Side:みほ


第六十四回戦車道高校生――通称『戦車道全国大会』の決勝戦当日……此れは思った以上に人が来てるみたいだね?去年の決勝戦以上にお客さ
んが多い気がするんだけど、私の気のせいかな?



「みほさんの気のせいではありませんよ。
 実際に今年の決勝戦の観客動員数は現時点で去年の1.25倍になってるみたいですから、試合が始まるまでには最低でも1.75倍になってるんじゃな
 いでしょうか……其れだけ、注目されてるんですよ、此の試合は。」

「ま、注目するなってのがそもそも無理な相談でしょ此れは?
 絶対王者である黒森峰を倒し、更には国内最強とも謳われてる大学選抜戦を制して無限軌道杯でも優勝した、最強とも言える大洗に、決勝戦に初め
 て進出したアンツィオが挑むのだから、注目されるのは当然でしょう?」



うん、其れは確かに其の通りだね。
しかも今年の決勝戦は、私とペパロニさんの戦い……中学時代の戦友同士が雌雄を決する戦いでもあるから、戦車道通からしたら楽しみな試合だろう
し、最近戦車道ファンになった人でも私とペパロニさんの過去を知ればより楽しみになるだろうからね。
かく言う私も、ペパロニさんとは一度ガチンコで勝負してみたいと思ってたから、決勝戦が楽しみで仕方ないかな……装填士からコンバートされた車長
がどんな風に部隊を動かすのかとても楽しみだよ。



「嘗ての戦友と戦う事に躊躇は無いの……なんて、聞くだけ野暮よね?」

「うん、躊躇なんて無いよエミちゃん。そして其れはきっとペパロニさんも同じだと思う。
 親友で恋人で嘗ての戦友であったとしても、試合で砲を交える以上は手加減、手心一切不要だからね……寧ろ、本気を出さなかったらそっちの方が
 激おこ案件だから。」

「でしょうね。
 なら、大洗の本気の本気を持ってアンツィオと戦ってやりましょう?――今日も今日とて、大洗の応援団は凄い事になってるみたいだから生半可な試
 合を修める事なんて出来ないからね。」



生半可な試合を修める事が出来ないのは当然の事だけど、確かに今日の大洗の応援団は何時も以上に凄い事になってるから、改めてそう思いたくも
なるかな?
お銀さん率いるどん底のメンバーに、黒のカリスマ率いるnOsの皆さん、好子さん率いる大洗永町商店街の皆さんに、『nWo』に似た『oMt』のロゴが入っ
た黒いジージャンを着た一団が居るからね……『Ooarai Moriageru Tai(大洗盛り上げる隊)』で『oMt』か、成程。
そして、其れだけじゃなくてアライッペを始めとした茨城県のゆるキャラに加えて、私の故郷の熊本の大人気ゆるキャラのくまモンまで応援に来てくれて
てるから、此れは生半可な試合は絶対に出来ないね。
私の高校生活最後の大会……優勝して、有終の美を飾りたい所だね。










ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer214
第64回戦車道全国大会決勝戦です!』









そんな訳で、試合開始前まで適当に会場を回って、応援に来てくれた各校の人達と話をして時間を潰す心算だったんだけど……



「はいよ!新作メニューの『アンチョビとペパロニのハンディピザ』一丁上がり!五百万リラな!」



アンツィオが出してた屋台で新作メニューを買ってましたとさ。
いや、美味しそうな匂いと新作メニューって言うのに誘われて買っちゃった私が言うのもなんだけど、試合前に何してるのペパロニさん!?隊長が試合
前にこんな事してて大丈夫なの!?



「いや~~、試合会場での屋台ってのがお馴染みになってるから、此れをやらねぇと気が落ち着かねぇんだよ?勿論、試合中は戦車隊に所属してねぇ
 生徒に任せるけどさ。
 寧ろ、アタシとしては此れをやった方が思考が落ち着くって言うかなんて言うかな……」

「完全にルーティーンになってるんだね……取り敢えず、此れお代の五百円ね。」

資金集めの為にやってた屋台営業が試合前のルーティーンになってるとか普通に驚きだよ……試合前のルーティーンを持ってる戦車乗りは結構居る
と思うけど、屋台営業がルーティーンになってる人は多分ペパロニさんだけだろうね。……ペパロニさんは激レアだね。
まぁ、其れは其れとして、新作のハンディピザの味は――うん、此れは美味しい!
薄いピザ生地に敢えてトマトソースを塗らない事でチーズの濃厚さが際立たされてるだけじゃなく、その濃厚さをアンチョビが更に押し上げていながら、
ペパロニの爽やかな辛さで味全体を引き締めてるからね……赤唐辛子のホットな辛さじゃこの美味しさは無理。爽やかな辛さのペパロニだからこそ出
来た美味しさだね此れは。



「だろ?アンチョビとペパロニって相性最高だと思ってたんだよ。
 だから、パスタの方にも新メニューとして『アンチョビとペパロニのペペロンチーノ』を追加したんだ。」

「ちょっと待って、其のネーミングはおかしいわよペパロニ?……ペペロンチーノってイタリア語で赤唐辛子って事でしょ?青唐辛子であるペパロニを使
 ってるなら、其れはもうペペロンチーノじゃないでしょ?」

「固い事言うなよエリカ。
 良いじゃねぇか、ワインってのは本来『葡萄酒』を指す言葉なのに、『サクランボのワイン』とか『イチゴのワイン』なんてモンがあるんだから、ペパロニ
 使ったペペロンチーノもアリだろ?
 少なくとも、『大豆でつくったビーフジャーキー』程は矛盾はしてねぇ!少なくともこっちは唐辛子は使ってるからな!」



確かに。『大豆でつくったビーフジャーキー』よりは矛盾してないね。大豆を使ってるなら『ソイジャーキー』ってする所だからね。
其れは兎も角、御馳走様ペパロニさん、美味しかったよ。



「そりゃ良かったぜ。
 ……決勝戦、最高の試合をしようなみほ。戦車道史に語り継がれるような試合を、アタシとお前でやってやろうじゃねぇか!決勝戦ってのは派手なほ
 うが盛り上がるからよ!」

「言われるまでもないよペパロニさん……持てる力を120%出して、最高にして最強の戦車道をしよう。」

「オウよ!」



――カツン!



ペパロニさんが突き出して来た左の拳に、私の右の拳を軽くぶつけて、そして其れだけで、もう私もペパロニさんも闘気は爆裂マックス状態だよ――真
の戦車乗り同士の闘気が触れ合ったら、其れだけで互いの闘気を刺激してより闘気が燃え上がるものだからね。
決勝戦、楽しみにしてるよペパロニさん!



「みほ……アタシの戦車の闘気がお前を呼んでるぜ。」

「……なら燃え尽きろ、潔くな。」

そして、此処でネタを振って来るとは思わなかった。しかも微妙にアレンジ入ってるし。――98の京vs庵の試合前デモは今でもライバルの掛け合いとし
て有名だけどね。








――――――








No Side


大洗女子学園vsアンツィオ高校……今年の全国大会の決勝戦がこの組み合わせになるとは、恐らく玄人な戦車道ファンにも予想外のモノだっただ筈
だ。
黒森峰が二回戦で敗退した時点で大洗が決勝戦にコマを進める事は予想していただろうが、決勝戦の相手はプラウダかサンダースの何方かだろうと
言う意見が大半だったのだから……まぁ、僅かながら大穴のアンツィオを予想した人は居たけどね。戦車道totoでもあったら、アンツィオ決勝進出に賭
けた人は大金を手にしてたかもだね。
正に完全に予想外の組み合わせだが、其れだけに観客席は超満員札止めの満員御礼状態だ。


「グァッデーム!!アイム、チョーノ!
 大洗とアンツィオの決勝戦……最高だぜ!パンツァークライマックス!戦車の頂点を決めようじゃねぇか!!みぽりんだけ見てりゃいいんだオラァ!」


そして今日も今日とて、黒のカリスマは元気で絶好調でした!……現役JK戦車乗りに没頭してて、ドイツ人のカミさんにどやされてないか心配だよ。ホ
ンの少しだけな。
大洗の応援団は黒のカリスマを筆頭に大盛り上がりだが、アンツィオの応援団だって負けてはいない!
イタリア国旗を意識した衣装を纏った応援団がアンツィオの学園旗を振って応援しているし、プロレスラーのミラノコレクションATがアンツィオの応援に来
てくれてるからね……まさかのミラコレ、透明犬は健在みたいだな。
まぁ、両校とも凄い応援団が居るのだが……


「「「「「ゴーゴー大洗!ゴーゴー大洗!ゴーゴー、レッツゴー、ファイト、オー!」」」」」

「「「「「レッツゴーアンツィオ!ファイト、アンツィオ!レッツゴー、アンツィオ、ファイト、ゴー!」」」」」


其れ以上に目を引くのが、サンダースのチアリーダー部によるノーサイドの応援だろう。
チアダンスの全国大会で連続優勝しているサンダースのチア部のノーサイドの応援と言うのは会場を盛り上げてくれるからね……アリサとナオミがチア
ガールとして参加してるのもインパクトがあるからな。
アリサは兎も角、ボーイッシュなイメージながら高身長でプロポーション抜群のナオミのチアガール姿とか結構破壊力がありますな。


「応援の熱が凄いね……」

「だな……なら、アタシ達はその熱に応えねぇとだな!」

「そうだね!」


「其れでは此れより、第六十四回戦車道全国高校生大会の決勝戦、大洗女子学園対アンツィオ高校の試合を開始する!お互いに、礼!」

「「「「よろしくお願いします!」」」」


まぁ、応援が豪華なのは兎も角として、試合前の隊長と副隊長コンビによる挨拶が終わっていざ決勝戦開始――決勝戦のフィールドは去年と同じ富士
の演習場だが、フィールドの広さも去年と同じなので市街地戦も可能なフィールドだ。
市街地戦が出来るのならばみほが絶対有利に見えるが、ペパロニは中学時代にみほの戦い方を誰よりも間近で見ていただけじゃなく、大学選抜戦の
時には久しぶりにみほと同じ戦車に乗って、みほの成長を感じていたから、対みほ戦術くらいはあるのだろうと考えると、市街地戦が出来るからと言っ
て『みほ絶対有利』とは言えないだろう。

どんな試合展開になるかは兎も角として、先ずは両校のオーダーを見て行こう。


・大洗女子学園

パンターG型×2(アイスブルーカラーは隊長車兼フラッグ車)
ティーガーⅠ×1
ティーガーⅡ×1
チャーフィー軽戦車×1
ポルシェティーガー×1
ヘッツァー×1
Ⅲ号突撃砲G型×1
四式中戦車×1
コメット巡航戦車×1
VK3002DB×1
ARL-44×1
Ⅳ号戦車F2×3



・アンツィオ高校

P-40×1(隊長車兼フラッグ車)
M11/39×2
M13/40×2
M14/41×1
M15/42×2
M16/43 サハリアノ×1
M41型セモヴェンテ×2
CV-33型快速戦車×9




毎度大洗は一校多国籍軍状態だが、対するアンツィオは去年までの貧弱な戦力が嘘のような布陣だ――決して強力とは言えないが、ソコソコの性能
の中戦車を揃えて来たようだ。
特にサハリアノなんて、試作車輌が一輌しか存在してない極レア戦車をよく見つけて来たモノである……よくよく見れば主砲は設計のみ存在してた70
mm砲が搭載されてるし、相当な大枚を叩いた事だろう。――其れが出来るだけ、アンツィオの出張屋台やデリバリーは大当たりの大繁盛と言う事なの
だろうけどね。
ともあれ、此れだけの戦車があれば火力もソコソコなので、CV-33での攪乱やマカロニ作戦がより効果的に使えるだろう――実際に今年のアンツィオ
は攪乱とマカロニ作戦の合わせ技で勝ち進んで来た事が其れを証明しているだろう。

そして、挨拶から試合開始までの間の最後のミーティングなのだが……


「梓ちゃん、アンツィオは如何出てくると思うかな?」

「そうですね……私だったら絶対に市街地戦は避けて、試合開始直後の平原と林と高台のフィールドで勝負を掛けますけど、ペパロニさんはそうじゃな
 いと思います。
 カルロヴェローチェでの攪乱を行いつつ、市街地に誘導して来るんじゃないかと、そう思います。」

「ふむ、其れはなんでかな?」

「市街地の方が小回りの利くカルロヴェローチェの性能を活かせますし、マカロニ作戦及びマカロニ作戦ツヴァイは市街地の方がその真価を発揮すると
 思うからです。
 特に景色に溶け込むマカロニ作戦ツヴァイは市街地の方が絶対的にやり易い筈ですから。だから、きっと市街地戦に誘導して来ると思うんです。」

「良い推測だよ梓ちゃん、私も殆ど同じ考えだったしね。
 其処まで推測してるなら、普通は市街地戦への誘導には乗らない所だけど……」

「市街地戦は西住隊長の十八番でもあるから、態々誘導してくれるなら、其れに乗るですよね?」

「大正解!市街地戦を挑んでくれると言うのなら、其れは逆に好都合だからね……隻腕の軍神の市街地戦トリックを十二分に味わって貰うまでだよ!
 そう言う訳で、決戦のフィールドは市街地!私の戦車道の真骨頂である市街地戦で決着を付けるよ!」

「「「「「「「「「「おーーーー!!!!」」」」」」」」」(鍵カッコ省略)







「良いかお前等、戦車を揃えたとは言え、戦車の性能ではアタシ等は大洗に負けてるから真正面から遣り合うのは得策じゃねぇ所か普通に悪手だ。
 だから、アタシ等は機動力と策を武器にして戦うぜ……つっても、アタシの策なんざみほは御見通しなんだろうけどさ――でも、其れを利用するんだ!
 試合開始から、あからさまな事をこれでもかって位にやってやるんだ。あからさま過ぎる事をやられりゃ、みほだって少しは混乱する筈だ……でもって
 市街地戦に持ち込んでフラッグ車を撃破する!
 市街地戦はみほの十八番だが、逆に言うなら市街地戦を仕掛ける為にフラッグ車の護衛が手薄になるとも言えるからな……決戦の地は市街地だ!
 気合入れろよテメェ等!今年の全国大会はアンツィオが制覇するんだからな!!」

「「「「「「「「「「ドゥーチェ!ドゥーチェ!!」」」」」」」」」


奇しくも大洗もアンツィオも決戦の地は市街地としていた……戦友だけに、お互いに考えてる事はある程度分かると言った所なのかも知れない――其
れとは別に、アンチョビから受け継いだ隊長服と鞭が中々似合ってるねペパロニは。

そんな感じで最後のミーティングも無事に終わり……



『第六十四回戦車高全国高校生大会決勝戦、大洗女子学園対アンツィオ高校、試合開始!』


「Panzer Vor!!」

「「「「「「「「「「「「「「Jawohl!」」」」」」」」」」」」」」


「Avanti!!」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「Ricevuto!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


いざ試合開始!!
大洗もアンツィオも気合は充分であり、戦車力も充実しているので戦車道史に残る好勝負を超えた名勝負が展開される事を期待してならない……そう
なった場合、連盟が経済的な大ダメージを受ける事が確定なんだけどね。――みほとペパロニがガチで市街地戦をやったら、市街地にドンだけの被害
が出るのか全く分からないから。……下手したら市街地が更地になりかねないからな。


「アイン、何時でもSLB撃てる準備しときなさいよ?」

「あぁ、任せておいてくれエリカ。」


エリカとリインは冗談でも、ヤバい事言わんといてね?SLBはマジで都市を更地にする所が、其の技名の如く星すら破壊しかねないから。って言うか破
壊するから冗談抜きで。
此れは今年の全国大会決勝戦は、去年よりもスッゲェ事になるかも知れないね……此れはもう、ワクワクするしかないな。








――――――








Side:まほ


ギリギリではあったが、何とか決勝戦までに帰国する事が出来たか……会場に着いたら丁度試合が始まる所だったとは、ある意味では良いタイミング
だったのかもしれないな。
それにしても今年の決勝戦は大洗対アンツィオか……みほからトーナメントの組み合わせを聞いた時には、決勝の相手はプラウダかサンダースだろう
と予想していたのだが、見事に予想が外れてしまった訳か。
お前が後任に指名した隊長は、優秀みたいだな安斎?



「ペパロニは適当にアホだが、直観力は誰よりも優れているからな……直観力に長けているペパロニを隊長にして、その補佐に論理的思考が出来る
 カルパッチョを据えればきっと次の代のアンツィオは大化けすると信じてたからな。
 其れに、ペパロニは適当にアホだが、一本気で後輩の面倒見が良いって言うアンツィオの隊長にこの上なく適した奴なんだよ。」

「お前が見込んだ奴ならば大丈夫だろう……思えばあの子は、戦車道の暗黒面に堕ちていた頃のお婆様にも怯まずに、言い返したくらいだからな。
 ……イタリア語で『さっさとクタバレ、クソババア』だったかな。」

「怖いもの知らずだなオイ。」



私もそう思うよ……私とみほとお母様、そして菊代さんは耐性があったから兎も角として、普通ならあの時のお祖母様の闇のオーラを喰らったら一撃ス
タンするだろうからね。
にも拘らず、ペパロニは其れをものともせずに言い返していたからね……あの子は心臓に毛が生えてるのかもしれないな。



「ペパロニの心臓は、毛どころか、コケやキノコが生えてるかも知れんぞ西住……去年のハロウィンイベントでペパロニを驚かせてやろうと思って、大ス
 ケールのドッキリを仕掛けてやったんだが、アイツは全く驚かなかったどころか事あるごとに爆笑してたからな。
 ……冗談抜きで、恐怖って感情が備わってないんじゃないかと疑ったよ。」

「……其れは、そう思うのが普通だと思うぞ安斎。」

マッタク、あの子はドレだけ心臓が強いのか……だが、其れだけの強心臓であるのならば、みほの奇想天外な作戦に一々驚く事はない可能性がある
から、みほとしてはやり辛い相手かも知れないな。
だが、其れでもみほは負けない……みほは、私をも越える最強の戦車乗りだからな。



「いいや、勝つのはアンツィオだ。
 妹思いのお前には悪いが、此の試合でペパロニは自分の殻を破って其の力を発揮させる――そうなれば、如何にみほであっても勝つのは無理だと
 思うぞ?ペパロニには、私の持てる力の全てを渡したからな。」

「だからなんだ?どんな作戦を立てようとも、みほは二~三分もあればその作戦に対応する事が出来るからな――悪いが、今年の全国大会も制覇す
 るのは大洗だ。身内贔屓を抜きにしてな。」

みほを倒せる奴が要るとしたら、其れはエリカと澤だろうな――逆に言うのなら、その二人以外ではみほを倒す事は出来ないと言う事になるからな。
特に澤の潜在能力は可成り高い――その潜在能力が完全覚醒した時は、みほすら上回るかも知れん……マッタク、みほは良い逸材を自分の後釜に
見つけたモノだよ。

何にしても、此れがお前の高校生活最後の大会だから、悔いが無いようにやれよみほ。そしてペパロニもな――じっくりと魅せて貰うぞ、お前達の戦車
道と言うモノをな。
時に、何か用か?



「ガッデム。
 まほお姉ちゃん、応援のお供に大洗名物の『転輪焼き』と、『ガルパン』、デザートに『戦車クレープ』は如何だ?結構行けるぜ!ガッデメファッキン!」

「あぁ、其れは有り難く貰っておくよ黒のカリスマさん。」

「アイム、チョーノ!」

「其れは知ってる。」

予想外の黒のカリスマからの差し入れがあったが、この差し入れのおかげで更に応援にも熱が入るってモノだな――頑張れよみほ、お前は必ず戦車
道の未来を牽引して行く存在になるだろうからな。
――だから、見せて貰うぞお前が見つけたお前だけの戦車道を……お前だけの戦車道、みほだけの戦車道をね!!

大洗女子学園vsアンツィオ高校……恐らくは戦車道史に歴史を残す事になるであろう此の試合……ふふ、そんな場所に居合わせたと言うのは正にラ
ッキーだったよ。
観客として楽しませて貰うぞ、此の決勝戦をね。










 To Be Continued… 





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