今日も今日とて、更生施設のナンバーズ達(ドゥーエ以外)は賑やかである。 「行くぜウェンディ!ブラック・フェザー・ドラゴンで、サイバー・ドラゴン・ノヴァに攻撃!『ノーブル・ストリーム』!!!」 ――ゴォォォォォ!!! ウェンディ:LP300→0 「うわぁぁぁーーまた負けたっす〜〜〜!!強過ぎるっすよクロクロ〜〜!!今回のデッキは可成り気合い入れて作ったんすよ〜〜!?」 「へっ、そう簡単に負けてやるかよ! だがなウェンディ、この前よりもお前は強くなってるぜ?勿論ディエチやチンクもな。」 理由は簡単、クロウが来ているからである。 正式にナカジマ家の一員となったクロウは、1週間の内3日はこの更生施設を訪れてチンク達と親睦を深めている。(言うまでもなくデュエルで。) チンク達もまた、クロウやスバル達が訪れて来るのを楽しみにしている節があり、特にクロウとのデュエルは最大級の楽しみであるようだ。 クロウとしても未来の妹達とデュエルをするのは楽しく、またデュエルする度に強くなる彼女達を見るのは楽しいモノがあった。 「まだまだ兄上には及ばぬが……時にウェンディよ、いい加減クロクロと呼ぶのは止めたらどうだ? 此処を出れば私達もナカジマ家の一員――彼は私達の兄上となるのだぞ?」 「え〜〜〜?クロクロはダメっすか?……でもクロ兄だとスバルと被るっすよねぇ?……じゃあクロにいにいで♪」 「……まぁ、何でもいいけどよ。」 取り敢えず平和である。この上なく平和である。 「兄さんだとギンガと、兄上だとチンク姉と、クロ兄だとスバルと、兄貴だとノーヴェと被る……えっと…それじゃあクロウお兄ちゃん?」 「……!!……ディエチ……無口系キャラの其れは破壊力が凄すぎだぜ……」 本当に平和である。 彼女達が更生施設を出所した暁には、きっと輝ける温かい家庭が待っている事だろう。 遊戯王×リリカルなのは 絆の決闘者と夜天の主 外伝5 『更生施設の賑やかな1日』 其れとは別に、本日ここを訪れているのはクロウだけではない。 蒼銀の戦士こと稼津斗もまたここを訪れていた――此方の目的はセインだが。 『勝手に出て来て大丈夫か?』とも思うだろうが、其処は何時の間にか遊星が作っていた『精霊実体化固定装置』で実体化しているから無問題だ。 「率直な意見として聞きたいんだが……時空龍を気に入っているお前的に、ランクアップした超銀河眼時空龍はどうよ?」 「びみょ〜〜〜……効果は兎も角として見た目が駄目じゃない此れ!? 時空龍はこんなにカッコイイのに、何で『超』になるとこんなに微妙な見た目になるの!?此れ只の金色の球体じゃんよ!?」 「やっぱりそう見えるよなぁ?……究極竜やサイバー・エンドみたいな三首の龍か双頭の時空龍にすれば良かったと思うんだがな……」 此方は此方でカードイラストについての話題に花が咲いているらしい。 スカリエッティのアジトでガチバトルを展開してからと言うモノ、稼津斗とセインもスッカリ打ち解けているようだ。 「まぁ、見た目を言うならブラパラもだな。ブラマジとバスター・ブレイダーの融合体って言っても、バスター・ブレイダー何処行った?」 「ほっとんどブラマジだよねあの見た目は?敢えて言うなら……え〜〜と、剣の辺りにバスター・ブレイダー?」 中々マニアックな話題にも発展しているらしい。 まぁ、本当にあのモンスターは融合素材の傍らは一体何処にあるのかと疑問に思う見た目である事は間違いないのだが…カッコいいからOKだ。 閑話休題 何れにせよ、こう言った訪問者が居ると言うのは更生プログラムの合間に息抜きになって良いのだろう。 現実に、彼女達の更生プログラムの責任者であるマリーによると『予想よりも遥かに短期間でプログラムの効果が表れている』との事なのだ。 「あ、そうだカヅカヅが来てるんなら丁度良かったっすね〜〜〜♪」 「……其れは俺の事か?…コイツにしろ和美にしろ何で赤毛でこういう髪型の奴は性格が独特なんだろうな…?丁度良いとは?」 「カヅカヅの力でオットーの性別を判別してほしいっす!!!」 で、この楽しく穏やかな時間に於いて、ウェンディは予てより確かめたかった事を稼津斗にお願いして来た。 其れはオットーの性別診断。 ナンバリングは兎も角、最後発稼動組であるオットーの性別は実は誰にも分からないのだ。 定期的なメンテナンスは元より、洗浄すらオットーは常に単独で行っていた……故にその性別は不明のまま。 中性的な外見であり、一人称も『僕』、ディードとは双子であるが顔立ち以外はまるで似ていない……疑問に思うのも無理はないだろう。 ならばディードに聞けば良いと思うかもしれないが……何とディードですらオットーの性別は分からないと言う始末。 オットーの性別は女性なのか男性なのか?ウェンディは兎に角これがナンバーズ時代から気になって仕方なかったらしいのだ。 無論本人に聞いた事も有ったが、オットー曰く『メンテや洗浄になると意識がブラックアウトして目覚めた時には終わっていた』とのこと。 もっと言うならスカリエッティも『オットーのメンテナンスや洗浄を始めると意識がブラックアウトして何時の間にか終わっていた』と言う…謎だ。 「いやいや待てよ!幾らそいつが存在自体がチートな奴だとしても、今まで誰も分からなかったオットーの性別を判断できるのか?」 「ドクターでも無理だったから無理だと思う。」 其れは確かに気持ちは分かるが、其れだけ謎に包まれているオットーの性別を判断する事が出来るのか? 幾ら存在がチートな稼津斗で無理ではないのかとクロウとオットー本人は思っているようだ。 だがしかし、次元を超えてこの世界に存在しているチートバグを舐めてはいけない! 「大丈夫だ、この間オリジナルと同期して能力底上げして来たから多分できると思う。」 「はぁ!?同期って何だ同期って!?」 「遊星が作った転送装置利用して、麻帆良に飛んでオリジナルと能力の共有して来ただけだ。 そのお蔭で、一部文字化けしてた俺のカードテキストも正常に書き換えられて、トンでもないカードになった訳だがな。」 「因みにその強化を分かり易く言うと?」 「シューティング・スター・ドラゴンをセイヴァー進化させて、更にバスター・モードで強化した感じだ。 で、カードの方はだな、攻守1億で効果受けずに破壊されないで貫通能力持ちの毎ターン攻撃力が倍になってく効果…めでたく八神から禁止指定喰らった。」 「おし、突っ込みが来ると分かっちゃいるが敢えて言うぜ?インチキ効果も大概にしろ〜〜〜〜!!」 「BF使ってるクロにいにいが言っても説得力無いっす〜〜〜!」 何時の間にかチート能力全開で麻帆良を訪れてオリジナルの稼津斗と能力同期を行っていたらしい……天然チート恐るべし。 だが元々トンでもキャラである稼津斗が強化されたとなれば、その力でオットーの性別を判別する事も可能かもしれない。 何よりも何時までも謎が謎のままと言うのも些か気持ちが悪い気分だ。 「と言う訳で失礼するぞオットー?」 「どうぞ。」 「何が如何言う訳なのかサッパリわからねぇ……」 如何なる世界でもクロウは苦労人であるらしい……頑張れナカジマ家長男。 さて、こうして『同調』を使ってオットーの性別を判別しようとしたのだが…… 「!?……弾かれただと!?」 「如何した稼津斗!?」 「いや……同調で解析してたんだが、途中で障壁みたいなものに弾かれて強制的に干渉をシャットダウンされた…… しかも……ダメだな、オットーにはもう二度と俺の同調は効かないらしい。」 「ドンだけ強固なプロテクトが掛かってんだよオットーの性別判別にはよぉぉぉぉ!?」 マッタクである……まぁ、勝手に明かしちゃいけないって事なんだろうね――さっさとはっきりさせて下さいつづk『ブレイカー!!』げほあぁ!? 「……今桜色の砲撃が飛んでこなかったか?」 「気のせいだホーガン……メタな発言は程々に、だな。」 マッタクですね。(不死身) ……大幅に話がずれた。 さて、この様に賑やかかつ楽しい時間を過ごせるのがクロウ達の施設訪問なのだが、実はちょっとした問題が持ち上がっていた。 出所後、セインとオットー、ディードは聖王教会が身元引受人であり、ドゥーエはシグナムが身元引受人である。 そしてチンク、ディエチ、ウェンディの3名はナカジマ家が身元引受人となっているのだが……此処に問題があった。 何かって? それは六姉妹となるナカジマ姉妹の姉妹順序だ! 普通に考えればタイプゼロであるギンガとスバルが長女と次女で、ノーヴェが三女となる。 だがしかし、ノーヴェは元々はナンバーズの9番として制作されていた事で、事はそう簡単でもないのである! つまりナンバリング的に後期であるディエチやウェンディは兎も角、チンクはノーヴェの姉ではないのかと言う事だ。 ナンバリング的には5番と9番なので確かにチンクの方が姉となるのだが、チンクは兎に角見た目が少女どころか幼女…姉と言うにはアレである。 だが此れに明確な答えを出したのが…誰であろう、クロウだ! ギンガとスバルとノーヴェ、そしてチンク、ディエチ、ウェンディの性格や何やらを考えた結果、長女から六女までの序列を見事に造り上げてくれた。 「ところで兄上…私達の姉妹の序列はどうなったのだろうか?」 「其れなんだけどな…長女はギンガ、次女にチンク、三女がディエチで、四女がスバルとノーヴェの双子、で都合六女がウェンディだ。 チンクは今までコイツ等の姉貴分だったんだろ?ディエチも10番でも稼働は早くてコイツ等の中では2番目に年上だからな? 其れ踏まえりゃこれくらいが丁度良いぜ。スバルとノーヴェはことさら『姉で妹』って立場があってるだろうし、ウェンディは末っ子ポジだからな♪」 「え〜〜〜〜?背はアタシが一番高いのに末っ子っすか〜〜〜?」 「……末っ子にはもれなくアニキやアネキに無条件で甘える事が出来る権利が付いて来るらしいぞ?」 「じゃあ末っ子で良いっす♪」 「おいコラ勝手な事言ってんじゃねぇ!!」 「!!……甘えちゃダメっすかクロにいにい……」 「ダメじゃ!……ねぇ……好きにしてくれ……」 既に長男は妹達からモテモテらしい……此れで何のフラグも立たないと言うのだから、ある意味凄いのかもしれない…。 「まぁ良いか……おし、次の相手は誰だ? 今日は非番だからな、オメェ等の気がすむまでとことんデュエルに付き合ってやるぜ!!」 「それじゃあ次は私が……宜しくお願いしますお兄ちゃん。」 「ディエチか……良いぜ、掛かってきな!!」 「「デュエル!!」」 クロウ:LP4000 ディエチ:LP4000 取り敢えず今日も今日とて更生施設は平穏無事。 そして此れから半年の後、チンク達はナカジマ家の一員として正式に迎えられる事になるのだった。 外伝5END |