Side:梓


西住隊長と一緒に考えたフラッグ車の偽装工作作戦……これ自体はきっと巧く行くって信じてる――こう言ったら失礼だけど、知波単の人達は良くも
悪くも真っすぐだから、こう言った偽装工作には騙されやすいし、何方が本物かで悩む筈だから。
それでも西さんだったら、動物的な勘でどっちを追うのか決めると思うけど、本物のフラッグ車に当たる確率は半分……つまり、西住隊長と戦う確率も
半分。
そして言ったらなんだけど、西住隊長が西さんと戦った場合の勝率は100%だから、西さんの勘による選択は結構ギャンブルかも。



「西隊長じゃ西住隊長には勝てないって事?」

「あゆみ、逆に聞くけど西住隊長に勝てる人ってドレだけ居ると思う?」

「……そう言われると、いねーわ。
 黒森峰の隊長だったまほお姉ちゃんを倒した上に、大学選抜までぶっ倒した西住隊長に勝てる人なんて世界中を探したってザラに居ないっしょ?」

「うん、早々居ないと思うよ。」

恐らく唯一対抗出来るのは逸見先輩だと思う……中学二年から続く西住隊長の不敗伝説の中で、唯一の引き分けが、中三の時の大会の決勝戦で
の逸見先輩だったから。



「こうしてみると西住隊長、マジハンパねぇ~~……まぁ、西さんが西住隊長の方に行っちゃったら略試合終了だけど、こっちに来たらどうするの?」

「如何するって、其れは勿論倒すに決まってるよ。
 ……って言うか、私達が撃破されたら、フラッグ車に選んでくれた西住隊長の顔に泥を塗る事になるから絶対に負ける事なんて出来ないしね!!」

それと、もっと自分勝手な事を言わせて貰うなら、私が西さんを倒してこの試合を決めたい。
西住隊長の弟子である私だけど、何時までも師匠の陰に隠れている事は出来ないし、来年は私が隊長になるんだから、少しは存在感を示したいって
言うのもあるから。
と言うか、私の事を『軍神の弟子』としか見てない人達に、『澤梓』って言う戦車乗りを確りと刻み付けてやりたいって気持ちもあるしね。
西住隊長の一番弟子である事は私の誇りだけれど、だけど其れだけじゃないって言う事を、この試合で証明して見せる、絶対に!!









ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer209
次代の軍神vs突撃のヴァルキリーです』









No Side


エリカの挑発と、其れに便乗したエミの挑発波状攻撃、『挑発伝説』を受けた知波単のゲリラ部隊は倒されたモノの、エリカのティーガーⅡとエミのティ
ーガーⅠの履帯を切って一時的に行動不能にする功績を上げた。
高性能な重戦車であるティーガーⅠとティーガーⅡだが、重戦車故に履帯は重く、一度切られると修理するのは可成りの重労働なのだ……それでも
旧レオポンチームだったら瞬く間に直してしまうのかも知れないが。
両チームとも一進一退の攻防の中、先にフラッグ車を発見したのは知波単だったのだが、何と此処で大洗のフラッグ車が分裂!
此れには絹代も驚かされたが、『どちらが本物か分からないのであれば両方倒せば良い!』と考えて隊員に指示を出し、自身は玉田が発見した方の
フラッグ車へとやって来ていた。


「フラッグ車の護衛はⅣ号F2が二輌……うぅむ、此れだけ見ると此方は偽物の可能性が高い――西住隊長が自身の護衛に強力な戦車を使うとは思
 えんからな。
 寧ろ、強力な戦力は敵フラッグ車に向かわせるだろう。」


だが、フラッグ車の護衛がⅣ号F2二輌と言うのが絹代に『こっちは外れだったか?』と思わせていた。
Ⅳ号F2は優秀な中戦車ではあるが、だからと言って特別強力と言う訳ではない……ドイツ戦車の性能で言えば、Ⅲ号J型にモッサリと毛が生えた位
の性能と言うのが正直なところなのだが、其れを自身の護衛にしていると言うのがいかにも『みほらしさ』を感じさせたのだ。
みほの戦車道は、戦車道のセオリーなんて物は全く通じない――それこそ、フラッグ戦ではフラッグ車の護衛には攻守力が高い戦車を付けるのが普
通なのだが、みほならば強力な戦車を護衛に回すよりも、敵フラッグ車を狩るために回す位の事はするだろうと絹代は考えたのだ。


「細見、そちらのフラッグ車の護衛は?」

『此方のフラッグ車の護衛はヘッツァーとコメットよ隊長。』

「ヘッツァーとコメット……うぅむ、ますます分からん!何方の護衛も西住隊長らしいと言えばらしいからなぁ?」


其れを確実な物とする為に、もう一輌のフラッグ車を発見した細見に護衛の戦車の種類を聞くが、その回答はヘッツァーとコメットだった……ヘッツァ
ーは低い車体と強力な主砲が持ち味の戦車だが、以前の乗組員は全員が三年生だったため、今は今年入った新人達が乗っているから練度は低く、
新カモチームのコメットも、搭乗員の半分が新人である事を考えると、決して強力な護衛とは言えないだろう……フラッグ車の護衛まで徹底して似通
った戦力であった事で、何方のパンターが梓の指揮する本物のフラッグ車であるのか余計に分からなくなり、絹代は大いに悩む事になった。
さて、なんで知波単が大洗の戦車事情を知ってるのか気になったかも知れないが、絹代は試合前に大洗に偵察を出して情報収集を行っていたので
ある――其れは知波単らしくないって?
そう思うだろうが、旧日本軍の斥候の能力は高く、結構敵国の重要機密なんかを持ち帰ってたらしいのよ――だけど、其れを活かす事が出来なくて
日本は戦争に負けたのさ……尤も、資金が潤沢にあればそれを十全に活かして日本は大国アメリカを下してたかも知れない。
要するに、日本は戦争に負けたんじゃなくて貧乏に負けたのさ!……おのれ貧乏神め、滅殺してくれるわ!

……っと脱線したが、絹代は大洗の現状を知っているからこそ更に迷う結果になったのだ。
護衛だけでは何方が本物かを判別する事が出来ないのだから……だからと言って、このまま何方が本物かで悩んでいる訳にも行かない――なので
絹代は、此処で決断した。


「玉田、細見、撃破する必要は無いから一発だけ当てろ!それで、何方が本物のフラッグ車か分かるはずだ!」


絹代の決断は、『撃破しなくていいからとにかく一発当てろ』と言うモノ。
撃破できなくとも一発当てれば、偽物のフラッグ車は表面のパールホワイトが剥がれて、中からアイスブルーが姿を現すだろうと考えたのだ……確か
に、此れは悪い手ではない。
撃破は出来なくとも、何方が本物のフラッグ車なのかが分かれば、偽のフラッグ車の方に居る部隊にはそちらの足止めをさせ、残存戦力の全てを本
物のフラッグ車に向かわせる事が出来るのだから。


「了解!」

『了解!!』


その命を受けた玉田と細見は、主砲を発射!
物陰からの不意打ちの一発は、如何に隻腕の軍神と軍神を継ぐ者であるとは言え回避は不能だ……全く予期してなかった攻撃を避けろってのが大
分無茶振りだからね。



――カキーン!!



でもって、その攻撃は見事にヒットしたのだが、パンター自慢の傾斜装甲に弾かれてしまいダメージは0!
だが、ダメージは0でも……



――カラーン



細見が攻撃した方のパンターからは何かが剥がれ落ちた……其れは、白く塗られた厚さ2mmほどの鉄板――そして其れが剥がれ落ちた所からはア
イスブルーの装甲が!
細見が発見したフラッグ車の方が偽物だったと言う事だ。
みほは、自身のパンターを厚さ2mmのパールホワイトカラーリングが施された鉄板で覆っていたのだ。
其れで覆うのは結構な重労働に思うだろうが、梓と共にこの作戦を考えた直後に、みほは大洗の板金加工会社に依頼して、『ワンタッチで着脱出来
る外装』を特注していたのだ。
ワンタッチとは言え、大きな鉄板だから楽ではないのだが、其処はウサギチームとの共同作業で即終わらせる事が出来た。
此れが段ボールとかでの偽装だったら速攻でばれたかも知れないが、装甲と同じ金属で作られた鎧装であった上に、2mm程度の厚みの増加は、試
合中は分かり辛いので、完全に偽フラッグ車になれたのだ。


『此方は偽物です!』

「なんと!……と言う事は……!」

「そうですよ西さん……こっちが本物のフラッグ車です!」


何方が本物のフラッグ車かが判明すると同時に、梓はキューポラの蓋を開けて上半身を出す――だけじゃなく、キューポラの縁に右足を乗っけて腕組
をして登場!
尚、普通ならスカートの中が見えそうだが、其処は絶対領域の暗黒空間なので絶対に見えぬぁい!乙女のスカートは鉄壁のガード力を誇るので、走
行中の戦車の上であっても、風になびく事はあっても翻る事だけは絶対に無いのだ!


「澤、梓殿……!」

「貴女の相手は西住隊長じゃなくて私です……フラッグ車同士の戦車戦、楽しみましょう!」

「いやはやそう来ましたか……ですが、其れは私も望むところですので、存分に楽しみましょう!――軍神を継ぐ者と言われている澤殿の力、存分に
 見せて頂きます!」

「其れじゃあ、ゲップが出るほどご馳走してあげますよ。」


でもって、梓と絹代は戦車戦を開始!
数の上では三対四と大きな差はない。
戦車の性能では大洗に分があるが、知波単にはゲリラ戦と突撃があるから油断は出来ない――実際に今も、ヒット&アウェイで、ちょくちょくとダメージ
を与えているのだから。
だからと言って、其れが決定打にはならないだろう。……日本戦車がドイツ戦車を倒すには、可成り接近しての一撃を最も装甲の薄い場所に当てな
い限り、ほぼ不可能なのだから。








――――――








その頃、細見によって偽フラッグ車である事を暴かれたみほはと言うと……


「滅殺……!」

「つ、強い……此れが隻腕の軍神……!」


細見達の部隊を全滅させてた……流石に無傷とは行かず、まだ経験の浅い新カメチームと新人が新たに加わったカモチームは撃破されてしまったモ
ノの此れで残存車輌数は大洗が八なのに対して知波単は四と大分有利になっただろう。
尤も、フラッグ戦はフラッグ車を撃破した方の勝ちであり、残存車輌数はあまり関係ない事は、去年大洗が証明しているが。
何にしても細見の部隊を壊滅させたのならば、梓の加勢に行けるだろう。


「さて、私が倒す分は倒したから、此処からは梓ちゃんがキッチリと決着を付けてね。」


だが、みほは敢えて其れをせずに、あくまでも梓に決着を付けさせる心算で居るらしい……此れもまた、来年を見越しての事なのだろう。
みほは当然、自分の後任に梓を指名する心算だが、隊長になれば大会でフラッグ車を担当する機会は多くなり、必然的にフラッグ車同士の戦いも多
くなってくるから、今年の内にその経験を積ませようと言う事なのだろう。


「みぽりん、私達は梓ちゃんの方に行かないの?」

「ギリギリまでは、ね。
 師匠としては、弟子がどうやって西さんを攻略するのかを見たい所だし、次期隊長のお披露目って言うのもやっておきたい気分なんだよ沙織さん。」

「其れは何となく分かるが、澤は大丈夫なのか西住さん?」

「麻子さん、梓ちゃんの師匠は私だよ?」

「……物凄く説得力があるな其れは。」


ホント、謎の説得力がありますねぇ此れは。
梓の師匠はみほ、其れだけで何かもう色々と納得しちゃう部分があるわ……この試合の会場が市街地だったら、梓は師匠譲りのトンでも攻撃を連発
してるだろうからね。


「『軍神を継ぐ者』と『突撃のヴァルキリー』……話題性は十分だね。」


みほは不敵な笑みを浮かべてそう呟くと、キューポラから出て砲塔に腰掛けて空を仰ぎ見ると右腕を高く掲げて拳を握る……其れはまるで、勝利した
時のガッツポーズの様だった。








――――――








さて、梓と絹代の方はと言うと……


「く、F2が二輌とも……!」

「護衛は倒した!これより本丸を狙うぞ!」

「了解!!」


フラッグ車の護衛に就いていたⅣ号F2が二輌とも撃破され、フラッグ車単体の状況に梓は追い込まれていた……『このまま戦っても不利だ』と感じた
絹代は、まず護衛であるⅣ号F2を処理する事にしたのだ。
もしもパンターの護衛に就いていたのがチャーフィーとⅢ突だったらこうはならなかったかも知れないが、矢張り新人だらけのⅣ号F2では経験の差が
出てしまい、僅かな隙を突かれて撃破されてしまったのだ。
そんな訳で、状況は一対四と可成り不利なのだが、だからと言って梓に焦りはなかった。
確かに今の状況は不利極まりないだろうが、みほと共に考えたフラッグ車の偽装作戦が発動したその時から既に『バレた時の仕込み』は済んでいる
のだから。
Ⅳ号F2が撃破された事に苦い表情を浮かべたのだって勿論演技だ……こう言う細かい小技も、確りとみほから盗んでるんだから大したモンだわマジ
でね。


「覚悟めされよ梓殿!いざ、突撃!!」

「突撃……今、突撃って言いましたね?」


此処で絹代は試合を決めるべく知波単必殺の突撃を敢行するが、『突撃』の命令を聞いた梓は、口元にニヒルな笑みを浮かべ絹代を見やる……まる
で、『其れを待っていた』と言わんばかりに。


「其れを待っていたんです!
 トラップ発動、『掟破りの逆必殺技』!!出番ですよ、赤星先輩、エルヴィン先輩!!」

「待ちくたびれましたよ澤さん!」

「待ちくたびれて首が長くなってろくろ首になる寸前だったぞ。」


その梓が叫んだ次の瞬間、雑木林から飛び出して来たのは小梅率いるオオワシチームとエルヴィン率いるカバチームだ――そう、此れこそが偽装作
戦がバレた時の為の仕込みだ。
梓側に、挑発部隊のティーガーⅠとティーガーⅡ、偽装工作用のみほの部隊以外の残存戦力を集中させておき、其の内チャーフィーとⅢ突を雑木林
に隠して居たのだ、ゲリラ戦の戦力として。


「な、ゲリラ戦だと!?」

「ご自分の得意技を使われるのはどんな気分ですか西さん?」


其れをやられた絹代からしたら何とも言えない気分だろう……自分達が新たな戦術として取り入れたゲリラ戦を逆に仕掛けられたのだから。
だが、それ以上に此処までの仕込みがされている事に絹代は驚いていた……自軍のゲリラ戦部隊を挑発で釣り上げた上で撃破し、続いてフラッグ車
の偽装を行い、其れがバレて護衛を撃破して追い詰めたと思ったらゲリラ戦からの加勢と、一体何手先まで読んでいたと言うのだろうかと。


「正直に驚きましたよ梓殿……流石は西住隊長の弟子――と言うのは、失礼でありますな?……西住殿の弟子であるのは変えようのない事実では
 ありますが、この試合は梓殿の戦車道を感じましたので。
 『軍神を継ぐ者』ではなく、『白豹の貴公子』でありますな。」

「白豹の貴公子……良いですね西さん、其の異名気に入りました。」


其処からは激しい戦車戦が展開される。
火力の低い日本戦車では、パンター、Ⅲ突、チャーフィーに対して決定打を与える事は出来ないが、知波単もまた驚異の回避能力を駆使して直撃を
避けている……一回戦の第一試合から、熱の入った好勝負が展開されていると言えるだろう。

そんな好勝負が展開されてるとなれば……


「いい勝負してるじゃねぇか澤ちゃんも、西ちゃんもよぉ?……こんな試合を見せられて燃えるなってのが嘘だろ!!
 オラァ、気合い入れろテメェ等!澤ちゃんにオレ達の気合いを全部届けんぞ!!声出せ正洋ぉ!!!」

「グァッデーム!アーイム、チョーノ!有象無象、蹴散らすぜ、大洗だけ見てりゃいいんだオラァ!」


この人達が黙ってる筈がない!
嘗ての『大洗の荒熊』と化した好子さん率いるアウトロー感全開の『大洗総合応援団』の応援にも熱が入るってもんさ!――その熱量は、熱狂的な阪
神タイガースのファンにだって負けない!
阪神ファンが道頓堀にダイブするなら、大洗ファンは那珂川にダイブするぜ!

其れは兎も角、フラッグ車同士の戦いは拮抗していたのだが……


「面白そうな事になってるじゃない?私達も混ぜてくれないかしら澤?」

「こんな面白そうな事に参加するなとは言わないわよね?」

「逸見先輩、中須賀さん!」


此処でエリカとエミが参戦!
ティーガーⅠとティーガーⅡの履帯は重いので修復に時間が掛かったが、無事に修理を終えてこの戦場に馳せ参じたのだ――尚、梓がエミを『中須
賀さん』と呼ぶのは、年上ではあるが大洗の『先輩』ではないからである。
何にしても、此処で最強の虎と虎の王の参戦は梓にとって大きなアドバンテージだろう。
数の上で有利になっただけなく、大洗の火力トップ3の内の二輌が来てくれたのだから――同時に其れは、絹代にとっての死刑宣告に他ならないだ
ろう……此の状況で最強クラスの重戦車が二輌も参戦して来たと言うのは最悪な事態でしかないのだから。


「チェックメイトです西さん。」

「梓殿……!」


そして、激しい戦闘の末に梓のパンターに肉薄され、横っ腹に砲身を突き付けられた絹代は、其処で己の敗北を知った……こうなってしまっては、如
何足掻いても、撃破は免れないのだから。


「あゆみ、撃って!」

「あいさー!ってね!」


略ゼロ距離から放たれた、パンターの超長砲身75mmは、いとも簡単に絹代の九七式中戦車の装甲をぶち抜き、更に車体を大きく吹っ飛ばす!
そうなれば当然……


――キュポン!


『知波単学園、フラッグ車行動不能!大洗女子学園の、勝利です!』


フラッグ車は撃破判定となり、試合終了!


「いぃやったーーーー!!!」


そして、『大洗勝利』のアナウンスを聞いた梓は、右の拳を天に向かって突き出すガッツポーズ!――奇しくもそれは、みほが行った『未来へのガッツ
ポーズ』と同じだった。
やっぱり師匠と弟子は似るのかも知れないね。
でもって、負けはしたものの絹代の顔に悔しさは無かった……負けたが己の全力を出したから悔しさよりも、充実感が勝ってたのだろう。

その後の試合後の挨拶では、梓と絹代が握手を交わして本当の試合終了となったのだが、この時の写真が週刊戦車道の『第六十四回戦車道高校
生大会特集』のトップを飾る事になるとは思ってなかっただろう。








――――――








Side:みほ


私達が一回戦を突破してから一週間が経ち、一回戦は此れで全試合が終わった訳だね――黒森峰、サンダース、聖グロ、プラウダが一回戦を突破
したのは当然として、アンツィオとマジノも一回戦突破だね。
逆に継続とBC自由は一回戦敗退か……まぁ、此れは仕方ないかな?継続はミカさんが隊長だからもってた部分があるし、BC自由のマリーさんは詰
めが甘い部分があるからね。
だけど、それ以上に驚いたのが『私立インフィニット・ストライカー学園』が一回戦を突破した事だよ……口先だけだと思ったら、其れなりの実力はあっ
たみたいだね。
ただ気になるのは、あの隊長、喫茶店で会った時にはしてなかったけど、今日は右腕に包帯を巻いてるね?怪我でもしたのかな?



「怪我じゃないですよ西住隊長……彼女は、右腕に何か宿してしまったんです。――きっと炎殺黒龍波を。」

「其れは、大分拗らせちゃってるね。」

まさかの中二病か……其れは兎も角として、二回戦の相手は理子さん率いる黒森峰だから、残念だけど其処で貴女の大会はお終いだよ――理子さ
んは、今や近坂先輩に匹敵する戦車乗りになってるからね。
喫茶店では大口を叩いてくれたけど、貴女では王道を越える事は出来ないよ……精々足掻くと良いよ、嘗ての絶対王者を相手に回してね。










 To Be Continued… 





キャラクター補足