Side:エリカ


まさか、此の土壇場で伝説の青パンターチームが再結成されるとは夢にも思ってなかったわ。
中学戦車道を席巻した伝説のチームが再結成された以上、私達が負ける要素は、1%もなくなったわ!――隻腕の軍神が最高のパフォーマンス
を発揮出来る面子が再集結したのだからね!



「伝説の青パンターチーム……確かに凄い面子が揃ったって言うのは分かるんだけど、そんなに凄いのエリリン?」

「凄いなんてものじゃないわよ沙織。
 みほ、ナオミ、青子、つぼみが揃った青パンターチームは、中学時代に1年生の頃から隊長車を務め、公式試合で負けたのは1度だけ。
 其れも、1年の時に大会の準決勝で黒森峰の中等部を相手にして、最後の最後で倒れてきた木を避けようとしたから負けたって言う、完全に運
 が無かったとしか言いようがない理由での負け。
 アレが無かったら、多分黒森峰は負けてたわ。」

「うっそ、マジで!?」

「大マジよ。」

で、翌年の大会では準決勝で黒森峰を破った安斎さん率いる愛和学院を下して優勝し、その次の年は私が隊長を務めた黒森峰と引き分けての
ダブル優勝。
西住本家で行われた明光大付属中と黒森峰中等部の合同合宿での模擬戦でも無敗……あの青パンターチームは、正真正銘の最強チームって
訳よ。



「すご!っていうか、黒森峰を下した愛和学院も凄くない!?隊長の安斎さんって何者!?」

「今のアンツィオの隊長。」

「うっそーーーーー!?」

「ま、その反応が当然よね。」

ともあれ、あの青パンターチームは言い方は悪いけど規格外の化け物チームって訳――だから、通信士として残る貴女も頑張りなさいよ沙織?
あの面子が揃った状態のみほは、ハッキリ言って全国大会の時の倍は凄いから、尋常じゃない速さで指示が飛んでくると思うからその心算でい
た方が良いわ。



「何時もの倍って本気で!?やだもーーーー!!」

「はい、名台詞頂きました~~。」

結成するのは2年ぶりで、それぞれが別の学校で個々の能力を磨いて来た事を考えると、嘗ての様な連携をとるのは難しいって考えるのが普通
でしょうけど、あのチームに限っては其れは当て嵌まらない。
寧ろ、中学時代よりも遥かに凄い力を発揮してくれる、そう思えてならないわ。









ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer155
いざ、大学選抜戦!本気で行きます!










Side:みほ


予想外の援軍には驚いたけど、此れで車輌数の不利は無くなったから、作戦も立てやすくなったよ――こっちの戦車はモノの見事に統一感が無
いけど、逆に夫々の個性を生かした戦術を執る事が出来るって事を考えれば、切れる手札は大学選抜チームよりも多いと言えるね。

そんな訳で試合前の作戦会議。
参加するのは私と梓ちゃんとエリカさんと小梅さん、其れから援軍に駆けつけてくれた各校の隊長さん達……改めて見てみると、戦車道ファン垂
涎の豪華な面々だよね此れ。



「豪華極まりないと思います西住隊長。
 今年の高校戦車道大会に出場した学校の隊長陣は、戦車道ファンの間では『黄金世代』って言われている位言われてる位ですから。」

「黄金世代とは、随分だね?」

でも確かに其れは言えてるかも。
私は無名の大洗女子学園を優勝させたし、お姉ちゃんは常勝不敗の絶対王者黒森峰の隊長、ケイさんは相手がどんな姑息な手を使って来たと
しても、あくまでフェアプレイを貫いた上で勝つし、ダージリンさんは相手の策に付き合う事無くスマートに勝利を収める隊長で、カチューシャさんは
一見暴君に見えるけど、その実は誰よりも仲間の事を考えて、その仲間の為に勝利を手にしようとする勝利に貪欲な戦車乗りだし、エクレールさ
んは、伝統に固執してたマジノの改革を成功させて、マジノの新たな戦車道を切り開いた革命家、ミカさんはトリッキーな戦術で黒森峰とも互角に
戦う事が出来るし、西さんは大会後にクーデターを起こしてまで知波単の改革に乗り出した傑者、アンチョビさんに至っては、お姉ちゃんが唯一己
のライバルと認めた実力者であると同時に、壊滅状態だったアンツィオの戦車道を立て直した上に、今年の大会では改革直後のマジノを下したっ
て言う凄腕隊長だからね……戦車道ファンが黄金世代って言うのも納得出来るよ。

でも、だからこそ、その黄金世代が集結したこのチームで大学選抜チームに負ける訳には行かないね!何よりも、大洗女子学園の命運は、私達
にかかってるんだから!!



「そうだな、必ず勝たねばならない試合だ。
 だが、相手は社会人のプロチームですら倒してしまう大学選抜チーム……しかもその隊長は、島田流の後継ぎと来ている――確実に実力では
 向こうの方が上だが、如何戦う大隊長?」

「お姉ちゃん、大隊長って!?」

「大洗女子学園の戦車隊の隊長はお前だろうみほ。
 ならば、このチームの大隊長にして総司令官はお前だ。」



そ、其れは確かにそうなんだけど、このそうそうたるメンバーの大隊長って言われると、流石にちょっと緊張するかな?
でも、確かに大洗の隊長は私だから、短期転校って裏技を使って、助っ人に来てくれた皆が大洗女子学園の生徒になってる以上、私が大隊長を
務めるのは道理だね。
なら、大隊長としての責務をキッチリ果たさないと!

では、まずチームの編成ですが、部隊を3つの中隊に分けます。
私とアヒルチームとカモチームとレオポンチームとアリクイチームに、ダージリンさん、ルクリリさん、麻子さんがつぼみさんの代わりに操縦するクル
セイダー、アンチョビさん、ミカさんの第1中隊。
第1中隊の隊長は私が勤めますが、副隊長をお願いしても良いですかダージリンさん?



「其れは光栄だけれど、アンチョビさんやミカさんが副隊長でなくてもいいのかしら?」

「アンチョビさんとミカさんには、場合によっては別行動をお願いする事があるかも知れませんので、そうなった時には副隊長の務めを果たす事が
 出来なくなってしまいますから、其れを考えるとダージリンさんが副隊長として最適なんです。」

「成程ね……なら、そのラブコールには応えないと。副隊長の任、拝命させて頂きますわみほさん。」

「はい、頼りにしてます!」

続いて第2中隊は、ライガーチームととカバチームとカメチームに、お姉ちゃん、カチューシャさん、ノンナさん、クラーラさん、ニーナさん、直下さんと
狭山さんの第2中隊。この中隊の隊長は、お願いして良いかなお姉ちゃん?



「その大任、謹んで承ろう大隊長殿。」

「ちょっと待ちなさいよ!なんでカチューシャが隊長じゃないの!」

「カチューシャさんには副隊長をお願いしたいんです。其れが、此の部隊のポイントでもあるので。」

『船頭多くして船山に上る』との言葉があるように、隊長が多くてもいい結果は生まれませんが、普段は隊長を務めている優秀な戦車乗りが副隊
長となった時には、途轍もない力を発揮してくれるんじゃないかと思いまして……その役目を任せられるのはカチューシャさんしかいないと思って
カチューシャさんには副隊長になって貰いたかったんですよ。



「そう言う事なら仕方ないわね!
 同士であるミホーシャにそう言われたら断る事は出来ないわ!隊長じゃないって言うのはちょ~~~っと不満だけど、ミホーシャがそう言うのな
 ら、副隊長で我慢してあげるわ!」

「……分かり易い程に単純ねカチューシャ隊長は……」

「こんな言葉を知っている?『本質を見極めた人はシンプルに考える』。」

「LINEの社長だった森川亮さんだね?……其れが絶対的に正しいとは思わないけれど、一つの正論であるとは評価できるかな。」



正しいとは思えないけど、正論として評価できるってどっちですかミカさん……取り敢えずカチューシャさんが納得してくれたみたいなので、第2中
隊はOKと。
第3中隊はウサギチームとオオワシチームに近坂先輩、ケイさんとアリサさん、其れから華さんが乗り込んだファイアフライ、西さん、玉田さん、福田
さん、エクレールさんで。
第3中隊の隊長はケイさんにお願いします。



「OK、任されたわみほ!其れで副隊長は?」

「逆に聞きますけど、ケイさん的には誰が副隊長だったら一番やり易いですかね?」

「其れは勿論アズサよ!
 リンもキヌヨもエクレールも、勿論優秀な戦車乗りではあるけれど、アナタの一番弟子であるアズサが私的には一番やり易いって思うのよね。
 貴女の副官として成果を上げたアズサなら、きっと最高の副隊長を務めてくれると思うし?」

「あの、私で良いんでしょうか?」

「ケイ殿は、貴女で良いんじゃなくて、貴女が良いと言ったのです澤殿。
 私でも、エクレール殿でもなく、自分の中隊の副隊長は澤殿が良いと仰ったのです!ならば、其れには応えるべきであるかと!」

「西さん……はい、そうですね!ケイさん、副隊長務めさせていただきます!」

「OK、Great!」



梓ちゃんの実力は疑いようもないけど、ケイさんが副隊長に任命する程だったとは――冗談抜きで、此れは嬉しい事だよ。ケイさん程の戦車乗り
が、梓ちゃんを副隊長に選ぶって言うのは相当だからね。



「さて、これでチーム分けは完了した訳だが、各中隊の名称は如何する?」

「私が『タンポポ』、お姉ちゃんが『ひまわり』、ケイさんが『アサガオ』で如何でしょう?」

「花の名前、其れも特別可憐な花ではなく、誰もが知っている花の名前と言うのは分かり易くてよろしいのではないかしら?
 大洗のチーム名に通じる親しみ易さも、私達大洗連合軍にはピッタリだと思いますわ、みほさん。」

「Excellent!良いと思うわみほ!其れで行きましょう!皆も其れで良いわよね?」

「はい、異論はありません!」

「ちょ~~っと迫力がない気もするけど、複雑で覚えにくい名前を付けられるよりも遥かに良いわ!其れで行きましょう、ミホーシャ!」

「名前など、所詮は記号に過ぎないが、このセンスは悪くない。同意させて貰うよ。」

「おい、こう言う時くらいは普通に賛同するもんだぞミカ?あ、私は異存はないぞみほ!」

「分かり易く、かつ呼びやすい部隊名、良いと思いますわみほさん。」

「満場一致だな。」

「うん、其れじゃあ各部隊名は此れで。続いて作戦なんですが……」

手札が増えた事で取れる戦術の幅は大きく広がったし、大学選抜チームが島田流を基本のドクトリンだとした場合の戦術は99%出来上がってる
んだけど、大学選抜チームの2輌のシークレットが不安要素なんだよね?
エリカさん、此の試合の直前に認可された新たな戦車って何が有るか分かったかな?



「ダメね、分からないわ。
 連盟の公式ホームページを調べてみたけど、『使用可能戦車一覧』の中に、Newマークの付いてる戦車は無かったわ――だけど、あの銀髪モノ
 クルが大学選抜が有利になるように仕向けない筈がない。
 恐らくだけど、試合が決まった時点で何らかの強力な車輌を大学選抜側に引き渡しておいて、連盟のホームページの更新が間に合わない様な
 試合ギリギリのタイミングでその車輌を認可した可能性は高いわよ。
 戦車道に使える戦車の認可を行ってるのは、文科省なんだから、あのクソオヤジなら其れ位の腹芸は朝飯前だと思うし。」

「ヤッパリ分からないか……エリカさんのその仮説は、多分花丸の大正解なんだろうなぁ。」

机上の空論でしかないラーテやモンスターも、固定砲台として使って使えない事は無いから、細かい狙いを付ける事を度外視して、私達の部隊の
上から砲弾が降るように攻撃すれば、其れはとても強力な攻撃手段になるからね。
流石にそんな物が2輌とは考えられないから、シークレットの1輌は真面に使える戦車だとは思うんだけど、相手の全戦力が明らかじゃないのなら
ば、其れを明らかにするための作戦を立てた方が良いよね。



「態々シークレット車輌を用意して来るなんて、きっと自信がない証拠よ!
 そんな連中なんて恐れる事ないわ!3つの中隊で包囲して、3方向からの波状攻撃で一気にやっつけてやりましょ!」

「いいえカチューシャ、此処はひまわりとアサガオで両脇からプレッシャーをかけて、タンポポが中央から攻めるのが良いんじゃないかしら?
 3方向からの波状攻撃よりも、左右からの挟み撃ちの方が相手部隊を横に長く展開させられるから、結果として隊長車の前後の守りが手薄にな
 ってしまうと思うから。」

「此れだけの戦力が揃っているのですから、その戦力を最大限に生かして、全軍正面からの突撃が有効ではないかと!!」

「有効な訳ないだろ馬鹿!そんな事をしたら速攻で返り討ちに遭うぞ!
 此処は矢張り、シークレット車輌を明らかにするためにも、各中隊から小回りの利く戦車を選抜して、偵察用の小隊を結成するのが良いと思う。」

「其の案は悪くないぞ安斎。
 だが、此のチームでは偵察用小隊の存在を紛らわす事の出来る堅くて強い戦車がそれほど多くないのが難点だが……其処は戦術と腕か?」

「アンチョビだ!!
 オイ、ミカは如何考える?」

「作戦、其れは重要なモノかな?」

「「重要に決まってるでしょう!」だろうが!!」



ミカさんの毎度の物言いに、思わずアンチョビさんとシンクロ……レベル4のアンチョビさんに、レベル4の私をチューニングって言う感じのシンクロ
召喚だったね。
あの、エクレールさんは何か提案とか有りますか?



「大艦巨砲主義。」

「エクレールさん、貴女が何を言いたいのか分からないよ。」

「冗談ですわみほさん。
 そうですね……相手が未知の戦力を保有している以上は、此方から無理に攻めるよりも、序盤は防衛線に徹して相手のシークレットが何である
 かを明らかにし、明らかになったら其れの撃破を最優先にと言うのが良いと思いますわ。
 無論、その過程で何輌かの味方が撃破される事は考えなくてはなりませんが、其れは勝利の為の犠牲と考えましょう――余り、好きな言葉では
 ありませんが。」

「ボケ倒した後の、真面な意見にちょっとビックリです。」

だけど、出てきた作戦案はものの見事にバラバラで、正に混沌のChaosDimension……此れだけバラバラの意見が出る中で、特定の誰かの戦術
を採用したら、絶対に反発が起きるから、私の作戦と擦り合わせをしつつ、巧く選ばないとだね。



――『CPG設定完了。
    ニューラルリンゲージ、イオン濃度正常、メタ運動野パラメーター更新、原子炉臨界パワーフロー正常、全システムオールグリーン。』




……はい?



「あ、ゴメン私のスマホだわ。」

「エリカさん、何で其れを着信にしたし。」

「着ボイスで見つけたからつい。保志ボイスだしね。」



理由が今一よく分からないけど、試合前のミーティングの時に電話を掛けてくるなんて、相手は一体誰?――このタイミングで電話をかけて来るな
んて、少しどうかと思うんだけど?



「其れは仕方ないわみほ、相手は姉さんだわ此れ。」

「エリカさんのお姉さんって、アールグレイさん?」

「アールグレイ様からお電話ですの!?」



まさか、アールグレイさんから電話が来るとは……エリカさん、通話はハンドフリーでお願いできるかな?
そうすればアールグレイさんの声が、此の小屋にいる全員に聞こえるし、一体何を思って電話をかけて来たのか、その意図を掴む事が出来るだろ
うから。



「勿論その心算よ。
 マイクをスピーカーモードにして……はいはい、試合前のミーティングの時間に何の用なの姉さん?」

『ヤッホー、試合前でも元気そうで安心したわエリちゃん。
 いや~~、さっきの光景は驚いたわ――まさか、名のある高校が大洗の援軍に駆けつけるとは思ってなかったからね~~?此れも、みほちゃ
 んの人徳のなせる業って所なのかしら?』


「さぁね……で、何の用?雑談をしに来たって訳じゃないんでしょ?」

『当然よ。
 とても大事な話があったから掛けたんだけど、エリちゃん今って通常通話モード?其れだったら、皆に聞こえるスピーカーモードにして貰える?』

「……姉さんからの着信があった時点で、スピーカーモード1択でしょう普通に。」

『アハハ、大学選抜のメンバーからの着信があったとなれば当然だよね其れ。
 って、事は私の声は大洗連合の皆に聞こえてる訳だ?お~い、聞こえてるかダージリン?今年の準決勝は惜しかったね……正直言うと、貴女
 がまほちゃん相手にあそこまで食い下がるとは思ってなかったわ。
 負けはしたけれど、聖グロの戦車道を最後まで貫いた見事な試合だったわよ。』


「あ、アールグレイ様!そのようなお言葉を頂けるとは、恐縮です。」



流石のダージリンさんも、先代隊長のアールグレイさんの前では畏まっちゃうんだね……聖グロ史上2人しか名乗った事のないノーブルネームで
あるアールグレイの1人の前では仕方ないのかもしれないけど。
其れでアールグレイさん、大事な話とは何でしょう?



『その声はみほちゃんね?お久しぶり。
 大事な話って言うのは、大学選抜が使ってるシークレットの1つについてよ。――1輌は超絶堅くて超絶強い重戦車なんだけど、それ以上にヤ
 バイのがもう1輌の方なのよ。
 搬入の際にちらっと見えただけだから何であるのかまでは特定できなかったけど、アレは間違い無く普通に考えたら『戦車』には定義出来ない
 車輌だと思うわ。』


「戦車には定義出来ない車輌って……一体何なの姉さん?」

『分からない。
 だけど、あれが明らかに戦車道に於けるぶっ壊れ性能である事は間違いない――だから、その超兵器が設置されているであろう場所をメール
 で送るわ。』




戦車には定義出来ない車輌……そんな物が認可されてるなら、確かに其れは言語道断!
戦車道に、戦車以外の車輌を持ち込むのはルール違反以外の何物でもないし、認可されてるからと言って其れを使って勝った所で、本当の意味
で勝ったとは言えない――真っ先に撃破しないとだね。



『此れがその化け物の居る地点で間違い無いと思う。
 そいつを撃破しに来るなら、私達に連絡を入れて――此れを撃破する為に力を貸してあげるわ。』


「ちょ、そんな事して良いの姉さん!?」

『普通は駄目だけど、其方が来てくれれば偶然を装っての攻撃は可能になるわ。
 混戦の状況になれば、例え味方を誤射しても、混戦故のフレンドリーファイヤーだって言う事も出来るしね――天城も私の案に同意してくれてる
 から、その場所にいる化け物を倒すなら、必ず私か天城に連絡を入れなさい?良いわね?』




了解しましたアールグレイさん。
まさか、スマホを使って堂々の裏切り宣言をしてくるとは思わなかったけど、アールグレイさんのおかげでシークレットの1輌が可成りヤバい車輌だ
って言うのは分かったから、先ずは其れを如何にかするのを最優先にして作戦を立てるのがベターだよね。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



そして考える事3分!此の試合での基本作戦は、此れで行こうと思うんだけど如何かな?



「Great!凄いはみほ、よくもまぁ、こんな大胆な作戦を思いつくモノだわ!隻腕の軍神の名は伊達じゃないわね――大学選抜チームのシークレッ
 トの詳細は明らかではないけど、この作戦なら、其れを明らかにする事が出来ると思うからね。」

「良い作戦だと思うぞみほ。寧ろ状況を考えれば、これ以上の策はないだろう。
 となると、後は作戦名だが、中々にパンチのある作戦なので、『スパイシービーフカレー作戦』で如何だろう。」



――ドンガラガッシャーン!!



「ん?如何したんだ皆揃って?」

「いや、お前のせいだろ西住!何をナチュラルにボケかましてるんだ!!」

「いや、ボケではなく本気だぞ安斎?」

「なお悪いわ!!」

「あはははは……此れがホントの天然ボケって言う奴なのかなぁ?」

作戦其の物は問題なかったみたいだけど、お姉ちゃんが提案した作戦名に私を含めた全員がずっこけた!って言うか、此れはずっこけても仕方
ないと思うようん。
お姉ちゃんがこんなナチュラルにボケをかましてくるとはだれも思わなかっただろうからね。
えっと、他に案はあるかな?



「此処はボルシチ作戦でしょう!!」

「そうか?3つの中隊でやるんだ、3種のチーズピザ作戦だろう?」

「いいえ、此処はフレッシュトマトとシャキッとレタスとカリカリベーコンが美味しいBLTバーガー作戦よ!」

「ハンバーグとマッシュポテト作戦!」

「梅干し、塩鮭、昆布はおにぎりの三種の神器作戦!!」



再び発生したChaosDimension……まさか、エリカさんと小梅さんも参加するとは思わなかったけど、ドレも全部却下!只単純に、自分の好物を作
戦名にしただけでしょう此れは!!
其れは流石に如何かと思うので、私から作戦名を発表します!!
本作戦は『ピンポイントボコボコ作戦』で行こうと思いますが、如何でしょう?



「大学選抜のヤバいのを真っ先に撃破する為の作戦――其れを体現したかのような作戦と作戦名……良いんじゃないかみほ?」

「良いんじゃない?作戦名通りにボッコボコにしてやろうじゃない!!」

「OK!この作戦名でKOね!!」

「良い作戦名だけれど、逆にボコボコにされないように気をつけないとね?」

「だから、なんでお前はそう言う事を言うかなぁ?」

「フフフ、ミカさんらしいと言えば其れまでですわね……其れは其れとして、その作戦名で宜しいかと思うわ。」

「私もダージリン様同様、異論はありませんわみほさん。」

「勝利の為に、先ずは一番の脅威をボコボコにして使い物にならなくする!故にこの作戦名が一番かと!!」

「其れじゃあ、満場一致で『ピンポイントボコボコ作戦』に決定で!」

さてこれで試合前にやるべき事は全てやった――後は試合で大学選抜チームに勝って、大洗女子学園を取り戻して、皆で学園艦に帰るだけ!
大学選抜チームに、何を渡したかは知らないけど、戦車に定義出来ない物を持ち出した時点で、貴方の負けだよ文科省の特別顧問さん――戦車
道の真髄が何であるのか、其れを理解していないんだから。
此の試合で、戦車道が如何言うモノなのかを、確りとお勉強して貰おうかな。










 To Be Continued… 





キャラクター補足