Side:束


う~む……此れはまた参ったね?
この束さんでも解明できないとは……若しかしなくても、IS学園を襲撃した無人機を作った奴って言うのは、私に匹敵する程の頭脳と技術力を有し
てるのは間違い無いね。



「タバネ?何をパソコンとにらめっこしてるんだ?」

「クロちゃんか……いや、IS学園を襲撃した無人機のコアを解析して、阿呆な事をしてくれた連中が何者なのかを調べてたんだけど、依然として正
 体不明なんだよね。
 一応、あの無人機を作った会社を調べる事は出来たけど、その存在はダミーで実態は不明……この私が尻尾の毛先すら掴めてないんだ。」

「お前が一切の有益な情報を得る事が出来ないと言うのは、連中は相当の手練れなのだろうね。」



うん、間違いなく相当な相手だと思う――其れこそ、トップの奴は私と同レベルの頭脳を持ってるって言えるかもだし。
コイツ等の裏を暴くのは簡単な事じゃないだろうけど……でも、必ず突き止めて、疑似ISコアと人の生体脳を搭載した無人機の製造なんて言う、フ
ザケタ事をしてくれたのを後悔させてやるかんね!



「その様な外道は抹殺すべきだ――が、生きている事を後悔させてやるのも、また一興かも知れん。」



だよね!
何よりも、なっちゃん達に対して上等働いた相手に慈悲も何もない……お前達の正体は必ず暴いて、裁きを下してやるから覚悟しておけよ?

そして、私の勘が正しければ、此の無人機を作った奴等の親玉は、私とちーちゃんに『白騎士事件』を起こさせた張本人だと思う――マッタク持っ
て上等だよ!!
一度と言わずに、二度もこの束さんに喧嘩を売ったんだ。誰に上等働いたのか、骨の髄まで叩き込んでやるから、覚悟しとけってね!










Infinite Breakers Break29
『迫る学年別トーナメントと夫々と』










Side:夏姫


あれから数日が経ったが、デュノアは未だに学園の地下牢に監禁されているままだ……まぁ、今の世界情勢を考えれば下手に釈放する事も出来
ないからな。

少なくともフランスの新政府が機能するまでは現状維持と言った所だね。
此れはあくまでもアタシの予想だが、フランスの新政府は高確率でデュノアの解放と保護を学園に要求してくるだろうな――如何やらフランス国内
じゃ、旧フランス政府とデュノア社の社長と社長夫人及び幹部に批判が集中してて、スパイを働いたデュノアは、寧ろ批判対象になってる連中に、
無理矢理スパイに仕立て上げられた被害者との意見が多い様だからね?

アタシとしては、アイツの状況にフランス国民は同情し過ぎなんじゃないかと思うが、全く何も知らない第三者からしたら、確かにアイツは被害者に
しか見えないからな……新生フランスがどんな判断を下すのかだ。

其れは其れとして、今は放課後で生徒会の仕事の真最中――実際にやって見て分かったが、これだけの書類のチェックやら何やらを楯無と虚さ
んの二人でやるのは相当な事だよ。
アタシが生徒会に入ったのは、間違いなく正解だったわね。

「はい、書類チェック終わったぞ楯無――殆どの書類が、一秋と散に対する苦情だったのは如何かと思うが。」

「お疲れ様、夏姫ちゃん。
 あの2人はホントにもう……クラス対抗戦の時の罰が少しは効いてるのか、アレ以前の様な大問題は最近は起こしてないみたいだけれど、織斑
 君は相変わらず自分を天才だ、織斑千冬の弟だって言って傲慢な態度を崩さないし、散ちゃんも織斑君の事を妄信してるからねぇ?
 他の生徒からの苦情が此れだけ上がってるなんて言うのは、普通なら教師陣に上申して学園問題になるところよ……」

――【学園会議必至】



と言うか、普通の学校ならとっくに退学だろ。少なくとも散は。
一秋の方はIS学園の特異性故の罰だったが、散の場合は物理的に他の生徒に重傷を負わせている訳だからな――正直な話、あの馬鹿を退学
にした所で、束さんは何もしないから、束さんからの報復など恐れる必要はないからね。

「と言うか、束さんがネットで全世界に『散って言う愚妹とは縁を切ったから。そいつ私の妹じゃないから』とでも言えば、少なくとも散に関する問題
 は、マルっと解決すると思うんだが……楯無と虚さんは如何思う?」

「確かに其れで決着が付くわね……」

――【姉妹関係断絶】


「其れをしないのは、其れを曲解して箒さんとまで縁を切ったと勘違いする人が居るからでしょうか?」



さぁ、其れは分からないけれどね。
何にしてもあの世紀の馬鹿コンビは本気で何とかしないと、何れ絶対に取り返しのつかない事をしかねん――今日も、散が他の生徒に理不尽な
因縁をつけて、箒に成敗されていたからな……箒が使った亜鉛パイプは何処から静寐が持って来たのか気になるがな。



「静寐ちゃんも中々やるわね……角材にトンファーに鉄パイプ。本当に何処から持って来るのやら……若しかして、錬成してたりして。」

「いや、流石にないだろ其れは。」

「まぁ、流石にないわよね……出来たら静寐ちゃん何者って話になっちゃうし。
 時に夏姫ちゃん、クラス対抗戦で思い出したんだけど、あの時に現れた無人機を学園に寄越した連中の事は何か分かったかしら?」

「其れについては、生憎と何もわかってない――束さんが、調べてくれているが、あれを作った会社はダミーで実体が無いらしいんだ。
 分かってるのは、あの無人機に搭載されてたISコアは、本物じゃなくて限りなく其れに近い疑似ISコアだと言う事と、搭載されていた生体脳の持
 ち主は、不治の病に罹っていた青年だったという事だ。
 ……その青年の名前を明らかにする事は出来なかったけれどな――更識の方では何か掴んでないのか?」

「生憎と、更識の方でも同じような事しか調べがついてないわ……相手は、余程の力を持った連中みたいね――更識と束博士の持てる力の全て
 を駆使して此れなのだからね。」



如何やら、無人機を寄越した連中は、アタシの想像以上の相手であるみたいだ――束さんと楯無が捜査しても、有益な情報は殆ど出てきて居な
い訳だからな。
まぁ、だが何時までも隠し通せる物でもないから、何時かは正体が明らかになるだろうけれどね。

そして、正体が明らかになったその時は、完全に滅殺してやるだけの事だ――人の生体脳を搭載した無人機の製造などと言うフザケタ事をしてく
れた輩には、アタシが知る限りの最大級の恐怖をくれてやる……精々楽しみにしているが良いさ。



「ニヒルに不敵な笑みを浮かべる夏姫ちゃんは、とってもイケメン女子よねヤッパリ。
 こんな事を言ったらアレかも知れないけど、棒イラスト投稿サイトで見かける『おっぱいの付いたイケメン』タグは、夏姫ちゃんにこそ相応しいんじ
 ゃないかって思うわ。」

「オイコラ何訳分からない事言ってるんだお前は?」

「お嬢様は、時々意味不明な事を仰いますね……大丈夫でしょうか?」

「大丈夫よ虚ちゃん。今のはつまり、夏姫ちゃんこそ最強のイケメン女子だって言う事よ♪
 ねぇ、夏姫ちゃん、私と付き合ってみない?私と夏姫ちゃんなら、結構相性が良いと思うんだけど。」



アタシかお前のどちらかが男だったら即OKしてる所だが、生憎と女同士だから即答は出来ないな?
スコールさんとオータムさんが恋人関係だから同性愛に偏見は無い心算だが、いざ自分がとなると流石に躊躇してしまうからな……まぁ、連日100
通近いラブレターが物理法則を無視して下駄箱に入ってる事を考えると、同性にモテると言う事も考えねばならないのかも知れんが。

と言うか楯無、お前そっち系なのか?



「男も女も両方いけるクチよ、要はバイね♪」

「堂々と言う事でもないと思うのはアタシだけなのか?」

とは言え、楯無はスペックは可成り高いし、容姿的にも極上レベルだから、交際する相手として最上級と言えるだろうけどね――って、普通にそう
考えてしまう辺り、アタシも実は同性愛者かバイだったのだろうか?

うぅむ……此れは少し悩んでしまうな。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



で、生徒会の仕事の後の部活も終え、その後の訓練も終えて、今は大浴場で一日の疲れを癒している真っ最中だ――IS学園の大浴場の湯は、
海底火山付近の温泉を引いてると言う事も有ってか、泉質が最高だから、疲れが一気に吹っ飛ぶ気がするよ。



「ホントだよ。
 一夏君は未だ大浴場が解禁されてないから、其れがちょっと可哀想かも。」

「まぁ、其ればかりは仕方ないさ静寐。
 如何に貴重な男性操縦者とは言え、女子との混浴をさせる訳には行かないからね――まぁ、女の園に放り込まれた男である事を考えると、危険
 に晒されるのは一夏の方かも知れないがな。」

「一夏との混浴は、アタシ的にはウェルカムだけどね~~?」



お前はそうかも知れないが、そんな事をしたら一夏が色々ヤバい事になるから、くれぐれも一夏と混浴しようなんて事は考えないでくれよ鈴?
何度も言ってる事だが、学園に在籍中は清い付き合いをするように――高校生の分際で叔母になるなんて言うのは洒落にもならないからね。



「アハハ、其処は大丈夫だから心配しなくてもいいわよ夏姫。
 一夏ってば可成り誠実だったみたいで、アタシが幾ら誘っても安易に乗っては来ないからね……ちょっぴり残念に思いつつ、愛されてるって事を
 実感できるんだけどさ。」

「愛されてるなら良いじゃないか。」

少なくとも一夏はお前一筋だし、お前だって一夏以外の男などノーサンキューだろ?
お前と一夏は、なるべくしてなったお似合いのカップルだと思うよ――アタシのお墨付きだ。



「実の姉からのお墨付きを貰えるとは、一夏君と鈴ちゃんは本当にお似合いのカップルな訳か。私も、其れには諸手を挙げて賛成だけど。
 其れは兎も角、一夏君が広いお風呂を我慢するのはもう少しかしら?学年別トーナメントの頃には、男子用の大浴場が完成する予定だしね?」

「まぁ、少なくとも今年一杯は一夏の貸し切りになるだろうな?
 一夏と一秋が一緒に入るとは思えんし、現状ではあの2人以外の男性操縦者は発見されていないからね……尤も、男性のIS適性を調べる国も
 出てきているから、其の内本物の3人目が現れる可能性はゼロじゃないかも知れないわ。」

しかし、学年別トーナメントか……開催までは、あと1ヶ月を切ってるんだよな?
学年別と銘打ってはいるが全員強制参加と言う訳じゃなく、参加希望者は書類を提出する事になってるから、トーナメントに参加するか否かで生
徒のやる気の差が分かると言えるかも知れん――定員に満たなかった場合は、抽選でランダムに出場者を決めると言うのは如何かと思うけど。

皆は当然出るんだろう?



「「「「「「「「「勿論!!」」」」」」」」」

「だよな。」

一夏も出ると言って居たし、そうなると1年の部でのベスト8は、序盤で専用機持ち同士の星の潰し合いが発生しない限り、ISRI所属組とラウラ、メ
アリー乱の何れかの中からの8人で決まりだろうな?――のほほんさんと箒は実力は充分なんだが、学園の訓練機では厳しいだろうから除外だ。
まぁ、専用機の有無は有れど、此の12人が他の生徒に負けるとは思えないと言うのが正直なところではあるな。
素の実力で差がある上に、箒とのほほんさん以外は全員が専用機持ちだからなぁ?ハッキリ言って、一般生徒相手では試合にすらならないだろ
うね――あの馬鹿2人に関しては論外だしな。

まぁ、誰が優勝するにしても頑張ってくれよ?アタシと楯無はトーナメントに参加する事が出来ないから、アタシ達の分まで思い切り楽しんでくれ。



「お姉ちゃんと夏姫は出ないの?如何して……」

「私と夏姫ちゃんも出たいのは山々なんだけど、当日は生徒会としてのお仕事が入ってるのよ簪ちゃん。
 いえ、去年までは生徒会のメンバーも参加していたんだけど、今年のクラス対抗戦であんな事があったから、警備強化の意味で生徒会のメンバ
 ーは、今年は教師部隊と一緒に警備に当たる事になったのよ。
 で、虚ちゃんは生身でアリーナ及び学園内の警備、アタシと夏姫ちゃんはミューゼル先生率いるIS部隊と一緒に建物外の警備に当たる事になっ
 ちゃてる訳。」

「クラス対抗戦で招かれざる客が来た事が大きいな――学園の防衛システムを越えてくる奴が居る以上、入り込まれる前に撃墜する以外に方法
 は無いからね。」

「え~~?夏姫とタイマンで戦えると思ったのに残念ね~~?
 何なら、アタシ達もそっちを手伝おうか?」

「その気持ちだけ受け取っておくよ鈴。」

生憎と警備の方――内部の警備は兎も角、外部の警備は生徒会に所属してる生徒でないと参加する事は出来んのだ。……其れに、お前は警備
には向かないだろう鈴?
お前は、来るかどうかも分からない敵の為に待って居る事など出来る性質ではないだろ?……警備に参加した所でフラストレーションが蓄積され
るだけだから止めておけ。



「やっぱそうかしらね?
 ……確かに来るかどうか分からない相手の為に学園を警備するよりも、トーナメントで暴れまくってる方がアタシの性には合ってるわ。」

「だろ?だから、思い切りトーナメントで暴れて来い。
 そして、これは鈴に限らず全員に言っておくが、若しも一秋と散がトーナメントに参加した場合、戦う事になったら一切の容赦はなしで、徹底的に
 叩きのめして、絶対的な敗北を味わわせてやってくれ。」

「そんなもん、言われるまでもないわよ夏姫!!」

「私自らの手で、あの愚妹に引導を渡す……其れもまた良かろう。一秋と当たった場合は――取り敢えず、ぶちのめす。」

「織斑君が一夏君と双子だったなんて信じられないし、箒と篠ノ之さんが双子なのも大凡信じられない位にあの2人は人間として酷過ぎるよ。
 あの2人と当たったその時は、カラミティで火刑と斬刑に処す。」

「け、結構言うね静寐?ならアタシはフォビドゥンの大鎌で死神宜しく首を狩ろうかな?」

「其れじゃあ私は、レイダーの鉄球で爆砕だね♪」

「粘着弾で動きを止めた所に、ミサイルで飽和攻撃が良いかな?其れとも、近接が苦手なバスターで近接戦闘を挑んで圧倒的に勝つ方がインパ
 クトが大きいかなぁ?」

「よし、AICで動きを止めた上でフルボッコにしよう。」

「クラス代表決定戦の時の勝利が、ラッキーパンチによるまぐれだった事を思い知らせてさし上げますわ。」

「一夏お兄ちゃんと同じ顔した性格破綻者なんて、マジでぶっ倒すだけだわ!」

「アレと、アレの金魚の糞はボッコボコなのだーー!」



……アタシから振ったとは言え、ドイツもコイツも容赦が欠片も見えんな?其れだけ、アイツ等は倒すべき相手だと言う事なのかも知れんがな。
そして、静寐が思った以上に過激な思想で驚いたよ……火刑で斬刑とはな。
だが、その意気や良しだから思い切りやってしまってくれ。ラウラも、一秋と当たった時は殺さなければ何をしても構わんからな?



「うん、わかったよ夏姫。」

「了解したぞ夏姫よ。」

「一秋の馬鹿は、此れまで一夏を馬鹿にして来たが、今度は自分が馬鹿にされて蔑まれる番だと知れと言う所だな――正に因果応報だ。」

で、さっきからアタシの事をマジマジと見てるが、何かあったかラウラ?
如何に同性とは言え、そう見つめられると流石に恥ずかしいのだが……と言うか、どちらかと言えば筋肉質な身体を見ても面白くも何ともないだろ
うと思うんだがな?



「いや、そんな事は無いぞ?
 夏姫の身体からは学ぶ事が多い――必要な筋肉は確りと付いているにも拘らず決して太くなく、女性らしいラインを保っているからな?
 何よりも、其れだけの豊満な胸を持ちながらも腹筋がうっすらとシックスパックになっていると言うのは素晴らしいとしか言いようがない――女性
 がシックスパックになった場合は、胸も胸筋が鍛えられてしまって膨らみを失ってしまうからな?」

「そうそう、ラウラちゃんの言う通りよ夏姫ちゃん。
 夏姫ちゃんは女性ビルダーの逞しさと、グラビアアイドルやモデルの美しさの両方を兼ね備えたパーフェクトな身体をしてるのよ――今度IS関連
 雑誌の取材があるんだけど、表紙とグラビアの撮影受けてみない夏姫ちゃん?」



ラウラよ……まぁ、良く分かったが、表紙とグラビアの撮影はお断りだ楯無。
そもそもガラじゃないし、不特定多数の目に触れる雑誌でグラビアなど出来るか――絶対に水着になるのは間違い無いだろうし、下手したら下着
姿と言う可能性もあるからな。



「あら残念♪」

――【売れ行き倍増計画失敗♪】



残念だって言うなら残念そうなテンションで言え楯無。と言うか、扇子に本音が漏れてるぞ?
それ以前に風呂場に扇子を持ち込むなって言う事と、なんでその扇子は水に濡れても平気なんだって言う事と、そもそも誰もが楯無が風呂場に
扇子を持ち込んでる事に対して疑問を抱いて居ないって言う事と、何処から突っ込めばいいんだアタシは?



「そんな訳で、当日は警備の方お願いね夏姫ちゃん♪」

「如何言う訳か分からない上に、無視されたアタシの突っ込み144文字。」

「うふふ、気にちゃダメよ夏姫ちゃん♪」



まさかの突っ込み封殺とは恐れ入るよ楯無。
しかし、経験則的に、学年別トーナメントも平穏無事に終わるとは思えん――アタシと楯無とスコールさんが外部警備に当たる以上は、クラス対抗
戦の時の様な無粋な乱入者がアリーナに突撃する事は無いだろうが、それ以外の何かが起きるんじゃないかって言う事を、理屈じゃない本能で
感じているからな。

アタシの本能が感じ取った不穏な彼是が、杞憂である事を願うばかりだな此れは。








――――――







――数日後


Side:鈴


ふ~~……今日も一日お疲れ様だったわね。
授業はスコールさんの教え方の巧さもあって、とっても分かり易かったから全然問題ないけど、アタシってば座学には向いてないから、如何したっ
て授業は疲れちゃうのよね。

まぁ、その疲れは放課後の部活とIS訓練で発散してる訳だけどさ。


で、今日も放課後の訓練の為にアリーナに来たんだけど、今日はアタシが一番乗りみたいね?
夏姫は今日は先に部活に参加してから生徒会に行ったから、生徒会の仕事が長引いてるのかもね――一夏達にしても、何時もよりも部活が長
引いてるのかも知れないわ。

……ラウラが『日本文化に触れたい』って言う理由で茶道部を選択したのは予想外だったけどさ。――尤も、茶道部の助っ人部員になってる箒が
言うには、ラウラの茶道の作法は中々確りしてるとの事だったから其れに驚きだけどね。

機会があったら、中国茶の作法を教えてやってもいいかも知れないわ――ラウラは意外と凝り性みたいだから、案外嵌るかも知れないからね。



さてと、まだ誰も来てないんなら、先ずは準備運動とウォーミングアップでもしておこうかな?
そうすれば、皆が来た時に直ぐに練習を始める事が出来るしね――しっかしまぁ、アタシも夏姫ほどじゃないけど結構筋肉あるわよね……脂肪が
薄いせいで腹筋はバッチリ4つに割れてるし。
静寐も最近腹筋が割れて来たし、楯姐さんに至っては夏姫並みの体型になって来たからね――うん、アタシも負ける事は出来ないわ!

――何時の日か、一夏にこの身を捧げる時が来るだろうから、その時にカッコ悪い身体じゃダメだしね。



「なんだ、今日はお前だけか鈴?」

「アイツ等はまだ来ていないようだな……逆に好都合か。」



ってな事を考えてたら、一番会いたくない奴等が来てくれたわね――一体何の用かしら、一秋に散?此処は、此れからアタシ達が訓練をするから
アンタ達が居ると邪魔なんだけど?
速攻で其処から退け、ぶっちゃけアンタ等は視界に入るだけで気分が悪くなるわ。



「冷たい事言うなよ鈴……俺達、幼馴染じゃないか――なら、俺の模擬戦に付き合ってくれてもいいじゃないか?」

「一秋の言う通りだ。
 そもそもにして、お前の様な輩が一秋に声を掛けて貰っただけ光栄だと思え――まぁ、お前に待っているのは無様な敗北だけだと思うがな!」



幾ら何でもその挑発は露骨過ぎるわよ散?
そもそもにして、アタシとアンタ等じゃレベルが違い過ぎるから模擬戦にすらならないわ――良いわ、格の違いって言うモノをその身に刻み込んで
やろうじゃない!

やるからにはとことんやらせて貰うわ――覚悟は良いわね、織斑一秋とその取り巻き!
アンタ達に教えてあげるわ――アタシとアンタ達の間に存在している壁はドレだけ厚くて高いのかと言う事を、其の身をもって実感させてあげるか
ら感謝しなさいよ?

どんな意図があってアタシに挑んで来たのかは知らないけど、返り討ちにしてやるから覚悟しとくのね?――生憎と、アタシはアンタ等に対しての
手加減なんて言う器用な事が出来る訳じゃないからさ。



「言うじゃないか鈴……だけど、俺を倒す事が出来るかな?」

「ほざけ、アンタ如きは瞬殺上等だ。」

行き成り現れて喧嘩吹っ掛けられたとなったら、アタシだって我慢できないからね……て言うか滅殺・抹殺・瞬獄殺一択だし――精々返り討ちにし
てやるから、覚悟しとけ!!
アンタの事は、トーナメント前にぶっ潰してやるわ一秋!そして散!!――誰に喧嘩売ったのか、後悔させてあげるわよ!

何よりも、夏姫から聞いた話だと、アンタ達って色んな生徒に迷惑かけてるみたいじゃない?……良い機会だから、人様に迷惑かけたり不快な思
いをさせないように教育してやるわ!

ま、アタシの教育はスコールさん並みに厳しいから、アンタ等が耐えられるかどうかは知らないけどね!!












 To Be Continued… 



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