Side:みほ


新学期が始まって五日間が経った訳だけど、この期間に退部者が居なかった言うのは喜ばしい事だよ――あのハードなトレーニングを体験したら大
抵の場合、其処で心がポッキリ逝って戦車道そのものを辞めちゃう子も居るからね。
だからこそ、全員が残ってくれた事に驚くと同時に、今年の一年生は生半可な気持ちで戦車道を選んだのではないんじゃないかって確信した――だ
ったら、徹底的に鍛える以外の選択肢は存在しないよ!



「鉄は熱い内に打て、ですね?」

「その通りだよ華さん。」

鉄は熱い内に打って鍛えて、より強い鋼になる事が出来るんだから……そして、熱い内に打つの最終段階が、明後日の聖グロとの練習試合だよ!
隊長車と副隊長車以外は、全員明光大付属出身者以外の子達――にする予定だったんだけど、エミちゃんとの連携も実戦で試したい所だから、エミ
ちゃんのチームも追加だね。
尤も、エミちゃんのチームは車長のエミちゃん以外は一年生で、しかも明光大付属出身じゃない子達で構成されてる上に、戦車道は全くやった事ない
子達まで居るから、条件は他のチームとあんまり変わらないんだけど。

さてと、其れじゃあ麻子さん回避行動はお終いにしようか?ジャスト十分経ったからね。



「おうよ。此処からは攻撃にだな。
 で、何かリクエストは有るか西住さん?私に出来る事なら遠慮せずに言ってくれ。」

「そうだなぁ……出来るだけ皆が吃驚する様な走りを見せてくれるかな?」

「みぽりん、其れザックリしすぎ。」

「分かった、任せろ。」

「って、今ので分かるの麻子!?」

「逆に聞くが、何で分からないんだ沙織?」

「いや、今ので分かれって言うのがそもそも無理だと思うから!あんなザックリとした要求で分かれとか、長年連れ添った夫婦だって無理だよぉ!?
 って、そうなるとみぽりんと麻子の関係は長年連れ添った夫婦よりも深い関係だって言う事なの!?」



其れは、違うと思うよ沙織さん。
私と麻子さんは、戦車道に於ける車長と操縦士の関係の究極形に近い物なんだよ――車長からの細かい指示がなくとも、最低限の指示で車長の意
を理解して戦車を操縦するって言うね。
今のところ、私とそれが出来る操縦士はローズヒップさんと麻子さんだけ……しかもローズヒップさんとは中学時代三年間一緒だったから出来た事を、
麻子さんは半年足らずでやってくれた訳だから驚きだよ。
何よりも麻子さんは、常に冷静でいてくれるから私としても指示を出しやすいしね――そんな麻子さんが操るパンターから逃げきる事が出来るかな?
大洗最強のあんこうチームの実力、その身で味わって貰うよ。









ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer203
いざ、聖グロとの練習試合です!』









「ヤバい、十分経った!」

「げ、其れって隊長が攻撃を始めるって事だよね!?」



さて、今何をやってるかと言うと、校内紅白戦――なんだけど、普通の紅白戦じゃなく、白組は今年入った一年生全員vs紅組はあんこうチームの超変
則マッチだよ。
新入部員は五十人だから、相手チームの数は十輌以上……ぶっちゃけ、あんこうチーム以外の戦車が略敵になってる状態――普通なら、その数の
差であっと言う間にボコられてる所かも知れないね。ボコは好きだけどボコられるのは好きじゃないよ。
しかも、試合開始から十分間はあんこうチームは攻撃しないって言う縛りまで付けたからね……一年生の方からしたら、舐められてると思うかも知れ
ないけど、明光大付属出身の子達は、そのハンデに納得してたみたいだよ。

此の十分間はあんこうチームを一方的に攻撃出来る代わりに、無暗に攻撃してるだけじゃ砲弾の残数を無駄に消費するだけになる……つまり、確実
に倒す為の連携を取らなくてはならない。
麻子さんの操縦技術が有れば攻撃を避ける事は雑作もないから出来るハンデだけど、だからこそ生半可な攻撃は掠りもしない――そうなれば、自然
と連携を取るようになるんだけど、上手く連携を取る為には冷静さも持ち合わせてないと無理。
ドレだけ攻撃しても其れが悉く躱されれば焦りも生まれるからね……明光大付属出身の子や、戦車道経験者の子は何とか冷静さを保つ事が出来て
たみたいだけど、未経験者の子はやっぱり焦りが出たね。
そして、その焦りはあんこうチームが攻勢に出た事で更に大きくなる……故に、撃破するのは容易い。



「んな、スラローム走行!?戦車であんな事出来るの!?」

「自衛隊の10式なら出来るけど、パンターでやるとか……そう言えば、去年の決勝戦でドリフトしてたぁ!!」



うーん、履帯が切れる戦車ドリフトじゃなくて、スラローム走行をやってくれるとは、流石麻子さんは分かってるね……此の過激な動きで判断力が鈍っ
た相手は的でしかない。
華さんの正確な砲撃と、優花里さんの高速装填によって次々と一年生達を撃破し、攻勢に出てから僅か五分で白組は残り五輌となり、其処から三分
で白組は全滅――此れが、戦車道の一流クラスの実力だよ、分かったかな?



「「「「「「「「「「軍神マジパネェ……」」」」」」」」」」

「文字通り、隻腕の軍神の恐ろしさを身を持って味わったみたいね……だけど、今のはあくまでも校内紅白戦だから、みほの真骨頂を味わったとは言
 えないわ。
 貴女の本領は市街地戦ですもの……市街地で紅白戦やった方が良かったんじゃない?」

「其れは私も考えたんだけど、校内の紅白戦じゃ連盟の補償もないから、私の十八番は使えないでしょ?――まぁ、大洗のスポンサーである島田家
 に頼めば何とかなるかもだけど、あんまり島田の小母様を頼るのも如何かと思うからね。」

「成程ね……だけど、此の紅白戦は良かったと思うわよ?
 貴女と言う、高校戦車道の頂点に居る存在と戦った経験があれば、この先何処が相手だろうと恐れる事はないでしょうからね――って言うか、この
 紅白戦の真の目的は其れだったんでしょ?」

「あはは、正解だよエリカさん。」

去年も強敵揃いだったけど、無限軌道杯から出場校が増えた事で、今年の全国大会は去年以上の群雄割拠状態になるだろうからね――無限軌道
杯の決勝で私と互角にやり合った理子さん率いる黒森峰、アンチョビさんが直々に隊長に指名したペパロニさん率いるアンツィオ、元々切れる頭脳を
もったアリサさんが隊長になったサンダース、突撃馬鹿を卒業して突撃を切り札にした西さんの知波単、改革半ばながら着実に伝統の上に新しいモノ
を積んでいるエクレールさんのマジノ、カチューシャさんが築いたものを継承し、更に昇華させようといてるクラーラさん率いるプラウダに加えて、未だに
実力が未知数の新参校もいるからね。
全国大会では、どんな強者に当たるとも限らないから、ここらで戦車道の一流がどれ程なのかを肌で知って貰う必要があったんだよ――自分が最強
だって己惚れる気はないけど、其れでも私が高校戦車道で全国で五本指に入る隊長だって言う自信はあるからね。
そんな私との戦いを経験すれば、誰が相手でも恐れる事はないと思うから……そして、そうなれば明後日の練習試合でも緊張する事はなくなるから
ね。



「まさか、二十分も立たずに全滅だなんて……西住隊長は噂以上だった。」

「あはは……マジで凄いだろ西住隊長は――だけど、アレでマダマダ本気は出してないんだよ?西住隊長が本気になったら、十分が経過してから三
 分で私等全滅してっからね。」

「カップラーメン一個分の調理時間とか、本気でハンパねぇわ!!」

「其れが西住隊長だからな。」



あはは、なんか言われ放題だけど、そう思ってくれたのなら此の紅白戦をやった甲斐はあるかな?こんな事を言ったらアレだけど、私以上に打っ飛ん
だ事をやる戦車乗りは多分居ないだろうから、私との戦いを経験すれば大概の戦術には驚かなくなるからね。
其れじゃあ、今日は此処まで!お疲れ様でした!!



「「「「「「「「「「ありがとうございました!!」」」」」」」」」」



これで今日の練習は終わりなんだけど、梓ちゃんはこの後ちょと付き合ってくれるかな?明後日の練習試合の作戦とかを打合せしたいから。



「はい、分かりました。」

「そう言う訳だから、今日は先に晩御飯済ませちゃってねエリカさん、小梅さん、エミちゃん……私と梓ちゃんの作戦会議は、何時終わるか分からない
 から。」

「あゆみ達もそうしてくれるかな?下手したら帰りは午前様かもしれないからね。」

「はぁ……まぁ、貴女と澤が作戦会議をすればそうなるでしょうから、貴女の言う通りにさせて貰うけど、貫徹だけは止めなさいよ?作戦会議でオール
 ナイトして明日は睡眠学習とか笑えないから。」

「梓……不倫は駄目だよ?」

「あゆみ、言う事は其れなの!?」



あゆみちゃん、不倫って其れはないから安心して良いよ?
確かに梓ちゃんの事は好きだけど、其れは私の事を慕ってくれる後輩として好きなだけで、エリカさん達に向ける好きとはベクトルが異なるモノだから
ね――其れに、梓ちゃんはあゆみちゃんを裏切るような事はしないって……まぁ、不倫や浮気じゃなくて、ツェスカちゃんが加わって梓ちゃんハーレム
が出来る可能性は否定出来ないんだけど、梓ちゃんならきっと大丈夫だろうね。梓ちゃんは根が真面目だから、自分に恋愛方面で向けられる好意に
不誠実な対応はしないだろうからね。

で、その後は梓ちゃんとカラオケボックスで作戦会議――二十四時間営業のカラオケボックスで、ドリンクバー付きのフリータイムなら何時間入り浸っ
ても文句は言われないし、適当にメニューを頼めばお腹も満たされるからね。
だけど、この作戦会議はとても有意義なモノだったよ――梓ちゃんが中学時代にペコさんと戦ったことが有るって言うから戦術は分かったし、ダージリ
ンさんの戦車道を継承してるのなら、ペコさんがどんな事をしてくるかは大体予想が出来たからね。
時に梓ちゃん、大皿で頼んだ唐揚げに、誰に何も言わずにレモンを掛けるのは如何思う?



「『からあげに勝手にレモンをかけるエルフの剣士を滅びの爆裂疾風弾で抹殺する青眼の白龍』ですね。」

「つまり絶対に許さないって事だね。」

そんな感じで、作戦会議だけじゃなくて確りとカラオケボックスも堪能しましたとさ。
梓ちゃんは歌も巧かった……KOKIAの『たった1つの想い』なんて全国ランキングトップの一位だったからね。



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そんな訳でやって来ました聖グロとの練習試合!
練習試合は去年同様に大洗の町中で行われるので、大洗港には大洗の学園艦と聖グロの学園艦が停泊してるんだけど、やっぱりこうして並んで停
泊すると聖グロの学園艦の大きさには圧倒されるなぁ。
尤も、最大級の学園艦であるサンダースは此れよりも大きんだけどね。
パブリックビューイングが設置された、大洗シーサイドステーションの駐車場の特別応援席は既に大入りになってるのを見ると、練習試合だとしても大
洗の人達にとっては大きなイベントなんだね。



「グァッデーム!アイム、チョーノ!練習試合だからって気を抜くんじゃねぇぞ!
 オイコラ、船長さん、アンタも分かってんだろうなぁ!」

「船乗りは仲間を決して裏切らないモノなんだよ黒のカリスマさん……隊長さん、絶対に負けるんじゃないよ!大洗のヨハネスブルグと言われるアウト
 ロー全員がアンタの味方さ!」

「大洗のアウトローだぁ?気に入ったぜ!お前等も今日からnOsの一員だ!ガッデメファッキン!」



そして観客席では黒のカリスマとお銀さんが謎の意気投合をして、大洗最強の応援団が誕生したみたいだね……アウトローの化学反応は、少しばか
り恐ろしいものがあったのかもだね。
まぁ、其れは其れとして今回は練習試合を受けてくれてありがとうペコさん。



「ダージリン様風に言うのならば、『聖グロリアーナは、如何なる戦いも受けて立つ』と言った所でしょうか?……如何なる戦いでも受けて立つとは、誰
 が相手であろうとも、戦う以外の道はないと言う事でもありますから。
 ですが、私は簡単に負ける心算はありませんわみほさん……勝てないまでも、貴女をキリキリ舞いさせる事位はする心算です。」

「へぇ……其れは楽しみだねペコさん。」

もしもペコさんがダージリンさんの戦い方を完全に継承してるならどんな事をしてくるかは大体予想は出来るけど、ダージリンさんが持ってた『戦局を含
めた試合全体を把握する目』まで受け継いでるとしたら厄介かな?
実は、私とダージリンさんは本来なら相性は最悪……お姉ちゃん曰く、『戦車一輌で一騎討をした場合、私はダージリンには勝つがみほには負ける。
みほは私には勝つがダージリンには負ける。そしてダージリンはみほには勝つが私に負ける……相性と言う奴だな。』って事らしいから。
力押しのお姉ちゃんでは策を巡らす私には勝てず、広い視野を持つダージリンさんには私の策は読まれて通じず、カタログスペックよりも高い力を発
揮出来ないダージリンさんでは地力で勝るお姉ちゃんには勝てない……確かに、去年の練習試合もエリカさんが居なかったら負けてたからね。
エリカさんがダージリンさんを徹底的に挑発して冷静さを失わせて、長所を潰してくれたから負けなかった。
でも、今日の練習試合にエリカさんは参加しないから、あの『めっちゃあからさまで分かり易いのに、ムカつく事この上ない挑発』は使えないし、ペコさ
んはダージリンさんよりも煽り耐性高そうだから、そもそも挑発で逆上する事もなさそうだしね。

尤も此れは不確定要素だけど、もしも私の予想が当たってたとしたら、物凄く楽しめるのは間違い無いだろうね……互いに悔いのない試合にしようね
ペコさん。



「はい、お互いに全力を尽くしましょう。」

「うん、全力を超えたフルパワーでね。」


「其れでは此れより、大洗女子学園対聖グロリアーナの練習試合を始める。お互いに、礼!」

「「「「よろしくお願いします!!」」」」


何にしても試合開始……大洗の新人達がドレだけ聖グロに対して食い下がれるか楽しみだよ。
時にローズヒップさんは如何したんだろう?てっきり挨拶前に私に突撃して来るんじゃないかと思って、アイアンクローの準備をしてたのにね?



「みほ様にご迷惑をかける事が予測出来ましたので、首輪付けてクルセイダーに繋いでおきました。」

「犬かな?」

「ダージリン様でも躾けきれなかった犬は、私の手には余りますね……果たして卒業までリードを握っている事が出来るのか激しく不安です。」



其れに関しては頑張ってとしか言えないかなうん。
けど、首輪付けてクルセイダーに繋ぎ止めとくとか、ペコさんはおとなしそうな見た目とは裏腹に意外と過激だね……否、あのダージリンさんが目を掛
けていたのなら此れ位の過激さはある意味で当然かもかな?
ダージリンさんが直々に隊長に指名したって言う貴女の戦車道、見せて貰うよ。








――――――








No Side


さて、試合が始まる前に先ずは両校のオーダーから見て行こう。


大洗女子学園

・パンターG型×2(アイスブルーは隊長車、パールホワイトは副隊長車)
・ティーガーⅠ×1
・Ⅳ号戦車F2×3



聖グロリアーナ


・チャーチル歩兵戦車Mk.Ⅶ×1(隊長車)
・マチルダⅡ歩兵戦車Mk.Ⅲ/Ⅳ×4
・巡航戦車クルセイダーMk.Ⅲ×1




大洗は『大戦期の最高傑作』と称される中戦車と重戦車に、信頼出来る性能のⅣ号F2が三輌の編成に対し、聖グロは『足は遅いが堅い』が売りであ
ると同時に聖グロの隊長車として受け継がれてきたチャーチルにこれまた『足は遅いが砲撃の初速は早い』マチルダを加え、其処に『足の速さ』が売
りのクルセイダーを加えた一長一短の編成と言った感じだ。
尤も聖グロの部隊編成は、ダージリンが隊長だった頃の其れと変わってはいないのだが……其れだけを見て、オレンジペコがダージリンのやり方を
なぞっていると考えるのは早計と言うモノだろう。
この練習試合の舞台は大洗の町中であり、地の利は如何考えたって大洗女子学園にある……にも拘らず、去年の練習試合と略同じオーダーを組ん
で来たのには何か意味があるのだろう。


「(みほ様と戦った相手は、必ずや新たな『何か』を手にしている……ダージリン様もみほ様と戦った事で更なる高みに至れたと仰ってましたしから。
  ならば、私もまた戦車乗りの新たな高みに至る為にもみほ様との戦いは必須だった……そして、こうしてその機会が訪れたのだから、全力で戦っ
  て自分の殻を破らねばです。――行きますよ、みほ様!)
 相手は、今や世界で五本指に入ると言われている隻腕の軍神ですので、くれぐれも油断しませんように……聖グロリアーナの底力を、隻腕の軍神
 に見せつけて差し上げましょう――Tank advance!(戦車前進!)」

「「「「「I understand Captain!!」」」」」







「(ペコさん、思った以上に良い目をしてたね?――二年生で隊長になった重責に押し潰されちゃうじゃないかって危惧してたけど、如何やら杞憂だっ
  たみたいだよ。
  勝つ事は出来なくともとか言ってたけど、その瞳には勝つ気満々の炎が宿ってたからね……だけど、そう来なくちゃ面白くない。試合前から『勝て
  ない』と本気で思ってる相手とは戦っても面白くないからね。
  ペコさんは口ではあぁ言ってたけど、その心の奥では私に勝つ気でいる……うん、最高だね!)
 ルールは六対六の殲滅戦……つまり全滅させた方の勝ち!去年の練習試合は引き分けだったから、今年は絶対に勝つよ!
 だけど、勝つ事が目的になって楽しむ事を忘れちゃダメだからね?戦車道をとことん楽しんで、その上で勝てたら最高と思うように――楽しむ事を忘
 れて勝利に固執したら、其れはもう競技じゃなくて只の戦争だからね。
 競技の本質は、先ずは其れを楽しむ事、其れを忘れないように!」

「「「「はい!」」」」

「言われずとも、分かってるわよみほ……楽しめない勝利に意味はない、でしょ?」

「そうだよエミちゃん……だから、最高に楽しい試合にしようね?Panzer Vor!(戦車前進!)」

「「「「「Jawohl!(了解!)」」」」」



夫々の想いを胸に、練習試合開始!
ドイツメインの多国籍軍な大洗に対し、バリバリのイギリス軍な聖グロがどんな戦いを見せるのか……そして、圧倒的に大洗女子学園にアドバンテー
ジがあるフィールドでオレンジペコ率いる聖グロは如何立ち回るのか?

今年度最初となる戦車道の戦いの幕が上がったのだった――



「ガッデーム!新生大洗だけ見てりゃいいんだオラァ!オイ、アンタも何か言ってやれ船長さん!!」

「西住隊長は、最高にして最強……そうだね、言うなれば覚醒した武藤遊戯って所かな?――まぁ、武藤遊戯に会った事はないんだけどね。」

「よっしゃー、最高だぜ!!」



そして観客性も大盛り上がりだった。
黒のカリスマ率いるnOsの面々に、お銀率いる学園艦のアウトロー軍団が加わった応援団は見た目のインパクトがハンパなった――そして、其処に
二十年前の大洗を率いていた好子さんが加わったのは当然と言えば当然だろう。
応援のインパクトだけなら大洗はブッチギリの全国トップなのは間違いない――だが、応援のインパクトだけでないのが大洗だ。
この練習試合がタダで終わる事はないだろう……と言うか、タダで終わる筈が無いだろう。だって、みほが大洗の町中で市街地戦を行うのだから。












 To Be Continued… 





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