Side:ペパロニ


二回戦も無事に突破して、今度は三回戦だから、大洗の応援兼出稼ぎに来たんだが……其処でまさか、こんな物を見る事になるとは思わなかったぜ
流石にな。
だって、今日の大洗の連中のパンツァージャケットは、何時ものグリーンのインナーに濃紺の上着と白のミニスカートじゃなくて、赤いインナーに黒い上
着と赤いミニスカート……ジャケットの形こそ同じだけど、此のカラーリングは二回戦でインフィニット・ストライクに負けた黒森峰のパンツァージャケット
と同じカラーリングじゃねぇかよ!
此れだけ見ると、黒森峰の敵討ちかと思うんだが……多分それだけじゃ済まねぇだろうな――みほを筆頭に、大洗の連中からは闘気と怒気が入り混
じったスゲェ物を感じるからな……何をしたかは知らねぇが、如何やらアイツ等はみほの逆鱗に触れちまったみたいだ。
御愁傷様だぜマジでな。



「ペパロニさん、みほさんは怒るとそんなに怖いの?」

「怖いなんてもんじゃねぇんだよカルパッチョ。
 みほがガチギレしたその時はな、三幻神も、三邪神も、三幻魔も、挙げ句の果てにはホルアクティまでもが逃げ出すレベルだって言われてんだぜ?
 其れだけで、キレたみほがドンだけヤバいか分かんだろ?」

「みほさんだけは、絶対に怒らせてはなりませんね……」



そう、みほは絶対にキレさせちゃならねぇんだわ。
だけど、インフィニット・ストライク学園は、新参校だけに其れを知らずにみほの逆鱗に触れちまったんだろうなぁ……だが、みほの逆鱗に触れるっての
は、ルール違反をしたって事なんだろうな。
みほは、自分が無茶苦茶な戦術を使うせいか、ルールで許されてる範囲のアウトサイド戦術には寛容だけど、ルールで認められてない違反行為は絶
対に許さねぇからな……中学の時には、アリサの裏技をぶっ壊したし。
まぁ、ルール違反をしてまで勝とうなんてのは、戦車乗りの風上にも置けねぇから、徹底的にやっちまってくれみほ――そして教えてやれ、テメェ等が
一体誰に上等働いちまったのかって事をな!



「そうね、確りと教えてやりなさいみほ……中学の頃、アタシを恐怖に陥れた時以上の事をしてね。」

「ん?いたのかアリサ……鉄板ナポリタン喰う?」

「いただくわ。大盛りでよろしく。で、支払いだけど細かいの無いから諭吉さんでよろしく。釣りは取っときなさい。」



鉄板ナポリタンは大盛りで七百円だから、一万円の支払いで釣りはいらないとなると、九千三百円の儲け……アリサ、今後ともアンツィオの屋台を懇
意にしてくれると助かるぜ。



「バカ言ってんじゃないわよ、毎回こんな事してたらアタシがすっからかんになるっての……其れよりも、始まるみたいよ試合。」

「だな。」

観客席のオーロラヴィジョンにみほと梓、インフィニット・ストライク学園の隊長と副隊長の姿が映し出されてるから、此れから試合開始の宣言と、試合
前の挨拶って所だろうな。
何にしても、負けるなよみほ!アタシ等が応援してるからな!









ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer212
覚悟しろよ、この腐れ外道!です』









Side:みほ


任せておいてペパロニさん!私達は絶対に負けないから!!



「みほ、貴女何言ってるの?ペパロニって……いやまぁ、アイツの事だから今日も屋台出してはいるんでしょうけど、仮にそうだとして、貴女に声援を送
 ったって、此処までは聞こえないわよね?
 試合会場と客席がドレだけ離れてると思ってるのよ?」

「え、普通に聞こえたけど?」

「……嘘よね?」

「マジだけど?」

「……はぁ!?一体どんな聴覚してるのよ貴女!有り得ないわ普通に!耳に収音マイク装着したって、客席の声を此処で聞くって不可能でしょ!?
 貴女は何?十本刀の宇水並の聴覚があるって訳?心眼持ちなの貴女!?」

「ううん、多分誰の声でも聞こえる訳じゃないと思う。私が聞こえたのはペパロニさんの声だったから……多分、私と『禁則事項』しちゃた人の声なら聞
 こえるんじゃないかって思う!」

「大声で堂々と何言ってるのよ貴女は!!……ったくもう。
 取り敢えず、貴女は澤と一緒に試合前の挨拶に行ってきなさい――本当なら、腐れ外道相手に挨拶なんてしたくないでしょうけど、試合前の挨拶は
 やらないとだからね。」



そうなんだよねぇ……戦車道を穢した外道との挨拶なんて真っ平御免だけど、試合前の挨拶をすっぽかす事は出来ないし、そんな事をしたら其れこそ
礼を欠く行為だから、如何に嫌な相手であっても挨拶はしないとだよ。
行くよ、梓ちゃん。



「はい!行きましょう、西住隊長!」



ふふ、良い返事だね。……そして、顔は笑ってるけど、その笑顔の下には凄まじい怒りの炎が燃えてるね梓ちゃんも。……ライバルであり親友である
ツェスカちゃんが汚い策略で蹴落とされたんだから、当然と言えば当然だけどね。
その怒りは、試合で思い切り発散して貰うよ。

さてと、試合前の挨拶の場所、審判団の前まで来たんだけど……インフィニット・ストライク学園の隊長は、眼帯と右腕の包帯に加えて、今度は新たに
カラコン入れて来たよ此れ。
何だろう、強い力を抑える為に眼帯をして、右腕に何かが封印され、眼帯をしてない方の目は新たな力でも宿したのかな?此処まで拗らせると、世界
的な精神科の権威でも治療は出来ないだろうね。

「どうも……この間の贈り物は満足してくれたかな?」

「いやはや、よもやあんな物が送られてくるとはな……だが、アレを見て私は余計に燃えて来たぞ西住みほ……我が謀略を真正面から潰した貴様に
 は、眼帯によって力を抑えている邪眼を解放し、右腕に封印した鬼を解放して挑むしかあるまい!」



酷いね此れは……こんなふざけた奴に黒森峰が謀略で潰されたかと思うと腹立たしくて仕方ないよ。
あのスパイ達は、全身の関節の着脱を繰り返して、全身に脱臼癖を付けてあげたけど、コイツは其れじゃあ済まさない……戦車を見るだけで恐怖する
位の絶対的な敗北を叩き込んでやるから。

「持てる力の全てを出して挑んでくると良い……私の、私達大洗の戦車道が、其れを跡形もなく粉砕するよ!」

「戦車道を穢した報い、受けて貰います!」

「そう来なくては……むむ?西住みほ、貴様も右手に何かを封印しているのか!?」



……は?って、そう言えばこの間ノンアルの瓶を握り砕いて盛大に掌を切っちゃったから、包帯を巻いてたんだっけ……私のは普通に怪我なのに、ま
さか中二仲間と思われるとは。

「此れ、普通に怪我しただけだから。主に貴女が送り込んでくれたスパイのせいで。貴女の中二病と一緒にしないでくれるかな?不愉快だよ。」

「ふ、照れるな。人は誰しも、秘密にしたい力を己に宿しているモノだ……私が宿した力と、お前に宿った力の何方が強いか、勝負だ!」



駄目だコイツ、話が通じない……此れ以上はグダグダになりそうなので、蝶野教官、試合開始の号令をお願いします。



「其れでは、此れより大洗女子学園対インフィニット・ストライク学園の試合を開始する!お互いに、礼!」

「「「「よろしくお願いします!」」」」


試合前の挨拶も終わり、此れで最低限の礼は果たしたから、試合では好きにやらせて貰う――最低最悪のルール違反を犯した外道に、礼を重んじる
戦車道をする必要は無いからね。
私自身が否定した戦車道の暗黒面、其れを貴女達には味わって貰うよ……裏西住流とも言うべき、最強にして最恐の戦車道をね。








――――――








No Side


大洗女子学園vsインフィニット・ストライク学園の試合が始まった訳だが、先ずは例によって両校のオーダーから見て行く事にしよう。


・大洗女子学園

パンターG型×2(アイスブルーカラーリングは隊長車兼フラッグ車)
ティーガーⅠ×1
ティーガーⅡ×1
ポルシェティーガー×1
VK3002BD×1
ARL-44×1
Ⅲ号突撃砲G型×1
ヘッツァー×1
M24チャーフィー×1




・インフィニット・ストライク学園

T-28重戦車×1(フラッグ車)
ティーガーⅠ×3
IS-2×3
シャーマンファイアフライ×3




インフィニット・ストライク学園のオーダーは、一・二回戦と同じだが、大洗は此れまでとは大分異なる編成だ――と言うのも、此れまでの大洗は火力よ
りも機動力を重視した編成だったのだが、今回は大洗が所有する高火力を全てぶち込んで来たのだ。
一番火力の低いチャーフィーですら、軽戦車では破格の75mm砲を搭載してる訳だからね。
尤も火力だけ見るのであればインフィニット・ストライク学園の方が上なのだが……と言うか、此れだけの重火力があるなら、小細工しなくても黒森峰
と渡り合えたんじゃないだろうか?……其れなのにクッソ汚い裏工作するとか、余程自信が無かったのかと言いたくなる。

それはさておき、此の試合のフィールドは凹凸のない平坦な平原の所々に小規模の林が点在していると言う、何方かと言うと正面から力で押して行く
タイプに向いたシンプルなフィールドであり、策を弄するみほには使い辛いフィールドだろう。


「(ふ、この開けたフィールドならば、西住みほもお得意のトリックは使えまい……真正面からの戦いになれば、火力で勝る私達に理がある。
  裏工作は失敗したが、如何やらまだ運は私達にあるみたいだな……地の利を生かして勝利してくれる!)」


インフィニット・ストライク学園の隊長も、そう考え、地の利は自分達にあると思って居るみたいだ……まぁ、地の利程度で勝てるってんなら、みほが軍
神と呼ばれる事なんて無かったんだけどね。
地の利が無くとも、相手の方が強くとも、最終的にそれらの相手に勝ったからこその軍神だって事を忘れてはならない。
何よりも、インフィニット・ストライク学園の戦車隊はみほに、大洗女子学園に対して盛大に喧嘩を売ったと言う事を自覚すべきだろう――尤も、自覚し
ていたら、試合前の挨拶を平然と済ます事など出来ないだろうが。



――ドゴン!


――キュポン!




『インフィニット・ストライク学園、ファイアフライ一号車行動不能!』



そして、其れは突然起こった――進軍していたインフィニット・ストライク学園のシャーマンファイアフライが撃破されてしまったのだ。


「敵襲!?ど、何処だ!?」

「左からです隊長!左方向にⅢ突、ポルシェティーガー、ARL-44を確認!」

「み、右方向にも大洗の戦車を確認!ヘッツァー、ティーガーⅠ、ティーガーⅡです!!」

「し、正面からも来ました!パンター二輌とVK3002DB、其れからチャーフィーです!!」

「ぬぁんだとぅぉぉ!?」


完全な奇襲による先制撃破をされただけでも精神的なダメージが結構大きい物だが、続いて入って来た報告は更に最悪極まりなかった……だって、
インフィニット・ストライク学園の部隊は、大洗の部隊に三方向から囲まれている状況になっているのだから。


「バカな……西住みほは策を弄して戦うタイプだった筈!こうした開けたフィールドでも、真正面から遣り合うよりも、裏技とも言える技巧を凝らして戦っ
 て来た筈なのに、何故真正面から来る!」


此れには中二隊長も混乱してしまう。
高校の全国大会に出るのは初めてであっても、みほの武勇は知っていたし、どんな戦い方を得意としているのかも知っていた……だからこそ、『開け
たフィールドならばトリックが使い辛いので此方に地の利がある』と考えたのだ。
にも拘らず、みほは、大洗は策を弄さずに包囲からの打ち合いを仕掛けて来たのだから驚くのも無理はないだろう――だが、みほ自身は多種多様な
策を使ってトリッキーな戦術を繰り出すのが得意ではあるが、彼女もまた『西住』である事を忘れてはならない。
あまり使う事が無いから忘れられがちだが、みほだってやろうと思えば正面からの力押しで相手を制圧する、『力の戦車道』の象徴である『西住流』を
使う事が出来るのだ。
ただ、西住流をやるには強力な火力が必要になるので、火力不足だった明光大付属中や、去年の大洗女子学園では使わなかっただけの事で、火力
が充実した今年の大洗ならば西住流は可能なのだ――今回、火力重視の編成にしたのは此の為だった訳だ。


「「…………」」


そんな大洗の隊長・副隊長コンビは、パンツァージャケットの上着を肩に引っ掛けた『軍神モード』でキューポラの上に仁王立ち……所謂『軍神立ち』を
してインフィニット・ストライク学園の部隊を睨みつけている。
みほは右手を腰に当て、梓は腕組しているのが何とも様になっている――のだが、この軍神師弟がタダの軍神立ちで終わる訳がない。


「乙女の血潮が滾る戦車を、穢す輩に容赦なし!」

「外道に外法をブチ当てて、粉砕!玉砕!!大喝采!!!」

「今宵は祭りだ、血祭だ!」

「フラッグ戦など、知らぬ存ぜぬ、興味なし!」

「「一切合切遠慮は要らぬ!一匹残らず喰い殺せ!!」」


――轟!!


『我こそ、拳を極めし者……!』

『勝利など容易い!!』



其処から啖呵を切ると同時に軍神招来!!……って、今回は師弟揃ってなんか変なモン憑依させてるみたいだな?神・豪鬼とゴッド・ルガールって、
其れもう英霊ですらないわ。強いけどね?
まぁ、其れは其れとして、『一匹残らず喰い殺せ』なんて命令を下されたら大洗の部隊はどうなるか?


「其れを待ってたわみほ……ぐぅ、はぁ、はぁ……ウオォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」

「西住隊長、その命令を待っていたぞ!」

「戦車道を穢した外道に、情け容赦は必要ないわね!」

「覚悟して貰いますよ、インフィニット・ストライク学園!!」


そんなもん、やる気満々になるに決まってる……エリカに至っては、野生解放の暴走状態になってるからね――口から煙が出てるけど大丈夫か此の
子?暴走は計画的にね。
元々大洗の面子はノリが良く、一度波に乗るとその勢いのまま一気に戦局を押し切る事が出来たのだが、其れとは別に全員が潜在的に好戦的な部
分があるらしく、基本的に『喧嘩上等』なのだ。……茨城県民、割と喧嘩っ早いし。
なので、『一匹残さず喰い殺せ』なんて言われたら、そりゃやる気にもなるってもんだ。

だから、其処からは一方的な展開だった。
大洗は戦術も何もなく、インフィニット・ストライク学園を攻め立て、反撃の暇も与えずに次から次へと撃破して行く――本来なら、フラッグ車だけを撃破
すればいい試合で、大洗はフラッグ車以外の戦車も容赦なく撃破しているのだ。


「裏西住流、存分に味わって貰うよ!」

「戦車道の暗黒面、其れをその身で知って下さい!」


その戦い方は、去年みほが其の手で否定した、嘗てのかほが推奨していた西住流其の物――敵は徹底的に殲滅せよと言う戦い方だった。
みほは、今でもそんな戦車道は間違ってると考えているが、しかし戦車道を穢した外道を叩き潰すには最も適した一手であると思っていた――外道に
は外法を……戦車道を穢した外道には、戦車道での外法をぶつけて潰すべきだとみほは判断したのだ。軍神からクラスチェンジした鬼神は恐ろしい。

そして、十分が経った頃には、インフィニット・ストライク学園の残存車輌はフラッグ車だけになっていた。
其れに対し、大洗は多少は攻撃を喰らったものの撃破された車両は無く、十輌全てが健在と言う絶望的状況だ……現にインフィニット・ストライク学園
の隊長の顔は真っ青になっているのだから。
如何にフラッグ戦とはいえ、此処からの逆転など不可能なのだから――そして同時に、インフィニット・ストライク学園の隊長は、此処に来て漸くみほの
真の恐ろしさに気付いたのだだった。


「戦車道を穢す卑怯な行為をした報いを、今受けて貰うよ?」

「ツェスカの仇……思い知れ!!」

「ちょ、ま……降さn…………」


インフィニット・ストライク学園の隊長が全部言う前に、大洗の戦車から全包囲からの一斉砲撃を喰らい、その言葉は爆音に掻き消されてしまった。
でもって、T-28重戦車は全身の装甲がメッチャ厚いので簡単に抜く事は出来ないが、ありとあらゆる方向からひっきりなしに攻撃されてはその限りで
はない。
残ったフラッグ車に対してのいじめとも取れる攻撃は、しかし白旗が上がるまで終わる事はなく、隊長車であるT-28重戦車の乗組員は、ただ一方的に
攻撃される恐怖に晒されていた。
特殊なカーボンのおかげで死ぬ事は無いとは言え、反撃する事も許されず、一方的に攻撃される事態が続けば恐怖もするさ……幾ら死なないとは言
え、竹刀で長時間ぶっ叩かれたら恐怖するだろ?其れと同じさ。


「此れで……」

「終わりだ!」


そんな一方的な攻撃を受けて装甲がボッコボコになったT-28重戦車に向け、みほと梓はトドメとなるであろう一撃を叩き込む!
重戦車の主砲には劣るものの、パンターに搭載された超長砲身の75mmは破壊力抜群の戦車砲であり、破損したT-28重戦車の装甲を抜く事位は朝
飯前なのだ。
なので、アイスブルーとパールホワイトの豹から放たれた鋼鉄の牙は、T-28重戦車に深々と突き刺さり、遂に特殊なカーボンを貫通して白旗判定!



『インフィニット・ストライク学園、フラッグ車、行動不能!大洗女子学園の勝利です!!』



「私達の、勝ちだ!」

「アンタじゃ燃えねぇな。」


此れにてゲームセット!
腐れ外道を見事に成敗したした試合だったが、試合後にインフィニット・ストライク学園の隊長は、綺麗な銀髪が艶のない白髪になり『大洗怖い』と繰り
返すようになってしまったらしい。……まぁキレたみほはマジで怖いからね。



「ガァッデェェム!良いぞみぽりん!外道相手に容赦はねぇ!此れで満足だ!」

「喧嘩売る相手間違えたなオイ?ま、精々無知なテメェ等自身を恨むんだな……大洗に上等かました時点で、テメェ等は負けてたんだ。」


でもって、客席では毎度同じの黒のカリスマ率いる一団が絶好調だった。
そしてこの試合は、『西住みほは華麗でトリッキーな戦車道が得意だが、相手を一方的に塵殺する喧嘩殺法的戦車でも鬼の様に強い』と言う事をキッ
チリと見せつける結果になり、同時にライバル校達に『みほ流』か『裏西住流』の二択を迫る事が可能になった試合だったとも言えるだろう。








――――――








Side:みほ


インフィニット・ストライク学園にはパーフェクト勝ちしたから、仇は取ったよ理子さん。――其れで、首尾は如何かなペコさん?



『上々ですみほ様。
 GI6も苦労しましたが、インフィニット・ストライク学園の不正の証拠をバッチリ押さえましたので、此れがあればもう言い逃れは出来ません。
 戦車道を穢した外道は、永遠に戦車道の世界から消えて頂きましょう。』


「うん、そうだね。」

試合とは別に、ペコさんにインフィニット・ストライク学園の調査をお願いしておいたのは正解だったね――聖グロの諜報部『GI6』の諜報能力は高校戦
車道界隈では右に出る者は居ないって言わてるからね。
そうしたら、黒森峰戦だけでなく、一回戦も不正をして勝った事が明らかになったから、それらのデータを纏めて戦車道連盟に提出して、その結果、イ
ンフィニット・ストライク学園は全国大会及び無限軌道杯への無期限出場停止が言い渡され、事実上の戦車道からの追放が決定した。――可成り厳
しい決定だとは思うけど、此れも因果応報だよ。



「そうですね、戦車道を穢した輩に容赦はない、徹底的に叩き潰せですよね西住隊長?」

「うん、戦車道を穢した輩は滅殺だよ。」

去年の大学選抜戦の後でも、カールを許可し、十対三十って言う理不尽な殲滅戦を提案して来た白神とか言う腐れ外道は最終的にお母さんと千代お
ば様のツープラトンで撃破された訳だからね。

まぁ、取り敢えず此れで三回戦は突破して、でもってその勢いのまま準決勝も突破しちゃった……三回戦でマジノを倒した新参校との試合だったけど
其処は戦車道の年季の違いを持ってして圧倒した。
マジノが勝てなかったのは、戦車の性能差だろうね……フランス戦車とアメリカ戦車じゃ、アメリカ戦車の方が性能が上だからね。

だから残るは決勝戦なんだけど……決勝戦の相手は、まさかの大穴だった――きっと、誰も予想してなかったんじゃないかな?アンツィオが決勝戦に
駒を進めて来るなんて事はね。










 To Be Continued… 





キャラクター補足