Side:イルジオン


最初のターゲットはカナダか……ソコソコの大国だから、開幕の花火としては充分と言える訳だが、まさかこんな移動手段があったとはな――個々に出撃
するのかと思っていたら、巨大な航空戦艦での出撃となったのだからね。
一体何時の間にこんな物を造って居たんだ教授?



「極秘裏にこっそりとだよイルジオン。
 AI管理された製造ライン、其れもアジトの最深部で造っていたのだから、私以外に此れの存在を知る者はない――まぁ、クリスマスのサプライズだと思っ
 てくれ給え。」

「サプライズ、ね。まぁ、驚かされたのは否定しないよ。
 だが、此れだけの大きさだとカナダの領空に入る前に気付かれてしまうじゃないのか?大きさならば、ISRIのアークエンジェルに匹敵するだろう此れ?」

「女権団との戦いの際に得た、アークエンジェルのデータを元に建造したからねぇ……彼女達の航空戦艦が大天使だとしたら、我々の航空戦艦はさしずめ
 堕天使と言った所だね――ドミニオンとでも名乗ろうかな?
 カナダの領空に入る前に気付かれてしまうかもしれないと言う事だったが其処は心配ご無用だ。このドミニオンにはミラージュコロイドステルス機能が備
 わっているから、此方から姿を現さない限りは気付かれる事は先ず無いと言えるのだよ。
 何せ、ミラージュコロイドステルスを見破る手段は、開発者である篠ノ之束ですら未だに作る事が出来ていないのだからね。」



ミラージュコロイドステルス、其れがあるのならば確かに見つかる可能性は略ないが、だからこそカナダにとっては不意打ち以外の何物でもない襲撃にな
ると言う訳か。
さてと、戦闘マシーンと化したゴーストの隊員と、代表候補生の成れの果てはプログラミングされた命令を遂行するだけだが、自我のある一秋と散、それと
量産型織斑千冬の成り損ないには、やるべき事を改めて認識させておくか。

「私達のターゲットは、あくまでもカナダの軍事施設と政府機関、そしてカナダが保有しているISコアだ。
 向かってくる軍人や政府関係者には一切の容赦は必要ないが、無関係な民間人には攻撃を加えるなよ?……戦火によって犠牲になってしまったのは
 仕方ないが、自ら進んで攻撃はするんじゃない。」

「生温い事言ってんなぁイルジオン?
 どうせ攻撃するんだから問答無用で全部ぶっ殺しちまえば良いじゃねぇか?大体なんでカナダなんだよ?IS学園を攻撃した方が面白いのによぉ?」

「無差別攻撃で皆殺しに出来るが、敢えてそれはしなかったと言う結果の方が世界は怯むモノなんだ、そこを理解しろ一秋。
 其れから、IS学園はあくまでもメインディッシュだからな……フルコースの料理で、行き成りメインのローストビーフを食わせろと言うバカは居ないだろ?」

「チッ……そう言う事かよ――先ずは世界をビビらせるって事か。ったく、あの教授とやらの考えはマッタク持って分からねぇ事だらけだぜ。
 だがまぁ、IS学園がメインディッシュだってんなら、前菜のカナダを先ずは美味しく頂くとしようじゃねぇの?前菜が旨いフルコースってのは、期待出来るっ
 てモンだからな!
 カナダの連中に俺達の力を思い知らせてやろうぜ散、そして弟達よぉ!」

「そうだな一秋、私達の力を思い知らせてやろう……この素晴らしい力をな!」

「良いねぇ、やってやろうじゃないか兄上様よぉ……!」

「漸く暴れる事が出来る訳か……待っていたぜ、此の時をなぁ!」

「織斑計画が生んだ超人がどれ程か、其の身で知ると良いぜ……!」



……今更だが、本当に揃いも揃って人格破綻者ばかりだなライブラリアンは。無論、その筆頭は教授だが。
一秋をはじめとした織斑計画の成れの果ては人工物だから『そう言う風に作られた』と言う事で済ます事が出来るかも知れないが、散の奴は何故にこうも
酷い人格破綻者になってしまったのか……篠ノ之箒が、大和撫子サムライガールである事を考えると謎で仕方ないぞ?
同じ遺伝子の持ち主であっても、同じ人間にはならないと言う良い例だな……否、其れは私にも言える事か。

さて、そろそろカナダに到着する――日本との時差を考えると、今のカナダは二十四日の昼から夕方と言った所か……時間的には少々早いが、サンタク
ロースがプレゼントを持ってやって来たぞ?
恐怖と絶望と言う名のプレゼントを持って、な。










Infinite Breakers Break109
Break The World~終焉の序曲~』









No Side


クリスマスイブのカナダは、其れこそ主要都市だけでなく、地方都市でもクリスマスイブを祝うべく、町中がクリスマス一色に染められていた――しかし、突
如として、其のお祝いムードは吹き飛ばされる事になった。
何の前触れもなく、其れこそ予告すらなく、各地にある軍事施設が謎のISによる襲撃を受けたからである。

其れは完全なるテロ行為以外の何物でもない……完全に不意を突かれた形になったカナダの軍事施設の対応が後手に回ってしまったのは、致し方ない
と言えるだろう。


「クソ!一体何処から現れやがった……IS部隊を即時出撃させろ!野蛮なテロリスト達に好き勝手をさせるな!」

「分かっている!
 緊急事態発生!緊急事態発生!IS部隊は直ちに出撃し、テロリストを制圧せよ!繰り返す!IS部隊は直ちに出撃し、テロリストを制圧せよ!」


其れでも即時にIS部隊を出撃させ、テロリストの制圧に乗り出したのは流石と言うべきだろう。
ISRIが男性用ISとコアの量産に成功した事を発表した後、全世界で軍隊のIS部隊はその能力を大幅に向上させていた――男性隊員が誕生しただけでは
なく、ISRIから購入したコアを使った新型機が開発されたりしているからだ。
その為、各国のIS部隊はその隊員数が大幅に増えているのだ――そして、其れは勿論カナダとて例外ではない。
国防予算の半分をつぎ込んでISRIから二百個のコアを買い付け、IS部隊の大幅強化に乗り出したカナダのIS部隊は、世界でもトップ5に入るIS部隊と言え
る……其れはつまり、カナダへのテロ行為は、テロリスト自身の首を絞める事態になりかねないのだが――


「此れは……BT兵器!?其れも一度に十基も操るだと!?」

「な、何だ此のスピードは!?コイツのパイロットは、この速度について行ってるって言うの!?……有り得ない。普通だったら身体に掛かるGで意識を失
 ってもオカシクないのに!!」

「何だあの大きさは……アレもISなのか!?」


生憎とライブラリアンは只のテロリストではない……束が開発した『対IS用IS』に匹敵する性能を持った機体と、複数の無人機を有する組織なのだ。
そして、有人機のメンバーは異常な計画で造られた存在をメインとした強化人間達ばかり――如何にプロの軍人であっても、その能力には残酷なまでの
差があるのである。
特に凄まじいのは矢張りイルジオンのジェノサイドフリーダムだ。
二丁ビームライフルに、腰のレールガン、背部のバラエーナー、腹部のカリドゥスと抜群の火力を誇る上に、十機のドラグーンによる多角的な攻撃でカナダ
軍を完全に手玉に取っていた。――ドラグーンが射撃だけでなく、刺突武器として突撃して来ると言うのも効果として大きかっただろう。

此れだけでも充分に脅威であるのに、更に厄介だったのが一秋のゲイルストライクと、散のミラージュフレームだ。
ゲイルストライクもミラージュフレームも近接戦闘に特化した機体であり、機動力は元々可成り高かったのだが、今のゲイルストライクとミラージュフレーム
は、以前よりも其れが強化されていた。
特にミラージュフレームは、外見も大幅に変わっている――全身が禍々しい紫色になっただけでなく、頭部のV字アンテナが、カブトムシの角を思わせるモ
ノに変化し、足にはグラディエーターモードの際に展開されていたクローが装備されている。
此れこそが、超近距離戦に特化した改造を施された、ミラージュフレーム・セカンドイシュー、散の新たな機体だ。
遠距離武器は一切搭載されていないが、極限まで強化された機動性により、相手の射撃や砲撃を略確実に回避出来ると言う、相当にぶっ飛んだ性能の
機体であり、その機動性を最大限に発揮する為には、人を超えた反射神経が必要となる。
普通ならば散如きが扱える機体ではないのだが、散には教授による強化改造が施されている為、此のハイスペック機を十全に使い熟す事が出来ている
のだ。


「あははははは!如何した、カナダの精鋭とやらはこの程度か?ならば死ね!このタイラントモードのミラージュフレームに蹂躙されて地獄に堕ちろ!!」

「オイオイオイ、この程度なのか?
 もっと楽しませてくれよカナダさんよぉ?もっともっと聞かせてくれよ、テメェ等の断末魔の悲鳴って奴をな!!」


そして其れは一秋も同じだ。
ゲイルストライクは外見の変化はないが、機動力が大幅に強化され、一秋もまたその機動力を十全に発揮出来るように教授に肉体を改造されているので
ある――其の強化改造の影響なのか、一秋も散も更なる人格破綻者になってるようだ。
或いは、力に溺れ、人を殺す事に快感を覚えてしまったのかもしれない――まぁ、生身の鈴をリンチしたり、ラウラにプラスチック爆弾喰らわせたり、夏姫の
事をぶっ刺したりしてたので、人の命を軽く見ていた節はあったのだが、其れが完全に覚醒してしまったと言う事なのだろう。


「ちぃ……コイツ等は快楽殺人者か?……何にしても、真面な思考の持ち主でない事だけは確かだな……!」

「本気でヤバいわコイツ等……何よりも、あのデカブツがヤバすぎるわ!」


有人機と無人機への対処で手一杯のカナダに更なる絶望を与えたのは、並のISの十倍近い大きさを誇るデストロイだ――ISRIによって、近接戦闘の弱さ
は明らかになっているとは言え、本体の火力に加え、ドラグーンとして機能する両腕は厄介極まりないと言える。
何よりも、此のドラグーンの腕には陽電子リフレクターが搭載されている事で、防御力も高く、腕の破壊だけでも難易度は可成り高いのである……そんな
デストロイが五機もカナダの大地に降り立ったとなれば、其れはもう悪夢だろう。
カナダ各地の軍事施設に降り立ったデストロイは、その火力を持ってして、軍事施設を一瞬で焦土と変えてしまった……出撃していたIS部隊のメンバー以
外は全滅したと見て良いだろう。


「クソ!クソ……テロリス如きに私達が遅れを取るなど……貴様等、一体何が目的だ?」

「目的?カナダが保有するコアを回収するって事だったが、そんなモノは俺にとっては如何でも良い事なんだよぉ……敢えて俺の目的を言うのならば、俺
 を虚仮にした世界をぶっ壊すって所か?
 この天才である俺様を虚仮にした世界なんざ要らねぇんだよ……だから世界をぶっ壊して、俺の為の世界に作り替えてやる……だから、取り敢えずアン
 タはもう死んでいいぜ?」


其のIS部隊も、次々と倒され、そしてコアが回収されていく。
一秋も今また、カナダ軍IS部隊の女性隊員をウィングソーで突き刺して絶命させ、機体のコアを回収していた……こうも躊躇わず人を殺す事が出来ると言
うのは、教授によってインストールされた『トリガーデータ』の影響も大きいのだろう。






一方で、カナダの政府機関もまた恐慌状態にあった――ライブラリアンの無人機のザクとグフは、カナダ政府に狙いを定めて一気に襲い掛かったのだ。
無論、議会を警備していた警備員(軍からの派遣)は、ISを展開して襲撃者を返り討ちにせんと出撃したのだが、待っていたのは百を超える無人機――ザ
クとグフの大群であり、十人にも満たない警備員で如何にか出来る数ではなかった。


「多勢に無勢とはこの事か……だが、我等の命に代えても首相の事はお守りするぞ!首相がプライベート機で国外に脱出するまでの時間を稼ぐんだ!
 いや、首相だけでなく、多くのカナダ国民が国外に脱出するための時間を稼げ……メイプルリーフに忠誠を誓った者は私の後に続けぇ!!」

「テロリスト共、貴様等の目的は知らんが、貴様等の思い通りになると思うなよ?
 カナダは不滅!今此処で貴様等に大打撃を与えられようとも、生き残った者達によって必ずカナダは再起する……極寒の地に暮らす者の維持と根性を
 舐めるなぁ!!」


其れでも怯む事なく警備員達はザクとグフに向かって行く……戦力差は1:10と言う絶望的なモノだが、祖国を護る為ならば絶望的な戦力差が有ろうとも
退く事はしないようだ。
寧ろ、自分達が犠牲になる事で、政府の要人や一人でも多くの国民が生き延びる事が出来るようにしているのだろう……その祖国愛は称賛に価する。
だが、現実と言うのは非常なモノで、出撃した警備員は、数の暴力の前に一人、また一人と落とされていく……勿論、ザクとグフもソコソコの数が撃墜され
ているのだが、数の面で言うとその数は一割にも満たない。


「く……遂に残ったのは私だけになってしまったか……」


その数の暴力の前に、警備員は遂に警備隊の隊長だけになってしまっていた……残ったのは彼女一人に対して、ザクとグフの数は未だに九十機以上あ
る――如何考えても、此処から巻き返す事は不可能だろう。


「最早これまで……万事休すか――だが、私の首は貴様等には取らせない……その代わりに、何体かは地獄への旅行に付き合って貰うぞ!!」


形勢逆転は不可能と判断した警備隊長は、自機のコアに機体の全てのエネルギーを逆流させて飽和状態にした上で更にイグニッション・ブーストを使って
コアに負荷をかけてエネルギー暴走を誘発させて自爆!
束曰く『コアが破壊される時に発生するエネルギーは核爆弾に匹敵する』との事なので、警備隊長の自爆によって、無数のザクとグフは完全に消滅してい
た――無論、議事堂もだが。

だが、其れは決して無駄な事ではなく、この攻防が行われている間に、首相をはじめとした政府要人の多くは国外脱出の為に空港に到着していた。
全員ではなく、ライブラリアンの手によって命を奪われた者は居るモノの、政府関係者の八割が空港まで辿り着けたと言うのは、ライブラリアンの苛烈な攻
撃を考えると驚異的な数字だろう……その為に、多くのカナダ軍兵士が犠牲になっているのだが。
ともあれ、空港では何時でも離陸できるように専用ジェット機がスタンバイしており、政府要人達は次々とジェット機に乗り込んで行き、搭乗が完了し、全員
がシートに着いたのを確認すると同時に離陸を開始した。

またカナダ各地の空港では、ライブラリアンの攻撃の余波から逃げ延びた国民達が、国外に逃げようと殺到し、搭乗手続きのシステムがパンク寸前に陥っ
ていた――誰しも死にたくないのだからこうなっても仕方ないとは思うが。
普通ならば、システムを正常に保つ為に搭乗手続きを制限するのだが、今は事態が事態だけにそうも言ってられず、空港側は搭乗手続き其の物を無くし
て、殺到した国民達を次々と飛行機に乗せ、搭乗が完了した飛行機から順次離陸させると言う処置を取る事になった。
無論、其れでも『若しかしたらこの飛行機も襲われるのではないか?』と言う恐怖は誰しもが持っていた――逃げ場のない空中で襲われたら、生存確率0
%なのだから。


だが、その心配は杞憂に終わる事になる――離陸した飛行機はおろか、空港さえも襲撃を受ける事はなく、戦火から逃れた国民と空港スタッフ全員が国
外への脱出を終える事が出来たのである。
此れは単純に、ライブラリアンが『巻き込まれて命を落としたのは仕方ないが、民間人には直接攻撃はしない』方針だったからであり、それ故に、国内の主
要な幹線道路や鉄道は破壊せず、また民間機が離着陸する空港も攻撃対象から除外していたからだろう。
無人機及び、元ゴーストの隊員や、代表候補生の成れの果てにはそのような命令がプログラムされているし、仮に一秋や散が襲撃しても、その時は教授
やイルジオンが『強制停止コード』を使って止めるから此方も問題はない。
結果として、全ての飛行機は無事にカナダから脱出出来たのだった――そう、民間機は。

ターゲットではない民間機は逃がしても、ターゲットである政府要人を乗せた専用ジェット機を逃がすライブラリアンではない……今回の『クリスマスパーテ
ィ』のフィナーレの準備は、既に完了しているのだ。

そんな事になってるとは露知らず、専用機に乗り込んだ政府要人達は一様に安堵の表情を浮かべていた……『助かった』、『生き残る事が出来た』と。
だが――


「な、何だ?行き成り前方に何か現れただと!?此れは……まさか、航空戦艦だと!?」


突如専用ジェット機の前にライブラリアンの航空戦艦・ドミニオンが行く手を遮るように現れたのだ。
ドミニオンはミラージュコロイドステルスで姿を隠して専用ジェット機の前まで移動し、其処でミラージュコロイドステルスをオフにしたのである――其れも態
々専用ジェットが軌道を修正してドミニオンを避けられるようにした上でだ。


「右に急旋回!航空戦艦から逃げるぞ!」


専用ジェット機のパイロット達は、即座に目の前に現れた航空戦艦がカナダを襲ったテロリストの物だと判断し、この場から離脱しようと飛行ルートを修正
し、更にエンジンの出力を最大にするが、既に盤面は詰み上がっていた。


『民間人は見逃すが、貴様等は逃さん。』

「え?」


通信機からパイロットの耳にそんな言葉が聞こえた次の瞬間……専用ジェット機の左翼のエンジンが火を噴いた。


「キャーーーー!!な、何!?何が起きたって言うの!?」

「攻撃された!?一体何処から!!」


瞬間、機内は一気に恐慌状態に陥った……当然と言えば当然だ、『助かった』と胸を撫で下ろした直後に自分達の乗っている専用ジェット機が攻撃された
のだから。
一応言っておくと、今の旅客機は片方のエンジンが停止しても、もう片方のエンジンだけで飛行出来るため、左翼のエンジンが破壊されても、専用ジェット
機が墜落する事はない――が、其れだけだ。


「お、オイ……何だよ此れは!!」

「IS!?其れもこんなに沢山……ま、まさか我が国のIS部隊は全滅したとでも言うのか……!!」


専用ジェット機の周囲にはライブラリアンのISが有人機、無人機を問わず無数に存在していた……そう、先程左翼のエンジンが火を噴いたのは、ジェノサイ
ドフリーダムのドラグーンがエンジンをビームで撃ち抜いたからだったのだ。
敢えて左翼その物を破壊しなかったのは、より絶望を味わわせる為なのだろう――恐らくイルジオンの意思ではなく、教授の指示なのだろうが。

何れにしてもこの光景を目にした専用ジェット機内の者達は絶望した……一切の武装を積んでいないジェット機で無数のISから逃げきる事など不可能だ。
仮に緊急事態用の脱出ハッチからパラシュートを装着してダイブした所で、其処を狙い撃ちにされるのは火を見るよりも明らか……如何足掻いても逃れる
事の出来ない『死』と言う結末。

――最早、悲鳴を上げたり命乞いをする事すら出来ない程に、絶望のどん底に叩き落されてしまった。


「クククク……楽しい時間と言うのはあっと言う間に終わってしまうのが難点だねぇ?
 だが、折角のクリスマスパーティなのだから、フィナーレは派手に行くとしようかな……さぁ、派手に花火を上げ、パーティのフィナーレを飾ろう!!」


ドミニオンのブリッジで教授が叫んだ次の瞬間、ライブラリアンのISが一斉に専用ジェット機に襲い掛かった。
ISの力を持ってすれば、ジェット機程度は一撃で破壊する事が可能だが、敢えてそれをせずに少しずつ、少しずつ……まるで子供が蟻の足を一本ずつ捥
いで行くかのようにじわじわと削って行く残虐極まりない攻撃で追い詰める。


「……本当に悪趣味だな教授は……もうこの辺で良いだろう。
 襲っておいてこんな事を言うのはオカシイかも知れないが、お前達の魂が天国に行けるように祈っておくよ――今度生まれてくる時は、ISが存在しない
 世界に生まれてくるんだな。」


だが、その嬲り殺しもイルジオンがジェノサイドフリーダムのドラグーンフルバースを使った事で終わりとなった……計十七門の火器の一斉掃射を喰らった
専用ジェット機は爆発四散!
搭乗していた者達は跡形もなく吹き飛んでしまったのは間違い無いだろう。


「汚ねぇ、花火だぜ。」

「……お前は何を言ってるんだ一秋?」

「……言ってみたかったんだよこのセリフ。」


何れにしても此れにてライブラリアンのカナダ襲撃は終幕となったのだが、此の襲撃でカナダの軍事施設は全て破壊され、カナダ軍所属の兵士は全て死
亡、又は行方不明となり、政府の関係者は全員が死亡。
軍や政府とは全く無関係の国民も実に二割が犠牲になると言う最悪の結果だけが残り、カナダと言う国は事実上完全に壊滅してしまったのだ。

だが、此れだけの事があったにも関わらず、報道機関は全て破壊され、大使館も破壊され、さらに国境付近では戦闘が行われていなかったため、世界が
此の惨劇の事を知るのは、数時間後の事だった。








――――――








Side:夏姫


あふ……もう朝か。
なんか重いと思ったら、刀奈が覆いかぶさっていましたとさ……昨日はクリスマスパーティで大いに盛り上がって、結局マドカ以外のメンバーはリビングで
寝落ちしたんだったな。
刀奈とはベランダのヤドリギの下でキスした後で……ソファーで適当に過ごしてる内に寝てしまったと言う所だな此れは。

「おい、起きろ楯無。朝だぞ。」

「はい、此方は忘却の彼方……発信音の後にメッセージをどうぞ。」

「……どんな寝ぼけ方だ其れは。」

「あら、的確な突込みをありがとう♪」

「起きてたのか……」

起きてるのなら退いてくれないか?こう言ったら何だが、流石に重い。



「あら、其れを貴女が言っちゃうの夏姫?……普段は貴女の方が私に覆い被さる事が多いって言うのに――まぁ、夏姫はタチだから上になるのは当然で
 はあるのだけど♪」

「起きて早々、何を言ってるんだお前は?
 そもそもにしてアタシが普段上になるのは、お前が下の方を好むからだろうが、此のヘタレネコ。」

「にゃん♪」

「あぁもう、可愛いな。」

取り敢えずアタシの彼女がめっちゃ可愛かったので頭を撫でてみました。



「朝っぱらから仲が良いな……おはようナツ姉さん、楯義姉さん。」

「あぁ、おはようマドカ。」

「おはよう、マドカちゃん♪」



よく眠れたかマドカ?其れと、サンタクロースからのプレゼントは来ていたか?



「あぁ、よく眠れたよナツ姉さん。
 それと、サンタクロースからのプレゼントもバッチリ来ていた……まさかこんなに大きなクマのプーさんのヌイグルミが貰えるとは思ってなかったけどな。
 ふふ、この大きさだと抱き枕にする事も出来そうだ。」

「そうか、良かったな。」

此れは、後でフォルテに追加報酬確定だな……マドカがこんなに嬉しそうにしていると言うのは、姉として喜ばしい事だからね。
さてと、其れじゃあマドカも起きて来た事だし、寝落ちた全員を起こすとするか――マドカ、スピーカーのボリュームをマックスにしてくれ。楯無は家の周囲
に水のバリアを張って、御近所に騒音が発生しない様にしてくれ。



「うん、準備出来たぞナツ姉さん。」

「こっちもバリアは展開したわよ夏姫。」

「OK……其れじゃあ、行くぞ――朝だぞ!起きんかゴルアァァァァァァ!」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」



ボリュームをマックスにしたスピーカーから流れたアタシの声を聞いた一夏達は、面白い様に飛び起きてくれた……矢張り大勢を一気に目覚めさせるには
大音量での一声が効果的だな。
目が覚めたか一夏?



「あぁ、バッチリとな……だけど夏姫姉、起こすなら普通に起こしてくれよ?大音量の一声とか、下手したら起こす相手がショックで永眠しちまうかもだぜ。」

「確かにその可能性は否定出来ないが、此処に集まった面子が、この程度でショック死すると思うか?」

「いや、思わない。寧ろ、此れ位の事なら『刺激的なモーニングコール』で済ます気がする。」



ならば何も問題はあるまい。何よりも全員スッキリと目覚められたみたいだからね。――さてと、朝起きたら先ずはニュース番組だな。最新のニュースを知
らないと言うのは良くない事だからね。
そんな訳でテレビをつけたのだが……



『此処で最新ニュースをお伝えします。
 日本時間の午前三時、カナダで大規模なテロが発生したとの情報が入って来ました――入ってきた情報によりますと、カナダの軍事施設は全て破壊さ
 れ、政府の関係者は全て死亡したとの事。』



「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


画面の向こうから伝えられたのはカナダで大規模なテロが起きたと言う事だった……しかも、軍事施設は全て破壊され、政府の関係者が全て死亡したと
言う俄かには信じられないような。
このニュースが本当だとしたら、テロを起こした組織は相当な武力を有している事になるが……若しかして、テロリストの正体はライブラリアンか?
束さんが開発したアストレイシリーズに比べれば性能は劣るとは言え、無人機であるザクとグフの性能は現行のISを遥かに凌駕しているし、イルジオンの
ジェノサイドフリーダムは、アタシのエターナルフリーダムに匹敵する性能があるからな。
其処に拉致されたゴーストの元隊員を加えたと仮定すれば、出来なくはない、か。
何れにしても現時点では情報が少なすぎるな。



「そんな、なんでカナダが!!」

「パパとママは?パパとママは無事なの!?」




そう言えばコメット姉妹はカナダ出身だったな……代表候補生として学園に来ていた事で難を逃れたのは不幸中の幸いと言った所か?……もしも、彼女
達がカナダに残っていたら、間違いなくテロの犠牲になっていた筈だ――軍事施設が全て破壊されたと言う事を考えると、恐らくだがカナダの他の代表候
補生達も犠牲になってしまっただろうからね。
だが、コメット姉妹が気になるのは両親の安否……まぁ、先ずは家族の安否と言うのは当然か。



「おはようございます姉さん。テレビは……えぇ、一体なぜこんな事に……其れよりも至急調べて欲しい事が……コメット姉妹の両親の安否を……はい。
 ……はい?……あぁ、そう言う事ですか、分かりました。……あの、現状ではテロの事は何も分かってないので変な事はしないで下さいよ?
 そうではありません、軽挙妄動は控えて下さいと言っているんです……はい、はい……また連絡しますね、お、お姉ちゃん。」

『ごふぁ!?』

「箒?束さんに電話したのか?」

「うむ。姉さんならばコメット姉妹の両親の安否を確認する事など造作もないと思ってな……序に、最後に『お姉ちゃん』と呼んでみたら大ダメージを受けて
 しまったみたいだ。」

「うわぁ……タバ姐さんがメッチャ幸せそうな顔で気絶してる様が容易に想像出来るわ……」



本当にな。
其れで箒、コメット姉妹の両親は……



「あぁ、其れに関しては大丈夫だった。
 ファニール、オニール、お前達の両親は無事だったらしいぞ?何でも、仕事でヨーロッパ方面に行っていたらしく、カナダ国内には居なかったそうだ。」

「本当に!?」

「パパとママは無事なのね!?」

「姉さん――篠ノ之束が調べたのだから間違いない。
 こんな事を言ったら何だが、姉さんの手に掛かればCIAやKGBが所持している極秘情報だって簡単に調べる事が出来るからな……あの人を相手に隠し
 事など絶対に不可能だ。」

「流石はISの生みの親と言うべきなのでしょうか……?」

「色々ぶっ飛んでるねぇ篠ノ之束って。」



色々ぶっ飛び過ぎて頭のネジが二~三本吹っ飛んで、吹っ飛んだネジの代わりにボルト突っ込んでるような人だからな――その篠ノ之束が、実はISRIの
社長である東雲千鶴だと知ったらヴィシュヌ達は一体どんな顔をするのか、少し楽しみだ。



「そっか……パパとママは本当に無事なんだね……良かった。」

「パパとママが無事なのは良かったけど、なんでカナダがあんな目に遭わなきゃならない訳!?
 軍事施設が全部破壊されて、政府の人達も全部死んじゃったなんて、こんなの絶対に普通のテロじゃない!こんな事をした奴等は絶対に許さない!」



……此れは、凄まじい殺気だな?
力が弱い子供程、本気の殺意を表に出せると言うのを何処かで聞いた事があるが、コメット姉妹もアタシ達よりは子供だから、より強い殺意を表に出す事
が出来ると言う事か。



「その気持ちは分からんでもないが落ち着けアイドルツインズ。
 怒りは大きな力を与えるモノではあるが、怒りに呑まれてしまっては冷静な判断力を失って命を落とす事になりかねん――怒りの感情をコントロールして
 こその一流だと言う事を忘れるな。」

「マドカの言う通りだぜ?怒るのは良いが、怒りに身を任せちまったら待ってるのは破滅だ……自分の国がぶっ壊された事に対して怒るのは当然の権利
 だけど、その怒りは今は抑えておくんだ。
 だが決して忘れないで覚えておいて、カナダを壊した奴と戦う時にその怒りを力に変えてやれよ。」

「お兄ちゃん……」

「~~!……分かったわよ、今は何とか堪えてみるわ!」



マドカと一夏、ナイスだ。
まだ幼いコメット姉妹が怒りで暴走してしまったら厄介な事になるだろうからね……それにしても、日本時間の午前三時に起きたテロ事件が朝七時のニュ
ースで報道されていると言う事は、情報を得る時間の事を考えると、カナダ壊滅は一時間弱で行われた事になるな?
此れは、ますますライブラリアンがやった可能性が高くなって来たが……



――ザ……ザザザ……



何だ?テレビの画面がいきなり砂嵐に……今のテレビはデジタル放送だから、画面が砂嵐になる事などない筈だが――



『おはよう世界の諸君。国によってはこんばんわと言うべきかな?』

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


砂嵐が治まった画面に現れたのは、髪をオールバックにして眼鏡を掛けた如何にも胡散臭い男……胡散臭いだけでなく、画面越しでも分かる位に濁った
眼をしているな?
如何考えても真面な人間ではなさそうだ。



『突然の事で驚いているだろうから、先ずは自己紹介をさせて貰おう――と言っても、名前などは所詮個人を識別する為のモノに過ぎないか。
 そうだね、此処は『教授』と名乗っておく事にしよう。
 我々は多数のISを所持する私設武装組織『ライブラリアン』。この度、カナダを壊滅させたテロ組織の正体だ。』


「ライブラリアンだと!?」

「コイツが、前にイルジオンの言ってた『教授』……確かにヤバそうな奴だわ。」



コイツが教授か……鈴の言う通りヤバい奴なのは間違いないだろうね――そして、一秋と散を学園から連れ出したのも、恐らくはコイツなのだろうな。
束さんが正義のマッドサイエンティストなら、教授とやらは差し詰め『極悪マッドサイエンティスト』と言った感じか?直接相対している訳でもないのに、嫌な
オーラをヒシヒシと感じるからな。



『我々からのクリスマスプレゼントは気に入って頂けたかな?
 報道されている通り、カナダの軍事施設及び政府機関は全て我々が破壊し、カナダ軍の兵士も、政府関係者も全て抹殺した……分かるかな?我々に
 は、一国を短時間で壊滅させるだけの武力があるのだよ。
 我々が其の気になれば、二十四時間以内に国連の常任理事国を壊滅させる事も可能だ――と言っても、諸君等が今目にしているのはカナダが壊滅し
 たと言う『結果』だけであり、その結果だけで我々の力を信じろと言うのは無理があるだろう。
 だから、見せてあげよう――一つの国が壊滅するまでの過程を!』



教授とやらがそう言った次の瞬間、画面が切り替わって無数のISが何処かの都市を攻撃してる映像が映し出された――攻撃を行ってるのは、ライブラリア
ンが所有する無人機のザクとグフ。
そして、イルジオンが操る黒いフリーダム――ジェノサイドフリーダム。
ライブラリアンめ……今この時も何処かの国を攻撃しているのか!



『次なるターゲットはフランス――新たな歩みを始めた国を攻撃するのは心苦しかったが、選ばれてしまったのならば仕方ない。
 さて、後十分もあれば新生フランスは壊滅状態となる――そして分かって頂けたのではないかな、我々の武力が如何程であるのかを。
 我々はこの力を持ってして、此れから毎日ランダムにターゲットを決めて国を襲撃する心算だが……我々の要求を呑むと言うのならば、其れは止めて
 あげよう。
 我々の要求は、一つ、国際IS委員会の全権を我々ライブラリアンに譲渡する事。
 二つ、各国はIS学園に送り込んだ者以外の代表及び代表候補生の身柄を我々に引き渡す事。
 三つ、我々ライブラリアンは一週間後にIS学園を攻撃するが、其れに協力する事――特に三つめを呑んでくれた国には攻撃しない事を約束しよう。
 各国はよく考えて結論を出したまえ――期限は六日後、IS学園に攻撃を行う前日までとする。諸君等が賢明な判断をする事を願っているよ。』




再び画面が切り替わり、教授とやらがトンでもない事を言った後で映像は途切れ、通常のニュース番組に切り替わったか……本当に、トンでもない事を言
ってくれたな教授とやらは?
圧倒的な武力をリアルタイムで見せつけた上で、世界に脅しをかけて、IS学園の攻撃に加担しろと言ったのだからな……世界を手駒にして、IS学園と戦争
を行う心算かライブラリアンは。

「上等だ、その喧嘩、受けてやるよライブラリアン……そして後悔させてやるさ、誰に喧嘩を売ってしまったのかをな。」

「夏姫……そうね、此処まであからさまに喧嘩を売られて黙ってる事は出来ないわ――幸いな事に、IS学園が攻撃されるまでに一週間の猶予があるのだ
 から此方も準備をしましょう!」

「言われるまでもないぜ楯姉!態々IS学園を攻撃するって言ってくれたんだ……だったら返り討ちにしてやるのが礼儀ってモンだよな!」



刀奈も一夏もやる気だな?……いや、この場に集まった全員がやる気みたいだ。
レギオンの面子は兎も角として、ヴィシュヌ達は国の代表候補生だから、本国からの帰還命令が出るんじゃないかと思うんだが――



「仮にそんなモノが出たとしても、私は其れを無視する――愛でるべき百本目の百合に刃を向ける事が如何して出来ようか?……君に刃を向ける位なら
 ば、私は『非国民』と罵られようとも君と共に戦う道を選ぶ。
 嗚呼、此処まで私の心を狂わせるとは、君は本当に罪深い女性だよ夏姫。」

「この状況でもぶれないお前にはある意味で感心するわロラン。」

ロランを筆頭に、誰もが帰還命令があったとしてもそれは無視してIS学園に付くと言った感じだな……ならば戦力に関しては不安はない――六日もあるの
なら、ヴィシュヌ達の機体を束さんが改造するには充分だからね。
カナダの壊滅は正に驚天動地だったが、貴様等の方から仕掛けて来てくれると言うのならば逆に好都合だライブラリアン……観測者の凶行は、執行者が
止めてやる。絶対にな。








――――――








Side:千冬


カナダ壊滅と言うのはショッキングなニュースだったが、其れ以上に行き成り画面に現れた教授とやらが言った事の方がショッキングだったな……世界を
味方につけてIS学園を攻撃するとはな。
アレだけの武力を見せつけられたら、恐らくは多くの国がライブラリアンとやらに加勢するだろう――中国、南北の朝鮮、ロシアはまず間違いなく加勢する
だろうな。奴等にとっては、IS学園が日本の領海内にあるのは気に入らない事だろうからな。
まぁ、其れは其れとして、学園が攻撃されると聞いては黙って居る事は出来ん……束、学園の地下に封印されている暮桜を使えるように出来るか?



「だ~れにモノ言ってんのさちーちゃん?
 暮桜を使えるようにするなんて、束さんには朝飯前だよ!でもって、使えるようにするだけじゃなくて、魔改造施していっ君達の機体と同じ全身装甲の機
 体にも出来るってね!」

「ふ、お前に掛かれば其れ位は造作もなかったな。」

「そう言う事!そんな訳だからスーちゃんはIS貸して!武装の追加とか行うから!――オーちゃんも何か要求があれば言ってくれて良いよ!」

「そんじゃあ、俺のデュエルにストライカーパックを搭載出来るようにしてくれ――ストライカーパックを装備出来る様になれば、デュエルは更に強くなれるっ
 てモンだからな!」

「OK!了解したぜオーちゃん!丁度開発中の『マルチプルストライカー』があるから、其れをデュエルに搭載出来る様にして上げるから期待しててくれって
 とこだっぜい!」



相変わらず束は絶好調みたいだな――だからこそ頼りになると言うモノだ。
だがまぁ、何にしてもIS学園を攻撃させはせん……学園に続く海の上で残機を0にしてやるから、精々覚悟しておけ――そして後悔しろ、『世界最強』と謳
われているこの私に喧嘩を売った事をな!
ライブラリアン、貴様等は滅殺だ……私がそう言った以上、其れは絶対だ――織斑計画唯一の成功例の力、其の身で味わって貰うぞ!










 To Be Continued… 





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