Side:みほ


無限軌道杯の1回戦の相手はBC自由学園――校内の内部分裂のせいで実力を発揮出来ない学校って言う事だったけど、其れだけを聞いて侮
るのは素人だよ。BC自由はマジノの分校でもあるからね。
あのエクレールさんが隊長を務めるマジノの分校であるBC自由がやられ役の噛ませになるなんて事は考えられないから、優花里さんとエルヴィ
ンさんを偵察に出した訳だけどね。
プラウダとの試合の時に、見事に偵察任務を熟してくれたあの二人なら、キッチリ任務を熟してくれると思うしね。

其れよりも、出場を決めてから言うのもなんですけど、3年生の皆さんは進路の方は大丈夫なんですか?



「其れに関しては心配無用だよ西住ちゃん!アタシも小山もか~しまも、揃って同じ公立の大学を受ける事になってるし、直前模試でアタシと小山
 とか~しまでトップ3を極めたから問題ね―でしょ?」

「其れは、確かに問題ありませんね。ぴよたんさんは?」

「私も問題ないだっちゃ♪志望校はA判定の安全牌なり。」

「ふふ、其れなら問題ありませんね。」

寧ろ問題は自動車部ですよ――大洗の戦車整備は、彼女達が居たからこそ可能な部分があったから、其れがゴソット抜けるとなったら、大洗の
戦車道にとっては大きな痛手でしかないからね?
皆さんはもう進路は決まってるんですか?



「其れに関しては心配ないよ西住隊長?」

「……ナカジマさん?」

「私とスズキとホシノは、此処を卒業したら就職も進学もしないで、この学園艦で整備屋をやろうかと思ってるんだよ~~だから、卒業後も私等は
 学園艦に残るので、その辺宜しく~~!!」

「マジですか!?」

だけど、私の心配は何のそので、ナカジマさん達は自分の未来を見据えてたんだ――おかげで来年以降の整備の問題は一気に解決!最悪の
場合は島田の小母様に整備士を都合して貰おうと思ってた位だったから、自動車部のこの決断には本気で感謝だよ。

ならば、その心遣いに応えるべく、無限軌道杯でもバッチリと結果を残して来年の大会に繋げるようにしないとだね!!
優花里さん、エルヴィンさん、お得意の潜入偵察で良い情報を持って来てくれることを期待してるよ♪










ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer180
ドキドキワクワクの潜入捜査です』








Side:優花里


さて、私こと秋山優花里と相方のエルヴィン殿は、こうして無事にBC自由学園に忍び込む事が出来たであります。
毎度お馴染みのコンビニ定期船での潜入になりますが、本日は搬入店舗の関係でローソンの定期便でやって来たであります……因みにサンダ
ースに潜入した時に使ったサークルKサンクスはファミマに吸収合併されてしまったので、アレはある意味で貴重だったでありますね。



「取り敢えず潜入完了だが、コンビニ定期便でこうも簡単に学園艦に侵入する事が出来るとは、些か不用心すぎると思わないかグデーリアン?」

「いえいえ、コンビニ定期便だからこそ簡単に入り込む事が出来るんでありますよエルヴィン殿。
 コンビニ定期便であれば、我々の様な現役女子高生が乗り込んでいても、店の制服さえ着ていればアルバイトか何かと思ってくれるので、怪し
 まれずに入り込む事が出来ると言う訳です。
 ですが、寧ろ大事なのは此処から……スパイの本質は、如何にしてその場に違和感なく溶け込む事が出来るか――我々は、たった今から『最
 近転校して来たBC自由学園の生徒』を演じる必要があるのです。」

「ふむ、『間者の真髄は、なり切る事』と左衛門佐も言っていたからな……しかしだ、コンビニの制服もそうだが、BC自由学園の制服など如何やっ
 て手に入れたのだ?」



コンビニの制服はネットのコスプレショップで見つけて、事前の潜入偵察の際に使えるだろうと思って、取り敢えずメジャーなセブン、ファミマ、ロー
ソン、ミニストップの四社は揃えたであります。
各校の制服も、戦車道関連のグッズを扱うサイトなら、パンツァージャケットと一緒にレプリカ品が売られているのであります。



「ふ、深い世界だなグデーリアン?」

「最近漸く、我が大洗女子学園の制服とパンツァージャケットも追加されたであります。しかもパンツァージャケットは、通常のボタンタイプと、西住
 殿用のファスナータイプの二種類が実装であります!!
 エルヴィン殿も、黒森峰のパンツァージャケットでも買ってみては如何です?旧ドイツ軍の軍服をモチーフにしたジャケットは、きっとエルヴィン殿
 に似合うと思いますよ?」

「そうだな、少し前向きに検討して行こう……してグデーリアン、どのように偵察を行う?
 我々が転校生だと言っても、時期が時期だけに不自然なのは否めない――最悪の場合は其処で見破られてしまう危険性もあるのだが……」



フッフッフ、それならば心配ありませんよエルヴィン殿……もしもそうなった時には、その場を切り抜けるための嘘があればいいんです。
都合が良い事に、今は無限軌道杯の一回戦が迫っている時期なので、怪しまれたらこう言えばいいのですよ……『BC自由学園のOGにして、大
学選抜チームの副隊長であるアズミさんから頼まれて、無限軌道杯で助太刀すべく短期転校して来た』とね。



「短期転校、その手が有ったかグデーリアン!
 嘗て大洗の危機を救ってくれた裏技を、今度は此方の作戦として使おうとは見事だ……西住隊長の懐刀と言われるだけの事はあるな。」

「そう言っても、西住殿に試合前の偵察を直接命じられたのって、此れが初めてなんですけどね。」

サンダースの時は独断でしたし、アンツィオの時は会長もとい、前会長からの勅命でしたからね。

取り敢えず適当な生徒に声を掛けて地道に聞き出していくとしましょう。西住殿に任務を任された以上、確りと結果を持って帰らねばなりませんか
らねぇ~~♪
出来れば戦車隊の隊員が良いのですが……BC自由学園の戦車隊のメンバーの顔は、抽選会の時に見た隊長殿と、言い争いをしていた金髪と
色グロ三白眼しか覚えてないんですよねぇ?



「まぁ、戦車隊の隊員だったらラッキー程度に考えておく方が良いだろう……急いては事を仕損じると言うからな――そうだろう、優花里?」

「そうですね、里子さん。」

此処からは偵察モード――私とエルヴィン殿も、互いにソウルネームで呼び合うのを止め、本名で呼び合う事にしますね。
さてと何処かに生徒は……お、発見であります!早速話を聞く事にしましょう!!



「優花里、此処は私に任せてくれ。君は初対面の人と話すのはあまり得意ではないだろう?」

「……戦車関連の話ならば大丈夫ですが?」

「……其れは其れで何時間経っても終わりそうにない気がするのは私だけか?――と言うか、何時だったか優花里がウチに遊びに来た時、ドイ
 ツ戦車について一晩語り明かした様な……」

「そう言えばそんな事もありましたねぇ……」

私は戦車全般の知識がありますが、エルヴィン殿はドイツ戦車に限定すれば私よりも遥かに知識が豊富でありますからなぁ……まさか戦車知識
で敗北する日が来るとは思わなかったであります。
バランス型の私では、ドイツ特化のエルヴィン殿には勝てないという事ですね。



「君達誰?見ない顔だけど……」



そんな事を考えていたら、先程目を付けた相手に逆に話しかけられてしまったでありますよぉぉぉぉぉ!?――此れ、若しかして若干ピンチだった
りすのるのでしょうか?



「あぁ、スマナイ。私達は今し方此方にやって来た者でね。
 BC自由学園のOGであり、大学選抜チームの副隊長を務めているアズミさんのお願いで短期転校して来た松本里子と、桧山優花里だ。」



エルヴィン殿ナイスであります!!
さっき伝えた設定を、速攻で生かすとは……流石、日常的にロールプレイしている人間は違うでありますなぁ――しかも、自分は本名を名乗り、私
の名前はさりげなく微改変する事で正体がバレるのを防いでいますからなぁ?
秋山優花里とエルヴィンならば名が知られていても、松本里子と桧山優花里ならば誰も知らないでありましょうからね。



「あぁ、そう言う事だったんだ……戦車隊なら向こうにいるけど、行くなら覚悟しといた方が良いよ――ウチの戦車隊って、中学からのエスカレータ
 ー組と、外部受験組の仲が悪くて可成りギスギスしてるからね。
 短期転校で来てくれた君達は、エスカレーター組からしたら外部受験組と同じような感じだから、きっと受けは悪いと思うから。」

「……噂には聞いていましたが、其処まで酷いモノなのですか?」

「酷いなんてもんじゃないって……毎日のように、重箱の隅をつつくような罵り合いが起ってるからね――一度、本校であるマジノに仲裁を依頼し
 た事があったみたいだけど、余りの酷さにマジノの隊長が胃痛を起こして強制終了したみたいだからね。」



エクレール殿ーーーー!?
エクレール殿はプレッシャーに弱く、胃痛を起こし易い人ではありましたが、其れは大洗との練習試合でほぼ克服された筈であるのに、其れが起
ってしまうとは、BCの内部抗争は深刻でありますなぁ……取り敢えず、教えてもらった場所まで行きましょう里子さん。



「だな……百聞は一見に如かず、人からの伝聞だけでは全てを知る事は出来ない。己の目で見たモノこそが信じるに値するものだからな!!」

「ですよね!!」

そんな訳で、教えてもらった場所まで全速力で行った訳でありますが……



「君達のように、敷かれたレールの上を安穏と走って来た者達では、苦難の道を進んだ末に此処に辿り着いた我等受験組の骨太の戦車道には
 到底及ばないのは火を見るよりも明らかだ。
 大会で無様を曝す前に大人しく戦車隊の全権を我等受験組に渡すべきではないのか?」

「ふん、如何にも下賤な受験組が言いそうな事で笑えるな?
 我等エスカレーター組は、敷かれたレールの上を安穏と走っていたのではない……選ばれたエリートとして、日々己を磨き続けて来た結果、今
 こうして存在しているのだ。
 雑草の努力を否定はしないが、雑草は所詮雑草、選び抜かれた高貴な薔薇には勝てぬと言う事をいい加減知りたまえ――君達受験組が幾ら
 頑張った所で、我ら生粋のエリートに勝てる道理はないのだからね。」

「無知も其処まで行くと見上げたものだな?
 落ちこぼれでも努力を続ければエリートを超える事が出来ると言う言葉を知らないと見える……君達と私達の対戦成績を知っているのか?
 今までに50回戦って、戦績は私達の29勝21敗だ。」

「わずか八つの白星先行で粋がる気かな?……君達の得た八勝は、僕が参加していなかった時のモノだ。」

「負け惜しみか?見苦しいぞ押田君?」

「君こそ、少し調子に乗り過ぎじゃないかな安藤君?」



此れは、想像以上に仲が悪いでありますね受験組とエスカレーター組は……正に一触即発であります!!
下手をすれば、このまま乱闘に発展して隊員に怪我人が出かねないという状況であるのに、一体全体隊長殿は何をしているんでありますか!!



「……あそこで優雅に紅茶を飲んでいるぞ?」



――ドンガラガッシャーン!歴史が違うんだよ!楽には死ねんぞ!!調子こいてんじゃねぇぞオラァ!!裁くのは俺のスタンドだぁ!!!



思わず盛大にずっこけてしまったであります。
こんな事態に仲裁をしないって、其れでも隊長ですか!?西住殿だったら、片腕であるにも拘らず止めに入った筈であります……帰りましょう。



「え?帰るのか?」

「はい……西住殿がマジノの分校と言う事で警戒していましたが、この目で見て此処は噂以上の場所だと確信しました――内部分裂は噂ではな
 く真実だった以上に、隊長は其れを是正しようともしない無能者みたいですので。
 正直、今回ばかりは西住殿が過剰警戒したと思わざるを得ないであります……あ、此れって不敬罪に当たるんでしょうか?」

「いや、大丈夫だろう……西住隊長は確かに凄い人だが、しかし人間なのだから間違う事もあるさ……其れに、不仲が真実であったとするのなら
 ば、其れは其れで我等にとって朗報だ。
 その綻びを壊してやればBC自由学園は丸裸になる訳だからな。」



成程、確かに其の通りでありますな――如何転んでも、BC自由学園が隻腕の軍神に勝つ事は出来ないだろうと、今この場で確信したであります
よ……西住殿は、最強でありますからな!!








――――――







Side:安藤


ふぅ……偵察に来ていた大洗の生徒は帰ってくれたか――隊長チームの秋山優花里と、Ⅲ突チームのリーダーであるエルヴィンが来るとはな。
取り敢えずマリー様の命令通りに彼女達の前で受験組とエスカレーター組の不仲を演出してみたが、此れで騙せたと思うか押田君?



「……偵察は騙せても、隻腕の軍神を騙す事は出来まいよ安藤君。
 ――西住みほ……彼女は、僕達が知っている戦車乗りとは同じカテゴリーに収める事が出来ない存在だからね?
 この程度の小細工は通じまい。」

「だよなぁ……押田君、こんな事を言ったら君は怒るかも知れないが……マリー様が隊長で大丈夫か?」

「ぶっちゃけて言おう安藤君……正直言って不安しかない。」

「ですよね。」

「寧ろ不安以外の何があると言うのだ!?
 確かにマリー様の車長としての能力の高さについては疑いようもないだろう――僕と君が組んでもマリー様には勝てないのだから!!
 だが、それ以外……作戦立案能力とか、危機管理能力とか、自己管理能力とか生活能力その他諸々が色々残念過ぎるだろう!!
 信じられるか安藤君、この間などあの人はホールケーキを一人で三つも平らげたんだぞ!?」



……改めて言葉にすると色々とヤバいよなマリー様。
学園OGのアズミさんが目をかけていたと言う理由で、代替わりの際に隊長に就任したのだが、車長としての能力は高くとも、チームを纏める能力
に関しては今一つの様な気がするんだよなぁ?
こう言っては何だが、エスカレーター組のトップである押田君と、受験組のトップである私の方が夫々を巧く纏められているからね。
問題は、マリー様のあれが天然モノなのか、かの織田信長のように馬鹿を演じて周囲を試しているのか分からないと言う事だな……其れとは別
に、一人でホールケーキ三つは別の意味で感心するけど。

「まぁ、うだうだ言っても仕方あるまいよ押田君。
 今回は、かの隻腕の軍神殿と戦えると言う事を光栄に思おうじゃないか――中学二年の頃から始まった彼女の無敗伝説は君も知っているだろ
 う?戦車道に於いては生ける伝説となった彼女と戦う事が出来るなど、戦車乗りならばワクワクする事だしな。」

「君は前向きだな安藤君……だが、君の言う事は正しい。
 隻腕の軍神・西住みほ――彼女と戦った事があると言うのは、今や戦車道における一つのステータスとなっていると言っても過言ではないから
 な……時に安藤君、彼女の無敗伝説の中で、唯一引き分けた相手が居たと思ったが、誰だったかな?」

「中学三年の時の決勝戦だよな?
 え~~と、黒森峰中等部の隊長の逸見エリカじゃなかったか?」

「だよな?……して、今の大洗で『孤高の銀狼』『銀の狂犬』『挑発上等マッドドック』と渾名されているのも逸見エリカではなかったか?
 そして私の記憶が正しければ、大洗の副隊長である澤梓君は軍神の一番弟子であった筈だが?」



……言われてみれば確かに其の通りだな押田君。
更に言うと、去年の黒森峰のお家騒動の際に、一年のトップ3だった西住みほと逸見エリカと赤星小梅は大洗に行ったんだったね……そして、其
れを追うように澤梓も大洗にだからな。

――戦う事が出来るのを光栄に思うのは兎も角として、此れ詰んでないか?
そもそもにして、二倍の戦力差を引っ繰り返してしまう大洗に勝てる相手など存在するのか?……此れは、黒森峰に代わって大洗が大会の連覇
記録を作るのかもしれないな。
そして、大洗vs黒森峰は高校戦車道に於ける伝統の戦いになって行くのかもしれないな。



「安藤君、思案している所悪いがマリー様を止めるのを手伝ってはくれまいか?ホールケーキ五個目は流石に危険だ。」

「私としては、何処まで行けるのか見てみたい気もするんだが、流石にこれ以上は危険だな。」

と、言う事でこの後押田君とマリー様を全力で止めた……そして本気でこの人が隊長で大丈夫なのかと不安になった――無限軌道杯での采配
次第では、隊長のリコールも考えた方が良いかも知れないな。割とマジで。








――――――








Side:みほ


さて、優花里さんとエルヴィンさんが偵察から戻って来て、その時のビデオを戦車道履修者の皆で見てるんだけど……此れは、酷い所の騒ぎじゃ
ないよ。酷過ぎる。



「内部分裂が深刻と聞いてはいたが、よもや此処までとは……こんなまとまりのないチーム、西住の指揮の下に一致団結した我等大洗の敵では
 ないわ!!
 マジノの分校と言う事で少し警戒したが、この有様を見る限りでは実力の方は大した事はあるまい……一回戦は楽勝だ!!」

「ふ、自信満々だね桃さん?
 だけど私も同じ気持ちだよ……一つに纏まる事が出来ていない集団は、所詮烏合の衆に過ぎない連中だからね――全国制覇をした隊長さん
 からしたら取るに足らない相手なんじゃないのかな?」

「うん、この程度なら私の相手じゃない……そう思わせるのが、相手の狙いなんだろうね。」

「「「「「「「「「「……え?」」」」」」」」」」



私の言葉に、エリカさん、小梅さん、梓ちゃん、クロエちゃんを除いた全員が驚いたみたいだけど、この不仲を見せつける事こそがBC自由学園の
狙いなんだよきっと。
偵察に来たメンバーが、学校の不仲のデータを持ち帰れば、普通は其処を突こうとして作戦を考えるから、逆に言うのなら、嘘のデータを渡してし
まえば作戦その物を瓦解させる事が出来るんだよ。
事前の情報操作で相手を混乱させる……中々の一手だったよ。



「隊長さん、なんでそう言いきれるんだい?」

「簡単な事ですよお銀さん。
 ハッキリ言って、BCのエスカレーター組と受験組の対立は常軌を逸脱していると思うんです……如何に仲が悪かろうと、抽選会の様な場でイキ
 ナリ言い争いを始めるとか無いでしょう?」

と言うか、あんな場所で問題起こしたらそのまま退場で大会の出場停止もあったかも知れない訳だしね……そうならなかったのは、BCが事前に
大会組織委員会に許可を取っていた事を意味してるんだよ。
だから、BCの内部分裂は自作自演の虚構に過ぎない……そして、私はその虚構に陥る間抜けじゃない……寧ろ、そっちがそう来るって言うなら
こっちも相応の対応をする、其れだけだからね。

だけどそれ以上に大事なのは試合のオーダー。
お銀さん達『サメチーム』が参戦してくれたおかげで、大洗の保有戦車は11輌になった訳だけど、大会の一回戦と二回戦は使用可能戦車数が十
輌だから、一輌がオーバーしちゃうんだよね……サメチームには経験を積んで貰いたいから出場は確定として、他のメンバーは取り敢えずベンチ
って言うのがベターだろうね。

そんな訳で、一回戦はバックアップに回って貰えるかな猫田さん?



「任せるにゃ……全力で支援するよ。」

「任せる桃!!」

「安心して欲しいだっちゃ♪」



うん、良いノリだね。
だけど、そのノリは大事なモノだから忘れちゃダメだよ――ノリは、戦車道に於ける重要なファクターだからね。アンツィオじゃないけど、ノリと勢い
は意外と馬鹿に出来ないからね。

何にしても、此れで準備は整ったから、後は試合で戦う其れだけだからね……無限軌道杯の最初の相手であるBC自由学園、私の戦車道がドレ
程のモノであったかを教えてあげるよ!!
何よりも、この程度の裏技で私を攻略出来ると思ってるのは、普通にムカつくしね。

貴女には、隻腕の軍神の力が如何程だったのか、其れをその身で味わって貰うとするよ――BC自由学園戦車隊隊長マリー……余裕ぶっこいて
た奴が慌てる様が目に浮かぶよ。

そして覚えておくと良いよ、無限軌道杯を制するのは、私達大洗女子学園だって言う事を!!
この大会も制覇して、大洗女子学園の戦車道の底力ってモノを、改めて世間に知らしめてあげるとしようかな……大洗女子学園を廃校にしような
んて考える輩が二度と現れないようにする為にもね。

取り敢えず一回戦……全力で行くよ皆!!大洗……



「「「「「「「「「ファイ、おーし!!」」」」」」」」」



私が率いる大洗に隙は無いからね……BC自由学園の人には悪いけど、勝つのは私達大洗だよ!……優勝旗は絶対に誰にも渡さないからね!
其れじゃあ、イザ行こうか無限軌道杯の一回戦にね!!










 To Be Continued… 





キャラクター補足