Side:京


さてと、今日も一日ご苦労さんだ……ったく、白昼堂々の銀行強盗には驚かされたがな?……余りにも古風過ぎてって事だけどな。
今のご時世、人質を取って逃走用の何かを要求した所で通る筈がねぇって……そもそもにして、俺とシグナムが現場に出張ってた以上
はふざけた要求は絶対に通さないから、大蛇薙と飛竜一閃で一網打尽にしてやったけどよ。
……なのはが居たら、銀行ごと吹っ飛んでただろうけどな。

んでもって今日は非番だ。――其れは嘱託である俺も同じだ。如何やら俺の勤務は、シグナムの勤務と連動してるみたいだからな?
シグナムが非番なら俺も非番って事だが……だからと言って一日中ゴロゴロする物どうかと思うから、外出してみるか?



「其れは良い案だと思うが、行く当てはあるのか京?」

「ない。」

無いから此処は、ヴィヴィオが行きたい場所に行こうと思ってるんだ――さぁて、何処に行きたいんだヴィヴィオ?



「此処!!」

「其れは今朝の新聞のチラシ?何かの娯楽施設か?」

「此処か……ふむ、悪くないな。」

「知ってんのかシグナム?」

「最近できた複合娯楽施設だと聞いている。
 動物園に水族館、遊園地に屋内プール、映画館にライブハウスに複数のレストランに、果てはカジノまであるらしいぞ?」



……某ネズミの遊園地もびっくりだなそりゃ?つーか、そんだけの施設があるなら、丸々1日遊び倒す事だって出来るじゃねぇか!!
非番の日に出かけるには丁度いいぜ。なら、早速準備して出掛けるとするか。












リリカルなのは×THE KING OF FIGHTERS~紅蓮の炎~ ExtraRound2
『非番の休日を遊び倒せ!KOしろ!』











んでもって、バイクに3人乗り(シグナムはタンデム、ヴィヴィオは親父が買って来たサイドカーを装備して其処に乗せた)して、走る事約
15分。無事に到着だな。
道中、管理局の車輌科の連中に何か言われるかとも思ったんだが、出会っても別にスルーだったな?……ミッドではノーヘルも2人乗
りも違反じゃねぇって事か。

バイクを駐輪所に止めてチェーンをかけてと……そんじゃ、全施設フリーパスのチケットを買って楽しもうぜ?



「賛成ー!!」

「ふふ、偶には1日遊び倒すと言うのも良いかも知れんな?……ん?」

「如何したシグナム?」

「いや、あそこ――入場ゲート前に居るのはハワードとランスターではないか?」



ホントだ。
執務官と執務官補佐目指して勉強してるって話だったが、今日は偶の息抜きって所なのかもな?……てか、アイツ等も非番だったんだ
な今日は。

しかしまぁ、凄く自然にそうなったが、アイツ等もすっかりお似合いのカップルだよな?
ロックの女恐怖症予備軍も最近は管理改善されてきてるみたいだからな?……つーか、此の前なんてからかいに来たはやてにカウン
ターの真空投げを喰らわしてたし。
あくまで打撃じゃなくて、空中に放り投げるあたりがロックらしいっちゃらしけど。

「言うまでもなくデートって奴だなあれは?
 アイツ等は気付いてないみたいだし、此処はそっとしといてやろうぜ?――余計な事をして、馬に蹴られたくはねぇしな?」

「その意見には賛成だn「ロック~~!ティアナ~~!!」って、ヴィヴィオ!?」



しまった!最大最強の伏兵であるヴィヴィオが居たんだった!!
アイツは元六課の面子に懐いてるからなぁ……見つけちまったら声を掛けずにはいられねぇか……あ~~~……取り敢えず、色々とス
マン、ロッティアナ。



「スマンと言いながら、2人纏めて略すのはどうかと思います京さん。」

「俺達はどこぞのファーストフード店か……」

「いやぁ、語呂が良いからつい。」

其れよりも、デートの邪魔して悪かったな?
俺達は俺達で楽しむから、お前等はお前等で楽しんでくれよ?俺達はさっさと入場して退散するから。



「いや、別に構わないぜ?と言うか丁度良かったぜ京。」

「は?何がだよ?」

「実は今日って5人以上で来園すると全施設フリーパスのチケットが割引になる日だったんですよ。
 それで、知り合いが3人来てないかロックと探してたんです。」

「と言う事は、ヴィヴィオが声を掛けたのは渡りに船だったと言う事か。」

「そう言う事になるな。」



ご都合主義っつーか、タイミングが良いっつーか、如何やらヴィヴィオがロックとティアナに声を掛けたのは、お邪魔虫どころか、素晴らし
いファインプレーだったって訳か!
確かに全施設フリーパスは、決して安くねぇから割引になるってのは有り難いよな。
因みに、何割引きになるんだ?



「2割引きですが、未就労で10歳未満の子供が1人以上いる場合には3割引きになります。」

「益々、私達の合流は問題なかったと言う訳か。
 ならば、割引でフリーパスを購入して、施設内も一緒に回るか?ヴィヴィオもお前達と一緒に遊びたいようだし、子供付きのダブルデー
 トと言うのも悪くは無かろう?」

「子供付きのダブルデートね……まぁ、滅多にある事じゃねぇから偶にはいいか?ロックとティアナも其れで良いか?」

「良いぜ?料金割引の為だけにってのも悪いからな。」

「其れに、2人きりでって言うのはちょっと恥ずかしかったので。」



……ティアナって、こんなに乙女でしたっけかシグナムさん?
ぶっちゃけて言うと、六課の時よりも可愛さがマシマシなんですけどねぇ?……あの強気で勝気なティアナが、こうなるとは……ロック・
ハワード恐るべし!



「恋は人を変えると言う事なのだろうな、きっと。」

「かもな。」



「ねぇ、早く行こうよ~~~!!!」



っと、ヴィヴィオがお待ちかねだな。――悪い、すぐ行くぜ!!

んでもって、割引使って全施設フリーパスを購入したんだが、3割引きでも7000円とは驚きだぜ。――まぁ、こんだけの施設の全てを
此れ1枚で使えるって事を考えれば、この料金も納得だけどな。
そんじゃ、楽しむとするか!!



・遊園地


先ずやって来たのは遊園地。
まだヴィヴィオが小さいから絶叫系は外したはずだったんだが……シグナムが乗ってみたいって言った事で俺は今、シグナムと一緒に
此の遊園地の目玉である超絶デンジャラスなジェットコースターの最前列に乗っている~~!
何つーアップダウンだこれは!?最大傾斜55度で、最大落差400mって殆ど自由落下に近いだろ此れは!!他にもメビウス1回転が
あったり、機体の連続回転コースが有ったり、ジェットコースターの全てを詰め込んだなオイ!?

な、何とかホームに戻って来たが生きた心地がしなかったぜ……如何だったシグナム?楽しかったか?



「強敵との戦いとはまた違うスリルが味わえたな?……人工的に作られたモノとは言え、中々のスリルだった――が、ヴィヴィオを乗せ
 る事は出来んな。」

「そいつには賛成だ。
 折角だから、ロックとティアナも乗って来いよ。如何やら、坂を上り切って最初の落下の瞬間に写真撮ってるみたいで、其れを買う事が
 出来るみたいだからな。――凄い顔してるね俺も。」

「まぁ、記念にはなるだろうし乗ってみるか?」

「其れじゃあ最前列で!」



んでもってロックとティアナもコースターを体験して、写真を購入。
其の後はヴィヴィオでも楽しめるファンシーなアトラクションを中心に回って、ヴィヴィオも満足してくれたみたいだぜ――特に、中央舞台
で行われてた、この施設のイメージキャラクター達によるショーは大層気に入ったみたいだったからな。
抱っこして貰っての記念撮影も出来てよかったなヴィヴィオ?



「うん!其れに、帽子も貰っちゃった♪」



其れだけじゃなくてキャラ帽まで貰って、本当にご満悦だな?最初に遊園地をチョイスしたのは間違いじゃなかったみたいだぜ。




・水族館


続いては水族館――此れはシグナムのリクエストだな。
どれ程の物かと思ったが、結構中身は充実してるじゃねぇか?回遊魚のコーナーなんかはよくあるが、地球では見た事も無い魚も居て
驚いたぜ。
それ以上に驚いたのは深海生物のコーナーだ。
地球の水族館だと、剥製とか模型が置いてあることの方が多いんだが、此処は普通に飼育状態で展示してあるからな?……魔法を使
えば、深海の環境を再現するのは難しくないって事なんだろうなきっと。

其れは兎も角、ヴィヴィオは何故かダイオウグソクムシを気に入ったみたいだな?……水族館のお土産コーナーでは、迷う事無く『ハイ
パーDXぬいぐるみ ダイオウグソクムシ君』(全長100cm)をチョイスしたからなぁ?――ま、好みは人それぞれだからな。

まぁ、水族館での一番の驚きは――



「はい。次……惜しい、頑張って。」



レオナがシャチのショーに出てた事だけどな!?
確かレティの直属になってた筈だが……アルバイトでこっちの仕事もしてるのか?――相変わらず無表情で口数も少ないが、ショーに
出るシャチは完全にレオナの言う事を聞いてるから、調教師としての腕も確かって事か。

……或は、オロチの力を覚醒させて屈服させたのかも知れねぇけどな。

取り敢えず、レオナも仕事に忙殺されてるみたいじゃなくて安心したぜ。

さて、次に行こうぜ次!!








――――――








Side:シグナム


水族館の後は動物園を回り、京が『此処だ』と言った店で昼食を摂り(新鮮な魚介類を提供する寿司バーのランチメニューは絶品だった
……漬け丼はとても素晴らしく、サイドメニューの魚介の網焼きも美味しかったな。)、映画館でヴィヴィオリクエストのアニメ映画を見て、
今は屋内プールで水泳を楽しんでる真最中なのだが……



「分からない奴だな?俺が可愛いって言ったら可愛いんだ!!」

「よく言うぜ?美的感覚なら俺の方が上だぜ京?」



京とハワードが何やら言い争っているな?
一体何を言い争っているんだ、アイツ等は?……果てしなく如何でも良い内容であるような気はしなくはないが……



「きっと京さんは、シグナムさんの方が可愛いって譲らないんですよ。」

「となると、ハワードはランスターの方が魅力的だと譲らない訳か?」

ふむ、其れは其れで悪い気はしないが、その辺にしておけよ2人とも?ヴィヴィオが少し困っているし、私とランスターには異なる魅力が
あると言う事で良いのではないか?



「いいや、ティアナの水着の方が可愛い。」

「シグナムの水着の方が、大人っぽくて魅力的だ!!」



って、京はランスターを、ハワードは私を支持だとぉ?――其れは其れで良いのかも知れんが……お前等……!!


「「いい加減にしろ!(しなさい!!)」」

「「は~~い……」」



マッタク持って、自分の彼女以外の女を支持するなど言語道断だぞ?……私とランスターだったから此れで済んだが、下手をしたら後ろ
から刺されるかもしれんから気をつけろ。



「イエーイ♪」



まぁ、其れは其れとしてヴィヴィオもウォータースライダーなどを楽しんでいるようだから、屋内プールをチョイスしたのは悪くはなかったか
も知れんな。

因みに、此の屋内プールは疑似太陽光を照明に使って居るので、全員見事に小麦色に焼けたな――京は、まるでクローン京の様にな
ってしまったがね。



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其の後も、色々な施設を見て回り、今は陽が沈んでからのパレードを見ている最中だ。
色取り取りの電飾で飾られたパレード車は見事だな?……キャラクターがその上でパフォーマンスをするだけでなく、中にはドライアイス
の煙と共に変形してドラゴンになるなんて言うのもあったから、全く持って凝っているよ。

……変身したドラゴンの姿が、どこかで見た事のある『青き目の白き龍』だったのは気になるがな。(作者の好みです♪)

ヴィヴィオは遊び疲れて眠ってしまったし、ランスターとハワードもパレードの時は別行動だ……つまり今、此処には私と京しか居ないと
言える訳だ。

ふふ、今日は楽しかったぞ京?こんなに遊んだのは、若しかしたら始めたかもしれん。



「礼なら俺じゃなくてヴィヴィオに言えよ?此処を選んだのはヴィヴィオなんだからな。」

「其れは分かって居るが、それでもだ。
 何よりも、惚れた男とこうして過ごすと言うのは初めての事なのでな……其れを楽しめたことを、とても嬉しく思うのだ。」

「……其れはなによりだ。」

「だから、礼を言うぞ京。」



――チュ……



「んな!?不意打ちは反則だろオイ!!」

「嫌だったか?」

「嫌じゃないけどな!?……ったく、本気でやってくれるぜ。
 だけど、今ので火が点いたぜ?……ヴィヴィオは親父かお袋に迎えに来て貰うとして、俺達は帰らないからな?……今日は眠らせな
 いから覚悟しておけよシグナム?」

「ふっ、お手柔らかに頼むぞ?」

この後の事は語る事でもないが、取り敢えず良い非番の日であったのは間違いなさそうだ――尤も、此の日の最後の事が、私と京の
運命を決定づける事になるのだがな。
まぁ、其れを語るのはまた別の機会になるだろうな?…何れにしても、久しぶりに息抜きが出来たのは、間違いないとだけ言っておく。


因みに後で知った話だが、ヴィヴィオが懐いてたイメージキャラクターの着ぐるみを着てたのは如何やら庵だったらしい……こう言っては
なんだが、ヴィヴィオが殺されなくて良かったな……割と本気でな――











外伝2END