Side:ジャック
目深にフードを被ったこのダークシグナーは、少なくとも三流の雑魚ではないようだな?
多くを語らない奴ほど有能だとは言うが、コイツは無駄口がなく、何よりもデュエルに対する姿勢その物は真摯であると言えるだろう。
だからこそ興味が湧いた!!
ファーストコーナーを取る為の競り合いに於いても、一切のラフプレーをしてこなかった貴様には好感が持てる!お前の最高の戦術で挑んで来い!
「無論その心算だ……」
「要らん心配だったか?……ならば俺とて手加減はせん!俺のターン!!」
ふむ、悪くない手札だな?――いや、奴の出方を見た上で此方から仕掛けるにはこの上ない手札だ――!此れは負けられんな!!
「俺は『マッド・デーモン』を召喚!!」
マッド・デーモン:ATK1800
カードを2枚セットしてターンエンドだ――さぁ、遠慮せずに掛かってくるが良いダークシグナーよ!!
お前の持つ地縛神を含めた最高の戦術――それを、この絶対王者ことジャック・アトラスが、跡形もなく粉々に粉砕してくれるわ!!
異聞・遊戯王5D's Turn57
『太古から来たれり闇の刺客』
「俺のターン……」
ジャック:SC0→1
???:SC0→1
「私は、『ブラッド・ヴォルスDS』を攻撃表示で召喚。」
ブラッド・ヴォルスDS:ATK1900
ほう?あくまでもやりあう心算か?――其れならば容赦せん!!――尤も貴様が俺を倒せるかは分からんがな!!
ダークシグナーが、どれほどのフィールを叩きだせるかは知らないが、取り敢えず思い切り行ってみるが良い!!
「ならば遠慮はせん…、ブラッド・ヴォルスDSで、マッド・デーモンを攻撃!」
「マッド・デーモンの効果発動!!このカードは、攻撃対象になった時に無条件で守備表示となる!!」
マッド・デーモン:ATK1800→DEF0
とは言え守備力が0では、当然戦闘破壊されてしまうが、俺のライフは無傷!
そして、マッド・デーモンの魂は、破壊されても生き続ける!トラップ発動『闇の結束術』!!
俺のフィールド上の闇属性モンスターが戦闘によって破壊された時、デッキからレベル4以下の闇属性モンスター1体を特殊召喚できる!
マッド・デーモンの魂を引き継ぎ、現れよ!チューナーモンスター『幻影王 ハイドライド』!!
幻影王 ハイドライド:ATK1500
「戦闘を無傷で躱し、そして次に繋がる一手か……成程、悪くない。
俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ。」
「俺のターン!」
ジャック:SC1→2
???:SC1→2
「一気に攻め込ませてもらうぞ、ダークシグナーよ!『奇術王 ムーン・スター』を召喚!!」
奇術王 ムーン・スター:ATK900
「レベル3の奇術王 ムーン・スターに、レベル3の幻影王 ハイドライドをチューニング!
天を焼くシリウス、孤狼の蒼き瞳よ、地に縛られた牙無き愚者を噛み砕け!シンクロ召喚、蒼き爪牙『天狼王 ブルー・セイリオス』!!」
『ガオォォォォォォォォ!!!』
天狼王 ブルー・セイリオス:ATK2400
先ずは蒼き天狼の牙の洗礼を受けるが良い!
天狼王 ブルー・セイリオスで、ブラッド・ヴォルスDSに攻撃!噛み砕け『天狼蒼牙』!!
――バリィィィ!!
「ぐぬ……」
???:LP4000→3500
ほう?わずか500ポイントとは言え、俺のフィールに耐えるとは中々やるモノだ。
「悪くない一撃だ………だが、この身には最早どんな外的刺激もダメージにはならないと知るが良い!
ブラッド・ヴォルスDSの効果発動!!
このカードが戦闘によって破壊された時、手札を1枚捨て、デッキからマイナスレベルのモンスターを俺のフィールドに呼び出す!
手札の『ミノタウルスDS』を捨て、デッキからレベル-6の『カイザー・グライダーDS』を特殊召喚する!」
カイザー・グライダーDS:ATK2400
此処でマイナスレベルのモンスターだと?
ダークシンクロか、其れともダークエクシーズが狙いか……
「俺は此れでターンを終了する。」
「俺のターン。」
ジャック:SC2→3
???:SC2→3
「俺のフィールド上にマイナスレベルのモンスターが存在する時、手札の『暗黒の魂の担い手』は特殊召喚できる。」
暗黒の魂の担い手:ATK0
又してもマイナスレベルのモンスター。
しかも同レベルと言う事は、狙いはエクシーズか?……果たして何を呼び出してくるのか……
「カイザー・グライダーDSと暗黒の魂の担い手、2体のレベル-6のモンスターでダークオーバーレイ。
死と殺戮、怨念と執念をその身に宿した剣士よ、その殺戮の衝動に身を委ねろ。ダークエクシーズ『復讐のソード・ストーカーDS』!!」
『ブルゴァァァァアァァァァァァ!!!!』
復讐のソード・ストーカーDS:ATK2000 ORU2
ソード・ストーカーのダークエクシーズ版か!
成程、此れまでに召喚されたDS同様に、全身がネガフィルムの様に漆黒に染まったモンスターか……相手にとって不足はない!!
「オーバーレイユニットを1つ取り除き、ソード・ストーカーDSの効果発動。
このカードの攻撃力は次の俺のターンが終了するまで、俺の墓地のモンスターの数×400ポイントアップする!
俺の墓地のモンスターは、今取り除いたオーバーレイユニットを含めて3体!よって攻撃力は1200ポイントアップする!!」
復讐のソード・ストーカーDS:ATK2000→3200 ORU2→1
僅か1ターンで、攻撃力3000オーバーだと!?
よもや、こうも簡単にブルー・セイリオスの攻撃力を超えて来るとは……尤も、其れ位はして貰わねば興醒めと言うモノだがな!
「行くぞ……復讐のソード・ストーカーDSで、天狼王 ブルー・セイリオスに攻撃!『リベンジャー・ブレイバー』!!」
――ズバァァァァァアア!!!
ジャック:LP4000→3200
「むおぉぉぉぉぉぉ!!……僅か800ポイントとは言え、中々のフィールだ……!
だがしかし、誇り高き天狼の爪牙は死して尚、その鋭さを失わん!!
ブルー・セイリオスは破壊された時、相手モンスター1体の攻撃力を2400ポイントダウンさせる!復讐の剣士の剣も此れで錆び付いたな!」
復讐のソード・ストーカーDS:ATK3200→800
「死して尚か……」
「其れだけではない!俺のフィールド上のモンスターが戦闘で破壊された時、手札の『執念深き復讐のソード・ストーカー』を特殊召喚できる!
そしてこの方法で特殊召喚したこのカードの攻撃力は、次の俺のターン終了時まで500ポイントアップする!」
執念深き復讐のソード・ストーカー:ATK2000→2500
「これ程までとは………クックック、この時代にも強き決闘者は存在していたようだな?
此れだけの相手と戦えるのならば、ダークシグナーになった甲斐もあったと言うモノか?ターンエンドだ。」
「俺のターン!」
ジャック:SC3→4
???:SC3→4
よし、此処は攻め込むのが上策だな。
奴の場には、弱体化したモンスターが1体と、リバースカードが1枚のみだ。
そしてあのリバースが攻撃反応型である可能性は低い――もしそうであるならばブルー・セイリオスの攻撃に対して発動した方が良かったからな。
「チューナーモンスター『富豪王 ヘル・グリード』を召喚!」
富豪王 ヘル・グリード:ATK0
「この場で貴様の首を掻っ切ってくれる!レベル6のソード・ストーカーに、レベル1の富豪王 ヘル・グリードをチューニング!
天頂に輝く死の星よ、地上に舞い降り生者を裁け!シンクロ召喚!切り刻め『天刑王 ブラック・ハイランダー』!!」
『ムオアァァァァァァ!!』
天刑王 ブラック・ハイランダー:ATK2800
故に俺は迷わん!
何よりも、たった1枚のカードに尻込みするような腰抜けでは『絶対王者』は名乗れん!
先ずは、ヘル・グリードの効果で1枚ドローし、続いてブラック・ハイランダーで、ソード・ストーカーDSに攻撃だ!
行け、ブラック・ハイランダー!ソード・ストーカーDSの魂を、その大鎌で刈り取ってやるが良い!!『デス・ポーラ・スレイ』!!
――ズバシャアァァァァァァァァ!!!
「むおぉぉぉっぉぉぉぉぉ!?」
???:LP3500→1500 SC4→2
流石に此れは効いただろう?
衝撃でフードも捲れてしまったようだしな……目深に被られたフードの奥の素顔を拝ませて貰おうか!!
「…………まさか、此処までできるとはな………」
「!?」
な!?こ、此れは……俺?
いや、違う!コイツは俺によく似ているが俺ではない……だが、コイツは何処かで見た事がある……何処かで…………まさか!!!
「貴様……ジャッキーか!?」
「ほう?……その愛称で呼ばれるのは実に5000年ぶりか。
如何にも、俺はジャッキーことジャガン・アールヴだ!!――まさか5000年の時を経て己とよく似た者と戦うとは思わなかったがな!!」
ジャガンでジャッキーか……成程な。
だが、だとしたら何故貴様がダークシグナーなどになって居る!?
5000年前の世界で、貴様はユウリと共に破滅を齎す究極神に立ち向かった赤き竜のシグナーで有った筈だ!其れが何故、ダークシグナーに…!
「何故貴様が其れを知って居るのかは気になるが、まぁ其れは如何でも良い事だ。
確かに俺は5000年前はシグナーとして闇の軍勢と戦っていた――最愛のユウリと共にな!
だが彼女は、最後の敵である究極神との戦いの中で命を落とした!究極神を倒すために己の魂を燃やし尽くして死んだ!
俺と他のシグナーは、ユウリが残してくれた魂の欠片を使って漸く究極神を倒したが、俺に残ったのは言いようのない虚しさだけだった!」
虚しさ……だと?
「何故ユウリが死ななければならなかった!民の事を第一に考え、誰よりも強く優しかった彼女が如何して死ななければならなかったのだ!?
もしも彼女がシグナーでなかったならば、死ぬ事はなかっただろう!――そう思い至った時に俺は決めた!!
シグナーとダークシグナーの戦いは宿命の物であり、シグナーに選ばれた者には拒否権はない。
だが、その命懸けの戦いに臨んだ事で、臨んでしまったがために悲しむ者が居ると言うのならば俺はシグナーの存在を認められん!
故に俺は闇に身を落としてダークシグナーとなり、シグナーを狩る側に回ったのだ……俺と同じ思いをする者を二度と出さない為に!!」
それ程の覚悟を持って貴様は!!
「其れにこの世界にはユウリの魂を受け継いだ者が居る……そいつが再び究極神に嬲られるくらいならば、いっそ俺の手で砕いてくれる!!」
ユウリの魂を受け継ぐとは――まさか遊里か!?
ふざけるな!!奴の魂を砕こうなど、このジャック・アトラスが認めん!!此処で貴様を叩きのめして、その野望を粉砕してくれる!!
「やってみるが良い!復讐のソード・ストーカーDSの効果発動!
オーバーレイユニットを持ったこのカードが破壊された場合、相手フィールドの表側表示のモンスター全ての効果を無効にする!
此れにより、天刑王 ブラック・ハイランダーの効果は無効となる!!」
ち、転んでも只では起きん奴だ……ターンエンド!
「俺のターン。」
ジャック:SC4→5
ジャガン:SC2→3
「『ジャイアント・ウィルス』を守備表示で召喚。」
ジャイアント・ウィルス:DEF100
「そして俺のフィールド上に攻撃力1500以下の闇属性モンスターが存在する時、手札の『DT-ナイトメア・スクライド』を特殊召喚できる!」
DT-ナイトメア・スクライド:ATK0
ダークチューナー!!来るか、ダークシンクロが……!!
「レベル2のジャイアント・ウィルスに、レベル10のナイトメア・スクライドをダークチューニング!
漆黒の常闇に、黒き炎が天地鳴動の力を呼び起こす!シンクロ召喚!万物を焼き尽くせ…『闇魔龍 ダーク・デーモン』!!」
『バオアァァァァァァッァァァァ!!!』
闇魔龍 ダーク・デーモン:ATK3000
此れは……漆黒のレッド・デーモンだと!?
「ダーク・デーモンの効果発動!
1ターンに1度、相手フィールド上のモンスターを全て破壊し、破壊したモンスターのレベルまたはランクの合計値×200のダメージを与える!
この効果で破壊したモンスターのレベル&ランク合計はブラック・ハイランダー1体のみだから7……1400ポイントのダメージを受けて貰おうか!」
――ドガアァァァァァァァン!!
ジャック:LP3200→1800 SC5→4
「ぐおわぁぁぁぁ!?………く、流石に少しばかりキツイか……!!」
「このままダイレクトアタックと行ければ、俺の勝ちなんだが――ダーク・デーモンは効果を発動したターンには攻撃できない…ターンエンド。」
凶悪な効果だが、デメリットもある訳か……ならば今度は此方の番だ!俺のターン!!
ジャック:SC4→5
ジャガン:3→4
リバースカードオープン!『ロスト・スター・ディセント』!
このカードの効果で能力とステータス制限をかけ、更にレベルを1つ落とした状態で、墓地のブルー・セイリオスを蘇生させる!
天狼王 ブルー・セイリオス:DEF1500→0 Lv6→5
まだ終わらん!更にチューナーモンスター『ダーク・リゾネーター』を召喚!!
ダーク・リゾネーター:ATK1300
「レベル5となったブルー・セイリオスに、レベル3のダーク・リゾネーターをチューニング!!
万物を焼き尽くす孤高の絶対王者よ、天地鳴動の力を揮うが良い!シンクロ召喚!降臨せよ『煌魔龍 レッド・デーモン』!!」
『バオォォォォォォォォォ……!!』
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000
「レッド・デーモン……!!」
5000年前、レッド・デーモンは貴様の相棒だっただろうが、現代に於いては俺の相棒であり、最も信頼する友だ。
そのレッド・デーモンの力で闇にの堕ちた貴様の野望を、灰も残らない程に焼き尽くしてくれる!――遊里に手出しはさせん、絶対にな!!!
To Be Continued… 
登場カード補足
闇魔龍 ダーク・デーモン
レベル-8 闇属性
ドラゴン族・ダークシンクロ/効果
チューナー以外のモンスター-ダークチューナー
このカードはチューナー以外のモンスターのレベル合計からダークチューナーのレベルを引いた数がレベル-8に等しい場合にダークシンクロできる。
1ターンに1度、相手フィールド上のモンスターを全て破壊し、破壊したモンスターのレベル・ランク合計×200ポイントのダメージを相手に与える。
この効果を発動するターン、このカードは攻撃する事が出来ない。
ATK3000 DEF2000
復讐のソード・ストーカーDS
ランク-6 闇属性
悪魔族・ダークエクシーズ/効果
レベル-6のモンスター×2
このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除いて発動する。
次の自分のターン終了時まで、このカードの攻撃力は自分の墓地のモンスターの数×400ポイントアップする。
オーバーレイユニットを持ったこのカードが破壊された時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターの効果を無効にする。
ATK2000 DEF1600
カイザー・グライダーDS
レベル-6 闇属性
ドラゴン族・効果
このカードが破壊された時、相手フィールド上のカードを全てデッキに戻してシャッフルする。
このカードは1ターンに1度だけ破壊されない。
ATK2400 DEF2200
暗黒の魂の担い手
レベル-6 闇属性
アンデッド族・効果
自分フィールド上にマイナスレベルのモンスターが存在する時、このカードは手札から特殊召喚できる。
ATK0 DEF0
ブラッド・ヴォルスDS
レベル4 闇属性
悪魔族・効果
このカードが戦闘で破壊された時、手札を1枚捨てて発動する。
デッキから、マイナスレベルのモンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。
ATK1900 DEF1200
ミノタウルスDS
レベル-4 闇属性
獣戦士族
闇に堕ちた牛面の戦士。最早戦士の誇りは消え失せ、獣の闘争本能のみで暴れ続ける…
ATK1700 DEF1000
DT-ナイトメア・スクライド
レベル10 闇属性
悪魔族・ダークチューナー
自分フィールド上に攻撃力1500以下の闇属性モンスターが表側表示で存在する場合、このカードは特殊召喚できる。
ATK0 DEF0
闇の結束術
通常罠
自分フィールド上の闇属性モンスターが戦闘で破壊された時に発動できる。
自分のデッキからレベル4以下の闇属性モンスター1体を選択して、自分フィールド上に特殊召喚する。
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