Side:みほ


試合が始まって、今は敵陣に向かって前進中なんだけど、先ずは相手の動きを把握するのが先決だから、カバチームとレオポンチームの2チーム
は偵察に出て、BC自由学園の動きを見て貰っていいかな?
相手がどんな陣形を取ってるのかを把握するのは大事な事だと思うから。



「了解した西住隊長。
 我等カバチーム、Ⅲ突の車高の低さを最大限に利用して、敵の陣形を把握すると約束しようじゃないか――寧ろ、把握しなくては偵察を命じてく
 れた隊長の顔に泥を塗る事になるからな。」

「こっちも了解だよ西住隊長。
 Ⅲ突と違って、ポルシェティーガーは大きいから見つかり易いかもだけど、その時は主砲の破壊力と装甲厚を武器にすれば逃げ切る事も出来る
 からね……何よりも此の子には、ルールの穴を突いた切り札があるしさ。」

「ルールに抵触していないとは言え、トンデモない魔改造戦車よねこのポルシェティーガーって……此れを見た他校が改造ポルシェティーガーを使
 うようになったら、モーターに関する規制が出来るかも知れないわね。」

「アハハ、其れは確かにそうかもね。」

だけど、この魔改造ポルシェティーガーは、ナカジマさん達だからこそ出来たモノであって、他校が其れを真似するのは略無理だと思うかな?
そもそもにして、ポルシェティーガー自体が『失敗作の欠陥兵器』って認識されてるから、余程のモノ好きじゃない限りは実戦投入する事は無いと
思うんだ――其れを考えると、モーターの規制をしたら、それって大洗をピンポイントで狙った規制改修って言われかねないから、モーターの規制
は案外ないままかもしれないよ?

まぁ、其れは其れで大洗にとっては有り難い事だけどね。


さてと、其れじゃあカバチームとレオポンチームから連絡があるまで、私達は此処で待機しましょう――BC自由学園の作戦は既に割れているので
、後は相手の陣形が分かれは其れで充分です。
なので、カバとレオポンから連絡が入り次第、此方から仕掛けます――相手の策を逆利用した作戦でね!










ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer182
フランス戦車隊とガチバトルです!』









No Side


一回戦の注目カードの一つである大洗女子学園vsBC自由学園の試合で、まず先に動いたのはBC自由学園だった――と言うより、試合開始と同
時に飛び出したと言っても良いだろう。
部隊を二つに分けて飛び出したその様は、一見すると大洗の部隊を二手に分かれて挟み撃ちにするように見えるだろうが、その実はエスカレータ
ー組と受験組がバラバラに出撃しただけに過ぎないのである。

其の事に多くの観客は気付いてないが……


「……マリーったら、何をやってんのよマッタク……!!」

「アズミ、アンタの後輩大丈夫なの?」

「挟撃そのものは悪くないと思うけど、私等を倒した大洗に其れが通じるとは思えないわよ?
 其れも、チームワークが出来てないようじゃねぇ?」

「やめてメグミ、耳が痛いから。」


大学選抜副隊長のアズミ、ルミ、メグミはそうではなかった――特にBC自由学園のOGであるアズミは本気で頭を抱えそうな感じである……自分
が在籍していた頃から日常的に発生していた異なる派閥の対立が今尚続いているのが分かってしまったのだから。
アズミが在籍していた頃は、合併前のBC学園と自由高校の生徒による、学校別の対立だったのだが、其れが沈静化したと思ったら、今度は受験
組とエスカレーター組で争っていると言うのだから最早笑えないだろう。


「だけどアズミ、その不仲その物が作戦って可能性はないのか?
 不仲の対立を見せる事で相手を油断させて一気に叩くとか……そう言う戦い方って言うのもアリかも知れないぞ?――私も継続時代は色々な
 事やったからなぁ?」

「確かにその作戦はアリかも知れないけど……隊長すら倒した、あの西住みほにそんなせせこましい作戦が通じると思うルミ?」

「思わないね――まぁ、西住みほは確かにとんでもなく凄い奴だけど、彼女だけじゃなく、大洗のメンバーって色んな意味でぶっ飛んでる奴等ばっ
 かりだから。
 特に……あの、イカれたポルシェティーガーとかさ?」

「あぁ~~……納得。
 普通あんな欠陥兵器を使おうとか思わないわ。――アズミ、貴女には悪いけど、貴女の後輩達多分負けると思うから、今夜はゴチになるわね。」

「うぅ……後輩贔屓でBCの勝利に賭けた自分を殴りたいわ~~。」


……そして、後輩の試合結果で何か賭けてたらしい。戦車道トトカルチョはあまり感心出来ないが、まぁ仲間内でのお遊びレベルなので其れ程咎
めるモノでもないだろう。


「グァッデーム!!
 戦車道の試合で賭博染みた事してんじゃねぇぞガッデメファッキン!!」

「「「すみませんでしたぁ!!!」」」


尤も、戦車道と言うか大洗を全力で応援する黒のカリスマ的には見過ごせないモノだったらしく、通称バミューダ三姉妹を一喝!!……見た目は
アレだが、黒のカリスマは実は意外と常識人なのである。








――――――








観客席での彼是は兎も角として、試合フィールドはどうなっているかと言うと……


『此方カバチーム、ソミュアS35を5輌を確認――真っ直ぐ大洗の方に向かっている。
 隊長、Ⅲ突の隠密性を生かして、此処は奇襲を掛けては如何だろうか?出鼻を挫いてやれば、奴等のノリを挫いてやる事が出来ると思うぞ?』


「いえ、そのまま見つからないようにその場を移動して、ポイント○○にて待機してください。」

『了解した、隊長。』



『此方レオポン。
 ARL-44を4両確認~~。やっぱり隊長の方に向かってるみたいだよ……如何する、一発かまして注意をこっちに引き付けようか?』


「そうですね、一発だけ撃って即時その場を離脱してポイント××で○○チームと合流して待機してください。」

『了解~~。ツチヤ~~、逃げる時に5秒だけ使っていいから。』

『やった~~!!』



部隊が二つに分かれたBC自由学園に対して、大洗はⅢ突とポルシェティーガーを偵察に出してBC自由学園の動きを掴もうとしていたのだが、其
の結果はある意味で予想通りだったと言えるだろう。
受験組のソミュアS35と、エスカレーター組のARL-44は完全に別行動――試合が始まっても尚、不仲を演出している布陣だったのだから。
マッタク持って何も知らなかったら、BC自由学園の不仲説から『試合で協力する事も出来ない位に対立が深いのか』と思うと同時に『協力する事
の出来ない相手など怖くない』と思い、其処に油断と決定的な隙が生じるだろう。


だがしかし、みほには、大洗には既にこの不仲が演出された偽物であると言う事は割れている――ネタの割れた作戦に引っ掛かるのは只の馬鹿
以外の何者でもないだろう。
なので、みほはBC自由学園が仕掛けて来た策を逆に利用しようと思ったのだ――だからこそ、先ずはBC自由学園がどう展開して来たか、其れを
把握する必要があったのだ。


「不仲を演出する意味で受験組とエスカレーター組に分かれて攻めて来たってとこかしらね?……連中の狙いは、挟撃を仕掛ける事で、私達の動
 きを制限した上で、キルゾーンまで追い込むって事よねきっと。」

「うん、其の予想でまず間違いないと思うよエリカさん。」


そして得られた情報から相手の狙いが何であるのかを予測し、其れへの対策を考えるのが隊長の役目でもあるからだ――みほが何か言う前に
エリカの口から出た予測は、みほと略一致していたらしいが。
ともあれ、相手の目的が分かれば対抗手段を講じるのは難しくはない――事実、みほはスマホのグーグルアースを使って、自分達の現在地とフィ
ールド全体を空から見ているのだから。

そのフィールドを見ると、大洗が挟撃を回避するためのルートには、何時壊れないともわからない年代物の木製の橋があリ、此れを使わないと対
岸に最短ルートで渡る事は出来ない。
普通に考えるのならば、格好の的になりかねない橋渡りは戦車道に於ける可成りの博打技なのだが、このフィールドを把握したみほの口元には
笑みが浮かんでいた。

それも、普通の女子高生では絶対に浮かべる事の出来ない獰猛な笑みが――エリカも同じような顔をするだろうって?……エリカの場合は狂犬
だから獰猛な笑みでも問題はないのだ。


「其れで、如何するのみぽりん?」

「私達はこのまま進んで行く予定だよ沙織さん。
 既に仕込みは出来てるから、後は向こうの策に掛かったと思わせる事が出来れば良い訳だしね……ふふふ、果たして策に掛かったのは何方だ
 ったのか、思い知らせてあげるよ。」

「……ゆかりん、みぽりんが若干怖い。」

「あははは……此れはもう完全に詰んだでありますなBC自由学園は。」


此の試合は、みほにとっては既に盤面が分かっている詰将棋のモノだと言えるだろう――もしもBC自由学園の実力が本当に未知数だったのなら
ば未だしも、優花里とエルヴィンの試合前偵察によって露呈した『不仲』を演技と見抜いた時点で、みほは相手のやって来そうな事は大体分かっ
たと言えるのだから。
ならば後は、盤面の駒を正しく動かして詰み上がりにすれば其れで終いなのだ。


「しかしまぁ、向こうの隊長もみほがこう来るとは思わないでしょうね……特に、全国大会と大学選抜戦での戦いを知ってるなら尚の事だわ。」

「だからこそ効果があるんだよエリカさん。
 そう言う訳だから、戦車戦になったら容赦なく喰い散らかして良いからねエリカさん♪」

「ふ、期待には応えるわよみほ……下らない策で私達大洗を倒せるとか思った連中に、狂犬の牙で後悔を刻み込んでやろうじゃないの?」

「そう言えば、狂犬とは言いますけれど、逸見先輩って犬に例えると何になるんですかね西住隊長?」

「梓ちゃん……そうだなぁ、ボクサー犬かな?趣味がボクササイズだしね。」

「巧い!シャレも聞いてるし、座布団一枚ですよみほさん♪」

「ありがとう、小梅さん♪」


大洗の面々が纏う雰囲気は一見すれば緩く見えるだろうが、戦車道通や一流の戦車乗りが見れば、今の大洗が纏っているのは緩い雰囲気など
ではなく、絶対強者のみが発する事の出来る闘気……否、一流の戦車乗りのみが放つ事の出来る裂帛の闘士、パンツァー・オーラである事が分
かるだろう。
二十年ぶりに戦車道を復活させ、隊員は殆どが素人であったにも拘らず、僅か十ヶ月にも満たない期間で、此処まで急成長をした大洗は、矢張り
規格外であったとしか言えないだろう。








――――――








その頃、BC自由学園のマリーは自陣で優雅にティータイムの真っ最中だった……って、それで良いのか隊長よ?……聖グロリアーナのダージリ
ンだって、大洗とのエキシビションの際にティータイムを楽しんでいたからアレだが、ダージリンの場合は余裕の表れと言うか、試合を面白くする為
のモノであって、ガチでティータイムを楽しんでいる訳では無い。


「ん~~……此のモンブラン美味しいわね?もう一個下さるかしら?」

「は、はい!只今お持ちします。」


其れなのに、マリーは割とガチでティータイムだった。
不真面目とも思えるかもしれないが、こうなってしまっているのはある意味で仕方ないのかもしれない――何故ならば、今の所試合はマリーの思
惑通りに動いているのだから。
先陣を切った押田と安藤からの通信で、大洗が偵察を出して来た事は既に分かっているし、ならばその偵察の情報から大洗が如何動くかは既に
分かっている。
と言うか、そうなるように大洗に偽の情報を渡したのだ。

エスカレーター組と受験組の仲の悪さを敢えて見せつける事で油断させ、更に試合でもエスカレーター組と受験組をバラバラに動かす事で、どっち
が戦果を上げるか競っているように偽装させると同時に、其れによって挟撃が発生するようにする。
そうすれば、その情報を得た大洗は必ず挟撃を回避しようとして前方の橋を渡って来る筈だと、そう考えたのだ。

まぁ、其れは間違いではないだろう――全国大会を見る限り、大洗は何時だって効率的な方法でフラッグ車を葬って来たのだから。
其れを考慮した場合、不利になる挟撃を回避した上でフラッグ車を狙うとなれば必然的にあの橋を渡らざるを得ない。
――そして、其の橋を渡ってる所を挟撃狙いだった部隊が攻撃し、橋を破壊した上でフラッグ車を撃破すれば大洗に勝つ事が出来る……マリーが
立てた作戦は、そんな感じだろう。


「さてと、そろそろ現れる頃かしら?」


自分の思い通りに試合が進んでいると思ったマリーは望遠鏡で前方の橋を見ると、其処には丁度大洗の部隊が!――後は其の橋を渡り始めて
くれれば、其れで終わりだ。






そう思ったのだが、橋を前に大洗の部隊は一向に橋を渡ろうとしない。


「橋を渡らない?……如何して?挟撃を回避してフラッグ車を狙うには、其の橋を通るしかないのに……?」


其れを不審に思ったマリーが再び望遠鏡で大洗の部隊を見ると……


「……!!」


――ビシィ!!


何と、望遠鏡の先に居たみほが、望遠鏡に向かって獰猛な笑みを浮かべて首を掻っ切る動作からのサムズダウンをして見せた――そして、其れ
を見たマリーはその瞬間に戦慄した。
自分の居場所が知られていた事もそうだが、サムズダウンしたみほが何を言っていたのか理解してしまったからだ。――あまりにも距離が離れて
居たので声が聞こえた訳では無いが、みほの口の動きから何と言ったかは分かった……分かってしまったのだ。


「そんな……まさか、全て彼女には分かっていたと言うの!?」


そう、マリーが読み取ったみほの口の動きは『ぜ・ん・ぶ・わ・かっ・て・る・ぞ?』と言っていたのだ――つまり、みほには最初から作戦の全てが筒
抜けだったのである。
だが、其れを後悔した所でもう遅い。


「さぁて……出番ですよお銀さん!!!」

「ヨーソロー!!行くぞお前等!!ついて来な、レオポン!!!」

「「「「了解、親分!!」」」」

「さぁて、其れじゃあ行こうか!!ホシノ、外さないでよ?」

「だ~れに物言ってんのナカジマ?……大洗一速い女改め、大洗一の砲手を甘く見るなって!!」

「大洗一は五十鈴さんじゃない?」

「……スズキ、其れは言わないでくれよ……」


「エルヴィンさん、やっちゃってください!!!」

「その言葉を待っていたぞ西住隊長!!
 我等カバチーム、此れより敵フラッグ車を撃滅する!!……グデーリアンと私は騙せても、西住隊長を騙す事は出来ないと言う事を身を持って教
 えてやる!!」


BC自由学園のフラッグ車であるルノーF1をサメチーム、レオポンチーム、カバチームが強襲!!――中でもサメチームはやる気とか闘気がギガM
AXを突破しているが故に、みほから所定場所で待機し、その時が来たら好きなように暴れてくれて良いと言われていたのだ。
そして、今がその時なのだ。


「獲物は絶対に逃がさねぇ……徹底して追い詰めてぶっ倒す!!気合入れろよお前等!!!」


マリーを強襲したお銀は、そのイケイケの性格でドンドンマリーを押し込んで行く……其れこそ、逃げ場がない位にだ――こうなってしまっては、最
早マリーは成す術がなく、撃破されるしかないだろう。

だが、其れはあくまでも普通であればの話だ。


「させるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「マリー様はやらせんぞ!!」


この危機的状況に押田ルカ率いる部隊と、安藤レナ率いる部隊が合流し、マリーを護った――其れはつまり、挟撃は敢行しないで、元来た道を戻
って来たのだろう。
其れには、思わずみほも笑みを浮かべた。


「へぇ?此方を挟撃すると見せかけておいた上で実はフラッグ車の護衛の為に反転して来た訳か……悪くない判断だけど、少しばかり遅かったと
 言わざるを得ないよ?
 だって、フラッグ車を護る事になったら、橋を渡る私達を如何にかする事なんて無理だからね。」


この状況は、絶対的に大洗の方が有利になったのは間違いないだろう――先行していた押田ルカと安藤レナは、フラッグ車を護る為に戻ってしま
った事で、橋を渡る大洗の部隊を攻撃する事が出来なくなってしまったのだから。

なので大洗の部隊は特に問題なく橋を渡り切る事が出来た……BC自由学園と言うか、マリーの思惑は完全に崩壊してしまったのである。

そんな訳で余裕で橋を渡り終えた面々は、其処から試合に参加して、此処からが本当の試合開始だと言えるだろう――開けた草原のフィールド
では、一切の小細工が通用しないのだから。

だが、此のフィールド状況でみほは冷静に指示を飛ばす――


「全軍に指示……敵戦力を一騎残らず殲滅せよ!!!」

「みぽりん、何て言うかもう戦国の第六天魔王みたいだよ。」


沙織からの若干の突っ込みがあったモノの、みほは指示を飛ばして盤面の駒を操作して行く――その姿は正に軍神にして、絶対無敵の超軍神と
言えるだろう。
みほの背後に、蒼い目の白龍が見えたとしても、其れは決して幻覚ではないのかもしれない。








――――――








Side:みほ


ふふ、思った以上に巧く行ったね?――敵の不仲を見せられた相手なら、対立している部隊が協力するなんて事はなく、何方がより戦果を上げる
かで競ってバラバラに動くと思うだろうけど、その裏をかかせて貰ったよ。
貴女はあれで私達を騙せたと思ってるのかもしれないけど、私やエリカさん……一流の戦車乗りにからしたら、『此れで騙せると思ってんの?』、『
アンタ舐めてる?』、『調子こいてんじゃねぇぞオラァ!!』ってな感じだからね。

「取り敢えずエリカさん……やっちゃってください。」

「了解……覚悟しなさいBC自由学園!!――アンタ等の事、纏めてステーキにしてやるわ!!!」



ふふ、絶好調だねエリカさん――まぁ、エリカさんが絶好調なら、皆のテンションも上がるから此れはとっても良い事だと思うけれど、敢えて言わせ
て貰います!!!エリカさん、素敵です!!!



「其れは嬉しいけど、時と場合を弁えなさいっての……戦車から飛び出して行き成り抱き付いて来るって流石に驚くからね?」

「ダメなの?……私はこんなにもエリカさんが好きなのに、ダメなの?」

「……ダメじゃないから、そんな捨てられた子犬のような目で私を見ないで……無視したら、罪悪感に未来永劫苛まれそうだから……じゃなくて!
 貴女ね、今はまだ試合中なのよ!!其れ位考えなさいよ!!
 って言うか、戦車から飛び出してくるって今更だけどどんな運動神経してんのよ貴女!!」

「こんなだけど?」

「そう言われたら、何も言えないでしょうに!ほら、さっさと自分の戦車に戻る!!」

「エリカさん……羨ましいです。」

「小梅ーーー!貴女も貴女で何言ってるのよマッタク!!兎に角、こう言うのは試合が終わってからにしなさいっての!!」



そうだね、そうする事にするよ。
だけど心配いらないよ――勝利の為の策は既になってるからね……私の戦車道の裏の裏のそのまた裏を味わって貰うとしようじゃない――此処
からが本番だよBC自由学園の隊長のマリーさん?

私は此の試合で、私の中に眠る『西住流』を解放するからね。



――轟!!



「此れは……この闘気は!!」

「凄いな此れは……西住流を超えた西住流……スーパー西住流か。」



スーパー西住流……そのネーミング貰いです麻子さん!
恐らくBC自由学園が得てる大洗のデータは、奇策裏技上等の戦い方しか記載されてないから、だからこそ正攻法で真正面から来られると対処す
る事が出来ないんだよ。

だから、たっぷりと味わって貰おうかなBC自由学園?……私の西住流をね!!

「全軍突撃!!一輌残らず粉砕せよ!!」

「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」



気合は既にギガマックス……となれば、勝敗を分けるのは指揮官の差だから、此処で負ける事だけは絶対に出来ない――寧ろ圧倒して倒してあ
げるから、覚悟しておいてほしいかな。

私の戦車道はまだまだこんな物じゃないから……西住流と、私の戦車道を融合させた、誰も見た事のない戦車道を、お腹が膨れるまで味わって
貰うからね?


何にしても、此処からが本当の試合開始だから……全力で行く!!――そして、BC自由学園は後悔して学ぶと良いよ……所詮自分達の思い通
りになる事なんてなかったと言う事をね!!










 To Be Continued… 





キャラクター補足