Side:みほ


夏休み前の期末考査は……中間考査に続いて、青子さんが500点満点で、堂々の学年トップの栄誉に輝いたね?――丸暗記恐るべしだよ。
で、学年別では、2位以下は戦車道部の面々が独占してるから、此れはもう何とも言えないね?



「言えないんじゃないの?
 特に隊長が、トップにわずか5点差の2位だったって事を考えれば半端じゃないのは明らかだからね…頭脳的にも、結構チートよねみほは。」

「流石の隊長だわ♪」



褒め言葉と受け取っておきます、ナオミさん、つぼみさん。
でも、恐るべきは、青子さんのスタミナだよね?――二徹位だったら普通に普段のテンションを保ってるって、其れは普通はありえない事だよ。
普通だったら過労死レベルだけど――



「だが、アタシは生きていた!!異論あっか、隊長?」

「無いです。」

青子さんなら大丈夫だよね♪
問う訳で、夏休みに入ったら、即時黒森峰との合同合宿があるので、その心算で――きっと、合宿であっても、お姉ちゃんは手を抜く何て言う
事は絶対にしないだろうからね。



「黒森峰との合宿、良い経験になりそうね?」

「これでアタシ等のレベルアップは間違いねぇだろ!」

「徹底的に研究して、来年こそは勝たせて貰わないとね。」



うんうん、その意気だよ皆♪
黒森峰も、準決勝で苦戦した相手との合宿って事で(主に逸見さんが)気合入ってるだろうから、互いに良い経験になるのは間違いないしね。












ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer18
『いざ、合同合宿の始まりです!!』











Side:エリカ


夏休みに入っての今日からは、西住流道場で、明光大付属の面々との合同合宿だったわね。
西住流の本家で、隊長と一緒に合宿が出来るなんて夢の様だわ!――しかも、合同合宿だから、隊長の妹も一緒ってのも、ある意味では嬉
しい事ではあるわね。
大会で、過去の雪辱を果たしたとは言え、マダマダ実力的にはあの子の方が上なのは間違いない……だけど、自分よりもレベルの高い相手
と一緒に訓練するのは、自分のレベルを引き上げるのには最高の方法ですもの。



「揃っているな、諸君?」

「其れでは此れより、明光大付属中学校と黒森峰付属女子中学校の合同合宿を執り行います。」



で、全員が揃って此れより合宿開始。
合宿場所である西住流道場には一番乗りする心算だったんだけど、略同じタイミングで小梅と、明光大の青パンターのクルーがやって来て、残
念ながら一番乗りとは行かなかったのは残念だったわ。
……尤も、青パンターのクルーの馬鹿そうな黒髪が、私よりも先に門の中に足入れて『勝った』とか抜かしやがったのには、ちょっとカチンと来
たけどね。まぁ、アイツも悪い奴じゃないんだろうけど。

にしても、隊長と西住みほ、西住姉妹が揃うと物凄く華があるわね?
凛とした隊長と、大人しそうだけど芯の強そうな西住みほ……其れが揃うと、華やかな上に物凄く戦車乗りのオーラが満ち溢れてるのだから。

もしも隊長と西住みほが同じチームになったら、恐らく誰も勝つ事は出来ないんじゃないかしら?
剛の隊長と、柔の西住みほの組み合わせは、間違いなく中学最強だと思うし、ともすれば高校戦車道界隈でも無敵街道を貫き、大学戦車道を
相手に回しても互角の勝負をしてしまうかもしれないのだから。



「では合宿に先駆けて、先ずは互いに普段どんな練習をしているのかを把握しておきたいと思う。」

「明光大は黒森峰の、黒森峰は明光大の練習を見るという事で――なので、早速行いたいと思います。皆さん準備をお願いします。」



で、早速合宿の訓練開始ね。
互いにどんな練習をしているのかを知るって言うのは、確かに合同合宿を行うに当たっては必要な事よね?――それによって、合宿での訓練
内容も決まって来る訳だからね。

ま、そう言う事なら何時も通りやらせて貰うだけよ――黒森峰は、実戦ありきの模擬戦主体の訓練だからね。

実戦に勝る経験なし!!――ぶっちゃけて言うなら、小梅と組めば、隊長が相手じゃない限り訓練で負ける気がしないわ!!
準決勝では苦戦を強いられたけど、私達が普段どれだけ激しく厳しい訓練をしているのかという事を知ると良いわ明光大付属の面々!!!

貴女達も相当に厳しい訓練をして来たのだろうけど、黒森峰の訓練は、ともすれば『いっそ殺してくれ』って言いたくなる程にハードだからね?
其れに恐れ戦くと良いわ――!








――――――








Side:まほ


という訳で、先ずは互いの訓練を披露して貰った訳だが、実戦ありきの黒森峰に対して、明光大は私が思いもよらなかった方法で訓練をしてい
たみたいだ。

実戦的な模擬戦は当然だが、其れとは別に、ボードゲーム的な要素を取り入れた訓練と言うのは、私から見ても斬新で見る所があるよ。
対戦相手夫々に勝利条件を定めて、行動の成否をダイスの目にゆだねる事で、決まった状況を発生させない……そして、ダイスロールの結果
で、如何動くかを各自に考えさせる……悪くない訓練方法だな此れは。

実戦とシミュレーションを併せた独特の訓練。
此れが、明光大全体の被弾率の低さと、隊員個々の『自分で考える力』を鍛えて、準決勝まで伸し上がらせ、我々を追い詰めたという訳か。

……模擬戦で、みほと違うチームになった隊員の諸君には、少しばかり同情してしまったがな。確かに、アノみほを相手にすれば回避率は嫌でも上がりそうだ。

「さて、双方の普段の練習を見た訳だが、如何だった?互いに参考になる部分があったと思うのだが。」

「意見があれば、遠慮なく言って下さい。」

「意見と言うか、明光大の隊長に質問です。
 ボードゲームを使ったシミュレーションは、非常に面白いと思いましたが、矢張り実戦的な訓練の比重を増やした方が、より効率よく地力の底
 上げが出来ると思うのですけれど……」

「それは、何と言うか此方の学校の事情が大きいですね。
 黒森峰と違い、明光大は陸の学校なので演習場があまり大きくなく、一度派手に壊れると次の日は使えないんです。
 加えて、保有車両が大会で使える10輌ピッタリしかないので、整備等で戦車が動かせない事もありますので、それ等を総合的に考えるとア
 レは絶対に外せない訓練なんですよ。」

「成程、そう言う事だったんですね。納得しました。」



学校側の事情もあったか。
まぁ、確かに10輌キッカリしかないのでは、整備や修理をしていたら代わりの戦車がない訳だから実践訓練は不可能だものな?……逆に、黒
森峰は売る程戦車がある訳だから、多少整備中でも他の車輌で補えるからね。

尤も、その環境が結果的に明光大を強くした訳だが。



「アタシは、黒森峰は逆にこう言う訓練した方が良いんじゃねーかと思うんだよな~?
 地力ではアタシ等を上回ってたのに、略互角の戦いになったって事は、この間まほ姉ちゃんが言ってたみてーに、個々で考えて動くのと、想
 定外の事態が起きた時への対処が苦手だったからだろ?
 つか、さっきの模擬戦見てても、まほ姉ちゃん以外で、自分の考えで動けてたのってパンターに乗ってた銀髪とモジャ髪くれーだったし。」



彼女は確か、みほのパンターの装填士だったか?
確かに、黒森峰でもあぁ言うシミュレーションは大切だと私も思ったよ。
実戦訓練も大事だが、あのボードゲームシミュレーションは、行動の成否がダイスによって決められるから先が読めない。それ故に、その場で
の咄嗟の判断をしなくてはならないからね。
しかし、銀髪とモジャ髪と言うのは、逸見と赤星の事か?……まぁ、間違ってはいないが。



「ちょっとアナタ、其れって私と小梅の事かしら?」

「ん?あぁ、そうそう!オメーと、そのモジャ髪の事。てか、今ので分かるとか鋭いな銀髪?」

「黒森峰で銀髪なんて私しかいないし、天パだって小梅しかいないわよ!って言うか、銀髪言うな!私は逸見エリカよ!!」

「赤星小梅です!合宿始まる前に、全員自己紹介しましたよ?」

「ワリー、半分聞き流してた♪」

「なら改めて覚えなさい!
 因みにだけど、そのネーミングセンスで行くと、アナタ自分のチームメイトにはどんなあだ名をつける訳?」

「ナオミが短髪、つぼみが赤毛、みほは……軍神以外に何かあるか?」

「「ない。」」

「え~~~~?」



此れは、何とも場が和んだね?
緩みすぎるのはダメだが、気を張り過ぎていても良い事はないからな――特に、黒森峰は規律が厳しいから、どうしても態度が固くなりがちな
んだが、如何やら今ので適度に解れたらしい。
しかし、みほが『軍神』とは、確かにピッタリかも知れないな。本人的には、許容しがたい物みたいだが。

さて、少々脱線してしまったが他に意見はないか?遠慮はいらないから、意見があったらどんどん言ってくれ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



ふむ、矢張り出た多くの意見が、黒森峰の個々の考える能力と想定外の事態への対処能力の低さ、明光大の地力の低さを指すモノが殆どだ
ったな。
となると、この合宿は実戦訓練だけでなく、あのボードシミュレーションも取り入れた方が良いだろうね。
黒森峰を交えての実戦訓練で明光大の地力を引き上げる事は出来るし、シミュレーションで黒森峰の弱点を鍛える事が出来るだろうからな。
基本は其れで如何だろうか、みほ?



「うん、其れで良いと思う。
 だけど折角だから、実戦訓練の方はただ模擬戦をするだけじゃなく、部隊編成は変えないで互いに隊長だけ交換とか、明光大と黒森峰の1
 年生チームvs明光大と黒森峰の2・3年生チームの模擬戦とかもアリだと思うよお姉ちゃん。」

「あぁ、其れは確かに面白そうだな?
 特に隊長の入れ替えは面白そうだ。隊長が変わったら、部隊の動きがどう変わるのかと言うのも知っておいて損はない事だからね。」

取り敢えず、今後の方針は決まったが、今日の午後は如何する?
午前中に互いに何時ものやり方とは言え模擬戦を行ってしまったから、午後に改めて模擬戦と言うのも如何かと思うし、シミュレーションを行う
にしても準備が出来ていないからな……



「だったら午後はフィジカルトレーニングだよ。
 良い機会だから、合宿参加者に『西住流フィジカルトレーニング』をやって貰うのも良いんじゃないかな?」

「んな、西住流フィジカルトレーニングって本気かみほ!?」

「本気だよお姉ちゃん。
 何より、この合同合宿は『強化合宿』でもあるんだから、普段通りの練習をしてただけじゃ、大凡『強化』にはならないだろうからね。」



其れはそうかも知れないが、アレをやらせるのは幾ら何でも気が引けるんだが……言い出した以上、みほは絶対に退かないだろうな。
どうやらみほは、やるとなったらトコトンやる主義だったか――こんな言い方は如何かと思うが、我が妹は軍神であると同時に鬼だったらしい。

取り敢えず、死人が出ない事を祈っておくか……








――――――








Side:みほ


という訳で、午後のフィジカルトレーニング終了。
訓練を終えて全然へっちゃらなのは私とお姉ちゃんと青子さん。肩で息してるけど、激しい運動の後位で済んでるのがナオミさんとつぼみさんと
近坂部長。黒森峰では、逸見さんと赤星さん。

それ以外は――



「「「「「「「「「「⊂((。。⊂))」」」」」」」」」」



死屍累々。
情けないなぁ、此れ位で根を上げてちゃ、明日からの合宿は乗り切れないよ?



「無茶を言うなみほ、ある意味で拷問レベルとも言える西住流のフィジカルトレーニングを行き成り熟せるほうがおかしいんだ。
 私達は幼い頃から行って来たから慣れてるとは言え、そうでない者達に対してはこのトレーニングは劇薬以外の何物でもない……寧ろピン
 ピンしている辛唐さんに驚きだ。
 もっと言うなら、KOされなかったメンバーが5人もいた事に驚きだよ。」



ほえ?そう言うモノなんだ。
私的には此れ位は普通だって思ってたから、正直な事を言うと明光大でのフィジカルトレーニングは可也抑え気味だって思ってたんだよ?
だけど、一般的は此れって可成りのハードトレーニングだったんだね……其れは其れでカルチャーショックだけどね。

でも、多分皆すぐ慣れるんじゃないかな?
フィジカルトレーニングでくたばってたらその後の訓練なんて出来ない訳だし、そうなったら合宿の意味がなくなっちゃう訳だからね。



「其れに関しては同意するが……改めて、自分がどれだけの事をして来たのか、改めて実感させられてしまうなこの光景は。
 しかし今日は此処までだろう?動ける者が8人だけでは如何にもならん――今日は此処で打ち切って、明日からに備えるべきじゃないか?」

「其れは、そうだね。」

こんな状況じゃ、これ以上の訓練は出来そうにないからね。
それじゃあ、本日の訓練は此処までとします。西住道場の大浴場を解放して貰ってますので、其処でしっかりと疲れを取って下さい――明日か
ら、本格的な合宿が始まりますので。








――――――








Side:エリカ


西住流フィジカルトレーニング……其れがまさか、アレ程とは予想外だったわ。
手始めに10kmのランニングから始まって、腕立て・腹筋・スクワットを夫々500回ずつ行ってから、持久力を鍛える為に1時間のシャトルラン。
此れだけでも相当だって言うのに、其処から更に綱登りや雲梯運動なんかを熟した訳だから、殆どの参加者がKOされたのは当然だわね。

其れを熟してケロッとしてる隊長と、西住妹は凄すぎよ。
特に西住妹は、腕立てや綱登りも片腕で熟してた訳なんだから……あの子が、ドレだけのレベルに居るのかって言う事は想像もできないわ。

間違いなく、私や小梅では敵わない次元に居るのは間違いないけれど……この合宿で抜く事は出来なくとも、差を極限まで縮めて見せるわ!


と、決意を新たにしたんだけど、疲れた身体にこの温泉はしみるわね~~~。
西住流の大浴場って事で期待はしてたんだけど、これ程の温泉があったとは驚きだわ。――何で、大浴場が露天なのかはこの際突っ込まな
いけどね。



「今日はお疲れ様でした。」

「うぇい?」

って、西住妹!!いつの間に。
まぁ、確かにお疲れだったかもしれないけど、おかげでやる気が出て来たわ……此れ位熟す事が出来なきゃ、この先何があっても何も出来な
いでしょうからね。

じゃなくて、何でアンタがこっちにいるのよ?
アンタのお仲間はあっちよ?来るところ間違えてんじゃない?



「間違ってないよ。
 準決勝の後から、ずっと逸見さんと赤星さんとは一度お話ししたいなって思ってたの。――準決勝での2人との戦いは、凄く楽しかったから。」

「楽しかった……ですか?」

「うん、楽しかった。
 正直な事を言うなら、大会の1回戦と2回戦は、本気で戦ったけど面白くなかったんだ、勝てるって確信していたからね。
 だけど、準決勝で遊撃隊を務めてた逸見さんと赤星さんとの戦いは本気で戦って、其れで面白かった――お姉ちゃん以外に、此れだけの戦
 車乗りが居るんだって言う事に喜びを覚えたよ。」



ったく、こっちは結構一杯一杯だったってのに、アンタは其れを楽しんでた訳か……勝てない筈だわ。
だけど、一杯一杯だったとは言え、私もあの戦いは楽しいと思えたわ――小梅もそう思うでしょ?



「はい、あの戦いでは、結果としては撃破されちゃいましたけど、凄く楽しかったです。
 其れに撃破された悔しさよりも、もう一度みほさんと戦いたいって言う思いの方が強かったんです――正直な事を言うと、ワクワクしました。」

「そうなの?」



そうなのよ西住妹。
小梅が感じた事は、私が小学校の時に感じた事でもあるのよ?
アンタとの戦いは、負けた悔しさよりも、また戦いたいって言う思いが強く残るのよ……其れがあったからこそ、私は雪辱を果たす事が出来たと
いう訳なんだけどね。

何にしても、此の強化合宿でアナタと一緒だった事は、私にとっては嬉しい事だわ。
この合宿で、私はアナタを超える事が出来るかも知れない訳だからね――否、超えて見せるわよ西住妹!アナタには、負けたくないからね!



「私も、この合宿で越えさせて貰いますよみほさん?」

「其れは楽しみだよ、逸見さん赤星さん。
 だけど、出来るかどうかは兎も角として、その意識が一番大事な事だよね?――自分の限界を突破する意思がなかったら、絶対に伸びる事
 は無いと思うからね。」

「言うじゃないの。」

だけど、其れは真理よね。
限界を突破する意思がなければ成長は望めないのは間違いない物ね……或いは、西住妹は自然と意識をそっちに向ける事で明光大を急成
長させたのかも知れないわ。――多分、間違ってないはずよ。

西住みほ……此れだけのライバルと出会えたって言う事は、神様に感謝しても良いかもしれないわ。



「逸見さん。」

「って、何よ、西住妹?」


「炎が……お前を呼んでるぜ。」

「なら燃え尽きろ……潔くな!」

って、思わず返しちゃったけど、よくもまぁこんなゲームネタ知ってたわねアナタ?……中々、ユーモアも通じるみたいね?そう言うのは嫌いじゃ
ない――寧ろ、好きよ。

改めて、合宿中、色々と世話になるけど、宜しくね西住妹。



「はい、此方こそ宜しくお願いしますね、逸見さん、赤星さん♪」

「よろしくお願いしますね、みほさん♪」



合縁奇縁か、其れは分からないけど、新たな縁が生まれたのは間違いないわね――この合宿、思った以上に面白い物になるのは確定だわ。
この合宿が終わった時に、それだけ自分が強くなっているのか……其れを考えただけでも、ワクワクして来たわ!!









――――――








Side:まほ


さて、合宿1日目は無事(?)終わって、各々宛がわれた部屋で過ごしている事だろう。
かく言う私も、隊長同士という事でみほと同室になってマッタリと過ごしているのだが――と言うか、一緒の部屋で過ごすなど随分久しぶりだ。

そう言えばみほ、明光大の戦車の整備は誰がやっているんだ?黒森峰には整備課があるんだが、明光大にはないだろう?



「其れについては心配ないよお姉ちゃん。
 戦車道チームの子の中に、両親が整備関係の仕事をしてる人が居たから、戦車の整備は其処に一任してるの。だから、整備面では問題は
 ないよ。」

「そうだったのか。……ミラクルな偶然だが、親が整備関係とは、誰なんだ其の子は?」

「Ⅲ突B車の車長の『東雲椿姫さん』だよ。
 午前中の訓練の時に『おんどりゃぁぁぁぁあ!!』って、絶叫してたあの子。」



あぁ、あの子か……印象が強烈だったから、よく覚えているよ。――如何やら、私が思っていた以上に、明光大の整備環境は整っている様だ。
だからこそ、この合宿でどれだけ伸びるかが楽しみで仕方ない。

安斎以外で現れた、私の新たなライバル――其れには、是非とも強くなって貰いたいものだからな?……期待しているぞ、みほ。



「勿論、その期待には応えるよお姉ちゃん――来年を楽しみにしておいて。」

「あぁ、楽しみにしておこう。」

願わくば、黒森峰の一強時代を終わらせてくれる事を願って居るよ――一強時代が長く続いたら、其れは競技の衰退を招きかねないからな。
この合宿で、明光大が更なる躍進をしてくれる事を願わずにはいられない――彼女達は、中学戦車道に新たな息吹を吹き込んだのだからね。

強化合宿でドレだけ強くなるのか、見せてもらうとするよ明光大戦車道チームの皆さん♪











 To Be Continued… 




キャラクター補足




東雲椿姫
明光大付属中学の1年生で、Ⅲ突B車の車長を務める少女。
普段は物静かだが、いざ戦いとなると性格が豹変して、可也好戦的な性格となる。戦闘中の口癖は『おんどりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!』である。
両親が整備関係の仕事をしている事で、明光大の戦車の整備は彼女の実家が一手に引き受けている。