか…!?」

 「馬鹿者!そんな弱気で如何する!俺が認めた『遊星の嫁』ならば例え遊星に勝てるものが無くとも其の愛を貫き通せぇ!」


 そして此処でも謎の空間が出来上がっていた。

 「なんつーか凄ぇよなジャックって…」
 「まぁフェイトが認定嫁だからアタシは言う事無いけどね?」
 「おめぇも大概だよな…」

 教室の一角でクロウとアルフがこんな会話を展開していた。


 「それではハンダゴテの先を研ぎすぎだ。広範囲にハンダ付けする場合は少し先を丸くした方が良い。」

 「ゆ、遊星君、これ以上僕の仕事を取らないでくれるかな…?」

 どうやら遊星が此の学園の教師として招かれる日もそう遠くは無いらしい…








 ――――――








 さて、時は進んで昼休み。
 場所は学園の食堂。

 其処に集うは遊星、ジャック、クロウのダチ公ズと
 はやて、なのは、フェイト、龍可、アキ、シェリー、シグナム、ヴィータ、リインフォースの遊星の嫁連盟。

 さて、此の面子では既におなじみになっているのが…

 「遊星、此れを。」

 「ありがとうリインフォース。さてと…俺が作ったのは、今日はシェリーだったな。」

 「えぇ、ありがたく頂くわ。」

 遊星の弁当を作ってくる人と、遊星の弁当を貰う人である。
 何時の頃からかは全く持って不明だが、嫁連盟の中で『遊星の弁当』は既にローテーションが決まっているらしい。
 で、作った人には翌日に遊星の手作り弁当がお礼として渡される。

 …なんと言うか凄すぎる。


 「おいジャック、又ラーメンかよ?栄養が偏っちまうぜ?」
 「ふん、放っておけ!クロウお前こそ其れで足りるのか?もっと食わんとチビのままだぞ!」
 「んだと、コラァ!」


 「やれやれ…始まったか。」
 「あの2人は仲が良いのか悪いのか…迷いますね。」
 「大丈夫だ、ジャックもクロウも旧知の仲だ。あれは…まぁスキンシップの範囲内だ。」
 「少しは成長したらいいと思うけど…」

 毎度お馴染に成っているジャックとクロウの小競り合いも此のメンバーならば誰も止めない。


 「お、龍可ちゃん其の卵焼き美味しそうやな…1つ貰っても良ぇ?」
 「どうぞ。その代わり、はやての唐揚げ1つ頂戴?」

 そして初等部の少女達はお弁当のおかずの交換をしていた……和むなぁ…


 「相変わらず君の周囲は賑やかですね遊星。」

 其処に現れたるはレクス・ゴドウィン、此の学園の理事長である。

 「ゴドウィン。如何した?」

 遊星の対応もなれたもの。
 ゴドウィンが自分の所に来る時は何かが起きる場合でもあるから当然だが…

 「此のメンバーが揃っているのは喜ばしい事ですね。…実は兄が何かを企んでいる様なのですよ。」

 「「「「「「「「「「「ルドガーが!?」」」」」」」」」」」

 流石に驚く。
 此の学園の総合学園長であるルドガー・ゴドウィンは此れまでにも『色々』とやってきた。
 其れが何かを企んでいると言う…警戒心が働くのも当然だろう。

 「恐らくは5時限目に何かが起きるかと……くれぐれも注意していてください。」

 「あぁ、分った。」

 そしてレクスのこの予感は当たる事と成る。








 ――5時限目



 其れは突如として起こった。



 ――ピンポンパンポ〜ン。只今より臨時のテレビ集会を行います。各クラスともモニターの電源を入れてください。


 此の放送が全ての始まりだった。

 取り合えず初等部から大学部まで全てのクラスでモニター電源が入れられる。
 そして…


 『総合学園長のルドガーだ。…避難訓練、開始ぃ!!』


 行き成り現れた総合学園長は何を血迷ったか己の義手を引きちぎりやがった!
 それを皮切りに学園のあちこちで爆発が起き校舎が崩れ始める。

 此れでは訓練ではなくて、災害そのものである。
 だが、遊星は慌てない。

 「集いし願いが新たに輝く星となる。光射す道となれ!シンクロ召喚、飛翔せよ『スターダスト・ドラゴン』
  スターダストよ、破壊を包む星となれ!『ヴィクティム・サンクチュアリ』!」

 遊星がスターダストを召喚して生徒の避難経路を確保すれば、

 「王者の鼓動、今此処に列を成す。天地鳴動の力を見るが良い!シンクロ召喚、我が魂『レッド・デーモンズ・ドラゴン』
  崩れてきた瓦礫を打ち砕け!『アブソリュート・パワー・フォース』!」
 「黒き疾風よ、秘めたる思いを其の翼に現出せよ!シンクロ召喚、舞い上がれ『ブラック・フェザー・ドラゴン』
  避難経路を切り開け!『ノーブル・ストリーム!』!」
 「1人の怪我人も出さん!舞えレヴェンティン!『飛竜一閃』!」
 「全ての厄災よ、深き闇に沈め…『ディアボリック・エミション』!」

 ジャック、クロウ、シグナム、リインフォースもすぐさま行動を起こす。
 高等部2年の校舎でもアキとシェリーが中心と成って的確に避難を行っている。

 勿論初等部では…


 「取り合えず避難経路の確保や!行くでなのはちゃん、フェイトちゃん、龍可ちゃん!」
 「了解なの!」
 「任せて!」
 「うん、私も頑張る。」

 「よっしゃ。頼むで龍可ちゃん!ほな…響け終焉の鐘、ラグナロク…」
 「此れが私の全力全壊!スターライト…」
 「切り開け、プラズマザンバー…」
 「聖なる守護の光、今交わりて永久の命となる。シンクロ召喚、出でよ『エンシェント・フェアリー・ドラゴン』

 「「「ブレイカー!!!」」」
 「『エターナル・サンシャイン』!!」

 最強のお子様達によって初等部の生徒もまた危険なく避難をしていた。



 そしてルドガーの放送から5分後、全ての生徒は避難を完了し校庭に終結していのだが…


 「訓練で本当に校舎を爆発させる奴が居るか!もし死人が出ていたら如何するつもりだ…答えろ、答えてみろルドガァァァ!」

 遊星がルドガーを締め上げていた。

 「ふん、実戦形式で行ってこその訓練だ。それにだ此の程度の訓練で命を落すならそいつは所詮其れまでだったと言う事だ。」



 ――プチッ!



 この一言に遊星が切れた。
 普段はクールで冷静な遊星が切れた、それはもう盛大に!
 そして其の怒りははやても又である。

 なので…


 「ふざけた事ぬかすなおっちゃん!深き闇に沈め…『ディアボリック・エミション』!」

 必殺の一撃が炸裂した。
 勿論ルドガーとて一般人ではない。
 如何に強くともたかだが10歳の小娘の一撃でやられるほどやわではない。

 「ふん、効かんな。それで終わりか?」

 余裕綽々で挑発してみるが…其れは間違いだったと思い知らされる事となる。

 「何勘違いしてるんだ…俺のバトルフェイズはまだ終了していない!」

 初代主人公の死刑宣告を遊星は言い渡したのだ。
 そうなれば当然…

 「速攻魔法発動『バーサーカー・ソウル』!」
 (読者の皆様『クリティウスの牙』の脳内再生をお願いします。)


 発動しました『最恐魔法』!
 てか何処で手に入れたのやら…

 「手札を全て捨てて効果発動!このカードはモンスター以外のカードが出るまでデッキからカードをドローし其の全てを墓地へ捨てるカード。
  そして其の枚数だけ攻撃力1500以下のモンスターは追加攻撃が可能となる!」

 「攻撃力1500以下だと…まさか!」

 「気が付いたかい!私の攻撃力はきっかり1500や!」
 八神はやて:ATK1500


 条件ピッタリ。
 さぁ皆さんご一緒に…『レッツ、ずっと俺のターン』!


 「先ずは1枚目、ドロー!モンスターカード『スターブライト・ドラゴン』を墓地に捨て、はやて追加攻撃だ!」
 「任せとき!『ディアボリック・エミション』!」

 「ぐわぁぁ!」
 ルドガー:LP4000→2500


 「2枚目ドロー…モンスターカード『ジャンク・シンクロン』!」
 「もう一丁!」

 「ぐはぁぁぁ!」
 ルドガー:LP2500→1000


 「3枚目…モンスターカード!」
 「くたばれや!『ラグナロク』!」

 「ば、馬鹿なぁぁぁ!」
 ルドガー:LP1000→0


 「未だだ、今此の場でお前の闇を消し去る!スターダスト・ドラゴン、レッド・デーモンズ・ドラゴン、ブラック・フェザードラゴン
  ブラック・ローズ・ドラゴン、エンシェント・フェアリー・ドラゴンにライフストリーム・ドラゴンをチューニング。
  集いし星が一つになる時、新たな絆が未来を照らす。リミットオーバー・アクセルシンクロォォォ!進化の光『シューティング・クェーサー・ドラゴン』!(アニメ効果)」
 「ショァァァァァァ!」
 シューティング・クェーサー・ドラゴン:ATK4000



 「止めだシューティング・クェーサー・ドラゴン!『天地創造撃ザクリエーション・バースト』!(6回攻撃)」

 いや、止めも何も既にルドガーのライフは0なんですけど。
 それ以前にATK4000での6回攻撃て、LP8000設定でも明らかなるオーバーキルなんですが!?


 「全校生徒を危険な目に合わせたのですから此れくらいは妥当でしょう。」

 うおう、理事長、いや、それ以前に止めようぜ?

 「私では止めきれませんからね。兄は一度キツイお灸を添えられた方がいいでしょう。
  さて、なのはさん、すこしお付き合いいいただけますか?」

 「理事長さん?何なの?」

 「少々兄と『O☆HA☆NA☆SHI』しようかと思いましてね…」
 「…そう言うことなら喜んでお手伝いするの…」

 あ、長官…もとい理事長の瞳が反転した。
 ついでになのはに魔王様が降臨なさっちまった…頑張れルドガー。
 自業自得だが骨くらいは拾ってやろう。


 「ルドガーはあの2人に任せておけばいいだろう。さて、皆悪いがこれから壊れた校舎の修理だ。
  幸い今日は金曜日、土日を使って月曜日までには完全復旧させるぞ!」

 「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」


 驚異的なカリスマ性を誇る遊星の号令に逆らうものなどいない。
 もし生徒会選挙に出れば得票率100%での当選は間違いないだろう。


 「はやてとフェイトと龍可、アキとシェリーとシグナムとリインフォースは食事の準備を頼む。
  僅か2日半の突貫作業だ、できるだけ力の付くものを頼む。」

 「任されたわ。」
 「作業がはかどるようなメニューを考えましょう。」


 こうして始まった復旧作業は遊星の指示と嫁連盟の炊き出し(?)のおかげで日曜の昼には終了した。


 因みに其の間学園の裏山からはルドガーの悲鳴が聞こえたとか…




 ついでに…



 ――保健室


 「ねぇシャマル、貴女の料理1度食べさせてくれない?」

 「沙羅、食べてくれるの?」

 「1度だけね。其れに…一度夫に会っておきたいし♪」

 「私の料理は臨死体験装置じゃないわよぉぉぉ!」

 保険医であるシャマルと沙羅が良く分らない会話を展開していたのだった。







 落ち?そんなものなど無いわ!!
 此れにて終幕!











 後書き座談会



 はやて「また、突っ込みどころ満載やな此れ。」

 吉良「ふ、反省も後悔もしていないが、公開はする!」

 遊星「まぁ内容については今回は触れないが…此のタイトルは…」

 吉良「俺の気持ちだ!開闢を解除とかなに考えてんだって奴ですよ!開闢使って『俺TUEEEE』な似非が急増したわ!」

 なのは「あるいみでは予想通りの事態が起きたの…」

 ジャック「フン、強力なカードにだけ頼る奴など取るに足らんだろう!」

 吉良「まぁね。そんな奴は1ターン目から攻撃力5700の光龍でぶっ潰しますがね!」

 シグナム「お前も些か大人気ないと思うが…」

 吉良「開闢使いは俺の敵!そいつ等全て青眼で『粉砕・玉砕・大喝采』してくれるわ!」

 シェリー「荒れてるわね…」

 沙羅「まぁ分らなくは無いけど。…ところでラストなんだけどネタバレじゃないの?」

 吉良「まぁそうなんだけど、近々あんたの正体は本編で明らかに成るし、そもそも初登場時みれば分る人には分るからね。」

 遊星「それじゃあまさか彼女は…!」

 沙羅「ダメよ。詳しくは本編でね?」

 遊星「あぁ…分った。」

 吉良「で、最終的に何が言いたいのかってーと…開闢なんぞ未来永劫禁止カードで居ろ馬鹿野郎って事ですよ!!」

 「「「「「「「「「「「ぶっちゃけた!?」」」」」」」」」」」

 吉良「あ〜すっきりした…」



 3月には禁止に戻ることを願いつつ座談会も終了。