「……?今日ははやてだったか…」

 腕に感じた僅かな倦怠感で目を覚ますと、すぐ傍には己の右腕を枕にして寝ているはやて。
 さて、何が起きるのか…










 『腕枕、其れは浪漫!』










 「はやて、朝だぞ?」

 開いてる左手で軽く身体をゆすってやる、が起きない。
 それどころか、

 「うみゅ〜…」

 謎の鳴き声(?)を出して抱きついてくる始末。

 「おい…」

 更に揺さぶるが起きない。

 「…このままだと病院へは『リミット・オーバー・アクセルシンクロ』で突っ込まないと駄目か…?」
 「はいぃ、起きましたぁぁぁ!!」

 はやて覚醒。
 ま、概ね(八神家に於いては)有り触れた朝の一コマであった。


 てか公道で光の速さを越えるのは止めとこうね、遊星君…









 さて、冒頭の遊星のセリフの『今日は』の部分から分るだろうが、実は毎日代わる代わる誰かが遊星のベッドに潜り込んでくる。
 で、目が覚めると腕枕…と言うのが最近の現状。……なんで起きないんだろうな遊星は。

 と、其れはさておき毎晩誰かが潜り込んでくるのだ。
 時にはザフィーラを除いた全員が潜り込んでいる事だって有る。……マジで何で起きないの遊星君は…?

 だが、遊星がこの状況に文句を言う事は無い。
 何故なら全て『寝惚けて潜り込んだのなら仕方ない』の一言で片付けるから。
 …恐るべし、不動遊星。

 で、己の気持ちに全く気付いてもらえなくとも、咎められないので潜り込むのをやめない女性陣…アカン∞ループだ。
 だが、今日は些か状況が異なる事になりそうだ。

 何故なら…


 「今日はなのはとフェイトが泊まりに来るんだったな。」


 要はそう言うことです。
 さて、何が出るかな〜〜?










 ――――――










 「「おじゃましま〜す♪」」

 PM3:00なのはとフェイトがやってきた。

 「いらっしゃ〜い。まっとたで〜。」
 「良く来たな。」

 出迎えるのは遊星とはやて。



 ――はやてちゃん…

 ――ふっふっふ抜かりは無いでなのはちゃん、フェイトちゃん。折角来たんや、遊星の腕枕堪能してきや。

 ――ありがとう、はやて。



 何が起きるとか以前に、この少女3人の間で不穏な密約が交わされていたらしい。
 てかお泊りの目的が遊星の腕枕なのか君達!?

 「それだけやないで。遊星の手料理つきや!」

 「其れも楽しみなの!」

 「き、期待していいんだよね。」

 君達ねぇ…

 「なら期待に沿わないといけないな。」

 動じないな、遊星よ…

 「子供の頃に料理はマーサに仕込まれた。期待しててくれ。」

 この一言に3人娘だけでなく騎士達も期待に胸を膨らませていた。








 ――――――








 「皆良く食べたな。」

 「お前は料理の腕も一級品だな。いっそどこぞのレストランにシェフとして就職したら如何だ?」

 「止めておこう。俺には今の修理屋のほうが合っている。」

 「だろうな。」


 PM8:00、遊星の手料理による夕飯を終え、女性陣は入浴タイム。
 尚、遊星の料理は皿にカスが残らないほど完食されたと言っておこう。


 「時に遊星、今夜は覚悟して置いた方が良いぞ?」

 「何にだ?」

 「明日の朝になれば分る。」

 「?」

 ザフィーラの言う事を遊星は全く分って居なかった。








 ――――――








 その夜…


 「さて、皆此れから何処で寝るか決めよか?」

 場所は遊星の寝室。
 集うはザフィーラを除く女性陣。


 遊星は既に就寝。
 更にシャマルが魔法で睡眠を思いっきり深いものにしているので起きる事は先ず無い。


 「左右の腕枕はなのはちゃんとフェイトちゃんで決まりや。お客様やしな。残る場所を如何振り分けるかや!」

 「残るは遊星の両足、胸の上、そして頭を乗せるための膝枕だな。」

 リインの説明に聞き入る。
 共有財産である遊星を皆で…中々に難しい課題である。

 「遊星への負担を考えれば主とヴィータが胸の上に乗っかってしまうのが良いだろう。」

 「そうね。だとすると誰が遊星君に膝枕してあげるかね〜。」

 瞬間、空気が張り詰めた。
 残る大人の女性達…思いを寄せる男性に膝枕をしたいのである。したいのである!!大事な事なので2回言いました。

 「遊星に膝枕…譲れない!」
 「あら、私も譲れないわ。例え相手が烈火の将様と夜天の管制人格様でも容赦はしないわよ。」
 「面白い。お前達とは戦ってみたかった。まして愛した男をめぐってと言うならばこれ以上のシチュエーションは無い。」

 え〜何か魔力が暴走寸前ですが…

 「腕枕も良えけど、有る意味遊星に『膝枕』してもらえる状況でもあるんやよね。」

 この一言が大人達を止めた。

 「するか、してもらうかだと…?」
 「こ、此れは選べない…」
 「ど、どっちもステキだわ。」

 悩める女性達。
 其れを救ったのは…

 「シグナムがマスターに膝枕。リインフォースとシャマルがマスターの膝枕で寝るのが最適かと。」

 遊星のデバイスであるD・ホイール。

 「シグナム位がマスターの枕として一番良いので、マスターの安眠の為に。」

 遊星の為にと言われては反論は出来ない。
 因みに…


 「こ、此れは最高の腕枕なの…!」
 「遊星の、遊星の腕枕…!」

 雷光と魔王様は確りと遊星の腕枕を堪能していた。
 そして各々指定の場所で就寝……遊星が圧死しないことを祈ろう。










 で、翌朝。


 「一体何が有ったんだ?」

 ベッドの上で遊星は身動きが出来なくなっていた。
 圧死しなくて良かった。


 「起きたか遊星…」

 「ザフィーラ…俺はどうすれば良い?」

 「…動くな。」

 「だが…」

 「動くな。主達が起きるまでは…な。」

 「仕方ないな…」

 結局、はやて達が目を覚ますまで遊星は動くことは出来なかった。
 まぁ、こんな状況になっても身体に偏重を来たさなかったのは流石遊星。


 そしてこの日を境に、なのはとフェイトが夜な夜な遊星の寝室に潜り込むためだけに八神宅を訪れるようになったとか…



 海鳴市・八神宅は今日も、きっとこれからも平和であるはずだ。







 終わり(寧ろ強制終了)







 後書き座談会



 遊星「今回も作者がいないぞ?」

 はやて「逃げたわ。こんな書置き残してな!」



 『はっはっは、己の限界だよ。腕枕?良いシチュエーションだ。だが俺に出来るのはこれが限界だ!
  リクに答えられた自信など無い、ああ無いともコン畜生!!でもな、でもな頑張ったんだ!!
  出来るだけ平和に済まそうと思った結果なんだ!!だから許してくれ。』



 遊星「…切実だな。」

 シグナム「私達的には嬉しかったから不問にしてやろう。」

 フェイト「でも腕枕…実際やったら痺れるよね?」

 なのは「作者は飼い猫に乗られただけで痺れてしまったの。人間の頭乗せたら普通は痺れて寝てるどこじゃないの。」

 はやて「其れはあれや二次元の特権ちゅうやっちゃ。」

 リイン「メタ発言を…まぁ遊星ならば此れくらい平気だろう?」

 遊星「どうと言うことは無い。自慢じゃないが俺は歴代主人公の中で最も肉体的ダメージを受けてるからな。
     ちょっとやそっとじゃ、動じない。」

 はやて「せやね。ほな、お礼言って締めよか?」

 シグナム「そうしましょう。では…kou氏このたびのリク感謝する。」

 フェイト「期待にそえたかは疑問だけど…」

 なのは「これからも当サイトをよろしくなの。」

 リイン「それでは、又何れ…」


 座談会終了