Side:ブランシュ


ダークシグナーを倒したらモーメントを停止しろか……多分モーメントがダークシグナーに何らかの力を与えてるんだろうな?
序に言うと、其れの鍵となるのがシグナーの龍――決闘龍のカード。

と言う事は俺の『シェルアーマー』でもモーメントの停止は出来る筈だ。
さてと、此処にセットすればいいのか。



『Error.』



え?え、エラーって如何言う事だよ!?このカードはモーメントの制御機能なんだろ!?其れなのに何で!!
くそ、もう一度!!


『Error.』


……如何言う事だ?如何してシェルアーマーのカードでモーメントを止める事が出来ないんだ!?……此れは制御機能の筈なのに如何して!

「クソ……止められないんじゃ如何しようもねぇじゃないかよ!!
 ちぃ、此処は捨て置いて、適当にダークシグナーを狩る事にするか…テメェ等は一匹残さず狩りつくしてやるからな?…首洗って待ってろよ!」












異聞・遊戯王5D's Turn55
『執念深き邪神の魂~Ccarayhua~』











Side:遊里


今の感じ、シグナーの誰かがダークシグナーとデュエルしたのは間違いないだろうけど、一体誰?
空に映し出された地上絵は、明らかにアタシ達が夫々向かっていた場所とは凄まじく離れた場所から映し出されていたのは間違いないわ。

だからこそ、誰が戦っていたのかが気になるわね?


『遊里。』

「ん?如何したのアイン?」

『至急、此れから指定する場所に来てくれないか?――如何にも面倒極まりない事が起きたみたいでね……』


其れはまた何とも……って言うか、指定の場所って今し方話題に上がってた場所じゃない!?……何とも陰謀的な何かを感じるんだけど……
だけど、行ってみなきゃわからないし、アタシ等で対処出来る事ならするに越した事はないからね。

「鬼柳、進路変更!アインの居る場所に向かうけど良い?」

「良いも何も、其処に何かあるんだろ?――なら行かないとならないんじゃないか?
 何よりも、何かあるかも知れないのに無視して素通りするなんて事は、大凡満足出来る事じゃねぇ――寧ろ最大級の不満足だぜ。」


貴方ならそう言うと思ったわ鬼柳。
なら異論無しって事で、アインの居る場所に向かうわよ!!――其れにしても、如何にも嫌な予感がするわ…果たして何が待っているのやら。



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・・・



「アイン!」

「何があった?」

「遊里、鬼柳!いや、お前達ならばシグナーがデュエルをしていたのは感じ取ったとも思うが――」


如何したの?


「いや、此処でデュエルをしていたのはブラン――ブランシュ・ノーチラスだったんだ。
 無論彼女は勝ったんだが、だが此処のモーメントは停止されていないのが気になってね?……ブランはモーメントに行ったから余計にな。」


ブランて、龍亞に怪我を負わせたサイコデュエリスト!!
そいつがダークシグナーを倒したにも関わらず、だけどモーメントは止まってないって……確かに無視出来る事じゃないわね?

モーメントに向かったて言う事は、少なくとも決闘龍のカードがモーメントの制御機構だって言う事は知ってたと見て間違いない――寧ろ確定。

だけどそうだとしたら、何でモーメントが止まってないのか疑問が残るわ。
最初からモーメントを停止する心算が無いなら、わざわざモーメントのある場所まで赴くはずがないし――鬼柳は如何思う?


「単純に考えりゃ、放置されてた事でモーメントの認識機能がぶっ壊れたって所だろうな。
 それ以外の可能性で言うなら――そのブランて奴が持ってる『決闘龍』のカードが、本当の決闘龍のカードじゃないイレギュラーって所か……」

「イレギュラー?……いや、有り得るかも知れん!
 ブランはアルカディアムーブメントの実験の副産物的な感じでシグナーの力を宿したらしい。
 お前達の様に、龍に選ばれたシグナーではないんだ!……其れならば、ブランの龍のカードも無理矢理顕現させられた物なのかも知れん。」


何よ其れ!?
人為的にシグナーを作り出す実験でもしてたって事!?……絶対人道的に許しがたい、外道で非道な事が行われてたのが想像できるわね。

「って、アインは何でそんな事知ってるの?」

「其れを行った本人が喜々として語ってくれた。
 尤も、其れが原因で地縛神に丸呑みにされてしまったがな――いやはや、何時の時代も外道の末路と言う物は悲惨なモノだと思ったよ。」

「丸呑みって、そいつは何とも満足できない人生の幕切れだな……」


仰る通りで。
でも、モーメントが停止してないなら止めないとダメじゃない?
もし、カードの認識機能が壊れてるなら直せば良いだけだし、そうじゃないならアタシか鬼柳のカードなら反応するでしょ?


「なら、此処は俺のフォルト・スクライドで停止するとするか?さっきのモーメントはシルバー・ウィンドで止めたからな。」

「そう?ならお願いするわ鬼柳。」

そうと決まればモーメントに――って、な~~~~~~~にか見えるぞ?
モーメントのある場所の入り口前に誰か……なんぞ、あの前髪星人は?


「ディヴァイン!?」

「知ってるのアイン?」

「知ってるも何も、さっき言った地縛神に丸呑みにされた外道だ。
 間違いなく死んだと思ったが、生きていたと言うのか?――そんな、幾ら何でもまさか有り得ないぞ!?」

「だが、現実にそいつは俺達の目の前に居る――しかも如何やら、俺達を此処から先に進ませない心算らしい。」


みたいね?
ちょっと、其処の前髪オジサン!道を開けてくれないかしら?アタシ達その先に用があるのよ。


「ククク……其レは聞けン相談ダな――トクニ、お前達シグナーを通スワケニハ行かン。」


え?……何コイツ、如何見ても普通じゃないわよね?――って言うか、身体から立ち上ってる闇の瘴気は、大凡人間の纏うモノじゃない!
アンタは何者!?絶対に、え~~~と……ディヴァインとか言う奴じゃないわよね!?


「サスガに分かるカ?我コソは『地縛神 Ccarayhua』!
 我が力ヲ与エた、ミすティは敗れタガ、我がクラッタこの男ノ身体を乗っ取る事が出来タ――我を滅ぼス事は出来なかっタノだ!!」


地縛神ですって!?
自分が喰らった相手の身体を依代にして活動するなんて、呆れた生き汚さね?ある意味で尊敬するわ。
だけど、アンタが地縛神だって言うなら見過ごす事は出来ない!力尽くでも其処をどいて貰うわよ?


「ホウ?力尽くデ――如何する心算ダ?」

「決まってるだろ、デュエルで白黒つけるだけだ。
 死にぞこないの身体に宿った、死にぞこないの魂が相手じゃ満足できそうにないが、俺とデュエルして貰うぜ地縛神。」


鬼柳!――良いの?


「コイツ如きは俺1人で充分だ。
 大体にして、ルドガーとはお前がやる心算なんだろ?なら、こんな奴の相手をする必要はないだろ?こんな死にぞこないの三流の相手はな。」

「貴様……我ヲ愚弄した事を後悔すルナよ!?」

「ふん、精々俺を満足させてくれよな?死にぞこないの地縛神!!」


「「デュエル!!!」」


鬼柳:LP4000
ディヴァイン(地縛神 Ccarayhua):LP4000




あ~~~、何かなし崩し的にデュエルが始まっちゃったけど、此れは此れで問題ないか?
少なくとも死にぞこないの地縛神に鬼柳が後れを取るとは思えないしね?――そもそも、満足できそうにない相手に鬼柳が負ける筈がない。

手加減は一切不要だからね、やっちまえ鬼柳!!








――――――








Side:鬼柳


さてと、先攻は貰うぜ地縛神?俺のターン!!
手札から魔法カード『煉獄の盟約』を発動。
手札を2枚墓地に送り、デッキか手札から『インフェルニティ』1体を特殊召喚する!来い『インフェルニティ・ジェネラル』


インフィニティ・ジェネラル:ATK2700


「俺は此れでターンエンドだ。」

「我のターん!!我はフィールド魔法『地縛神の陵墓』を発動!
 コノカードがある限リ、私はフィールドジョウノモンスターをりりーすスル代わリニ、手札を2枚捨テル事で地縛神を通常召喚デキる!!
 我は手札を2枚捨テ、我自身デアル『地縛神 Ccarayhua』を召喚すル!!」

『ガギャァァァッァァァァァァァァァ!!!』
地縛神 Ccarayhua:ATK2800



自分自身を、それ以前に初手からの地縛神とは随分と気前が良いじゃないか?――もっとも其れ位して貰わないと満足には程遠いけどな!


「ホザケシぐナーが!地縛神はフィールド魔法ガある限リハ無敵のモンすターだと知れ!
 そしテ、フィールド魔法がある時、地縛神ハ相手にダイれクとアタっくが可能にナる!!我が一撃デ冥獄に沈むが良イ!!」


――ドガァァァァァン!!!


鬼柳:LP4000→1200



言うだけあって良い攻撃だが、ジャックとのデュエルで感じたフィールに比べれば全然生温いぜこの程度の衝撃なんぞはな!

「相手からダイレクトアタックを受けた時、『煉獄の使者 ゼーラ』はこのカード以外の手札を墓地に送る事で特殊召喚できる!
 此れで俺の手札は0になり、そして更なるモンスターの効果が発動する!
 俺が手札0で戦闘ダメージを受けた時、墓地の『煉獄の使者 キリク』を特殊召喚できる!」
煉獄の使者 ゼーラ:ATK2800
煉獄の使者 キリク:ATK2300



更にキリクの効果発動!
キリクが自身の効果で特殊召喚された時、デッキから魔法か罠カード1枚を選択して俺のフィールド上にセットする。
俺はデッキから通常魔法『インフェルニティ・レクイエム』をセットするぜ。


「やるナ……カードを1枚セットしてターンエンドダ。」

「俺のターン!!手札から魔法カード『虚無限の再生』を発動。
 このカードは俺のライフを500回復するカードだが、俺の手札が0枚の場合には回復する量は1000ポイントになる!」
鬼柳:LP1200→2200


そしてリバースカードオープン!マジックカード『インフェルニティ・レクイエム』
俺の手札が0の時、自分の墓地またはデッキから『インフェルニティ』と名の付くモンスター1体を特殊召喚する!
俺が呼び出すのは、チューナーモンスター『インフェルニティ・リベンジャー』!!


インフェルニティ・リベンジャー:ATK0


「行くぜ地縛神!俺は、レベル6のキリクに、レベル1のインフェルニティ・リベンジャーをチューニング!
 無限煉獄の黒き秩序を護りし騎士よ、虚無限の炎で生者の魂を焼け。シンクロ召喚!斬り捨てよ『煉獄騎士 ソーマ』!!」

『ウオォォォォォ!!』
煉獄騎士 ソーマ:ATK2500



フィールド魔法がある限り、地縛神を攻撃する事は出来ねぇが、其れならプレイヤーを直接狙うだけの事だ!!
覚悟は良いなトカゲ野郎?煉獄騎士 ソーマでダイレクトアタック!!『インフェルニティ・カオス・スラッシュ』!!!


「トラップ発動……!?馬鹿ナ、何故カードが発動シなイ!!」

「俺の手札が0の時にソーマが攻撃宣言をした場合、相手はダメージステップ終了までカード効果を発動出来ねぇ。
 故にこの攻撃を止める事は出来ないぜ?――精々特大の一発を喰らうんだな!!」



――ズバァァッァア!!



「ぐおわぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ディヴァイン(地縛神 Ccarayhua):LP4000→1500


此れでオーラスか?
インフェルニティ・ジェネラルでダイレクトアタック!『煉獄断殺』!!


「其れコソ通さヌ!トラップカード『攻撃の無力化』!!
 相手モンスター1体ノ攻撃をムコウニシ、バトルフェイズを終了さセル――一撃必殺を狙ったようだが、残念だったな?」


ふ、この程度でくたばって貰っちゃ面白くねぇ。
だけどな、お前は後悔する事になるぜ?――今し方の攻撃を大人しく受けていればよかったってな!!


精々死にぞこないに相応しい引導を渡してやるが――だが逝く前に、精々俺を満足させてくれよなぁ!!














 To Be Continued… 






登場カード補足



煉獄の盟約
通常魔法
手札を2枚墓地に送って発動する。
デッキか手札から「インフェルニティ」と名の付くモンスター1体を選択して特殊召喚する。



虚無限の再生
通常魔法
自分のライフを500ポイント回復する。
自分の手札が0枚の時、回復するライフポイントは1000ポイントになる。



インフェルニティ・レクイエム
通常魔法
自分の手札が0枚の時にのみ発動できる。
自分のデッキまたは墓地から「インフェルニティ」と名の付くモンスター1体を特殊召喚する。



地縛神の陵墓
フィールド魔法
このカードが表側表示で存在する限り、自分は手札を2枚捨てる事で、手札の「地縛神」と名の付くカードをリリースなしで通常召喚できる。
このカードが表側表示で存在する限り、自分は闇属性以外のモンスターを召喚・特殊召喚する事が出来ない。