嫁ズの親への挨拶旅行を終えた一夏だが、夏休みは此れからが本番であり、嫁ズは全員日本に居るので全力で夏休みを満喫する以外の選択肢はない!って言
うか其れ以外の選択肢は普通に無視して却下するから。
まぁ、流石に旅行を終えて帰国したその日は、長旅の疲れから、刀奈謹製の晩飯を食べて、風呂に入った途端にバタンキューとなって、秒で夢の世界に旅立ったと
言う訳だ……挨拶旅行の夜ごとに嫁とやってたので絶倫なのかと思ったけど、人並に疲労は有ったみたいだな?……まぁ、一晩寝ただけで全回復してる時点で割
と人間辞めてるかもだけどね。

そんな訳で(どんな訳だ?)、夏休み本番なのだが、諸君は夏休みと聞いて、先ずは何を思い浮かべるだろうか?
プール?夏祭り?花火?……人によって思い浮かべるものは様々だろうが、夏休みと言えば多くの人が外す事が出来ないモノがあるだろう――そう、『海』だ!!

単純に泳ぐだけならば大型のプールの方がウォータースライダーや流れるプールがあるので楽しめるのだろうが、真夏の海にはプールにはない魅力があるのだ!
先ず何よりも、白い砂浜と紺碧の海のコントラストはプールにはない絶景だし、砂浜にビーチパラソルを設置して日光浴と言うのも海ならではだろう。


「夏と言えば!」

「海!!」

「だぁぁぁ!!」


で、本日一夏チームは海にやって来ていた。
一夏チームのレギュラー(織斑兄妹、更識姉妹、ロラン、ヴィシュヌ、グリフィン、クラリッサ、コメット姉妹、乱)と準レギュラー(夏姫、レイン、フォルテ)で海に繰り出し
たのだ。布仏姉妹も一緒に来たかったのだが、残念な事に本日は『別の予定がある』との事で不参加である。ちょっと残念。
序に、一夏の護衛であるオータムもやって来ている。休暇が終わり、本来のお仕事に復帰って訳だ……にしては、水着に着替えて海を満喫する気バリバリだが。

其れは其れとして、ビーチに現れた一夏チームは他の海水浴客からの注目の的になっていた……一夏チームは美女、美人揃いである上に、下は小学生、上は成
人女性と幅広い年齢層が揃っているので、ある意味で全ての野郎の嗜好に対応出来ているのだ……なので、野郎からの注目度がハンパないのだ。――まぁ、そ
んな奴等から一夏に向かって羨望と嫉妬の視線が向けられているのは仕方なかろう。一夏は其れを完全無視してるけどな。

だがしかし、注目されているのは女性陣だけでなく一夏もビーチの女性達の視線を一身に集めていた。
究極の細マッチョである一夏の身体は、1mmの無駄もなく絞り込まれており、太くないモノの腹筋は見事なシックスパックになっており、その他の部分にも必要な筋
肉だけが付いた一切の無駄を省いた身体なのだ……そんな、肉体美を筋肉好きな女子が注目しない筈はない!
まぁ、結局のところ何が言いたいのかって言うと、一夏チームは男性女性共に魅力がマジでハンパないって事だ!!

全員既に水着に着替え、必要な物(浮き輪やドリンク入りのクーラーボックス)は持って来ているので、早速ビーチにシートを敷き、パラソルを立てて場所を確保して
いる……まぁ、パラソルは重いので一夏が立ててる訳だが、こう言う場面で積極的かつナチュラルに力仕事を引き受けちゃうのも一夏の一夏たる所だろう。
モノの二分足らずでパラソルは倒れないように設置され、シートも飛ばされないように固定されて一夏チームの陣営(?)は完成!此れで、思い切り海を楽しむ事が
出来るだろう。


「あれ、イッチー達だ~~!!」

「え?あ、織斑!お前も此処に来てたのかよ?」

「五反田にのほほんさん?其れに虚さんと蘭ちゃんも?……あ~~、のほほんさんと虚さんの予定ってそう言う事だった訳か。」


さて、此れから海にと言う所で出会ったのは五反田兄妹と布仏姉妹のコンビ。
布仏姉妹の用事とは、何の事は無い五反田兄妹と海へ出掛けると言うモノだった訳だ……まぁ、その本当の目的は弾と虚のビーチデートであり、本音と蘭は『二人
きりは恥ずかしいから』との理由で引っ張って来られたんだろうけど。虚も弾も変な所で若干ヘタレである。


「まさか行き先が同じだったとはな……此れなら最初から一緒に来た方が良かったか?そうすれば、虚さんにお前達からの誘いを断って貰う事もなかったし。」

「そりゃ結果論だろ?ま、こうして一緒になったのも何かの縁だ、折角だから楽しもうぜ?」

「おう、そうだな!細かい事は気にしねぇで楽しむか!!」


そんな訳で弾達も合流し、更に大所帯になった所で改めて夏の基本の海水浴開始!!……したのだが、此れまで一夏一人に向けられていた野郎からの羨望やら
嫉妬やらが入り混じった視線に晒された弾は若干ビビっていた。
去年までは自分もその視線を向ける側だったのが、今年は一転して向けられる側になったのだからある意味で仕方ないと思うが……此れはもう、場数を踏んで慣
れるしかあるまいて。ぶっちゃけ、最初から平気だった一夏の方がオカシイ訳だからな。










夏と刀と無限の空 Episode36
『夏休み其の壱~海と水族館~』










楽しい楽しい海水浴だが、海に入る前に忘れてはいけないモノがある。そう、準備体操だ!!
遊びに来ていると言う事で忘れがちだが、海に入る前に、泳ぐ前に確りと準備運動をしておかないと、海の中で突然足が攣ったりして大変な事になってしまい、事に
よっては命の危険に及ぶ場合もある……故に準備運動は大事なのだ。

とは言っても、学校のプールの時の様な準備運動をする必要は無く、軽くウォーミングアップをしてやればそれで良い。要は身体に『此れから海に入るぞ』と教え、そ
の為の準備をさせてやれば良いのである。
なので、一夏達も軽く手足を動かしたり、伸ばしたりと軽めの準備運動をしていたのだが……


「あの、ヴィシュヌさん……本気で何でそんな事が出来るとです?」

「柔軟性抜群ってレベルじゃないわよね……言っちゃ悪いけど、実は人間の形をした軟体動物なんじゃないかって疑っちゃうわよ?」

「ヴィシュヌの身体の柔軟性は素晴らしいと思うけれど、其処まで来ると最早ビックリ人間の類だね?やろうと思えば、『人間ボール』みたいな事も出来るんじゃない
 かと思ってしまうね。」


ヴィシュヌがヨガを使った入念な準備運動と言うかストレッチをしており、背面合掌した状態で両足を頭の後で組むと言う、これまた複雑怪奇な上にインパクトがハン
パないポーズをしている訳で、一夏の言葉遣いが若干バグったのも仕方ないだろう。
だがヴィシュヌは其れで終わらず、頭の後で組んでいた足を延ばしてビーチに付けると、その状態から身体を起こして見せたのだ!いやはや、一体どれだけ身体が
柔らかいと言うのか?この技だけで、体操競技で高得点が取れる事だろう。
しかも、此れだけの事をやっておきながら、ヴィシュヌ自身は全然平気な顔をしてるってのがまた凄い……其の内、どこぞのインドのヨガ僧の様に手足が伸びたり口
から火を吹いたりしないか若干心配だ。


「此れ位ならば、毎日ヨガを続けていれば出来るようになりますよ?小学校の頃からヨガは続けていますから、此れ位は出来て当然です。
 達人クラスともなれば、ロランの言っていた『人間ボール』も難なく出来るでしょう……私にはまだ出来ませんが。」

「其処までのレベルに行かなくても良いと思うのは俺だけか?」

「織斑、お前の嫁さんスゲェな……」


まぁ、継続は力って事なのだろう。
取り敢えず、準備運動は終わったのでいよいよ海に繰り出す訳なのだが、全員が全員で海に繰り出す事は出来ない――そう、何人かはシートとパラソルの所に残
って荷物の番をしなくてはならないのだ。
貴重品はビーチのすぐそばにある『シーサイドステーション』のロッカーに預けて来たとは言え、勝手にクーラーボックスのドリンクを持って行かれたりしたら冗談では
ないからな。
多くの人の目があるビーチであるが、其れだけに堂々と持って行かれると其れが窃盗である事には逆に気付き辛いのだ……そのクーラーボックスの持ち主が誰な
のかが分からないってのもあるからね。


「荷物はオレが見ててやるから、お前等は気兼ねなく海を満喫してこいや。」

「良いんすか、オータムさん?」


そんな中で、荷物番を買って出てくれたのはオータムだった。
髪と同じ色のオレンジのビキニにサングラスと言う出で立ちが、何と言うかセクシーでありカッコいい……『カッコいい系』のお姉さん好きのアンテナにはビビッと来る
事間違いなしだ。


「おうよ。水着になってるのも、ビーチにスーツ姿の女が居たらおかしいと思っての事でオレは泳ぐ気ねぇしな……寧ろ泳ぐよりもパラソルの下でビーチを見ながらビ
 ール飲むのが好きなんだよ。
 だから、お前等は荷物の事なんぞ気にしないで思いっ切り海楽しんで来い。」

「そう言う事なら、お言葉に甘えさせて貰うわ♪……でも、何もお礼をしないってのは悪いわよね?」

「気にすんな気にすんな!どうしても礼をしなきゃ気が済まねぇってんなら、シーサイドステーションの屋台でビールのつまみになるモノでも買って来てくれ。」


仕事中にビールを飲むのは如何かと思うが、実はオータムは某軌跡のギルドの受付嬢レベルのザルであり、ビール程度ならば何本飲んだ所で酔っぱらう事なんぞ
ないのである!
米軍所属時代には、下心丸出しで飲み比べを挑んで来た屈強な男性兵士を十人抜きした事すらあるのだ……いやはや、オータムのアルコール分解能力には脱帽
するしかあるまいて。
だが、オータムのおかげで交代制で荷物の番をする必要がなくなり、一夏達は存分に海水浴を満喫出来るのだから、此れは感謝だ。――なので、お礼に皆でお金
を出し合って、シーサイドステーションの屋台で、『ジャンボ串焼き三種(牛カルビ、豚カルビ、鶏モモ)塩』、『フライドポテト・メキシカンチリ味』、『鳥皮チップス』をオー
タムにお礼として渡した。ドレも此れもビールのつまみとしては最高レベルだろう。

そんな訳で、改めて海なのだが、楽しみ方は人夫々であり、一夏達も各々海を楽しんでいるようだ。
コメット姉妹と簪、乱は波打ち際のビーチで水の掛け合いをしており、レインとフォルテ、弾と虚はビーチバレーに勤しみ、本音と蘭と円夏はサンドアートに熱中してい
る……そのサンドアートが『これ本当に砂?』と言うレベルなのは突っ込み不要だろう。
円夏が作ったのが等身大の一夏のサンドアートだったのにはもっと突っ込み不要だ……こんな所でもブラコン発揮せんでもえぇっちゅーんじゃ!此れは可成りヤバ
いレベルのブラコンだと思うのだが、其れでいながらも一夏の嫁ズに『兄さんはやらん!』的な態度は取らないんだから謎である。『兄さん大好き!』は当然だが、『
兄さんの幸せが最優先』って事なのかもしれない……だとしたら、大分出来たブラコンだなオイ。
そんなサンドアートにも負けず劣らずビーチの目を集めているのは夏姫だ。
貸しサーフボード屋からサーフボードをレンタルしてサーフィンをしているのだが、そのサーフィンタクティクスはプロサーファー顔負けのモノであり、ビッグウェーブを
見事に乗りこなすだけでなく、ボードを波の勢いを利用した宙返りなんかも見せているのだ。
しかも、其れを行っているのが褐色肌が特徴的なエキゾチックな美少女ともなればビーチの注目を集めるのも頷けると言うモノだ……其れを見た簪が、ちょいと面白
くなさそうではあったが。

こうして夫々が海を満喫してる中で、一夏と嫁ズが何をしているかと言うと――


「其れじゃあ行くか。」

「いざ、海の旅にレッツゴーね!」

「シュノーケリングは初めてだから楽しみだよ。」

「海の中で何が見たいですか?」

「マグロ!アジ!サバ!サンマ!!そして、イクラ!!」

「いやいや、イクラは海にはないよクラリッサ!?」


クラリッサが若干ボケかましてくれたが、シュノーケリングだった。
とは言っても普通のシュノーケリングではなく、一夏達は自身の専用機を手足の部分だけ部分展開してのシュノーケリングを行おうとしていたのだ――ISはそもそも
にして、酸素の無い宇宙空間での活動を目的に作られているので、部分展開でもその機能は充分に発揮されるのだ。
なので、其れを利用すれば水中でも酸素ボンベ無しで活動出来るって訳で、通常のシュノーケリングよりももっと自由に海中を泳ぎ回れるのだ。オープンチャンネル
で会話する事が出来るのも通常のシュノーケリングとは異なる点と言えるだろう。

そんな訳で早速一夏達は海中散歩に繰り出し、先ずは浅瀬の珊瑚礁に。
珊瑚礁は小型の生き物の住処になっている事が多く、此の海でもその御多分に漏れずに多くの生き物を見る事が出来た――珊瑚の肌にくっついて生きるイソギン
チャクを住処にするクマノミ、珊瑚に張り付いているナメダンゴ、小型ではないが古くなった珊瑚をバリバリと食べるコブダイと、個性的な生き物を見れたのだ。
其れだけでも充分な価値があったのだが、珊瑚礁で魚達と戯れる嫁ズが、一夏には本物の人魚姫に見えていた……自由に海を泳ぎ、魚達と戯れるその様は、正
に人魚姫其の物だって言えるから、一夏が幻視しても仕方ないんだけどね。


「……マジで人魚姫かと思った。」

「うふ、そんなに魅力的だった?」

「私達が人魚姫だと言うのなら、泡になって消えないようにしてくれよ?」

「東南アジアには、オラン・イカンと言うUMAの存在が噂されているのですが、其れは人魚ではないかと言われています。」

「いや、其れは半魚人でしょヴィシュヌ。」

「人魚姫か……ならば下は兎も角、ビキニトップは貝殻にすべきだったかな?」


……若干ずれた反応をするのが居るのも一夏の嫁ズの魅力なんだろうね。てか、ヴィシュヌが言ったオラン・イカンは兎も角、クラリッサの貝殻ビキニトップって武田
久美子かい!いや、武田久美子分かる人が居るのか知らんけどね?
だがまぁ、其れは其れとして嫁ズが人魚姫ってのは間違ってないだろう……嫁ズは全員がスタイル抜群で美人だからね。正に人魚にはピッタリだろう。……半魚人
はお断りだが。

取り敢えず珊瑚礁を満喫した一夏達は更に沖の海を目指して進んで行く。
珊瑚礁を離れると、水深は一気に深くなり、水深1000m以上の海溝が口を開けている……普通なら、其処に潜ろうなんて考えは浮かばないのだが、ISの加護が
ある一夏達にはそんな考えはない。
部分展開でも、ISには10000mの深海の水圧にも耐える事が出来るのだ……ならば、深海探査をしない手はないのだ!深海は『月より近く、月よりも遠い場所』と
言われてる位に、地球にあって月以上に謎が解明されていない場所でもあるのだから、行けるのならば行ってみたいと思うのは当然だろう。
なので、一夏達は迷わずに深海の旅にレッツゴーだ!!

そんな深海への旅の最中には実に個性的な生みの生き物と出会う事が出来た……深海のサメや甲殻類の類は序の口で、マッコウクジラや世界最大のイカである
ダイオウイカにも遭遇した。――其れだけじゃなく、マッコウクジラとダイオウイカの大迫力の深海のバトルを生で見れたと言うのは可成り貴重な事だと言えよう。
マッコウクジラが深海で巨大なイカを餌にしていると言う説は、此れまでもあったのだが、その証拠となる映像は存在していなかった――つまり、この偶然を無意識
に専用機のカメラで記録した映像が世界初になるのだ。
此れは、相当に価値のある映像だろう……ネットにアップしたら相当にバズる事は間違いないだろう。……再生数に嫉妬して、『アレは合成』とかアンチコメを投稿し
てくる奴も出そうだが。

其のまま一行は、更に潜って水深3000mを突破。
此処まで来ると、最早完全な暗闇で肉眼で周囲を確認する事は出来ないのだが、ISを使っていればその限りではない――光源の一切ない宇宙での活動を単体で
行う事を目的に作られているISは、ハイパーセンサーに赤外線カメラと超高性能の画像補正機能、超高画質8Kカメラを複合したモノで出来ている為、真っ暗闇であ
ってもハッキリと周囲の景色を認識出来るのである……恐るべきテクノロジーだわな。

さて、水深3000mを越えると生息している生き物の姿は更に奇怪なモノになってくる。
自分よりも大きな獲物を捕食する為の袋を持つフクロウナギ、タコらしくない見た目が特徴的でゆるキャラマスコットにもなっているメンダコ、身体がタンパク質じゃな
くゼラチン質で構成されているブロブフィッシュ等々面白い生き物の宝庫だ。其れこそ、此処に住む生き物はそのままSF映画に登場するモンスターとして使えるだろ
うね。


「あら?アレは……ねぇ皆、アレってシーラカンスじゃない?」

「「「「「え?」」」」」


そんな中で刀奈が何かを見付けたらしく、一夏達も刀奈が指差した方を見てみると、其処には『生きた化石』と言われているシーラカンスの姿があった。
既にシーラカンスが絶滅せずに生き残っていた事は知られているが、日本の深海での発見例は今の所ない……マッコウクジラvsダイオウイカ以上のスクープだろう
此れは。
其れも、一匹や二匹ではなく、何と合計七匹もいたのだから……深海は正に地球のミステリーゾーンである。


「なんかスゲェモン見ちまったなぁ?って言うか、シーラカンスの近くを泳いでたのってオウムガイじゃなくてアンモナイトじゃなかったか?仮に四倍体だったとしても、
 アレはデカ過ぎるって。」

「うぅむ……信じられないがそうなのかも知れないな?
 深海は環境の変化を受け辛い故に、既に絶滅したと思われる海洋生物が生き残っている可能性は充分にあると言う訳か……絶滅したとされている古代ザメのメ
 ガロドンの化石ではない歯が見つかる事があるらしいしね。」

「本当に、深海は謎だらけですね。」


まさかまさかの古代生物との出会いだったが、此れもまたISを持っていたからこそだろう……深海の映像なんぞ、海洋学者でない限りはテレビの自然番組とかでし
か見る機会は無い訳だからな。
取り敢えず、深海探索を満喫した一夏達はそろそろビーチに戻ろうかと思い、海面を目指して泳ぎ始めたのだが、深海は最後に物凄いモノを見せてくれた。


「一夏、アレって!」

「古代の超巨大魚、ダンクルオステウス!」


其れは古代の海の覇者であり、魚類に於いて最強の攻撃力を持っていたとされて居る古代の海の最強最大のハンターであるダンクルオステウス!
全身が鎧の様な堅い鱗で覆われており、歯こそないが口周りは強固な外骨格で覆われており、その外骨格に付いた鋭い突起が牙以上の破壊力で獲物に致命傷
を与えたと考えられている凶暴な捕食者だ……加えて空腹でなくとも血の匂いを嗅ぎ付けると取り敢えず襲って来ると言うサメもビックリな獰猛性も有していたと言
われているので、ヤバさも最強クラスと言えるだろう。
まぁ、この時出会ったダンクルオステウスは満腹であり、また一夏達も誰も怪我をしてなく血も流して居ないので襲われる事は無かった……まぁ、仮にそんな事にな
ったとしても、その時はISを完全展開すれば返り討ちに出来るので特別問題はないんだけどね。
最後の最後でトンデモないモノを見た一夏達は、改めて海面を目指して浮上したのだが、その間もヒカリギンメの群れや、リュウグウノツカイの遊泳、アンコウの狩り
と言った通常のシュノーケリングではお目に掛かれない光景を見る事が出来た――ISが使えるからこそのシュノーケリングは実に有意義なモノだった訳である。


さて、シュノーケリングを終えたからと言って其処で終わる一夏達ではなく、ビーチに戻ると今度はサーフィンをしたり、一夏と弾がタッグを組んで嫁ズタッグと三連戦
のビーチバレーを行ったり、一夏は嫁ズに、弾は虚にオイルを塗ると言うお約束イベントを熟したりしていた。
尚、オイル塗りを行う際に一夏が割と余裕だったのに対して、弾がメッチャ緊張していたのはある意味仕方ないと言えよう……一夏は中学時代から刀奈と交際して
いたので、ビーチでのオイル塗りにも慣れていたのだが、弾は此れが初めての事だからね。
因みに、弾はサンオイルを塗ろうとしていたのだが、其処は一夏が『虚さんは肌が白いのが魅力なんだから、サンオイルじゃなくて日焼け止めのオイルを塗るんだ』
とのダメ出しを喰らっていた――嫁ズに塗るオイルが異なる一夏は、虚に塗るべきオイルを速攻で見極めて居たと言う訳だ、恐るべし。
序に、弾は虚だけでなく、妹である蘭と、虚の妹である本音にもオイルを塗ってやる事になったのだった……妹である蘭は兎も角、本音に塗るのは緊張したみたい
だ。こう言っては何だが、胸部装甲に限って言えば本音の方が虚よりも上だからね。
普段はダボダボ制服で分かり辛いが、本音は脱ぐと凄いのである。『脂肪細胞の無駄遣い』な掃除用具とは違い、本音は大きいだけでなくプロポーションもバランス
が取れているのだ。胸が大きいだけじゃダメなのだ!全体のバランスが大事なのだ!!
実際に、決して胸が大きいとは言えない乱と円夏は、全体バランスが素晴らしいのでスレンダーな美少女と言った感じになってるからね。
コメット姉妹は如何なのかって?彼女達は年齢的には小学生なので、女性的な魅力を感じろってのが無理な話なので除外だ……彼女達の熱狂的なファン以外で
彼女達に魅力を感じてるのは十中八九ロリコンの変態だと思うので、そんな奴を見付けたら速攻でポリスメン召喚して下さい。

そんなこんなで、昼まで海を満喫した一行は、シーサイドステーションにある温泉施設で汗と海水を流した後は、同じくシーサイドステーションに入っている店で昼食
タイムだ。
色んな店があるので何処でにするのか迷ったのだが、最終的に海鮮丼が自慢の店に決めた。『メニューはその日の水揚げ次第』ってのが決め手だっただろう。
その日の水揚げ次第と言う事は、日によって海鮮丼の内容が変わるって事であると同時に、その日の最高の魚を使ってるって事だからね――其れが、店主の拘り
なのだろう。
店主の親父さんはスキンヘッドに豆絞りのハチマキにスカーフェイスと言う可成りの強面なのだが、其れ以上に女将さんが肝っ玉母さんと言った感じで親父さんを尻
に敷いているので、店主の顔を見てビビる人は少ないのだ。……ビビらせたらビビらせたで、親父さんは女将さんに〆られるからね――若干理不尽だけど。

そんな拘りの店の本日の海鮮丼は、『アジのタタキ丼』、『バチマグロの上腹身丼』、『サーモンとイクラの海鮮親子丼』、『生サバユッケ丼』、『旬の生シラス丼』と言う
感じで旨そうなものが揃っている。
此れだけ美味しそうなモノが揃っていたら目移りして中々オーダーが極まらないかと思いきや、一行はそれ程迷う事無くオーダーを決めて注文をした。
オーダーの内訳としては、一夏と一夏の嫁ズがバチマグロの上腹身丼、円夏と簪と本音がサーモンとイクラの海鮮親子丼、虚とコメット姉妹が生サバユッケ丼、レイ
ンとフォルテがアジのタタキ丼、五反田兄妹と夏姫と乱が生シラス丼をオーダーした。
そして其れだけでなく、サイドメニューとして『アンコウの唐揚げ』と『オコゼの唐揚げ』も注文した。丼物はその日の仕入れ次第なのだが、サイドメニューは仕入れに
左右されないメニューになっているのだ。アンコウとオコゼは、高級魚ではあるモノの年間を通して捕る事が出来るので、高級魚の中では割とリーズナブルだったり
するのだ。実際に、唐揚げメニューは何方も五百円とワンコインだからね。


「上腹身って、此れ中トロ以上に脂が乗ってないか?百円寿司だったら大トロとして提供してるかもだぜ……!」

「生のサーモンだけでなくスモークサーモンもか!……其処にイクラのプチプチ食感が加わって、此れは正に最強だな!海鮮親子丼に、私は無限の可能性を見たと
 胸を張って言えるぞ!
 其れ位に此れは美味かった!!」

「オコゼの唐揚げ……半身にしたオコゼを其のまま揚げるとは実にワイルドだな……尤も、そのワイルドさは嫌いではないけどね。」

「頭からバリバリ……ワイルドだね夏姫さん。」


でもって、そのランチタイムも楽しい時間として過ごした。
サイドメニューの唐揚げだけでは満足出来ず、追加注文で『貝の浜焼き』を注文して、炭火で焼かれた牡蠣やホタテ、ハマグリと言った極上の貝を堪能した。特にハ
マグリの焼き上がった後のあの何とも言えない旨さの汁には全員が舌鼓を打っていた。
焼きたてのハマグリに醤油をちょいと垂らして出来あがったあの汁は最高だからね……アレこそハマグリの最高の味わい方だと思うんだわ、異論は認めない!仮
に異論があっても完全に無視する!アレはマジで最高だからね。


そんな訳で、一夏達は最高のランチタイムを満喫した訳だ。……まぁ、流石に今回の支払いは割り勘だったけどね。此れだけの人数を全部支払うとなれば、一夏の
財布が異界送り確定だからな。……両親からの月々の仕送りは在るが、其れでも限界はあるからね。
取り敢えず、刀奈を始めとした一夏チームの面々は、支払い能力もソコソコあるみたいだった。








――――――








ランチを終えた一行がやって来たのは午前中のビーチ……ではなく、ビーチから100mほど離れた場所にある水族館だ。――食事をした後で泳ぐと言うのは身体に
良くないと言う事で、午後は水族館を見て回る事になっていたのだ。
午前中は海で思い切り身体を動かし、午後は水族館でゆっくり過ごすってのは夏休みらしい思い切った楽しみ方って言えるかもしれんね。丸一日遊び倒せるっての
は夏休みの学生の特権みたいなモンだしな。

さて、先ずは入場券の購入なのだがコメット姉妹がチョイと困っていた。
カナダの代表候補生としてIS学園に来た彼女達だが実年齢は小学生であり、小学生料金で買うか大人料金で買うかで迷っていた……乱も飛び級だが、乱は中学
生年齢なので大人料金でOKなのだ。
別に何方で購入しても問題はないのだが、明らかに小学生な彼女達が大人料金で買うと、入り口で間違って購入したと思われるかも知れない――学生証を持って
いれば其れを提示出来るのだが、コメット姉妹は二人とも本日は学生証不携帯なのである。
『だったら普通に小学生料金で買えばいいだろ』とも思うが、実年齢は兎も角、立場は高校生であると言うのが彼女達を悩ませている……高校生なら大人料金でと
言う思いがあるのだろう。


「小学生料金で入れば良いでしょ二人とも?私等の半額で入れるんだからラッキーと思いなって。てか、時間が惜しいから小学生チケット二枚買ったから。」

「「グリフィン!?」」


だが、此のままでは埒が明かないので、グリフィンが小学生料金で二人分のチケットを購入してコメット姉妹に渡して強制的にターンエンド。
こうしてチケットを渡されてしまった以上、其れを使わないと言う事は出来ないし、ましてや改めて大人料金で買い直すなど出来る筈もない……なので二人とも『あり
がとう』とお礼を言って素直にそのチケットを受け取る事にした。
流石はグリフィン、孤児院で子供達の面倒を見ているだけあってお子様の扱いはお手の物である。

入場ゲートを抜けた一行は、順路通りに進む……前に一夏がマリンシアターの上演時間を確認していた。定番のイルカショーだが、夏休みは人が多いため、割と早
くから並ばないと良い席が取れないので時間の確認をしたのだ。


「二時の回はもう満席っぽいから、その次の四時の回にするか。
 二時間以上あるから、全部見て回ってから並んでも多分座れるだろうと思うし。」

「良いんじゃねぇ?てか、真っ先にショーの時間の確認とかマメだな織斑?」

「五反田、こう言う施設でのイベント時間ってのはキッチリと抑えておくのが大事だぜ?
 水族館でのイルカショー、遊園地でのパレード、祭りでの花火……それ等の時間をキッチリ抑えて、最高の席を確保するのがデートを成功させる一つのテクニック
 だから覚えとけ。」

「師匠、その教え心に刻んでおきます!」


……野郎二匹がなんかやってたが、まぁ男子高校生のノリなんぞこんなモンだよな。一夏としても、IS学園に行ってからは同世代の男子は陽彩しか居なく、其の陽
彩からは悪絡みされてばかりなので、こうした馬鹿な遣り取りが出来る弾は貴重な存在だったりするからね。

ショーの時間を確認し、改めて順路通りに回り始めたのだが、夏休みの特別企画としてスタンプラリーもやっていたので其方もやる事にした。五つのスタンプをコンプ
リートすると景品が貰えるらしい。
そんな訳で始まった水族館巡りで、まず最初に現れたのは円柱型の水槽に回遊魚や珊瑚礁の魚が展示してあるスペースだ。
イワシやアジと言った食卓でもお馴染みの魚だけでなく、少し大型のコブダイやカンムリブダイと言った珍しい魚、タコ壺に入ってるタコなど色々とバラエティに富んだ
水槽が幾つもある。……食卓でお馴染みの魚を見た弾が『イワシは酢で〆て、アジはタタキ……いやなめろうも良いな?』と言っていたのは料理人故か。此処に展
示してあるのは食材じゃないからな?
そのエリアを抜けると、今度は巨大な水槽の中をトンネルの様に作られた通路だ。壁面だけでなく天井もガラス張りなのでまるで生みの中を散歩しているかの様な
気分を味わえるエリアだ。
此処にも回遊魚や珊瑚礁の魚達が展示されているのだが、先程の水槽には居なかったウミガメや小型のサメやエイ、ハリセンボンやウツボと言った魚も居り、更に
バラエティに富んだ水槽と言えよう。
そして丁度餌の時間だったらしく、これまた夏休みの特別企画として与えている餌の解説や、普段は水槽の上から与えている餌を、飼育員が実際に水槽の中に入
って餌を与えると言うモノが行われていた。獰猛なイメージのあるサメが、餌を求めて飼育員の餌入れをしきりにつつく様子には、思わず一夏達も笑ってしまった。


「さ、サメが飼育員に餌強請るって……初めて見たぜ。」

「飼育員さんも慣れたモノよね?少し手で制してから、餌を与えて一撫でですもの。」

「サメは獰猛な性質を持ってはいるが、水族館で飼育されたモノは、幾らかその獰猛性が薄くなっているのかも知れないね……そうじゃなかったら、飼育員がね。」

「ロラン、恐ろしい事を言わないで下さい……」

「そう言えば、動物園で飼育員がゾウに絞め殺された事件なかったっけか?」

「あったな。アフリカゾウの鼻の締め付ける力は、人間の握力に換算すると1tを超えるからな……織斑教官のアイアンクローは其れすら凌駕するだろうが。」

「姉さんの本気のアイアンクローは、金属バットどころか砲丸を握り潰すからな。」


……千冬さん、もう本気でアンタ人間ですか?砲丸を握り潰すとか、握力1tじゃ利かねぇから。アレを潰すとなったら、最低でも100tは必要になるから!千冬さんは
リアルに最終兵器彼女なのかも知れん。その千冬の恋人の稼津斗は最終決戦兵器彼氏だけどね。

気を取り直して、大水槽エリアの次に待っているのは神秘のクラゲゾーン。
暗い部屋の中でクラゲの水槽だけがライトアップされているミステリアスなゾーンだが、其れが逆にクラゲの魅力を引き立てていると言える……部屋が暗い事で、ウ
リクラゲの繊毛が動く事による発光現象もとても映えるからね。
そのクラゲゾーンの次は深海ゾーン……とは言っても、水族館で生きた状態で展示できる深海生物は精々アンコウ位なので、より深い場所の生物は、剝製や模型
が展示してあるだけだけどね――まぁ、展示してあったリュウグウノツカイの剥製は10mもあったので其れは普通に驚いたが。
その次には、浅めの海底の生物ゾーンで、砂に隠れるカレイやヒラメ、世界最大の蟹であるタカアシガニなんかが展示されていた。……ダイオウグソクムシで満たさ
れた水槽は若干ホラーだったが。
尚、此処まで来る間にスタンプは全員が三つゲットしている。此れならばコンプリートも容易いだろう。
次はサメゾーンと南国の海ゾーンで、多種多様なサメが飼育されている大水槽と、南国の海の熱帯魚が飼育されている大水槽があって、此れもまた楽しめた。特に
チンアナゴの水槽は楽しめた。
喧嘩を始めたチンアナゴに、円夏がアテレコしたのは、他の客にも大うけだった。『やんのか?』、『やるかこら?』、『やるか!』、『ほんとにやるの?』、『身体届かな
いんだけど』には、爆笑が巻き起こったからね。
その後は北の海エリアを抜けて、古代ザメの顎の化石なんかが展示してあるエリアに。此処で四つ目のスタンプゲットだ。
そして、其処から屋外飼育のアシカやペンギン、何で水族館に居るんだと言わざるを得ないカピバラを見てから、夏休み特別企画展である『アマゾンの生き物展』で
最後のスタンプをゲットし、全員が賞品の『記念メダル』をゲットした。自販機で売っているメダルとは異なるデザインの記念メダルは中々価値があるだろう。

そして一通り見て回った一行は、イルカショーを見るためにシアターにトップで並んでいた……一夏の読み通り、一通り回って来てからでも十分間に合ったって訳で
ある。
なので、開場と同時に全員で最前席を確保!!席に『此処は水が飛んできます』って書いてあるけど、そんな事は問題ではない!イルカショーは水を喰らって何ぼ
って言えるのだからね。寧ろびしょ濡れになるのは逆に美味しいと言えるのだ。濡れて満足だ!!
そうしてショーが始まった訳だが……夏休みと言う事で、何時もよりも派手に水飛沫を上げており、一夏達は物の見事に濡れ鼠状態に……しかもイルカのダイブや
ドルフィンキックによる水飛沫だけでなく、カリフォルニアアシカの卓上ローリングの水飛沫、そしてショーの一番の目玉であるカリフォルニアシカがイルカの背に乗っ
てのドルフィンサーフィンでも容赦なくプールのヘリを高速移動して観客にハイドロポンプをぶちかまして行ったからね。
だがしかし、濡れるのも気にせずに笑っていたのだから一夏達は心の底からショーを楽しんでいたのだろう……ショーが終わった後、びしょ濡れになってしまった事
で一部の女性陣は下着がシャツから透けて見えてしまい、一夏と弾はちょっと目のやり場に困ってたけどな。……てか、弾は兎も角、一夏はやる事やってるのに今
更目のやり場に困るんかーい!まぁ、色々と思う所があるのだろう。
取り敢えず濡れたままと言うのは気持ち良くないので、全員がヴィシュヌのフェニックスが生成した炎で服を乾かした。如何やら、フェニックスの炎は温度調節も出来
るみたいなので、最高温度の炎で温めた熱気を当てたって訳だ……なんだこの超高性能ドライヤー。

服を乾かした後は、そろそろ良い時間なので売店でお買い物だ。勿論、只買い物をするだけでなく、スタンプラリーでゲットした記念メダルに今日の日付と名前を刻
印するのも忘れない。一夏が自分と嫁ズ用に、メダルをはめる事が出来るチェーンネックレスを合わせて購入したのは当然であろうな。
でもって、其れに倣って弾も虚に同じ物をプレゼントした……だけでなく、何故か夏姫も簪に同じ物をプレゼントしており、其れを受け取った簪はちょっと赤面して嬉し
そうだった。三次元男子には興味のなかった簪は、如何やら三次元女子に目覚めたみたいである。


「刀奈、簪と会長さんが……」

「一夏、愛の形は人夫々よ。私は簪が幸せなら何も言わないわ……まぁ、お父さんとお母さんに孫の顔は見せられないでしょうけど、其処は私と一夏でフォローすれ
 ば良いしね♪」

「さよか。」


姉大分寛大だな?まぁね、当人同士が幸せなら、恋愛に老若男女は関係ないだろう……昨今では日本でも同性でも婚姻関係に相当するパートナー制度が広がっ
てるし、世界的に見れば祖父ちゃんと孫ほど年の差が離れてる夫婦もあるからな。
まぁ、夏姫はナチュラルに簪の肩を抱いてるし、簪は簪で夏姫に身体を預けてるので文句の言い様がない百合カップルなのだろうさ。


「イカの塩辛と、ウニクラゲ……千冬姉の酒の肴に良いかもな。」

「酒の肴は良いが、織斑先生に此の酒も良いんじゃないか一夏?その名も『滅殺鬼殺し』だ。」

「……千冬姉なら、確かに鬼を普通に殺すだけじゃなく滅殺しそうだわな。そしてカヅさんは、滅殺するだけじゃなく、瞬獄殺で殺した魂すら更に殺すだろうな。」


お土産コーナーで、千冬の酒の肴になるモノを選んでいる辺り、一夏は千冬が美味しい酒を飲めるように考えて居るのだろう。姉の晩酌の事まで考えてるとは、正
に良く出来た弟と言えるだろう。……フルフェイスのヘルメットを被った世紀末の腐れ外道が聞いたらブチキレそうなワードだけどね。

そんなこんなで、お土産を購入した一行は其処で解散!――とはならず、繁華街のファミレスで夕食を摂った後は、カラオケボックスに繰り出し深夜まで大盛り上が
りのパーリィタイムを楽しんだ!
クラリッサ以外は未成年なのでアルコールは入らなかったが、夜の謎テンションで大いに盛り上がってカラオケパーティを楽しんだ。――そして此のカラオケパーティ
で最高得点を叩き出したのは、夏姫と簪の『夕陽と月』だった。京パートを簪が、庵パートを夏姫が担当したのだが、其れがベストマッチしてたからな。

そして深夜まで楽しんだ一行は、五反田兄妹と布仏姉妹は五反田家に、其れ以外は織斑家に戻ったのだが、翌日は見事に昼過ぎまで寝坊する事になったのだけ
れども、此れもまた夏休みの思い出の一つと言えるだろう。
昼過ぎまで寝坊できるってのは、夏休みだからこその事だと言えるからね。


因みに、一夏達が有意義な一日を過ごした頃、IS学園では千冬による陽彩達への訓練と言う名の扱きが行われており、この日は重りを付けた上での水泳をさせら
れていた。
息も絶え絶えに何とか陽彩達は其れを熟したが、訓練は其処で終わらず、午後は千冬との実戦訓練と言うハードスケジュールだ……だがしかし、其れも自業自得
なので致し方ないと言えるだろう。
序に、可成りのハードスケジュールでも、其れを達成すれば望んだ力を手にする事が出来るかも知れないから精々頑張れ。――まぁ、望んだ力を得た所で、一夏に
勝つ事は出来ねぇと思うけどね。
見習い神の暇潰しで転生した陽彩と、真の神に溺愛された一夏では、そもそもにして勝負にならんし、嫁ズに関しても同じ事が言えるからな。


まぁ、取り敢えず海水浴と水族館は堪能したって事でよしとしておこう。そうしよう!











 To Be Continued 







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