Side:ペパロニ


さてと、今日は週間戦車道の最新号の販売日ってな。
戦車女子としては、この雑誌は外せねぇんだが……おい、この表紙の見出しはマジか?何だよ、『大洗女子学園まさかの廃校決定』って!冗談
にしたって性質が悪いぞ!
大洗女子学園が廃校になるかもってのは聞いてたけど、其れは全国制覇をした事で無しになったんじゃねぇのかよ!!

とりあえず記事を見てみっか……え~と?



『第63回戦車道全国高校会の覇者である大洗女子学園の廃校が、此度正式に決定された。
 もとより同校は、廃校――学園艦なので廃艦が正しいのかもしれないが、とにかくその対象にはなっていた……が、生徒会長の角谷杏は、戦
 車道の全国大会での優勝を条件に廃艦の撤廃を申し出ていたらしい。
 かくして大洗女子学園は、絶対王者黒森峰を下して全国制覇を成し遂げ、廃艦は回避できた――筈だったのだが、ここに来て文科省が大洗の
 廃艦を強行。
 角谷杏との約束も、廃艦を確約したモノではないと言う事でなかったことにしての廃艦を推し進めてしまった……果たして、こんな理不尽な事が
 許されるのだろうか?
 優勝すれば学園艦を守れると信じて戦ってきた少女達に対して、此の所業はあまりにも酷過ぎるのでは……否、酷過ぎるどころか大洗女子学
 園の戦車女子の奮闘を、真っ向から否定するものであり、筆者も憤りを隠せない。
 故に、己の首が飛ぶことも覚悟で、権力の横暴にペンの力で立ち向かわせて貰った……全国の戦車乙女達よ、これは決して許せる事ではな
 い、戦車道の未来の為にも立ち上がってくれ。
 大洗女子学園を、助けてくれ!!』




んだとぉ!!ふっざけんじゃねぇぞごるあぁ!!
アンチョビ姐さん、ちょっと文科省にカチコミかけてきます!!



「どわぁぁぁぁ!気持ちはわかるが落ち着けペパロニ!!
 そんな事をしても何にもならん!むしろ大洗の立場を悪くするだけだぞ!!」

「でも!こんなフザケタ事を見過ごして良いんすかアンチョビ姐さん!!」

「いい訳ないだろう!!
 だが、軽率な事をすれば逆に大洗の廃校を取り消すのは難しくなってくるんだから、今は我慢する時だ――必ず反撃のチャンスはやってくるか
 ら、その時までは耐えるんだ――!!
 私達には、今は出来る事は無いが、聖グロのダージリンならば大洗を救うための一手を考えている筈だから、今は耐えて待つ時だペパロニ。
 だが、その時が来たら思い切り暴れろ……その時のために、力を蓄えておけ!!」

「姐さん……了解っす!!」

今は待つときか……そう言えばみほも、勝つ為には時に待つ事も必要だって言ってたから、今は勝利のために待つ時って事か――でも、その時
が来たら思い切り大暴れさせて貰うぞ!!
其れは多分、サンダースのナオミや、聖グロのローズヒップも同じ思いだと思うからな!!










ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer147
『サバイバル生活も住めば都です』










Side:みほ


廃校での生活が始まって数日。
毎朝の点呼はあるんだけど、風紀委員の人達はすっかりやさぐれて完全にやる気ってモノがなくなってるみたい……これまで風紀委員として、学
園の風紀を守ってきただけに、学校がなくなったって言うのはショックが大きいみたいだよ。

でも、それ以外で何か変わった事があるかと聞かれれば、其れはそんなにないんだよね。
精々皆が私服か学校指定のジャージで過ごしてるか位で、特に変わった様子はない――分かりやすく言えば、学校での休み時間がそのまま行
われてるって言う感じかな?



「まぁ、そんな感じよね?
 廃校が決定したって事でもっと悲観してる生徒が多いかと思ったけど、そんな感じでもないみたいだし……或いは、悲観してもどうしようもないっ
 て、ある意味で開き直ってるのかしら?」

「或いは何とかなると思ってるのかも知れませんよ逸見先輩。」

「何とかなる、か。」

其れは確かに言える事かも知れないね?
思えば、全国大会でも、下馬評的には絶対不利とされてた試合であっても、最終的には何とかなってきたし、其れは戦車道チームの皆だけじゃ
なく、校内新聞で大洗女子学園の生徒全員が知ってる事でもあるから、この状況でも『何とかなる』って考えちゃうのは仕方ないかもね。
尤も、私も何とかなるんじゃないかとは思ってるんだよ――今週の週刊戦車道では『大洗女子学園の廃校』を大きく伝えてくれてたから、戦車道
ファンには、この理不尽な所業は伝わった筈。
勿論、高校戦車道の戦車乗り達の間にもね……聖グロだけは、これが出る前に大洗廃校の情報を掴んでるかも知れないけどさ。



「聖グロならば掴んでいたとしても不思議はありません。
 聖グロの諜報能力は高校戦車道でもトップであると称されている位ですからね……でも、其れは其れとして、この週刊戦車道の記事を見た、み
 ほさんの中学時代の戦友は激怒してるんじゃないでしょうか?」

「吉良先輩はクールに流しそうですけど、野薔薇先輩と辛唐先輩は、怒り爆発で文科省に襲撃かけちゃうんじゃないでしょうか……って言うか絶
 対にやりますよね?」



其れは、否定できないのが悲しいけど、其処は二人が在籍してる所の隊長さんが確りしてるから大丈夫だと思うよ?
ダージリンさんは、常に英国淑女として凛と振る舞う事を身上としてるからローズヒップさんの突撃は止めるだろうし、アンチョビさんは、お姉ちゃん
曰く『ノリは良いが、物凄く常識人』って事だから、暴走するペパロニさんの事は抑えてくれるだろうから。
尤も私としては、襲撃かましてくれても全然OKだけどね……私達の奮闘をなかった事にしようとする文科省なんて存在する価値はない、文科省
死すべし!ドーモ、モンカショウサン、西住みほデス!!って感じだからね。
より正確に言うなら、あの偉そうな白髪モノクル滅殺すべしだけどさ……あの上から目線の物言いには、思い出しただけでも腹が立つ思いだから
ね――全く誰にむかって口をきいてたのやらだね。



「みほ、貴女は文科省の役人より偉い訳?」

「隻腕の軍神ですから。
 そもそもにして、文科省が全力で推し進めてる戦車道の世界大会の組織委員会の顧問を務めてるのってお母さんなんだよ?……その娘に向
 かってあの物言いって言うのはいい度胸だと思わない?
 あのおじさんのやった事は、西住流を敵に回したも同然なんだよ。――まぁ、私の前でアレだけふざけ腐ったことを言ってくれたあの人を許す気
 なんてミジンコの触覚ほどもありはしないけどね。」

「つまり、殆ど滅殺ってことですね、西住隊長?」

「流石は副隊長、理解が早くて助かるよ。」

だからと言って、何かをする訳じゃないけどね……今はまだ動く時でもないしね。
ところで梓ちゃん、ウサギチームの皆は何してるの?



「何をどう勘違いしたのか、サバイバル生活に入っちゃって……クロエは土器を作り始めちゃうし、あゆみと紗季はもっぱら釣り三昧ですよ。
 まぁ、釣果の方は結構いいので、釣れた魚は干物や燻製にしていますけれど。」

「いやはや、ウサギとは思えないくらいに逞しいでありますなぁ?
 いっその事、私の知る限りのサバイバル術を伝授してみましょうか?きっと、どんな環境でも生き抜けるようになるに違いないであります!」

「狩りをして生き抜くウサギって、それじゃあホントにエンブレムの通りの『首狩りウサギ』になっちゃうわよ優花里。」



あはは……梓ちゃん率いるウサギチームは、Ⅲ号の特徴とも言える軽快なフットワークを駆使して、大会で大活躍――特に決勝戦では、遥かに
強力な重戦車を、相討ちを含めて4輌も撃破した事で『大洗の首狩りウサギ』が定着してるからね。

だけど、ウサギチームだけじゃなく、カモチームを除いた全てのチームが逞しいと言えるのかもしれないよ?
カバチームは『戦車将棋』で日々戦術の研究をしてるし、レオポンチームは今のレギュレーション内で、大洗の戦車を改造出来るギリギリのライン
を考えてるみたいだし、アヒルチームは戦車を動かせない代わりに、本領であるバレーボールの練習で、アリクイチームは此れを機に体力を付け
ようと、西住流フィジカルトレーニングの中でも筋力をつけるためのウェイトトレーニングを自主的に行っているからね。
カメチームも、生徒会としての役目を果たしてるからね……ぶっちゃけて言わせて貰うと、河嶋先輩は廃校が決定した状況で、思い切り取り乱す
と思ってたんだけど、そんな事も無くやるべき事をきっちりしてたからね。少し評価を改める必要があるかもだよ。
――って、そう言えば、ここ数日会長さんの姿を見てないような気がするんだけど、エリカさんは会長さんの事見かけた?



「言われてみれば、見てないわね……小梅は?」

「見てませんねぇ?澤さんは?」

「もなずく。」

「梓ちゃん、まさか『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱』の鶴屋さんで返してくるとは思わなかったよ。――因みにアンコウチームの皆は会長さんは……」

「見てないよみぽりん。」

「そう言えばこの所お見受けしていませんね?……何所にいるのかも存じ上げていません。」

「言われてみれば、会長殿はここ最近見てないでありますねぇ?」

「知らん。」



この場に集まった8人もの人間が会長さんの姿を見てないって言うのは偶然じゃないから、会長さんは間違いなく此処には居ないって言う事にな
るんだけど、一体何所に行ったんだろう?
会長さんの事だから、ここからトンズラしてどっかに逃げたなんて事は無いだろうけど、だからこそ何所に行ったのかは気になるよ――誰よりも大
洗女子学園を愛していた会長さんだから、何かをするにしても大洗の事を思ってだろうけどね。

若しかして、逆転のための一手を思いついて、その為に動いてるのかも――だとしたら頼もしい事この上ないよ……大洗の戦車道を復活させ、最
悪の場合は、私とエリカさんと小梅さんを脅してでも戦車道に引き込む覚悟を決めてた会長さんが動いたとなれば、其れは間違いなく大きな一手
となるだろうからね。

どんな手を思いついたのかは分からないけど、頑張ってください会長さん!!








――――――








Side:杏


全国大会を制したって言うのに、廃校にされたなんてのは堪ったモンじゃないから、文科省に直談判して、馳大臣の計らいで白髪モノクル――文
科省に対して絶大な影響力を持ってるって言う(馳大臣から聞いた話だよ)、白神大五郎と会う事が出来た。
ったく、その余裕面が気に入らない事この上ない……nOsの総帥にケンカキックブチかましてほしいくらいだよ。



「おやおや、誰かと思えば廃校が決定した大洗女子学園の生徒会長様ではないか――一体何用かな?私も暇ではないのだがね?」

「大洗女子学園が、戦車道の全国大会で優勝すれば廃校は撤廃になる――文部科学省学園艦局長の辻康太氏は、そう確約してくれました。
 それなのに、此度の大洗女子学園の廃校決定は、明らかな約束の反故であると思うのですが?」

「そんな事か……確かに辻局長はそう言ったかもしれないが、所詮それは口約束に過ぎない。
 確固たる証拠となる書面が存在しない上、口約束は約束とは言えないでしょう?口約束など、後から如何とでも言う事が出来るのですから。」

「口約束も有効だと言うのは、民法第91条と97条で認められている筈ですが?」

「其れは、解釈によりけりでしょう?」

「そうですか……どうあっても、こちらの願いを聞き入れるつもりはないと言う事ですね?」

「人聞きの悪い事を言わないで貰いたいね……大洗女子学園の廃校は、協議の上で決定された事だから仕方ない。
 まぁ、私としても全国制覇を成し遂げた学校を廃校にすると言うのは心苦しい事この上ないのだが、政治的な判断と言う事で納得してくれると助
 かるのだがね。
 その代わりと言っては何だが、戦車道における君達の才能は惜しいので、編入先は戦車道を続ける事が出来る学校を宛がわせて貰うよ。」

「そのご厚意、感謝します。」

ったく、どの口が言うかこのタヌキオヤジが……大洗の学園艦で暮らす人の事なんてマルっきり考えてなかったくせに、よくもまぁ恥ずかしげもなく
こんな事が言えたモンだって逆に感心するよ。
馳大臣、あのタヌキオヤジの事を現役時代の必殺技であるノーザンライトスープレックスで撃破できないですかね?



「俺としても、出来るならそうしたいよ……ノーザンライトスープレックスだけじゃなく、其処にムトちゃんのムーンサルトプレスを加えたい位だから。
 だけど角谷君、此れで終わりじゃない――アイツは、既に自分が勝ったと思ってるから付け入る隙は充分にある。
 俺の方も、辻君と協力して出来るだけの事をしてみるから、君も君で出来る事を全力でやるんだ――その上で、俺に出来る事があったら遠慮な
 く言ってくれ。
 俺の権限の範囲で出来る事なら、何でもするからね。」



馳大臣……なら、私と戦車道連盟の児玉会長との会談の場を設けてください――それとその場には、陸上自衛隊の長野亜美二佐も同席させて
下さい。
出来ますか?



「陸自の二佐ともなると、防衛省の大臣に頼まないとだけど多分大丈夫だろう。
 防衛相の大臣も戦車道の大ファンだから、恐らく協力してくれる筈だ……だけど、君は何をする心算なんだ角谷君?」

「正攻法がだめなら、裏技を徹底的に使って、目的を果たすだけですよ馳大臣。」

西住ちゃんの受け売りかも知れないけど、裏技と搦め手は大洗が最も得意とする事だから、其れを駆使して、あの白髪モノクルを攻略してやる!
大洗女子学園は不死鳥だ、お前達がどんな策を巡らした所で絶対に殺す事は出来ないって事を、思い知らせてやるからね!!








――――――








Side:みほ


廃校生活も今日で1週間目……戦車でコンビニに行くなんて、子供の頃を思い出すなぁ――あの頃は、戦車に乗ってお姉ちゃんと一緒に駄菓子
屋まで繰り出してたからね。



「戦車でって、いくら何でもちょっと凄くないみぽりん?」

「そうかも知れないけど、私とお姉ちゃんにとっては、其れが普通だったんだよ沙織さん。
 そう言えば、エリカさんと初めて会ったのもその時だったよね――フリフリのゴスロリ衣装に身を包んだ女の子が怒鳴り込んで来たのには驚い
 たなぁ?」

「もしかして、その子って子供の頃のエリリン?
 エリリン、ゴスロリ趣味だったんだ……」

「同情するような目で見ないで沙織!!
 まぁ、確かに可愛い服は嫌いじゃないし、フリルの付いたゴシック系が好きなのも否定しないけど、私の子供の頃の服は、姉さんが選んだものだ
 から決して私の趣味じゃないわ!
 あのガッチガチのゴスロリは、ある意味で黒歴史!ゴシック系は、コテコテよりもポイントで使うのが良いのよ!!」



黒歴史って……私としては可愛かったから全然OKなんだけどなぁ?――と言うか、ゴスロリエリカさんはとっても神だと思うんだけど如何だろう?
因みにエリカさん推しの作者的には『ゴスロリエリカ……ヒャッハー、上等だぜ!見せてやる、草薙の拳を!』って感じらしいよ?



「意味が分からないっての!!取り敢えず、作者はその色々と終ってるっぽい脳ミソを異界に捨ててきなさい!!
 じゃなくて、編入の書類には親の印鑑が必要になるから、私とみほと小梅は、一度九州に戻らないとよね……何時、戻りましょうか?」



そう言えばそうだったね……こう言ったのは早いに越した事は無いから、今日の事が終わったら、即九州に向かうとしようか?
茨城空港を利用すれば、2時間ちょっとで長崎に到着できるし、長崎から熊本へはそう遠くもないからね。



「西住殿のご実家ですか……是非ともお伺いしたい所であります!!!」

「あはは、其れはまた今度ね。」

って、ごめん止まって!
それで少しだけバックして!!



「なんだ?どうしたんだ西住さん?」

「ごめん冷泉さん……だけど、これを見過ごす事は出来なかったんだよ!!――まさか、大洗の地にボコファンの聖地とも言える場所が存在して
 るとは思わなかったからね。」

まさか、こんな所にボコミュージアムがあるとは思わなかったよ!
そして、其れを見つけてしまった以上、そこに行かないなんて言う手は無いから、行くべきだよ!!――そう言う訳で、麻子さんボコミュージアム
に向かって下さい、全速力で。



「オウよ、任せろ西住さん。
 ボコの何が良いのかは私には分からないが、西住さんにとっては大切なモノなんだろう?……なら、私は操縦士とて車長の指示に従うだけだ。
 操縦士は、車長の女房役だからな。」

「麻子さん……うん、ありがとう。」

「別に礼を言われるほどの事じゃない。」



だとしても、言葉にしなくても、私の考えを推し量ってくれる麻子さんには感謝しかないよ――正直な事を言わせて貰うなら、ローズヒップさんにも
引けを取らない最高の操縦士だと思うよ。
其れは其れとして、偶然見つけたボコの聖地は思い切り堪能しないとボコファンの名が廃れるから、徹底的に楽しんでボコの魅力をSNSで拡散し
なきゃだから、思いっきり楽しまないとだよね♪








――――――









Side:亜美


大洗女子学園の廃校……これはおおよそ見過ごす事は出来ないわ――角谷杏さんから聞いた事だけれど、大洗は全国大会で優勝すれば廃校
が撤廃されるはずだったのに、其れを反故にされたと言うのは無視できない事態だわ。
貴方もそう考えたからこそ来てくれたんでしょう、義兄さん?



「ガッデーム!!当たり前だろ亜美!!
 大洗女子学園が廃校になるなんてのはどう考えたって認める事が出来ねぇってモンだろファッキン!!――大体にして、全国制覇を成し遂げた
 学校を廃校にするとか、ふざけ腐るのも大概にしやがれってんだオラ!!!」

「相変わらず元気ね義兄さん……でも、だからこそ頼りになるわ。」

大洗女子学園の生徒会長である角谷杏さんが、ここで終わるとはどうしても思えないからね――寧ろ、終わるどころかこの状況を逆転する為の
一手を考えてる可能性もあるから、私達が諦める事は出来ないわね。
諦めなければ、必ず道は開かれるって相場か決まってるし、道を切り開く事が出来れば後は其れを邁進するだけ……切り開いた道が、ドレだけ
険しいモノであったとしても、大洗女子学園の皆ならきっと踏破する事が出来るでしょうしね。
と言うか、殆ど素人の寄せ集め集団とも言えるチームで、全国制覇を成し遂げちゃったんだから、あの子達に不可能な事なんてないんじゃないか
って思っちゃってるんだけど、その辺は如何よ義兄さん?



「ガッデメラ、ファッキン、アーーー!!!」

「うんごめん、何言ってるのか全然分からない。」

だけど、これだけは言える――大洗の戦車道は、まだ死んでいないって言う事だけはね。
いえ、大洗の戦車道は絶対に死なないわ――どれだけ瀕死レベルの状態になっても、其処から這い上がる『不死鳥』の強さが大洗にはあるのだ
から。

そして、不死身の不死鳥に手を出した人間は、その身を不死鳥の炎で焼かれて死ぬと相場が決まってるから、貴方はもうお終いよ白神大五郎!
己の私腹を肥やすために大洗をコストにしたその代償、そろそろ払ってもらうわ。
私としても、みほちゃんのような天才を手放すって言うのは容認しがたいですからね……文科省の悪しき人事には真っ向からノーを突き付けてや
るわ!!



「良いぞ亜美、その意気だオラァ!!
 大洗女子学園の廃校は絶対に認めねぇぞガッデム!!」

「その威勢の良さ、流石は伊達に黒のカリスマと呼ばれてないわね義兄さん。」

何にしても、大洗の廃校は認められないわ。
其れを撤廃する為なら、私は自衛隊を敵に回す事だって辞さないわ――教官を務めた学校が廃校になるのを、黙って見て居られるほど私は出き
た人間じゃないからね。
時が満ちたその時は、思い切りブチかまさせて貰うわ!!――義兄さん、そちらの戦力は?



「武藤さんに、天山に小島……十分すぎんだろ?」

「OK、充分よ義兄さん。」

此れだけの力があれば、あのモノクルを黙らす事は出来るだろうけど、黙らせるだけじゃ足りないから、二度とふざけた事が出来ないように、徹底
的にやる必要があるでしょうね。
とにかく、みほさんにケンカを売った愚行を、悔いるが良いわ――もっとも後悔した所で遅いかもだけどね。











 To Be Continued… 





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